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ホルモン剤って大丈夫?低用量ピルで生理痛がらくになる!

 

PMS(月経前症候群)をはじめとした女性特有の疾患の治療には、症状に合わせて様々な薬が使用されます。

その中には「ホルモン剤」と呼ばれるものも存在します。

「ホルモン剤」を処方されると、初めのうちはどのような効果のある薬なのかが分からず不安になりますよね。

そして、生理痛をはじめとしたPMS(月経前症候群)の治療のために多く用いられるホルモン剤が、低用量ピルになります。

「ピル」というと避妊のために用いられるイメージが強く、何かしらの副作用があるように思えますよね。

しかし低用量ピルは、生理痛をはじめとした女性特有の辛い症状に優れた効果を発揮し、副作用も意外に少ないのです。

こちらでは女性のホルモン剤の効果やその種類、そしてその中でも生理痛の緩和に使用される低用量ピルの種類や効果などの基本について分かりやすくご紹介します。

 

目次

女性のホルモン剤とは?

女性のホルモン剤とは、簡単に言うと女性ホルモンが配合された薬になります。

そもそも、女性ホルモンには主にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類が存在します。

エストロゲン(卵胞ホルモン)は、卵胞や子宮内膜の成長を促進する働きがあり排卵前に分泌量が増えます。

一方で、プロゲステロン(黄体ホルモン)は子宮内膜の厚みを維持する役割があり、排卵後に分泌量が増加します。

女性のホルモン剤には、人工的に生成されたこれら2種類のホルモンが配合されています。

これら2種類の女性ホルモンは本来あるべきバランスを維持していく中で、生理や妊娠と言った女性ならではの体内の変化がきちんと行われるようコントロールする機能を果たしています。

しかし、ホルモンバランスが崩れると体の様々な部分に不調が生じるのです。

ホルモンバランスの乱れから生じる体の不調を改善する際に効果を発揮するのが、人工的に生成されたホルモンを摂取しホルモンバランスを調整することのできるホルモン剤なのです。

ホルモン剤はどんな治療ができるの?

人工的に生成されたホルモンが配合されたホルモン剤は、主に女性特有の疾患を治療するために行われる「ホルモン療法」において使用されます。

女性特有の疾患の中でも特に使われるのが、生理不順・PMS(月経前症候群)・更年期障害といった生理周期に関係する諸症状の改善を目的とした治療です。

さらに、子宮筋腫・子宮内膜症・子宮がん・乳がんなどの婦人科系の疾患や、不妊症の治療にも使用されます。

生理周期に関係する症状、産婦人科系の疾患、不妊症の治療など、それぞれで用いられるホルモン剤は「何を改善する・治療するか」という目的に応じて種類が異なります。

しかしながら、どれも「体内のホルモンバランスを正常な状態へと整えることで不調を改善する」というアプローチで行われるホルモン療法になります。

生理痛で使われる低用量ピルとは?

生理周期に関係する不調の中でも、月経不順やPMS(月経前症候群)の治療にはホルモン剤の中でも「低用量ピル」が用いられることが多いです。

低用量ピルとは経口避妊薬のことで、その名の通り妊娠を望まない場合の避妊薬として用いられます。

低用量ピルが生理痛治療のために使用される理由

避妊薬として服用される低用量ピルがどうして生理不順やPMSの治療にも使用されるのかというと、人工的に生成されたエストロゲンとプロゲステロンが配合されているからです。

これら2種類のホルモンが配合されている低用量ピルを服用すると、体内ではエストロゲンやプロゲステロンが分泌されている状態、つまり妊娠しているときと同じホルモンバランスへと変化します。

こうしたホルモン状態を認識した脳は、さも本当に妊娠をしたと勘違いをして、本来ならば行われるべき次の排卵をストップするのです。

排卵が起こらなければ排卵の後に生じる生理も行われなくなり、生理に関連したホルモンバランスの変化も起こらなくなります。

「排卵がストップして生理が来ない」と聞くと大変怖く感じられますが、あくまでもこの作用は低用量ピルを服用している間の一時的なものです。

低用量ピルの服用をやめれば排卵が正常に行われ、再び生理も始まるようになるのでご安心くださいね。

言ってしまえば、低用量ピルは脳に「妊娠している」と勘違いさせることで排卵そして生理を起こさせないようにし、ホルモン分泌を一度リセットさせてホルモンバランスを整えるという効果が得られるのです。

こうした効果のある低用量ピルだからこそ、ホルモンバランスの乱れから生じる生理不順やPMSそして酷い生理痛の治療に用いられるのですね。

低用量ピルの種類は?

処方される低用量ピルには様々なものがありますが、ピルに含まれるホルモンの配合量の違いによって大きく「一相性」「二相性」「三相性」の3種類に分けられます。

1.どのピルでもホルモンの配合量が同じ「一相性」

まず、一相性のものでは、1箱全てのピルに配合されているホルモン量がどれも同じです。

そのため、どのタイミングでどれを飲んでも問題がありません。

2.ピルによってホルモンの配合量がそれぞれ異なる「二相性」「三相性」

一方、二相性と三相性のものでは、服用を開始してからの経過日数によって段階的にピルに配合されるホルモンの量が異なります。

ホルモン含有量がそれぞれ異なる2種類のピルを前半・後半に分けて服用するのが二相性に対し、ホルモン含有量がそれぞれ異なる3種類のピルを3段階に分けて服用するのが三相性です。

そのため、二相性と三相性では飲むべきピルと、それを服用タイミングが決められています。

手間に感じられるかもしれませんが、段階的にピルから摂取するホルモン量が変化することでより自然なホルモンバランスに近づき、不正出血が起こりにくいというメリットがあります。

低用量ピルの飲み方

「1日1錠を、生理開始と同時に飲み始める」というのが低用量ピルの飲み方の基本になります。

しかし、「21錠タイプ」「28錠タイプ」と低用量ピルのタイプによって服用期間や飲み方が少し異なりますから注意が必要です。

1.服用期間が一時中断する「21錠タイプ」

1ヶ月分として1箱に21錠だけ入っている低用量ピルは「21錠タイプ」と呼ばれ、これが基本的な錠剤数になります。

生理周期に合わせるように21日間毎日1錠ずつ服用した後に7日間服用を中止し、そして翌月分の21錠を「1日1錠」を継続して服用するという飲み方を行います。

服用を中止する期間があることから、どうしても服用期間の間違いや飲み忘れに陥りやすくなります。

こうしたデメリットを解消するために生み出されたのが「28錠タイプ」になります。

2.「1日1錠」を続けられる「28錠タイプ」

28錠タイプでは、「21錠タイプ」に効果のない偽薬を7錠プラスされています。

この7錠が付け加えられることで「21錠タイプ」では存在した服用中止期間がなくなり、「1日1錠」の習慣が定着化し飲み忘れを防ぐことが可能になるのです。

どこで買うの?

低用量ピルを入手するには、産婦人科での処方を受ける必要があります。

そこで気を付けたいのが、全ての産婦人科で処方してもらえるものではないということです。

これは低用量ピルが日本国内では比較的新しい薬に該当するため、お産を専門にしている産婦人科では低用量ピルを処方しないところもあるからです。

したがって、産婦人科で低用量ピルによる治療を希望する際には、受診の前にまずは電話で低用量ピルの取り扱いについて問い合わせてみると良いですね。

飲み忘れたら?

低用量ピルの効果をきちんと得るには、毎日欠かさず継続的に服用することが大切です。もしも服用し続けるべき期間に1日分飲み忘れてしまった場合には、24時間以内であれば気付いたタイミングでの服用でも問題ありません。

そして、その日の分のピルも予定の時間通りに飲むようにしましょう。

24時間以上経過している場合には、一旦服用を中止して次の生理開始と同時に新しいシートでスタートしましょう。

とは言え、飲み忘れたときの対処法は処方された低用量ピルの効果に大きく関係しますから、一度飲み忘れについてかかりつけの医師に相談することが賢明ですよ。

値段は?

生理周期28日分を1ヶ月分1シートとして産婦人科で処方される低用量ピルは、一般的に1シート2,000~3,000円程度です。

初めての処方では初診料や診察料がプラスで必要となりますが、次回以降は薬代のみになります。

金銭的な負担はあるものの、毎月の生理で酷い生理痛に悩まされる方にとっては安く感じられるほどの嬉しい効果が得られますよ。

ピルでどのくらい楽になる?

  • 重い生理痛から痛み止めを手放すことができなかった人が、薬に頼らずに済むほど痛みが和らぐ
  • 痛みの酷さから生理中は寝たきりになっていた人は、仕事や日常生活を快適に過ごせるようになる

低用量ピルの継続的な服用によって、上記のような優れた痛みの改善効果が得られます。

そのほか、出血の量や生理期間が減ることで貧血の症状も和らぎ、生理特有の不快感も減らせられます。

毎月2,000~3,000円ほど薬代として必要な低用量ピルではありますが、毎月の生理のたびに痛み止めをはじめとした市販薬を購入している方の場合には、値段的にはあまり変わらないかもしれませんね。

副作用は?

生理痛の緩和に大変役立つ低用量ピルですが、副作用が全くないというわけではありません。

頭痛・吐き気・怠さ・胸の張りや痛みなどが主な副作用として生じます。

そのほか、極稀に重大な副作用として血栓症が生じることもあります。

低用量ピルの嬉しいメリットのみならず、副作用についての知識もきちんと深めた上で正しく服用しましょう。

頭痛や吐き気が主な副作用

低用量ピルを服用し始めてまだ体が慣れ始めていない初期段階では、頭痛・吐き気・だるさ・胸の張りや痛みといった軽いつわりのような症状が副作用として現れます。

しかし、これは体が低用量ピルに慣れるまでの一時的なもので、大抵の場合には1~2週間で長くても10週間以内には治まるとされています。

また、こうした副作用を感じる人はむしろ少数で、何も感じない人がほとんどだというデータも存在します。

極めて稀に血栓症のリスクが高まる

極めて稀に生じる低用量ピルの副作用としては、血栓症が挙げられます。血栓症とは、血管の中で血液が固まり、血液が流れなくなるという大変危険な症状です。

しかし、副作用が生じるのは、「数十万人に1人くらい」と極めて稀な確率ですから、一般的な生活を送る中での服用では問題ない数字だと考えても良いでしょう。

最後に

日本での歴史がまだ浅く馴染みのないホルモン剤の低用量ピルは、生理周期に関するPMSや生理痛といった症状の緩和には非常に高い効果を発揮します。

低用量ピルを始めるにあたり医療費がかかるものの、こうした効果を「1日1錠の服用を続けるだけ」の簡単な方法で得られるのは大変助かります。

毎月の生理で大変な思いをされている方は、産婦人科を受診し低用量ピルの服用を検討されてみてはいかがでしょうか?

副作用についてもきちんと知ったうえで正しく服用し、低用量ピルの優れた効果を十分に得て生理前~生理中の強い味方にしましょうね。