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MNPの利便性がさらに向上!業界最安値の「DMM mobile」の展望

現在、数多くのMVNOから「格安SIM」が提供され、スマホユーザーは安い料金でスマートフォンを利用することができるようになりました。

MVNOごとにさまざまなプランやオプションサービスを利用することができ、料金やサービス内容、通信速度などでMVNOを選ぶことができます。

それに際して、電話番号を変更すること無く格安SIMに乗り換えができる「MNP」の利用が人気を集めています。

そして、そのMNPの利便性を高めた「DMM mobile」は、業界最安値の看板を武器にユーザーを獲得しつつあります。

そこで、DMM mobileの現状や、今後の展望について解説してきます。

目次

2014年12月にMVNOに参入した「DMM mobile」

2014年12月、「DMM」はMVNOに参入して格安SIM「DMM mobile」を提供し始めました。今や群雄割拠、数多くの業者がMVNOとして格安SIM業界に参入している中でも、未だにトップクラスの安さを誇るプランを提供し続けているDMM。

格安SIM業界における指標、および最大の魅力であり関心ごとでもある「安さ」という強みを魅せつけるDMM mobileは、今後どのような歩みを見せるのでしょうか。

その動きは、同業他社だけでなく、私達ユーザーにとっても大きな関心事となります。格安SIMの代名詞とも呼べる「安さ」を貫き通すということは、スマホユーザーの経済的なメリットを生み続けることになります。

その進む道は、多くのユーザーにとって注目すべきものであると言えます。DMM mobileの今後について、いくつかのポイントに分けて考察していきます。

MNPの障壁が解消される「おうちで乗り換え(MNP)」

当初、DMMにおいてDMM mobileの抱える最初の問題点は「MVNOへの参入自体の難しさ」でした。

格安SIMへの知名度の低さ、日本における「安かろう悪かろう」の風潮、そういった理由でDMM mobileの会員は伸び悩むであろうというのが、当時のDMMの考えでした。

同時に、会員を集めるということは「広告を打ち出す」ということそのものであり、そのためには「広告費を投入する」ということが必要不可欠です。広告費は「費用」であり、費用の増加はそのままサービスの値段に反映されます。

そうなると、格安SIMの旨味は減少してしまいます。「格安」とは名ばかりの、通信料のかかる格安SIMになってしまえば、会員が集まることはありえません。

安い通信料を維持するためには、広告費をかけないことが必要でした。そこで考えだされたのが「利益を追求しすぎず、『業界最安値』で顧客を維持する」という考え方でした。

実際、それは功を奏し、ネットでの口コミも相まってDMM mobileは成長を続けていきました。

次なる課題は「販売方法とMNPの相性」でした。DMM mobileのSIMカードの販売方法はインターネット上での販売のみであり、他社と違って専門店や量販店といった「リアル店舗」での販売経路は確保されていませんでした。

これの問題点は、「MNPでの契約時に携帯電話が使えなくなること」でした。

DMM mobileのSIMカードをMNPで契約する場合、DMMの方で開通作業を行いますが、その際に開通してからユーザーへSIMカードが届くまでの数日間、ユーザーは携帯電話による通信手段を確保できないということになります。

この問題の解決方法として、「おうちで乗り換え(MNP)」の提供を始めました。この方法は、DMM mobileのMNPでの契約の際に「回線の切り替えをユーザーの方で行うことができる」という特徴を持っています。

DMM mobileのMNPでの申し込みを受けると、DMM mobile側でMNP予約番号を照会し、ユーザーにSIMのカードが発行されます。

ユーザーは、格安SIMカードが自宅に届いたらインターネットを利用してDMM mobileのマイページにログインし、そこで電話番号の切り替え手続きを行うことができます。

要するに、今までは「回線切り替え→SIMカードの送付」の間の不通期間を、「SIM送付→回線切り替え」という順番に変えることで、不通期間を無くすことができるということです。

かつては、「不通期間がある」という理由で、DMM mobileを「メインのスマートフォン」として使うこと無く、「2台目以降」のスマートフォンとして使うユーザーが多かったのです。

メインのスマートフォンが使える以上、2台目以降に不通期間が数日あってもカバーすることが容易だからです。逆に言えば、メインのスマートフォンをDMM mobileで利用することはなく、そのためスマートフォンを1台しか保有していないユーザーにとってはDMM mobileはどうしても手を出しにくい方法だったのです。

それが「おうちで乗り換え(MNP)」の登場によって、1台目のスマートフォンでもDMM mobileに契約して利用することが容易になったのです。

ただ、DMM mobileのMNP関連の問題点はそれだけではありません。DMM mobileでは最大で3枚の通話SIMを1回線でシェアすることができるのですが、「MNPが可能な回線」は1回線だけなのです。

つまり、2枚目、3枚目の通話SIMはMNPでは契約できないということになります。現在、この点については改善中とのことですが、家族でのDMM mobileへのMNPでの乗り換えには、この問題点がまだまだ大きくのしかかることになります。

それを除けば、DMM mobileにおけるMNPの利便性の高さは、多くのユーザーが認めるものとなっています。不通期間というデメリットの問題を解消し、ユーザーの利便性を高めていることは、何よりもユーザーにとっての大きな利益です。

残った問題点についての考慮は続けてもらいたいものの、現時点でもDMM mobileのMNPは高い利便性を持つことに間違いありません。

これからは格安SIMの「業界最安値」よりも「品質」へ

さて、ここまでにも「DMM mobile=業界最安値」という魅力が最も大きいという話をしてきました。

実際、今までDMM mobileは安さへのこだわりを貫き、他社の値下げに敏感に反応し続けてきました。しかし、現在ではその方針も絶対的な価値観ではないという話なのです。

その理由は「通信品質の維持」にあります。日本ではどうしても「安かろう悪かろう」の風潮が強く根付いており、安い品に値段相応か、それ以下の品質が定着してしまうと、どうしても業界全体のイメージが下がってしまい、DMM mobileだけでなく多くの業者の利益を損なうことになるという危惧がありました。

そのため、DMM mobileとしては業界最安値の看板は維持したいものの、それ以上に「通信品質を下げない」ということにこだわりを見せるようになりました。

「他社が値下げしたから、DMMも値下げする」という流れは、DMM mobileにとってもはや害悪となるレベルまで来てしまっているのです。

DMM mobileが業界最安値にこだわらなくなったとはいえ、やはり大手キャリアの提供するプランに比べるとその安さが目立ちます。

それだけではなく、データSIMプランはシングルコースで20種類、シェアコースで16種類と、プランが豊富であることも魅力の一つとなっています。

これには大手キャリアからのライトユーザー層の乗り換えを狙いつつも、大容量のプランも盛り込むことでより多くのユーザーをDMM mobileに取り込む事ができるだろうという狙いが伺えます。

現在、DMM mobileで最も多くのユーザーを抱えているのは「1GB」のプランだという話です。これは、「メインではないスマートフォンでの使用」もしくは「移動中に使いたいというスマートフォン」の需要が多いのではないかと分析します。

要するに、そこまで多くの通信料を必要とせず、サブ的な立ち位置としてスマートフォンを使いたいというユーザーの需要が如実に現れているということになります。

一方で、大容量のプランとなる「15GB」「20GB」というプランについてフォーカスを当ててみようと思います。これらのプランは値段を高めに設定していますが、これは「自宅での『Wi-Fiルーター』代わりとしての活用法」を想定しているものと思われます。

そうなると、通信量の多さがそのまま需要の高まりを意味しますので、多少値段が高くなっても「使い放題」のプランにも需要が集まるのではないかと思われますが、実際には「使い放題」のプランを検討するような動きは見せていません。

これは「通信品質の悪化」を懸念しての結果だと思われます。

なぜなら、そもそものMVNOの立ち位置が大きく関わってくるからです。DMM mobileなどのMVNOは、大手キャリアの通信用帯域幅を借りることでユーザーに格安SIMを提供することができます。

なので、そのMVNOが保有する帯域幅に対するキャパシティを超える通信が発生すると、ユーザー一人あたりの実行速度の低下、つまり「通信品質の低下」が起きてしまうのです。

もし、「使い放題」のプランが業界最安値のDMM mobileに登場したら、喜んで使いまくる人が続出するでしょう。そうなってしまえば、DMM mobileを利用する全てのユーザーに悪影響となります。

その未来が現実のものとなれば、DMM mobileに「安かろう悪かろう」のレッテルが貼られてしまうことになります。DMM mobileがMVNEとして「IIJ」を選択しているのも、同社の通信速度の品質が良いことに理由があります。

実際、DMM mobileはIIJと提携してからずっとそのパートナー関係を変えること無く、他社がMVNEを変更する動きを見せる中でもそれは一貫して変わっていません。

加えて、MVNEを変更してしまうと、変更前のプランから変更後のプランへの変更ができなくなり、その場合には解約する必要があります。

以上の理由から、DMM mobileは値段にだけこだわるのではなく、通信品質の高さや維持に注力するということが伺えます。

スマホユーザーの中には安さと同程度か、それ以上に通信速度や安定性を要求する人もいるため、そうした需要にもマッチする動きであると評価することができます。

実店舗がなくても十分なサービスを提供できるように

これも既に述べていることですが、DMM mobileには「リアル店舗」がありません。

この問題点は「おうちで乗り換え(MNP)」の登場によって解決されているとはいえ、やはりリアル店舗がある方がユーザーの利便性や販売経路の確保など、さまざまなメリットが考えられます。

DMM mobileでは、そうした点にどのような考えを持っているのでしょうか。

実際のところ、DMM mobileは以降もリアル店舗を持たないだろうと考えられます。その理由は先程までと同様に「安さへのこだわり」があるからです。

実際、ネットショップが実店舗よりも安い値段で商品を販売することができるのは、店舗を構えることによる維持費や人件費がかからないことで、その分だけ商品価格を下げても利益を追求できるところにあります。

これと同じことがDMM mobileにも言えるので、安さを維持するためにはコストのかかるリアル店舗は持たないでしょう。ただでさえ、先ほど「通信品質を重視する」という話をしましたから、余計にコストのかかる行動はしないと考えられます。

とは言え、DMM mobileはユーザーへの利便性を捨てているわけではありません。まず、DMM mobileは「契約中のユーザー」と「契約前のユーザー」に対して、それぞれ別口のサポート窓口を用意しています。

年中無休で相談することができ、チャットでの相談窓口も用意しているのでサポートは充実しています。契約前のユーザー向けの窓口は人気のようで、特にスマートフォン初心者からの問い合わせが多いとのことです。

次に、SIMはカード到着までの時間についてです。「おうちで乗り換え(MNP)」によって不通期間をなくすことに成功していますが、それでも格安SIMカードが届くまでの期間があることには変わりません。

リアル店舗がある場合だと、店頭での受け渡しによって配送までの期間が発生せず、早く格安SIMカードを設定して利用したいというユーザーはその方法でSIMカードを取得しています。

DMM mobileでは、その問題点を解決するためにSIMカードへのデータ書き込み作業を早め、注文からカード到着までの時間を大幅に短縮することに成功しています。

このように、リアル店舗が無いことへの不便さを解消することにも、DMM mobileは注力していることが読み取れます。

もちろん、リアル店舗があることへのメリットはそれ以外にも存在しますが、これまでの改善によってリアル店舗が存在しないことによるユーザーへの不利益は大幅に改善されていると言えます。

SIMカードとセットで販売する端末の展望

DMM mobileには、サービス内容の魅力以外にも、いくつかのメリットが存在しています。その一つが「SIMカード+端末」のセット購入のラインナップが充実していることです。

セット販売の端末の価格帯は、およそ3万円~5万円の価格帯を中心に端末をセレクトしている傾向にあります。これに関しては、価格の低い端末ではスペックの低い端末が多く、それでは文字通り「安かろう悪かろう」の看板を掲げてしまうことになります。

逆に、スペックの高い端末は価格も高く、日本ではそこまで高スペックな端末への需要が高くないとの見込みで上記の価格帯の端末をセレクトしているのだと思われます。

実際、価格とスペックのバランスが良い端末は売れ行き好調なようです。これは、DMM mobileがユーザーの需要をしっかりと読み取り、その需要に即した端末のセット販売を行えているという証拠になります。

実際のところは、各端末ごとに機能面での違いがあり、ユーザーはDMM mobileがセレクトする豊富なラインナップから格安スマホを選ぶことができるという事になります。

また、現状では「Windows 10 Mobile」を搭載しているスマートフォンが日本でもラインナップを増やし、DMM mobileでも導入が検討されています。

その背景には、DMMが提供するスマホ向けゲームアプリの存在、特に「艦隊これくしょん(通称『艦これ』)」の存在が大きいのです。

多数の分野に手を伸ばすDMMなので、今後のスマートフォンとの関連も十分に考えられる選択肢となります。

DMMポイント還元や「アダルト分野」との融合

DMM mobileは、既存のDMM提供のサービスとのコラボレーションがその内容として注目されています。

その最たるものとして、「DMMポイント還元」「アダルトコンテンツ」といった分野とのサービスへの融合というポイントです。

まず、DMM mobileは、毎月の通信料金の10%が「DMMポイント」として還元されます。前述のとおりDMMはさまざまな分野へとそのサービスの範囲を広げており、「動画」「電子書籍」「レンタル」「通販」など、多彩なサービスを提供しています。

それらの利用に際し、専用のDMMポイントを利用することができます。DMM mobileを利用するだけで無条件でDMMポイントが付与されるというところは、DMMのヘビーユーザーにとっては特に魅力を感じるポイントではないかと思われます。

ただし、DMM mobileの利用によるDMMポイントの付与は、「有効期限が1ヶ月」という制限が付いています。

要するに、数カ月分のポイントを貯めて何かを購入するといったことには使えず、別の方法で貯めたポイントを補助するような形での利用となります。

1ヶ月という期間制限の影響か、担当者が想定していたよりはユーザー増加の伸びは良くないようです。

やはり、1ヶ月で期限が到来するとなると、もともと料金が安いことを考えても実用性が薄く、ヘビーユーザー以外はそこまでの魅力を感じないのでしょう。

今後、キャンペーンによるポイント増加や期限の延長など、DMMポイントをより効果的に活用することができるような変化を期待したいところです。

次に、DMMの提供するアダルトコンテンツとの融合に関してです。人によっては「DMM=アダルト」という印象を持つことも多く、実際にDMMの提供するアダルトコンテンツを利用しているスマホユーザーも多いことと思われます。

そうなると、DMMのアダルトコンテンツに関する何らかの特典を用意することで、DMM mobileにそういったユーザーを大幅に取り込むことができるのではないかと思われます。

考えられるサービスの内容としては、「DMMのアダルト動画を見放題」とか「割引」といった、値段面でのメリットです。

そうしたオプションサービスを提供することで、アダルトコンテンツに価値を感じているユーザーを取り込むことを予想することができます。

同時に、アダルトコンテンツ以外にも、DMMポイントとは別のアプローチで何らかのコラボレーションを実現することが考えられます。

数多くのコンテンツを持つDMMだからこそ、既存のコンテンツとの提携を行うことでユーザーの獲得と確保に乗り出すことができるのではないかと考えられます。

もちろん、そこには「採算」という要素が強く関わってきますので、全てのコンテンツを関連付けるということは考えにくいです。しかし、既存のコンテンツを利用することでDMM mobileがさらなる躍進を遂げるという未来を想像することは容易です。

DMMのコンテンツをよく利用しているユーザーにとっては、今後の展望が楽しみになり、注目すべき話題として位置づけられることでしょう。

■まとめ

「DMM mobile=とにかく安い」という認識では、もはやユーザーの方にデメリットが生じてしまう時代となります。

DMM mobileの提供するサービスの内容をしっかりと見極め、それが現状の自分の置かれている通信環境や経済状況と、どのようにマッチしていくのかを一人一人が考えなおし、DMM mobileへの評価を決めることが重要です。

現在、MVNOは群雄割拠となっていますが、かつての戦国時代が一つの幕府に集約したように、今後はどういった変遷を遂げていくのかはわかりません。

一般的な消費行動に伴う変化を考えれば、ユーザーから評価されないMVNOは次第に姿を消していくことが予想されます。

その未来が訪れる速さは、各MVNO間での競争の熾烈さによって変わってきます。

未来は誰にも確定することはできませんが、DMM mobileがMVNOでの生き残りをかけるのであれば、その戦略を大幅に変えることも十分に考えられます。

既にDMM mobileを利用中の人だけでなく、むしろそれ以上に他社のSIMを利用している人、非スマホユーザーにとって、DMM mobileの今後に注目したいところであると言えます。

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