複数枚のSIMカードってどういうこと?
格安SIMは、スマートフォンを利用するために必要な「SIMカード」を、大手キャリアに比べて格安の料金で利用することができるサービスです。
ユーザーは数あるMVNOの中から自分に合った通信会社やプランを選ぶことができ、浮いた分のお金をより便利なサービスの利用に充てることができます。
基本的に、スマートフォンに1枚のSIMカードを挿入して利用することになります。そのため、スマートフォンが3台あれば3枚のSIMカードが必要になり、それぞれが格安SIMを契約することになります。
しかし、格安SIMの中には「1つの契約で複数枚のSIMカードを入手できる」という特徴をもったプランが存在することをご存知でしょうか。ご家族での利用にはもちろん、複数のスマートフォンを1人で利用するのにも最適です。
通常は、SIMカード1枚につき1つの契約を結ぶのですが、大容量のプランで複数のSIMカードが同じパケット量を共有することができるプランが有ります。
例えば、10GBのプランで3枚のSIMを共有すると、1枚あたり平均3.3GBのパケット量になりますが、3枚のSIMカードのうち2枚が1ヶ月2GBずつしか使わない場合だと残りの1枚が6GB使っても低速通信の制限をかけられなくなるのです。
格安SIMのデータ容量シェアプランを契約するメリット
では、格安SIMのデータ容量をシェアできるプランで複数のSIMカードを入手してスマートフォンを利用することもメリットについて、細かく分けて解説していきます。
スマートフォンやタブレットなど複数のデバイスを使う場合
まず、一人のユーザーが複数の通信端末を使い分けるという場合です。例えば、外出先では持ち運びやすいスマートフォンを持ち歩き、自宅やオフィスでは使い勝手の良いタブレット端末を使用するというケースが有るとします。
端末も、プライベート用とビジネス用を使い分けるとすれば、一人で何個も端末を使うことになります。当然ながら、それぞれにSIMカードは必要になります。
その場合に、複数のSIMカードを一つの契約で入手できる方法として利便性を発揮します。1回の契約で複数の端末用のSIMカードを調達することができ、パケットの残量も管理しやすくなります。
加えて、使用しているのが一人だけなので、仮にプランを見直したい場合でもためらうこと無くプラン変更を実行することができます。
ビジネス用にも使うとなると、一人で相当な量のデータ通信を行うことになります。そのため、3GBや5GBの容量では満足に運用することが難しく、大容量のプランで契約することになります。
シェアプランは大容量のプランで契約することになるので、「一人なのに大容量に契約するのも…」というジレンマを感じること無く利用することができます。
家族で利用する場合
次は、家族で個別にスマートフォンを所有する場合です。夫婦とお子さんでそれぞれ格安SIMを契約すること無く、1回の契約で家族全員分のSIMカードを入手することができます。
一人での利用とは異なり、1つの契約で使えるパケット容量は家族で共有することになります。
例えば10GBの契約であれば、それを利用する3人家族で合計して毎月10GBまでしか高速通信を利用できないということになります。
しかし、例えば「簡単なメールの送受信がメインの父親」「レシピサイトの閲覧やネットサーフィンがメインの母親」「アプリのダウンロードや動画の視聴がメインの娘」といった家族構成になれば、父親が最もデータ通信量が少なく、次いで母親、娘が最も多くのデータ通信を行います。
誰かが多くのデータ通信を行っても誰かがあまり通信を行わないとすれば、釣り合いが取れるのです。
また、個別に契約するよりも毎月の利用料が安くなりやすいのです。例えば上記の例で言えば、父親は1GB、母親は2~3GB、娘は6~7GBほど使うとして、それぞれのプランで個別に契約するとしましょう。
その場合に比べて、10GBのシェアプランで契約するほうが料金が安くなり、かつ支払いも一本化するので家計の管理もしやすくなります。
DMM mobileで「音声通話SIM」を契約する場合における料金の違い | ||||
父親(1GB) | 母親(2GB) | 娘(7GB) | 合計 | |
個別に契約する場合 | 1,260円 | 1,380円 | 2,560円 | 5,200円 |
シェアプランで契約する場合 | 4,290円 | 4,290円 | ||
・SIMカードは最大3枚まで ・SIMカードは「データ専用SIM」と「音声通話SIM」を組み合わせることも可能 ・音声通話SIMの枚数が減るごとに料金も安くなる |
データ容量シェアプランの利用方法や注意点
では、実際にデータ容量のシェアプランを契約するおおまかな流れがどうなっているのか、その点について簡単に解説していきます。
もちろん、契約時には担当者がきちんと説明してくれるとは思いますが、前もってきちんと理解しておけばいざという時に慌てずに済みます。
また、データ容量をシェアするプランにも注意しなければならないポイントがいくつかあります。
家族での利用や複数のデバイスの利用を考慮してシェアプランで契約しようと考えている人はこれらのポイントをきっちりと押さえておきましょう。
申し込み時にシェアプランを選んで契約する
まず、申込時に「シェアプランとして契約する」ことになります。シェアプランは基本的に10GB以上の大容量プランで利用することができます。
どのプランでシェアプランを利用することができるのかについては、各MVNOのホームページの「料金・プラン」等のページで確認することができます。
中には少ないデータ通信用料で複数の格安SIMを入手できるMVNOも存在します。
必要な枚数のSIMカードを入手できるプランであるのか、料金プランをきちんと確認して契約するようにしましょう。
契約後でも追加申込が可能
シェアプランSIMカードを契約し、その時点で必要な分だけSIMカードを入手した後になってSIMカードを追加で必要とする場合でも、契約を一からしなおす必要が無い場合もあります。
先ほど例に挙げた「DMM mobile」の場合、シェアプランでは3枚までのSIMカードを入手することができます。
料金プランは音声通話SIMの枚数によって異なりますが、例えば契約時には2枚のSIMカードを入手していたとして、あと1枚欲しいというのであれば追加で申し込みしてSIMカードを入手することができます。
注意点
そんなシェアプランSIMカードですが、注意しなければならない点もあります。具体的には「個人の契約ではない」ということです。
3枚のSIMカードを入手した場合、その3枚は同一の契約のもとで入手しているため、それらは同一もしくは合算して考える必要があります。
問題となるのは「契約を変える場合は全員に波及する」「パケット量は全SIMカードで合算」となる点です。
通常、個別に格安SIMを契約する場合だと、そのSIMカードで行ったデータ通信のせいで家族のSIMカードの通信速度に制限がかけられることはありません。
しかし、シェアプランの場合は複数のSIMカードが同じパケット容量を共有するため、例えば10GBのシェアプランを3人家族で共有して、一人が10GB使いきってしまえば他の家族があまりデータ通信をしていなくても全員が通信速度の制限を受けてしまうことになります。
もう一つは契約に関することで、例えば誰かが別のMVNOの格安SIMを使いたいと言っても、その人が契約を解除することはできません。
契約は3枚までのSIMカードで共有しているので、その場合はその人だけ個別に格安SIMを契約することになります。
それだとシェアプランによる節約効果が薄れてしまうので本末転倒となるのですが、少なくともあまり契約の自由度は許されていないということになります。
複数枚のSIMでデータ容量をシェアできるMVNOを紹介
それでは、2016年8月現在でシェアプランを契約しているMVNOのおおまかな紹介と、どのようなプランが利用できるのかということについて簡単に解説していきます。
「シェアプランがある」ということである程度選択肢に制限が設けられてしまいますが、それでも選択肢はそれなりに残っているので選択の余地は残されています。
DMM mobile
まずは「DMM mobile」です。
「業界最安値の料金プラン」という目標を掲げ(現在ではその傾向は少し薄れていますが)、業界でもトップクラスの安さと料金プランの多さを持つMVNOです。
選択肢が多く、シェアプランの数もいくつか存在する点は嬉しいです。
DMM mobileで利用することができる大容量プランは「8GB」「10GB」「15GB」「20GB」の4種類あります。8GBは一人で複数のデバイスを利用する際に適しており、20GBは家族揃ってデータ通信量が多い場合に最適です。
それぞれでデータ専用SIMと音声通話SIMを組み合わせることができるので、利用者のニーズに合ったプラン選びをし易いところが嬉しいです。
通信速度もそれなりの速度で安定しており、いくつかのMVNOの中でも特にオススメの格安SIMであると言えます。
IIJmio
次は「IIJmio」です。
ファミリープランが用意されており、10GBまで毎月データ通信を行うことができます。最大のポイントは、ファミリープランの場合は「最大で10枚(音声通話SIMは最大5枚まで)のSIMカードを入手することができる」という点です。
つまり、1回の契約で最大10個のデバイスにSIMカードを用意することができるということです。
10GBを10人でというのは窮屈に感じるかもしれませんが、うまく運用することができれば毎月1人(1台)あたり350円ほどで利用できるという節約効果の高さを発揮します。
また、IIJmioの高速通信に関しては、通信速度を「クーポン」で切り替えることで、任意のタイミングで高速通信を利用し、高速通信が不要な場合は低速通信に切り替えることでその間は10GBを消費すること無くデータ通信が行えます。
なので、動画の視聴などのように高速通信を必要とする場面だけクーポンを利用し、それ以外の時は低速通信に切り替えることでパケット量の節約を行うことができます。
多人数で10GBを共有することになりますので、これを上手く活用したいところです。なお、ファミリープラン以外のプランでも最大2枚までSIMカードを入手することができます。
BB.excite モバイル LTE
次は「BB.exiteモバイルLTE」です。この格安SIMの最大の特徴は「大容量プランの充実」です。
「1GB」「2GB」「3GB」というライトユーザー向けのプランで3枚のSIMカードを入手することができ、ファミリー向けの「9GB」からヘビーユーザー向けの「20GB」「30GB」「40GB」「50GB」という大容量のプランまで用意されています。
また、料金プランは「従量制」と「定額制」の2種類があり、特にスマートフォンでのデータ通信に疎い初心者の場合だと「何GBあれば足りるのだろう?」と思っていることが多いと思います。
ですが、従量制の料金は電気代のように「使った分だけ料金が高くなる」ため、目安がわからない人にとっては利用しやすいプランであると言えます。
ファミリー用のプランは最大3枚までのSIMカードを入手することができます。
これに最大2枚までSIMカードを追加することができるので、最大で5枚のSIMカードを入手することができます。大家族でも対応しやすく、何かと使い勝手の良い格安SIMであると言えます。
OCN モバイル ONE
次は「OCNモバイルONE」です。
業界大手「NTTコミュニケーションズ」が提供している格安SIMは、通信環境の安定さが売りとなり、どのユーザーにとっても安心できるMVNOとなります。
業界シェアNo.1というという実績も、新規契約するユーザーのハードルを下げる効果が期待できます。
SIMカードは、どのプランでも最大4枚まで追加可能、合計5枚までSIMカードを入手することができます。
プランは他と違っていて、「毎月◯GBまで」というプランだけではなく「1日◯MBまで」というプランも用意されています。
ライフスタイルに合わせてプランを選ぶことができますので、このあたりはユーザーのニーズ次第ということになります。
また、高速通信のオンオフ機能に加えて口座振替の利用可能など、ユーザー向けのサービスが充実しているところも見逃せません。
この点はNo.1シェアを誇るだけあってユーザーのニーズを反映させていると言えます。通信会社の老舗であるNTTが提供しているという点も相まって、多くのユーザーが満足できる内容となっているMVNOであると言えます。
BIGLOBE SIM
次は「BIGLOBE SIM」です。
特徴という特徴よりも「平均的な格安SIM」としての印象が強く、初心者向けでもあると言えます。
必要なサービスが一通り揃っている感じで、かつ余計なサービス等の付帯するものがなくこじんまりとしたシンプルな料金プランは、初心者でも料金表を理解しやすい内容となっており、オススメの格安SIMの一つです。
SIMカードを複数入手できるのは「6GB」と「12GB」のプランです。6GBでは2枚まで、12GBでは4枚までのSIMカードを入手することができ、最大枚数では1枚あたり3GBという計算になります。
1人3GBというのは平均的な格安SIMの契約であり、非常に使いやすいといえます。もちろん、ライフスタイルによって使い分けると良いので、例えばデータ通信量の多い夫婦が12GBのプランを2枚のSIMカードで利用するという方法も適しています。
もう一つ注目したいのは「キャンペーン」です。お得になるキャンペーンも頻繁に開催されていますので、自分に合ったキャンペーンが開催されるタイミングを待つということもあるいは有効かもしれません。
もちろん、待ちぼうけになってしまう可能性も否定はできませんが、適度にホームページを確認しておきたいMVNOであることは間違いありません。
hi-ho LTE typeD
最後は「hi-ho LTE typeD」です。
あまり聞き慣れない名前かもしれませんが、実は非常に便利な特徴をいくつも持っている格安SIMでもあるのです。
具体的には「バースト機能を利用可能」「データ通信容量の翌月持ち越し」「IIJグループの安心できる通信品質」が挙げられます。
シェアプランは「3GB」と「10GB」の2つのプランでそれぞれ3枚までSIMカードを入手することができます。注目したいのは3GBの「アソート」のプランで、税込み1,522円で利用できるというところが魅力です。
この料金は同じ容量のシェアプランの中でもトップクラスの安さを持ち、コスパの良いシェアを実現することができます。
容量は3GBしかないので、どちらかと言えば「一人で複数のデバイスを使用する」という人向けのプランであると言えます。家族で利用する場合には10GBの「ファミリーシェア」が適しているのではないかと思います。
あまり知名度の高いMVNOではありませんが、ユーザー向けのサービスを提供していることは間違いありません。
特に3GBのシェアプランが魅力的であるため、複数のスマートフォンやタブレット端末を一人で利用するユーザーにはオススメの格安SIMであると言えます。
まとめ
複数のSIMカードで同じ契約、同じデータ通信容量を共有するということはメリットもデメリットも存在します。
この点をきちんと理解できていなければ、非常に使い勝手の悪いスマートフォンライフに変貌してしまう可能性もあります。利便性を享受するためにはきちんとした理解を必要とするのです。
シェアプランをどのような理由で必要とするのか、誰がどれくらいのデータ通信を行うのか、それを総合的に判断して格安SIMのプランを決めることが重要です。
それぞれのMVNOで強い部分と弱い部分は異なりますので、自分や家族が必要とするシェアプランの強みを活かせるMVNOおよびプランを見つけて契約するようにしましょう。