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格安SIMによるモバイルWi-Fiルーターを光回線・WiMAXと比較

外出先でWi-Fiスポットを見つけられないと、ノートパソコンやゲーム機などをインターネットに接続することはできません。

しかし、それを可能にするのが、持ち運び可能なWi-Fiスポットである「モバイルWi-Fiルーター」です。これにはSIMカードが必要であり、これを「格安SIM」で利用することもできます。

では、実際に利用するにあたって格安SIMによるモバイルWi-Fiルーターは「光回線」や「WiMAX」と比較してどうなのか?

モバイルWi-Fiルーターを購入しようと思っている方で気になっている方や迷っている方、これから格安SIMモバイルWi-Fiを利用しようと思っている方のために、検証・解説していく記事となります。

どういった人が格安SIM向けであり、もしくは光回線やWiMAX向けなのかということを、それぞれの特徴を比較しながら解説していきたいと思います。

目次

格安SIMによるモバイルWi-Fiルーターを光回線やWiMAXと比較

まず最初に「格安SIMによるモバイルWi-Fiルーター」と、光回線やWiMAXを比較してみましょう。

それぞれのデバイスにおいて「月額料金」「設置方法」「最低利用期間」「通信速度・環境」について解説していきます。

格安SIMによるモバイルWi-Fiルーターの特徴

まずは本命の「モバイルWi-Fiルーター」につい解説していきます。

簡単に特徴を述べると、料金が安くて設置が簡単、最低利用期間が存在しない代わりにデータ通信には難ありの可能性も有る、といったところです。

①月額料金が安い

まず、月額料金は安めに抑えることができます。これは「格安SIMである」ということに加えて「データ専用SIMで十分」ということも料金を安くすることができる理由となります。

SIMカードには「データ通信専用SIM」と「音声通話機能付きSIM」の2種類があります。

基本的に、音声通話機能付きSIMよりもデータ通信専用SIMの方が料金が安く設定されています。

データ通信専用SIMでは音声通話ができない(アプリ等を使えば通話自体はできますが)ので、料金が安いことにも頷けます。

スマートフォンで格安SIMを利用する場合だと、通話のための端末であるため通話機能付きSIMかデータ専用SIMか悩むところもあります。

しかし、通話のためのデバイスではないモバイルWi-Fiルーターは、音声通話機能付きSIMである必要は全く無いのです。

なので、「通話ができない」というデメリット無しで安い料金を享受することができるのです。

②設置がかんたん

次は、設置が簡単という部分です。

というよりも、「モバイル」と名前が付いている以上、これは「持ち運びができる」という意味(モバイル=携帯電話やノート型パソコンでする「移動式」の通信、およびその手段に使う器具。)があります。

設置する必要がそもそもありません。きちんと設定さえできていれば、非常に使いやすく運用することができます。

③最低利用期間がない=違約金/解約金なし

次は、最低利用期間がないという部分です。MVNOの格安SIMは音声通話付きSIMの場合、最低利用期間が設定されていることが多いです。

これは2年の期間が設定されていることが多く、その間の解約には違約金が発生します。

しかし、前述のとおりモバイルWi-Fiルーターはデータ通信SIMで十分です。スマートフォンで利用する場合でも、データ通信SIMの場合は最低利用期間が設定されておらず、期間の縛りがないので気軽に契約することができます。

④データ通信が遅かったり、制限があったりする

最後は、データ通信が遅くなったり、何らかの制限がかかる可能性があるという部分です。無線通信なので、有線通信に比べて通信環境が不安定であり、通信する環境によっては極端に通信速度が低下する場合もあります。

また、SIMカードを高速通信で契約している場合だと、基本的に「◯GB」というデータ制限があります。

これは「1ヶ月◯GBまでなら高速通信できる」という意味で、例えば3GBのプランであれば毎月3GBまでのデータ通信は高速通信になり、それ以上は来月まで低速通信になります。

モバイルWi-Fiルーターの通信速度は、端末の通信速度とSIMカードの通信速度の低いほうが基準となるので、モバイルWi-Fiルーターの通信速度がいくら速くても低速通信の制限を受けている状態ではそちらが上限となります。

WiMAXの特徴

次は「WiMAX」の特徴について解説していきます。

基本的にはモバイルWi-Fiルーターと同じような特徴がありますが、細かい部分では異なりますので注意が必要です。

①キャンペーンなどを利用すれば実質費用を安くできる

まず、料金に関してはそこまで安くはありません。ですが、大手キャリアの通信契約に比べると料金は安くなります。

また、「キャンペーン」を利用することでさらに料金を安くするチャンスが有ります。うまくキャンペーンを利用すれば、それなりの節約効果が期待できるのではないかと思います。

②設置がかんたん

次に、設置が簡単という部分です。これはモバイルWi-Fiルーターと全く同じです。持ち運びができて、通信可能なエリア内であればどこでもインターネットを利用することができます。

③契約に縛りがある(2年)

次は契約の縛りについてです。これは通話機能付きSIMカードと同じように、2年という縛りがあります。

もちろん、2年が経過していない状態でも解約すること自体はできますが、違約金の発生がネックとなります。

④室内やエリアによっては電波が悪くなる

最後は通信環境についてです。通信速度自体はそれなりに速いのですが、やはり無線通信であることネックは無視することができません。

特に「室内」や一部のエリアにおいては電波が悪くなり、利用に支障が出る可能性が高いです。

光回線(固定回線)の特徴

最後は「光回線」の特徴について解説します。自宅でパソコンを使っている人には馴染みの深いものではないかと思います。

先程までは無線通信でしたが、有線通信となるとどのような特徴があるのでしょうか?

①月額料金の相場は4,000円~6,000円

まず、料金に関してはWiMAX以上の金額になることが多いです。

WiMAXと同じようにキャンペーン(キャッシュバック)を利用すれば、実質的な費用を安くすることができます。

しかし、それでも格安SIMやWiMAXよりは料金が高くなる場合が多いです。

②設置工事が必要で、時間がかかったりする

次に、設置工事に関することです。今までは無線通信のための端末なので、持ち歩くことすらできました。

しかし、有線通信となる光回線では自宅に設置工事を行う必要があります。また、業者によっては設置工事にやたらと時間が必要になることもあり、即座に利用するということには弱いです。

③契約に縛りがある

次に、契約の縛りに関する部分です。光回線も期間の縛りが有る契約に分類されるので、期間経過するまでは解約に際して違約金が必要になります。

もし、別の方法でインターネットを利用したいと思っても、解約に際して違約金の支払いや、工事費用の請求もあります。

④通信速度が速く、通信制限もない

ここまでデメリットばかりでしたが、光回線のメリットは「通信速度」と「通信制限のなさ」および「通信環境の安定さ」が挙げられます。

無線通信に比べて回線が無事であるかぎり通信速度は速い水準で安定します。

また、通信量に制限がないので、どれだけ動画を見ようが1日に多くのデータ量を通信しようが低速通信の制限がかけられることはありません。

格安SIMで利用するのに適したモバイルWi-Fiルーターを紹介

では、実際にモバイルWi-Fiルーターを格安SIMで利用する場合に、どのモバイルWi-Fiルーターを購入すれば良いのかということについて解説していきます。

Aterm MR04LN(NEC)

まずは「Aterm MR04LN」です。ネットショップのタイムセールも考慮すれば、2万円前後で購入することができる端末です。

国内で格安SIMとモバイルWi-Fiルーターをセット販売しているMVNOの多くがラインナップに加えている端末であり、docomo系でもau系でも利用することができます。

「デュアルSIM」の端末であり、SIMカードを2枚まで挿入することができます。

また、「ロングライフ機能」を使うことでコンセント繋ぎっぱなしの状態でもバッテリーに対して与える悪影響が少なくなります。

「リモート機能」を利用することで、自宅内で端末を利用するにあたって端末のある場所まで行って起動しなければならないという手間を省くことができます。

機能はスマートフォンから利用することができますが、「Bluetooth」なので長距離では利用することができません。

購入にあたっては「クレードル」も用意することをオススメします。クレードルによって端末への有線接続が可能になり、充電も楽になります。

モバイルWi-Fiルーターの利用がさらに便利になりますので、是非とも用意しておきましょう。

Aterm MR03LN(NEC)

次は「Aterm MR03LN」です。これは上記の「Aterm MR04LN」の旧モデルに当たる端末です。

Aterm MR04LNに比べると料金が3,000円ほど安くなります。ですが、SIMカードのスロット数は1個だけであり、使用できる格安SIMはdocomo系SIMだけに限定されます。

料金以外の部分に関しては、基本的にAterm MR04LNに大きく劣ります。通信速度が向上する「キャリアアグリゲーション」の機能がなく、スリープ機能を使わないと1年ほどで電池を消耗して使えなくなってしまいます。

費用に関しては優れていますが、Aterm MR04LNもセールを狙えば安く購入できるので、あまりオススメではありません。

ですが、劣るとは言っても機能面でそこまで不満や問題が有るわけでもありませんので、使い方によっては十分に働いてくれることでしょう。

docomo Wi-Fi STATION HW-02G(Huawei)

次は「docomo Wi-Fi STATION HW-02G」です。docomo系の格安SIMを利用することができます。UQ mobileやmineoのauプランは利用できませんので注意してください。

docomo Wi-Fi STATION HW-02Gはクレードルによって出力を増幅することができるという特徴があります。通信環境が良い場所であれば、1~2割増しの通信速度で利用することができます。

この端末の充電は、電池を痛ませないという特徴があります。MAXまで充電すると充電が停止され、ある程度減ってくると再び充電するという仕組みを持ちます。

ただし、スリープ機能をオフにしていると電池の消耗が激しく、1年持てば十分なレベルになります。基本的にスリープ機能はオンにした状態で運用することをオススメします。

docomo Wi-Fi STATION L-01G(LG Electronics Japan)

最後は「docomo Wi-Fi STATION L-01G」です。この端末の最大の特徴は「バッテリーの量」です。

大きな充電池が内蔵されており、通常のモバイルWi-Fiルーターの2倍ほど長持ちさせることができます。その代わり、本体の厚さも通常のモバイルWi-Fiルーターに比べて2倍ほどになります。

この特徴は、この端末を「モバイルバッテリー」として活用することができるということを意味します。外出先でスマートフォンの充電が切れてしまったら、この端末を使って充電することができるのです。

また、スリープ状態なしでも電池の消耗を抑えることができます。電池の交換が必要な時期が遅くなるので、コンセント挿しっぱなしでスリープ無しで運用することが可能なのです。

ただし、この端末にはクレードルがありません。そのため、有線接続することができず、常に無線接続で利用しなければなりません。

上記の02Gと同様にau系の格安SIMは利用することができないので、場合によってはネックになる可能性も考えられます。

固定回線の代用に適した格安SIM(MVNO)は?

さて、モバイルWi-Fiルーターを「固定回線の代用」として自宅内で活用するにあたっては、契約する格安SIMの選び方が重要になります。

まず、固定回線の代用として利用するのに適しているMVNOから解説していきます。

DMM mobile

まずは「DMM mobile」です。docomo系の回線なので上記4つの端末のどれでも利用することができます。通信速度もそこそこなので、固定回線として十分に役立ってくれます。

最も魅力的なのは「業界最安値」でありながら「豊富な数のプラン」であるということです。

小さい容量から大容量まで幅広くラインナップされており、自分のモバイルWi-Fiルーターの利用状況に応じたプランを選びやすくなります。

UQ mobile

次は「UQ mobile」です。au系の回線なのでdocomo系のみの端末の場合は利用することができません。

しかし、格安SIMの中でも速い通信速度を持ち、自宅でパソコンを使って大量のデータを送受信するのにも十分な力を発揮してくれます。

DMM mobileとUQ mobileの併用

資金面で余裕が有るのであれば、DMM mobileとUQ mobileを併用するという方法もあります。

前述の「Aterm MR04LN」の場合であれば2枚のSIMカードを挿入することができますので、より役に立ってくれることでしょう。

DMM mobileとUQ mobileはそれぞれに異なる特徴を持ったMVNOですので、場面ごとに通信を利用する際のSIMカードを切り替えることで、より柔軟かつ便利に通信を行うことができます。

通信速度を要求される場合はUQ mobileを利用し、それ以外の部分では通信速度がそこそこでデータ量の幅が広いDMM mobileを利用するという方法が有効です。

DMM mobileはプランの数と幅が多く、固定回線としての利用も踏まえた利用においてもライススタイルに合わせて契約することが可能です。

固定回線の代用には向いていない格安SIMって?

それでは逆に、固定回線の代用としては活躍が見込めない格安SIMはどれなのでしょうか?

OCN モバイル ONE

まずは「OCNモバイルONE」です。シェアが大きく知名度の高いMVNOですが、モバイルWi-Fiルーターを利用するにあたってはどうしても力不足が否めないのです。主な理由は2つあります。

まずは「通信速度が遅い」ということです。パソコンを利用するに当って膨大な量のデータ通信を行う際には、場合によってはストレスとなる可能性があります。

もう一つは「料金が高め」ということです。もちろん、光通信に比べれば安くなるケースが多いですが、他の格安SIMに比べると料金が割高になっています。

ぷららモバイルLTE

もう一つのMVNOは「ぷららモバイルLTE」です。これが適していない最大の理由は「通信速度の遅さ」です。

ぷららモバイルLTEには「定額無制限プラン」というものがあり、データ通信量を気にすること無くMbpsクラスの高速通信を満喫できるというプランになります。

しかし、これは高速通信とは呼べないレベルなのです。

通常、格安SIMでデータ制限なしのプランだと、いいとこ500Mbpsの通信速度になります。ぷららモバイルの場合だとこれが3Mbpsとなり、格段に向上しています。

ですが、高速通信のプランの場合は最大通信速度が100Mbpsを超えるものが一般的であり、これに比べると格段に通信速度が遅いのです。

「複数のパソコン等で使うから無制限プランが良い」「無制限なのに他のMVNOよりも通信速度が速い」と思って契約しても、実際には1Mbpsを下回る通信速度になることでしょう。

1Mbpsを下回るような場合、特にパソコンでのデータ通信に大きな支障が出るものと思われます。

スマートフォン等に使うのであればまだしも、ここでは「固定回線の代わり」としての運用が前提となっています。

最大3Mbpsの通信速度では、自宅の固定回線の代わりとしての運用はまず不可能だと思ったほうが良いでしょう。

まとめ

モバイルWi-Fiルーターは様々な場面、用途で使用することができます。モバイルWi-Fiルーターならではのメリットも多く、ライフスタイルによっては非常に役立つのではないでしょうか。

本気でモバイルWi-Fiルーターの利用を考えているのであれば、「端末」と「MVNO」の選び方には注意しましょう。

これを怠り、適当に値段だけで決めてしまえば、モバイルWi-Fiルーターの魅力は薄れてしまうことになります。

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