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オンラインストレージとは
スマートフォンでは通話が出来るだけではなく、ガラケー以上にデータの保存の必要性が高まっています。音声や動画だけではなく、アプリなどでもそれなりのデータ量が必要になります。
これらのデータ量に関してはパケットにも関わりますが、スマートフォンに保存するとなると「保存領域」も必要になります。
スマートフォンでは「GB」クラスの保存領域を持ちます。写真や音楽ファイルの保存であればそれなりの余裕がありますが、動画のようにデータ量が大きくなりやすいものだと、端末の種類によってはあまり多くの動画を保存することができません。
データ量は購入した端末によって異なり、増設する方法としては「SDカード」が手軽ですが、それにも限度というものがあります。
そこで活用したいものが「オンラインストレージ」もしくは「クラウドストレージ」と呼ばれるサービスです。
これは、インターネット上に個人のデータを保存しておけるサービスであり、インターネットが利用な環境下であればいつでもどこでもデータを読みこんだり、オンライン上に保存することが出来るサービスなのです。
有料・無料とさまざまなサービスが有り、料金によって保存できるデータ量の限度が上昇します。また、無料の場合であってもセキュリティはしっかりとしており、クラウド上に保存したデータが他人に盗み見られるようなことはありません。
基本的に会員登録を行いますが、中には特定のサービスの付帯サービスとしてオンラインストレージを利用できるというものもあります。
格安SIMのデータ移行にオンラインストレージは便利!
オンラインストレージは、単純に「データ保存容量が擬似的に増加する」という特徴をもつだけではありません。
これを上手く活用する方法はいくらでもありますが、格安SIMに乗り換える際に端末を買い換える場合、旧端末から新端末への各種データの移行にも活用することができます。
端末を買い換えるということは、古い方の端末に入っているデータは新しい端末では使えないということになります。
もちろん、データを「引っ越し」させる、つまり旧端末から新端末にデータを移行することによって、旧端末内のデータを新端末でも使用することができます。
しかし、一度にデータを移行できる量は限られており、膨大なデータ量だと相当な時間が必要になります。その間、どちらの端末も使用が制限されてしまいますし、数回に分けて転送していたらそれはそれで面倒なことになります。
そこで、あらかじめ旧端末からオンラインストレージにデータをコピーしておき、新端末からオンラインストレージにアクセスしてデータのダウンロードを行うという方法があります。
この場合であれば、前もって必要なデータの移行を行っておくことで、好きなタイミングでオンラインストレージから新端末にデータを移行することが可能です。
また、端末の種類が異なっていても、パソコンにデータを移せる端末であればオンラインストレージ経由で新端末にデータを移すことができます。
具体的にが「ガラケー」からの乗り換えのケースで、SDカードでパソコンにデータを移し、パソコンからオンラインストレージにアクセスすることでガラケー内のデータを移行することができます。
このように、新端末への直接のデータ転送方法が無い場合でも、オンラインストレージを経由することでストレスなくデータの移行が出来るという点は大きなメリットとなります。
オンラインストレージにアクセスできる端末を経由できるデータであれば、基本的にどのようなものでも新しい端末にデータを移すことができます。
オンラインストレージサービスを一部紹介
では、実際に現在使われているオンラインストレージの一部について、どのようなサービスであるかということを紹介してきます。
Dropbox
まずは「Dropbox」です。これは、オンラインストレージの代名詞とも呼べる、大変に知名度の高いオンラインストレージサービスです。
無料での利用は2GBと非常に頼りないデータ容量となっていますが、有料プランであれば1TB(=1000GB)もの大容量を好きに使うことができます。
専用のフォルダにデータを移すだけで、自動的に同期が行われます。シンプルでありながら、30日間のバックアップ機能があるなど、非常に使い勝手の良いオンラインストレージとなっています。
無料ユーザーの場合、2GBという容量を上手く活用する必要もありますが、動画などのデータ量が膨大になりやすいデータを運用するのでなければ、2GBでも十分に活用できるのではないかと思います。
Google ドライブ
次に「Googleドライブ」です。ご存知Googleの提供するオンラインストレージサービスであり、大手企業という安心感と、Googleが提供している他のサービスとの連携も無視できません。
また、既にメールなどでGoogleアカウントを取得している場合、一から登録することなくすぐに使えるという利便性もあります。
また、容量に関しても魅力的です。無料でも15GBまで使えますし、料金プランも豊富です。最大で30TBという、膨大な量のデータをやり取りすることができます。その特性上、ビジネスにおいてもおおいに活躍してくれることでしょう。
Microsoft OneDrive
最後に「Microsoft OneDrive」です。省略して「OneDrive」と表現することもあります。WindowsのOSに標準でインストールされているため、すぐに利用することができます。
Microsoftというだけあって、オフィス系のツール(ワードやエクセルなど)との連携において真価を発揮してくれます。
容量は、無料でも5GBまでなら利用することができます。料金プランが一新され、50GBと1TBのプランだけになっています。
ですが、前述のとおり文書系のツールとの連携を考えているのであれば、そこまで大きな容量は必要ではありません。
ビジネスでも活用することができますし、プライベートよりもビジネス面での見方の方が適切なのではないかと思います。
格安SIMのデータ移行にDropboxを利用した例
それでは、実際に格安SIMに乗り換える際に、Dropboxを利用してデータの移行を行う際の大まかな流れについて解説していきます。
①対応OSを確認
まず、Dropboxに対応している「OS」について確認しておきます。対応していないOSの場合、Dropbox以外の方法でデータの移行を行う必要があります。
もし、OSを確認する前にDropboxの利用を検討している場合、念の為に無料プランで利用するようにしましょう。対応していないOSなのに有料プランを利用すると、お金が無駄になってしまいます。
②パソコンまたはスマートフォンにDropboxをセットアップ
本格的にデータの移行手続きを行う前に、まずはパソコンか別のスマートフォンにDropboxを設定し、いつでも使えるようにしておきます。
直前だと何らかのトラブルが発生する可能性がありますので、可能な限り早めに済ませておくことをおすすめします。
③データを移行(電話帳/写真/動画/メール等)
では、準備が整ったらDropboxを使って新端末へデータの移行を行います。その際、移行元のデバイスと、移行するデータによって細かい作業が異なります。
まずは「iPhoneからスマートフォンへ」という場合です。基本的に、旧端末からDropboxに必要なデータを移し、新端末からDropboxにアクセスしてデータのダウンロードを行います。
iPhoneからiPhoneへの移行の場合、Dropbox以外にも幾つかの方法がありますので、Dropboxで上手くいかなかった場合にはそちらも試してみると良いでしょう。
次に「Androidからスマートフォンへ」という場合です。これも基本的にはDropboxにデータを移して、それを新端末にダウンロードするという方法をとります。
しかし、データ移行の際に不具合が生じる可能性もあり、移すデータやOS、端末の種類によって面倒さを感じる場合もあります。
そこでおすすめなのが「JSバックアップ」というアプリです。これを利用することで、アプリをインストールした端末間で簡単にデータの移行が可能になります。
最後に「携帯電話(ガラケー)からスマートフォンへ」というパターンについて解説します。この場合だと、どのようなデータを移行するにしても、ガラケー→Dropbox→スマートフォンという経路は使えません。
ガラケーからDropboxへの経路が利用できませんので、別の方法でDropboxにデータを移行する必要があります。
その具体的な方法としては「ガラケー→SDカード→パソコン→Dropbox」という経路を通り、Dropboxからスマートフォンにデータを移行します。
オンラインストレージサービスの注意点
オンラインストレージサービスは、擬似的にデータ保存容量が増加し、かつサービスを媒介としてデバイス間のデータのやり取りも簡単になります。
しかし、利便性がある分だけ注意しなければならないポイントも少なくありません。オンラインストレージサービスを利用するにあたって注意しなければならないポイントについて解説します。
スマートフォンのテザリングでのデータ移行は極力控えたほうがいい
まず、スマートフォンで「テザリング」を利用する際の注意点です。テザリングは、スマートフォンを親機として、パソコンやゲーム機などの子機でインターネットを利用する機能です。
子機となるデバイスがインターネットに接続できない状況でも、スマートフォンを媒介とすることでオンラインストレージサービスも利用することができます。
しかし、問題となるのは「スマートフォンのデータ通信量」です。スマートフォンを高速通信のプランで契約している場合、毎月決まったデータ量までしか高速通信することができません。
テザリング中のデータ通信も、親機となるスマートフォンの通信料として上乗せされますので、テザリングに際してパソコンや別のスマートフォンのデータをオンラインストレージに転送するとなると、膨大なデータ通信量が親機の契約に関わることになります。
そのため、テザリングでオンラインストレージサービスを利用することは控えることと、「同期」している場合にはこれを解除して、自動的に通信が行われないようにしておきましょう。
ちょっとした操作だから、と高をくくっていると、意外と大きなデータ通信量に驚かされることになるかもしれません。
他のユーザーと共有する場合は、信頼できる人に限定する
次に、オンラインストレージを利用する際に「共有」を行う場合、共有する相手を限定するということです。
これは、そのデータを利用することに関して信用することの出来る相手にのみ共有するような仕組みにしなければ、データの流出や悪影響をおよぼす可能性があることを危惧してのことです。
共有することが出来るということは、それだけ利便性が高まるということになります。しかし、同時に「そのデータを利用することが出来る人数が増加する」「自分以外の人間にデータを利用される可能性がある」という危惧もあります。
仕事やサークルで同じ所属の人間とデータを共有することで、連絡の手間を省いたり活動の幅が広がったりすることも考えられはします。ですが、リスクの面についても決して無視することはできません。
リスクを減らす方法としては「共有する人を限定する」ということです。
それも、情報を他人にもらさない、デバイスのセキュリティをしっかりとしている人に限定することで、オンラインストレージ内のデータを悪用されたり第三者に知られたりすることがなくなります。
共有は利便性の高い行為ではありますが、同時にリスクも含まれていることをきちんと理解して共有相手を選ぶようにしましょう。
セキュリティの不安について
次に、「セキュリティ」に関する問題点です。前述のとおり、無料プランで利用している場合でも十分なセキュリティが用意されており、相応の安心感があります。
しかし、セキュリティは常に万全であるとも言い切れません。守る事ができるのであれば「破る」ことも理論上は不可能ではありません。
ネット上のこうした被害が消えないことは、現状のセキュリティを突破することが出来るようにプログラムされたウイルスや、ハッカーの存在が挙げられます。
セキュリティは「従来の脅威」に対しては大きな守りとなりますが、将来的なリスクに対してはそうとも言えません。
もちろん、運営会社が存続している限り、セキュリティ面も強化されつつあります。ですが、常に外からの脅威に対してうわまラルだけのセキュリティが維持されているとも限りません。
とは言っても、実のところこれはインターネットに接続している全てのパソコンやスマートフォンにも同じことが言えます。
きちんとセキュリティソフトをインストールすることなく怪しいリンクをクリックしたりダウンロードすれば、ウイルスの脅威にさらされることになります。
オンラインストレージにデータを保存することが「常にウイルスやハッカーの脅威に晒される」ということは正しくはなく、その条件は個人のデバイスにも該当します。
つまり、完全な安全こそ確保できるわけではありませんが、個人のデバイスにデータを保存している状況とリスクの大きさはほとんど変わらないということです。
よほど失うわけにはいかないデータであれば、SDカードやパソコン経由で外付けのハードディスクにでも保存しておけば良いだけのことです。
もしサービスを提供する会社が倒産した場合は・・・
最後に、運営会社が倒産した場合のリスクに関してです。これに関してははっきりとしたことは言えませんが、サービスを提供している会社に何かあれば、該当するサービスの運営にも少なからず悪影響が出るものと推測されます。
倒産したとなれば、サービスの継続的な運営は不可能であることも推測できます。
ただし、オンライン上に保存しているデータの処遇に関してはなんとも言えません。
即座に引き出せなくなるのか、それとも一定期間中はデータの引き出しだけはできて、期間経過後に完全にサービスが停止するか、その点に関してはサービスごとに異なるのではないかと思います。
こういったリスクがあるので、「オンラインストレージにあずけておけば安心」ということは絶対ではありません。
ですが、だからと言ってオンラインストレージが欠陥のあるサービスで危険であるとも言えません。実際にオンラインストレージを利用することでさまざまな利点を享受することができていることも事実です。
重要な事は「ストレージ上にもデータを保存しておく」ことです。例えば、スマートフォンのデータをオンラインストレージに移しておき、そこからパソコンにデータをダウンロードしておき、保存するという方法です。
パソコンであれば安価でありながら大量のデータを保存する方法があり、パソコン本体のハードディスクでも良いですし、外付けのハードディスクでも構いません。
ストレージにも保存しておけば、利用しているオンラインストレージが利用できなくなっても、データの移行に困ることはありません。
別のオンラインストレージを経由すれば簡単にデータをもとに戻すことができます。あくまでも「リスクが有る」ということだけきちんと覚えておけば、健全かつ安全な利用方法が見つかります。
