不動産を買い替える時には、今住んでいる不動産の売却をいつ行うか迷う方も多いと思います。
新しい家を購入する前に売る事を「先売り」と言い、新しい家を購入してから購入する事を「後売り」と言います。
先売りか後売りか?
先売りか後売りのどちらが良いかという点に関しては、人それぞれ事情が違うので一概には言えません。
ただ、後売りの方が良い場合が多いです。特に今の家のローンが残っている場合には、尚更後売りの方が良いです。
不動産を買い替える時には不動産会社に今の家の売却を依頼します。
不動産の売却の流れは、査定・媒介契約・売却活動・契約・引渡と、売却完了まで時間がかかります。
査定から引渡までは平均で半年程度もかかります。
そのため、先売りでも後売りでも、このスケジュール感を認識しつつ、新しい家に住み替えるタイミングも計算しなくてはいけません。
後売りとは?
冒頭で言った通り、後売りとは新しい家を購入(契約)した後に今の家を売る事を言います。
後売りにもリスクがあり、それぞれメリット・デメリットがあります。
後売りのリスクとは?
後売りのリスクは、今の家が売れなかった時に、新しい家と今の家の両方の費用負担が発生するという事です。
仮に今の家もローンが残っていて、新しい家もローンを組んで購入するとします。
そうなると、両方のローン負担が発生し、マンションだと更に両方の管理費・修繕積立金などのランニングコストも発生します。
万が一、今の家が1年間売れなければ、その1年間はずっとダブルローンを抱えたままの状態になるので、経済的にかなり厳しくなってしまいます。
物件を後売りする際のリスクは、この費用負担が最大のリスクになります。
停止条件付契約を結ぶ
後売りのメリット・デメリットの話の前に「停止条件付契約」の話をします。
停止条件付契約とは、新しい家を契約する時に「今の家が○月○日までに売れなければ(新しい家の)契約を白紙解約します」という条件付の契約の事です。
この契約を結ぶことが出来れば、前項で話したダブルローンのリスクも解消されます。
逆に言うと、経済的によほど余裕がある場合以外は、後売りの選択した時に停止条件付契約を結ばないとリスクが大きいです。
そのため、不動産を買い替える時には、まず後売り停止条件付契約を前提に考える事をお勧めします。
後売りのメリット
- 新しい家で「良い物件」があった時だけ売却手続きに入る
- 比較的慎重に新しい家を選ぶことが出来る
- 仮住まいのリスクが小さい
基本的には新しい家を買う時には、新築であればモデルルーム巡りをして、中古であれば実際の家を見に行きます。その上で金額交渉や引渡時期の交渉などをしてから、契約、引渡という流れです。
家に対する条件は皆厳しい点も多いので、自分の条件に合った家が見つかるかどうかは分かりません。
また、見つかったとしても、長期間家を探した後にやっと見つかるというパターンも少なくありません。
後売りですと、自分の条件に合った家をゆっくり選んで、条件に合った家が見つかった時だけ今の家の売却手続きに入れば良いのです。
つまり、今の家に住み続ける選択肢もありますし、理想の家が見つかれば買い替えれば良いですし、賃貸を探すという別の選択肢も増えます。
このように、良い物件があった時だけ売却手続きに入れる点と、そもそも「今の家」という拠点があるので、別の場所に仮住まいするリスクも小さいという点がメリットになります。
後売りのデメリット
- スケジュールに縛られる事が多い
- ダブルローンのリスクがある(停止条件付契約を結べない場合)
- 新しい家のローン審査厳しくなる(停止条件付契約を結べない場合)
- (停止条件付契約を結べても)白紙解約になったら時は労力だけ無駄になる
後売りのデメリットは停止条件付契約を結べるかどうかによって異なります。
停止条件付契約を結べない場合には、上述した「ダブルローンのリスク」の他に金融機関のローン審査が厳しくなるというリスクが増えます。
新しい家のローンを組む時には、今抱えているローン(住宅だけでなく車なども全て)も加味して計算されます。
つまり、今の家のローンが2,000万円残っている場合には、そのローン残債も踏まえ金融機関は新しい家のローン審査をするのです。
そのため、新しい家のローン審査が厳しくなり、借入期間の短縮や借入額の減少、最悪の場合はローン審査否決という状況にもなりかねません。
また、停止条件付契約を結べたとしても、「スケジュールに縛られる」「解約の場合は労力だけ浪費する」というデメリットがあります。
例えば、今の家を「3か月後の5月10日までに売れなければ(新しい家の契約を)白紙解約します。」という契約で新しい家を購入したとします。そうなると、今の家を5月10日までに売るためのスケジュールを組まざるを得ません。
例えば、今の家の販売を開始して2か月後に来訪した見学者が「2,600万円であれば購入する」と言っていたとします。
仮にこの物件を2,700万円で売りたいと思っていても、「停止条件付契約の期限も後1ヵ月だから2,600万円で売ってしまおう」という考えになるかもしれません。
勿論、その申し出を断って新しいお客さんを待っても良いのですが、期限が決まっているために、どうしても売却時に焦りが生じてしまうのです。
また、期限内に売れなければ、新しい家を探す時の手間も今の家を売る時の手間も全てが無駄になってしまいます。
先売りとは?
先売りとは新しい家を購入(契約)する前に今の家を売る事を言います。前項の「後売り」の時と同様、先売りにもそれぞれメリット・デメリットがあります。
先売りのメリット
- ローン審査が通りやすい
- スケジュールに縛られずに売却できる
- ダブルローンになるリスクがない
先売りの場合には、既に今の家を売却した後に新しい家を購入します。そのため、新しい家のローン審査は既存ローンがないため、後売りの時よりも通りやすいです。
先売りは、次に住むところが決まっていないため、逆に早期売却する必要がありません。
つまり、無理な値引き交渉に応じたり、売却を必要以上に早めたりする必要がないので、相場価格並みの金額で売りやすいです。
また、新しい家のローンとダブルで支払う必要もなくなるので、住宅に関する費用負担がダブルになることはない点もメリットと言えます。
先売りのデメリット
- 仮住まいになる可能性が高い
- 仮住まいが本住まいにある可能性もある
- 引越し費用や手間が大きい
先売りのデメリットは「仮住まい」が大きな影響を及ぼします。今の家を先に売るということは、新しい家が見つかるまで、どこか別の場所に住む必要があります。
仮に、新しい家がすぐ見つかり数週間程度で引越しできるのであれば、一時的に実家に帰るなりの対策は可能です。
しかし、大抵の場合は、数か月~場合によって1年以上の期間が空く事もあるので、新たに賃貸マンションを借りて住む必要があります。
そうなると、もし新しい家が見つからなければその家に暫く住み続ける事になります。
また、仮に新しい家が見つかったとしても、その度に引越しや役所への手続きが必要になるので、費用も費用も掛かるのです。
先売りのデメリットは、このように仮住まいが発生することによる、費用負担と手間になります。
まとめ
このように、不動産を買い替えした時に今の家を売却するタイミングは2通りあります。
それぞれメリット・デメリットがはっきりと違いますので、自分の状況に合った方を選択しましょう。
後売り・先売りのいずれを選ぶにしろ、買い替えたいと思った時にはすぐに査定をする事をお勧めします。
そうすれば、おおよその売却金額も分かりますし、売却時にかかる費用も分かります。
その費用が分かれば、自分の資産状況も計算できるので、新しい家の予算決めなどもスムーズに行う事が出来ます。