不動産を売却する時には、売却前にリフォームをするという売り方もあります。
しかし、リフォームした方が高く売れる場合は、その物件の価格設定や建物状況によっても異なってきます。
そのため、価格設定や建物状況、他にも競合物件の状況などを見極めた上で、リフォームするべきかの判断はするべきです。
リフォーム費用を考えることが大切
まずは、そもそも住宅をリフォームした時には、どの程度の費用が掛かるのかを把握しておく必要があります。
リフォーム金額の目安が分からないと、リフォーム後の方が高く売れるかの判断ができません。
リフォーム費用の目安
リフォーム費用はリフォーム会社や、導入する設備によって大きく変わります。
そのため、下記のリフォーム金額は目安として認識ください。実際には、複数のリフォーム会社に見積もりを依頼してから、品質と照らし合わせて判断することをお勧めします。
- キッチン周り全面リフォーム(シンクやコンロ、収納板全て):80万円~150万円
- 浴室の全面リフォーム(バスタブ、シャワーヘッドなど):50万円~100万円
- トイレを最新機器に入れ替え:30万円~50万円
- フローリングの張替費用(6畳):10万円前後
- クロスの張替費用(6畳の部屋全面クロス):3万円~5万円
代表的なリフォームの金額は、おおよそ上記のような金額になります。
水周りはほぼ全面リフォームの金額ですので、一部分に範囲を抑えればリフォーム金額はもっと抑えられます。
物件価格を考える
単純に、前項で算出したリフォーム費用を物件価格に上乗せした金額で売却できるかを考えなくてはいけません。
そのため、元々の売却金額が相場価格と比べて、どの程度の価格で設定しているのかを考える必要があります。
物件の売り出し価格を決める時には、相場価格から「査定価格(恐らく売れるであろう価格)」を導き出します。
その後に、中古物件は値引き交渉が多いので、値引きをされる前提で査定価格よりも少し高い金額で売り出す場合が多いです。
しかし、その売り出し価格は、時間が多少掛かっても良いので利益を出して売りたいのか、利益は出なくても良いから早く売りたいのかによって変わってきます。
そのため、前者の「時間が掛かっても良いから高く売りたい場合」には、査定価格3,200万円程度であれば3,680万円などで売り出している場合があります。
この状況の時にリフォーム金額を載せてしまうと、元々高い金額で売り出しているので、売却はかなり厳しい状況になってしまいます。
逆に、後者の「時間を早めたい場合」にも、物件価格にリフォーム費用を乗せると売り出し価格が上がり集客が鈍る可能性があります。
そうなると、「早く売る」という最大の目的が達成できないので避けた方が良いです。
つまり、基本的には一般的な売り出し価格の時にリフォームをした方が効果的です。
一般的な価格とは、目安として査定価格に5%程度上乗せした売り出し価格、3,200万円が査定額であれば3,380万円程度で売り出そうと考えている時です。
どんな物件がリフォーム後の売却に適しているか
中古物件を検討している方で、並行して新築物件も検討している方は多いです。
特に、売却しようと思っている物件の近くに新築物件が分譲されていたら、新築マンションを並行して検討している人は更に多くなります。
新築物件は綺麗なモデルルームで案内している事が多いので、中古物件を見学した後は品質に対するネックが浮上しがちです。
例えば、フローリングやクロスなどをはじめとした部屋の劣化具合もそうですし、設備・仕様が旧式である点。
それに、共用部分である外壁や外部廊下などの劣化具合をネックにする方もいます。
このようなネックの中で、自分ではどうしようもない「共用部分」に関してのネックが強い場合にはリフォームをしても、あまり効果が出ません。
むしろ物件価格が高くなってしまうネックの方が強くなってしまいます。
しかし、専有部分のネックが多そうである場合には、リフォームする価値はあります。
リフォームをすれば、見た目も性能も新築同様までグレードが上がりますし、新築より物件価格が安い分、お得感が出るからです。
劣化が激しい物件
また、劣化が激しい物件もリフォームした方が良いです。劣化が激しいかどうかの判断は不動産会社の査定額で判断できます。
査定は、周辺の成約事例を基に機械的に査定額を算出する「机上査定」と、実際に部屋を見てから査定額を補正する「実査定(訪問査定)」の2種類があります。
大抵の場合は机上査定から実査定の査定額はあまりブレません。
しかし、机上査定から実査定額が1%程度下がった場合で、尚且つ理由が「予想より劣化が激しかった」という理由であればリフォームをした方が良いです。
1%査定額が下がるという事は数十万円査定額が下がっているという事です。
水周りなどの全面リフォームをしてしまうと100万円単位でリフォーム代が掛かってきますが、部分的にリフォームを行えば、リフォーム代は数十万円に抑える事も出来ます。
そのため、査定額が下がった分を取り戻す事が出来るという事です。
そもそも、「劣化している」という理由だけで査定額が下がっているので、それを改善すれば下がった査定額分は最低限取り戻せます。
まとめ
このようにリフォームをする事で、全ての物件が高く売れるようになるワケではありません。
リフォームをして物件価格が上がる事で、集客が鈍るという大きなネックが発生することも忘れてはいけないという事です。
そのため、リフォームするべきかどうかは、そもそも売り出し価格の設定がいくらにしているか。
また、競合物件に新築物件はどの程度あり、自分の物件の劣化具合を不動産会社はどう判断しているのか。
この辺りの事を的確に把握する事が、リフォームした方が高く売れるかどうかは大切になってきます。