確定申告は代理できる?代理を立てて確定申告する場合の注意点

確定申告をしなければならないことは理解しているが、実際に税務署に出向く時間がない、という人もいるのではないでしょうか。

特に2月から3月という年度末の忙しい時期に、平日の昼間しかやっていない役所に本来の業務を置いて確定申告のためだけに出掛けるというのはそれなりに負担になるのも無理はありません。

一部の税務署では確定申告の時期に土日の申告書受付をしているところもありますが、それも全てではありません。

また、税務署開庁時間外に箱に投函する方式の申告もありますが、後日内容の照会などで結局出頭させられるおそれもあります。

 では、誰か家族など自分以外の人を代理人に立てて税務署に行ってもらうという方法はとれないのか、もしできるとすればどんなことに気をつけなくてはならないのか考えてみましょう。

確定申告ができるのは原則として本人か税理士だけ

基本的に確定申告ができるのは本人、もしくは税理士資格を持つ者だけということ

になります。これに違反して無資格者が代理で確定申告を行えば、税理士法違反として処罰される可能性もあります。

無資格者が代理する、というのはあまり想像がつかないかも知れませんが、実際に資格を持たない「ニセ税理士」というのは存在しますので、安易にそのような人に引っかかり、依頼してしまわないように気をつけなくてはなりません。

もちろん、最初から何の脈絡もなく「確定申告代理します」という営業をしてきたら信用できないでしょうが、実際に摘発されている例では次のようなものがあります。

もちろんこういったケースはいずれも税理士法違反であることを理解しておきたいものです。

先代は資格を持っていたが、息子が無資格のままで営業している

親が税理士として開業しており、それなりの顧客数を持っていた事務所に時々見受けられます。

高齢等でもう実質的に業務ができない、また死亡しているにもかかわらず、試験に合格できない息子が実務をわかっているためにそのままなし崩しで業務を続けているというものです。

これは、周囲の人が息子も資格を持っていると思い込んでいたためにまかり通ってしまっていることがある事例です。

税理士事務所の元補助者が他人の確定申告を引き受けてしまう

税理士に限らず、士業の事務所においては数年在籍すると日常業務を支障なく行えるレベルまで実務能力が向上します。

それほどイレギュラーな業務でなければ資格がなくてもできるくらいになってしまうのです。

最初は知人の確定申告を引き受ける程度だったのが、その知人から紹介を受けたり、お金をもらえることに味をしめて数が増えていってしまったという例もあります。

なまじ知識があるために依頼者側も最初から先生と呼んでおり、「まさか資格がない人だとは思わなかった」ということもよくあります。

税理士以外が「代理」できる範囲を知っておこう

では、いかなる場合でも自分か税理士が出向かなければならないのかというと、現実的にそれは無理でしょう。

つまり、「本人を代理して無資格者が確定申告書を作成することは税理士法違反のためできない」のですが、本人が家で作成した確定申告書を「代筆する、代理提出しに行く」という形であれば許されるのです。

この場合の代理人には特に資格などは必要ありません。

「代理」という言葉は税務署では危険な言葉

上記のように、「税理士資格がない者が申告書の作成を代理することはできない」わけですから、もし本人が確定申告に行けないからといって税務署に行って下手に「代理で申告します」と告げることは税理士法違反をおかしていると誤解されるため危険なことといえるでしょう。

あくまでも「本人が作成した確定申告書を代わりに提出しに来ました」という形にしなければならないのです。

その場合には確定申告書に本人の押印がされていることが必要です。

代理をお願いする人によって提出準備が変わる

代理で申告書の「提出」を行う場合には「誰にお願いするのか」というのもスムー

ズに行くかどうかを決める大切なポイントです。事情がまったくわからない人に頼んでも結局また出直すようなことになればあまり意味がないからです。

配偶者や親族であればスマートに手続きできる

配偶者や親族など、特に「何親等」以内でなければできないという規制はないので、時間的に行けそうな親族にお願いすることができます。

 ただ、やはり配偶者や子供など同居の親族に頼む方がより状況としては自然ですから、税務署もそれらの人達に対しては代理を頼むに至った理由をそこまで追及することもないでしょう。

ただ念のため、運転免許証などの本人確認書類を準備しておく方がよいでしょう。

親族でない場合には証明書が必要になるケースが多い

親族以外の友人、知人に頼む場合は注意が必要です。これらの人が提出する場合、

本人から頼まれた代理人であるということを何らかの形で証明させられる可能性が高くなります。

 この書面による証明書とは「所得税申告・申請等事務代理人届出書」と呼ばれるものです。

委任状の代わりにつけるものと考えればよいでしょう。

フォーマットは国税庁のホームページからダウンロードすることができますので、ここに必要事項を記入して提出します。

 気をつけなければならないのは、これを提出して代理提出する「代理人」はあくまで個人だということです。

もし「法人」がこれを引き受けてしまうとやはり業として確定申告を代理していると解釈され、違法行為と疑われることがありますので注意しましょう。

代理を頼む場合に親族を選ぶことのメリット

代理費用が不要になる

上記のように代理人を頼む際には親族であれば比較的簡単だといえますが、実質的な部分を考えても税理士よりむしろ家族に代理してもらう方がメリットがある場合もあります。

 そもそも税理士に頼むと当然それなりに確定申告報酬がかかりますので、家族に頼む場合はそれがカットできるのが最大のメリットです。

税理士の報酬がどのくらいかというのは事業規模によって全く異なりますが、年商1,000万円以下くらいの中小企業であれば仕訳、申告を両方頼んだら10万円から20万円程度が相場です。

普段の帳簿作成、仕訳を飛ばして申告だけを頼めばもう少し安く上がるのですが、普段から顧問契約をしていないのに確定申告時期に突然やってくる顧客というのは税理士から見れば迷惑な話です。

たいした利益にもならない上に業務が増えるだけということで嫌がられることも少なくありません。また、本当に申告ぎりぎりに頼むと実際に断られる例もあるようです。

ですから、もし税理士が介入しなくてもすむ程度の小規模な事業であり、経理が複雑でない場合は家族が代理する方が合理的です。

ただし、確定申告の準備が大変で本業に影響が出るくらいなら費用を払って依頼し、その分を本業に専念した方がよいこともありますからあくまでケースバイケースで判断していかなくてはなりません。

旦那さんよりも奥さんのほうが経理に詳しい場合が多い

親族に頼むことにメリットがある理由としては、特に小規模な企業では「日常的に社長の妻が経理をしている」パターンが非常に多いことです。

このような場合は、税理士よりもむしろ妻の方が事情に精通しているといえ、申告内容について税務署から問い合わせがあった際にもより迅速に対応できる可能性が高いのです。

そもそも他人に自分の収入を知らせるものではない

「税務に詳しい知人がいるから」「〇〇さんは税理士事務所に勤めていたから」などという理由で簡単に他人に確定申告書作成の補助や提出をお願いしてしまう人もい

るのですが、これは危険な行為です。他人に確定申告書を渡すということは自分の財布や預金通帳の中身を開けて見せることと変わりありません。

そして、税理士のように堂々と報酬を渡すことができませんから、無償だったり、ちょっとした気持ち程度のお礼になってしまうこともあり、頼まれた方としてはもしかしたら負担になっていたり、不快感を感じているかもしれません。

 ですから、確定申告はあくまで事業者としての自分の義務であり、自社の「最高機密」に関する手続なのだという自覚を持って、生計を一つにする家族か税理士のどちらかに頼むという心構えを持ちたいものです。

特にまだ法人化していない「個人事業主」の場合、法人よりも圧倒的に確定申告が楽です。

いずれ法人成りすることを考えるにしても、確定申告を通じて自分の会社のお金の流れを社長と家族で知り、経営状態を把握するということは今後の会社のことを考えても非常に大切なことなのです。

この記事を書いたユーザー

kumi
元証券会社勤務で現在は3人の子供を育てながらライターとして活動中。nanairoでは主に、お金・節約術に関する記事を執筆しています。 kumiの記事一覧

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