料金や速度ではなく、MVNOとしての「理念」から格安SIMを考える!

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現在、スマートフォンを利用するための契約は、かつてのように大手キャリアと呼ばれる有名な通信事業者との契約にとどまらず、数多くのMVNOから選ぶことができる「格安SIM」というものがシェアを広げつつあります。

その名称の由来でもある「料金の安さ」だけでなく、MVNOごとに異なる「通信速度」もまた、契約するMVNOを選ぶ際の比較対象となりえます。

 

しかし、料金の安さや通信速度の早さだけが、MVNOの評価を決定づけるものなのでしょうか。

その2つだけ見ておけば、最善の契約先を選ぶことが本当に可能なのでしょうか。

実は、それ意外にもMVNOごとの「理念」あるいは「ポリシー」と呼ぶべき存在が、MVNOの選択基準のひとつになるのではないかと、常々思うのです。

そこで、「理念からMVNOを考える」ということについてお話していきたいと思います。

格安SIM選びの判断材料は料金や通信速度だけではない

「選択肢がある」ということは、単純にそれを利用する者にとっては、選択の幅が広がるというメリットとともに、「自分にとって最適な一つを選ぶ必要性」というものが生まれてきます。

仮に、選択肢がない場合であれば、多少なり何らかの不満を感じても「仕方がない」と考えることでしょう。

ですが、いくつかの選択肢から自由に選べる立場にあると、選んだ選択肢に不満があれば「あっちにしておけばよかったな」と後悔することになるのです。

 

なので、選択肢がある場合は、先に「比較」をする必要があります。

例えば、3種類の比較基準があるとして、それを総合的に見たり、あるいは特定の基準が高いものを選ぶなど、時間がかかることもありますが、後になって後悔しないための選択をするための指標を導き出すことができます。

昨今、その際には「比較サイト」などを利用することで、情報収集に掛かる時間が極端に少なくなり、短時間で比較を完了させることができます。

 

では、格安SIMを選ぶ上ではどんな基準があるのかと言えば、多くの場合は「料金」や「通信速度」がその対象となるのではないかと思います。

いかに安く、いかに通信速度の早いMVNOを選ぶことができるのか、これらの情報は「数値化できる」という特徴があるので、比較も容易であると考えます。

 

ですが、これらの情報だけでMVNOを選んでもよいのかと言えば、その限りではありません。

例えば「料金の安さ」ですが、これはそもそも比較対象が格安SIMだけであれば、そこまで大きな比較基準とはならないのです。

なぜなら基本的にどのMVNOも「格安」だからです。同じ水準のプラン同士で比較したところで、多くても数百円程度の違いです。

大手キャリアと比較してみると膨大な金額になることもありますが、MVNO同士で比較したときの差はそれとは比べ物にならないくらい小さなことです。

 

もう一つの「通信速度」に関しては。これは「一時の評価」に過ぎないのです。

通信速度というものは、永久不変のものではなく、時間の経過とともに大きく変化することも考えられます。

通信サービスの品質の重要なポイントである「通信速度」を比較することは、極めて重要な事で、個人的にも「料金」で比べるくらいなら通信速度を重視してほしいと考えています。

ですが、それだけでは本当に足りないのです。

MVNOとしての「理念」から格安SIMを見てみよう!

通信速度を重視してMVNOを選ぶということは、非常に正しい判断であると言えます。

ですが、「本当の意味で通信速度を考慮する」というのであれば、もう一つ気にしておかなければならないことがあるのです。それは「企業の理念」です。

 

理念というものは目に見えるものではなく、非常に曖昧な存在であると言えます。

これをどう定義するのか、ここでは「企業が、ユーザーに対してどのように考えているのか」というとわかりやすいでしょうか。

要するに、その企業がユーザーに関するアクションを起こす時、どういった考え方を基本として行動するのかということです。

 

例えば、「ユーザーの利益になるけれど、時間とお金がかかる」という何らかのアクションがあるとします。

ユーザーの利益にはなりますが、その対価として時間もお金もかかるという、企業にとって選択が分かれる部分です。

こういった場合に、企業がどのような決断を下すのか、その基本となるのが「理念」なのです。

 

もし、ユーザーのことを全く気にしない企業であれば、ユーザーのことなどどうでも良いので、わざわざ時間もお金もかけることはありません。

逆に、ユーザー第一に考えている企業であれば、いくら時間とお金がかかっても、ユーザーにとって利益になるように行動することでしょう。

 

格安SIMにおける「ユーザーの利益」というものは、料金の安さもそうですが「通信品質の向上・維持」がそれに該当します。

つまり、ユーザーを考えない理念の場合であれば、通信品質が低下しても放置することが多く、ユーザー第一の理念であれば即座に通信環境を改善し、問題を解決しようと行動します。

 

例えば、「旅行」などのサービスは、旅行の日程が終われば、基本的にサービスの提供は完了します。

もし、その企業の理念が最悪だったとしても、二度とその企業を利用しなければ良いだけの話です。

食べ物などもそう、とにかく「サービス・対価の提供が一時的なもの」であれば、理念が悪くてもそこまで継続的にデメリットを感じることはありません。

食べたぶどうが酸っぱくても、口の中が酸っぱいのは一時的なものです。

 

ですが格安SIMの場合、スマートフォンを1ヶ月の間だけ使うという需要はそこまで多くありません。

往々にして、数年単位で使っていくことになることでしょう。

ひょっとしたら、現行の「SIMカードを使ったモバイル端末」という仕組みが一新されるようになるまで、同じMVNOを利用するという人もいるかもしれません。

少なくとも、格安SIMは数年単位という長い期間の利用を考慮しているものです。

 

もし、その品質が悪いものであった場合は、二度とスマートフォンを使わないのではなく、別のキャリアに乗り換えれば済む話です。

ですが、それにも相応の労力というものが必要になることは間違いありません。

だからこそ、「将来的に乗り換えなくても良いように」という理由で、自分にとって最適な一社を選び、それを数年という長い時間で利用し続けたいと考えるのです。

 

しかし、数年あるいは数ヶ月という短いスパンでも、通信品質というものは劇的に変化します。

これはMVNOが努力を怠った結果というわけではなく(最終的にはそうなりますが)、「そのMVNOを利用しているユーザー数が、そのMVNOの保有する通信帯域のキャパシティを超えている」ことが原因となります。

何らかの理由で人気が集まり、多くのユーザーが単一のMVNOに集中すると、そのMVNOが確保する通信帯域では、満足に通信サービスを提供できなくなってしまい、例えばユーザーが集中する昼間の時間帯に、高速通信とは思えないほどの極端な通信速度の低下をもたらしてしまう可能性があります。

 

問題となるのは、通信環境が悪化した後のMVNOの動き方です。

ここで理念が重要になり、ユーザーのことを考えないMVNOの場合だと、通信環境が悪化したとユーザーからの声が届いても、それを無視、あるいは重症化するまで放置する可能性があります。

MVNOの理念が、ユーザー第一のものであれば、即座に通信環境を改善しようと動き出します。

実のところ、「通信環境を維持・改善する」ということは、実にお金と時間がかかることなのです。

つまり、MVNOとしてもちょっと努力すれば解決できるような話ではなく、長い時間をかけて関連企業との交渉を行い、お金をかけてより多くの通信帯域を確保することによってはじめて、ユーザー数に適した通信帯域の確保と通信環境の維持・改善を行うことができるのです。

 

つまり、長期的に「良質な通信環境を利用したい」と考える場合、現状での通信環境はもちろんですが、そのMVNOがユーザーのことをどのように捉えているのかということも重視しなければならないのです。

もし、そのMVNOがユーザー第一の理念を持つ企業であれば、一時的にユーザー数の増加による通信環境の悪化が起きても、即座に対応して通信環境が元の水準に戻るようになる可能性が高いです。

よりユーザー目線に立った「理念」のある格安SIMは?

では、ユーザーにとってメリットが大きいMVNOを選ぶための「理念」というものは、どういった見方をするべきなのでしょうか。

まず、基本的なこととして「理念を持たない企業」というものは、世の中には存在しません。

どの企業であっても、少なからず何らかの理念を持って企業活動を行っています。理念なしに経営を行えば、即座に倒産してしまうことでしょう。

 

なので、理念のあるなしを見るのではなく、その企業の理念を細かく見ていく必要があります。

例えば「DMM mobile」の場合、長らく「業界最安値」を理念として掲げていました。料金が最も安いということは、確かにユーザーにとって魅力です。

長期的に利用することになれば、それだけ節約効果も大きくなってきます。

DMM mobileは、料金面以外でもユーザーの評価が高いMVNOはなので、当方でもオススメしたいMVNOの一つなのですが、果たしてこれが「ユーザーにとってメリットになる理念なのか?」と言われると、返答に困ります。

 

なぜなら、「料金を安くする」という理念は、あまり「ユーザー目線」ではないように感じるからです。

その理由は、格安SIMを解約して別のMVNOに乗り換えるユーザーの多くは、「通信環境の悪さ」を理由に乗り換えを行っているからです。

確かに料金の安さもユーザーの利益にはなると思いますが、格安SIMを利用しているユーザーはそこまで料金の安さにこだわりません。

なぜなら、格安SIMを利用しているユーザーは、既に格安SIMの料金の安さを享受している立場にあるからです。

既に享受している恩恵よりも、新たに起こった問題に対するレスポンス能力のほうが、多くのユーザーが求めるところです。

 

つまり、求めるべきMVNOの理念は、いかに「ユーザー目線で行動することができるか」というところに集約します。

ユーザーが求める事が何であるのかをいち早く察知し、それを即座に解決する、その姿勢こそが通信環境の悪化などの対応において発揮され、ユーザー目線に立った理念であるという証拠になるのです。

最も利用者目線に立っているMVNOは「IIJmio」と「mineo」

では、そうした「ユーザー目線での理念」を持ったMVNOはどこなのかと聞かれれば、当方からは「IIJmio」と「mineo」という2つのMVNOをオススメさせていただきます。

その理由として、どちらのMVNOもユーザーへのサポートを充実させているという特徴があります。

 

どちらのMVNOも、公式ブログからの情報発信だけでなく、ツイッターを利用した迅速な情報発信を行っています。

特に、アップデートが行われた際には、速やかに検証を行い、何らかの不具合が生じていないかの検証と情報発信を行っています。

 

このように、他のMVNOであればここまで充実したサポートを提供していないことが多い中、決して「ユーザーの自己責任」の範疇に留めるのではなく、MVNOの方が率先してユーザーの利益になる情報を発信しているというのは大きな魅力です。

 

さらに、ユーザーからの声を聞くための専用の場所を用意しているという点も見逃せません。

IIJmioでは、「IIJミーティング」を定期的に開催し、その場でMVNOのネットワークについて詳しい解説を行っています。

その参加者には、一部メディア関係者も混ざっているのですが、全体の半数ほどは普通のユーザーです。ユーザーは各種質問や要望などを、IIJmioのスタッフに投げかけることができるのです。

 

mineoでは、「マイネ王」という質問と交流の場を設けています。

ここではスタッフ-ユーザー間の情報のやり取りだけではなく、ユーザー同士の交流の場としても機能しています。

使い込んできたユーザーであれば知っているような情報を、新参のユーザーが先輩ユーザーに質問することで解決することができることも多いです。

これにより、スタッフでは対応が遅れるような場合でも迅速に問題の解決が図れるのです。

もちろん、スタッフも参加するコミュニティであるため、非常に気軽に、しかもクオリティの高いコミュニティ空間ができあがるのです。

IIJmioは帯域増強をしているが、加入者増に追い付かず

では、次にそれぞれのMVNOを個別に評価していきたいと思います。

 

まずは「IIJmio」です。

IIJmioでは、ユーザーからの「通信環境の悪化」に関して上記の方法で、情報を迅速に収集できています。

そして、当然ながらそれに対応するのですが、全体的な評価としては「加入者の増加に追いつけていない」という評価を下さざるを得ません。

 

ブログやミーティングでも、IIJmioは1ヶ月に1回か2回は通信帯域の増強に関しての報告を行っています。

この点はユーザー目線で対応が迅速であると評価することができます。

しかし、この通信帯域の増強が通信環境の改善につながっているのかと言えば、完全には果たされていないというのが現状です。

理由は、IIJmioが行っている通信帯域の改善が「IIJmioのユーザー数の増加に対応しきれていない」という点に見られます。

 

IIJmioは、MVNOの中でも評価が高いMVNOであり、当然ながら多くのユーザーが注目しているのです。

そして、何らかの問題があって、他のMVNOから乗り換えようと考えているユーザー、もしくは大手キャリアからの乗り換えやガラケーからの乗り換えにあたり、比較サイトなどを検証してIIJmioの評価の高さに目が向いたユーザーが、こぞってIIJmioを契約先に選ぶことにより、IIJmioが行っている通信帯域の増強が、そのユーザー数の増加に追いついていないのです。

 

とは言え、MVNOによっては通信環境が悪化していることを知っても、何ヶ月もそれを放置して改善に乗り出さない事も考えられます。

それに比べれば、改善効果の大きさの是非はあっても、きちんと定期的に対応しているIIJmioは、十分にユーザー目線の理念を持ったMVNOであると評価することができます。

通信速度が安定しているmineo

それに対して、「mineo」の場合はその通信環境が安定していることが高く評価されています。

これは、IIJmioとは違って、mineoの場合は確保している通信帯域とユーザー数のバランスが極めて良好であるということです。

全体的な帯域の総量ではIIJmioには劣るのですが、通信環境が安定していることやmineoの姿勢から見ることのできる理念を考えると、ユーザー目線を貫けているMVNOであると評価することができます。

 

mineoでは過去にキャンペーンも行われており、爆発的にユーザー数を増加させています。

前述の通り、ユーザー数が飛躍的に増加すると、通信帯域とのバランスが崩れ、通信速度が大幅に低下することも考えられます。

しかし、mineoでは爆発的なユーザー数の増加による通信速度の低下は、一時的なものであり、すぐに通信環境を改善させることに成功しています。

そのことから見ても、mineoがいかにユーザーの声に耳を傾け、それに即座に対応しているのかという姿勢が見て取れます。

 

もちろん、今後ユーザー数が増加するに連れて、現状の通信環境や企業理念を貫けるかということは、誰にもわかりません。

ですが、ユーザー数の増加と通信環境の安定を両立させることができ、ユーザー目線に立つという理念を貫き通すことができれば、ユーザーにとってこれ以上にない素晴らしいMVNOとして評価できることは、言うまでもありません。

まとめ

格安SIMを選ぶということは、どれだけ長い期間そのMVNOを不便なく使い続けられるかということです。

料金の安さや通信速度の評価は、スタート地点での評価に過ぎず、その後長い時間をかけて変化するこれらの評価を、いかに満足度の高いもので維持できるのかということは、MVNOが持つ理念の良し悪しにかかっているということになります。

 

当然ながら、理念というものも時には大きく変化することも考えられます。

例えば、DMM mobileでは今まで「業界最安値」を貫いてきましたが、MVNO業界での価格競争が沈静化した現在、サービスの質を高めるということにウェイトを傾け始めています。

こうした理念の変化は、時にユーザーの利益になることもあれば、逆にユーザーにとって不利益になるようなことも考えられます。

そうなれば、当方が評価したIIJmioやmineoも、将来的にはユーザーにとって不利になる理念に変わってしまうことも十分に考えられます。

 

ですが、企業理念というものは、料金や通信環境ほど簡単に変わるものではありません。それがコロコロ変わってしまえば、企業としての体裁を保つことが難しくなります。

よほど何か大きな転換期が訪れない限り、そう簡単に企業理念を変えるようなことは考えにくいです。

つまり、現状の評価基準において、最も長期間変わらない評価が、やはり企業の理念なのです。

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