着実に販売数を伸ばす『Huawei製品』日米展開の今後は?

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2015年のスマートフォン出荷台数が1億台を突破(全世界シェア3位)

2015年、世界で3社目となる「スマートフォン出荷台数1億台突破」を果たしたブランドが「Huawei」です。出荷台数の多さだけでなく、全世界でのシェアも3位に浮上しています。

同社がスマートフォンの発売を始めたのが2010年であり、当時の出荷台数は300万台ほどでした。つまり、5年で30倍以上の出荷台数に成長しているということになります。

 

さらに、その勢いは翌年の2016年にも衰えていません。1月にはフラッグシップモデルである「Huawei Mate 8」をグローバル向けに発表しています。

また、Android Wear搭載のスマートウォッチ「Huawei Watch」において新モデルである「Jewel/Elegant」を追加して、10型タブレット「Huawei MediaPad M2 10.1」やGoogleブランドの「Nexus 6P」のゴールドモデルも紹介されてます。

 

このように、Huaweiは短期間で急速な成長を遂げ、世界レベルでのシェアを誇るに至っています。企業が急速な成長を遂げるには、何らかの理由があるはずです。この記事では、その点を中心に解説を進めていきたいと思います。

 

世界的にHuaweiブランドのイメージが向上

Huaweiが急速な成長を遂げた理由として、「世界的なイメージ向上」が挙げられます。その点について解説します。

 

Huaweiには現在3つのビジネスグループがある

まず、Huaweiには3つのビジネスグループが存在します。それは「ネットワーク事業」「ICTソリューション事業」「コンシューマー向け端末事業(コンシューマーグループ)」に分かれています。

Huaweiのスマートフォンは、この内コンシューマーグループが担当しています。

 

最も重視しているのがスマートフォン(コンシューマーグループ)

近年、Huaweiはウェアラブル製品やホームデバイス製品などのIoT分野にも進出しているのですが、実のところはスマートフォンを最も重要視しているように考えられます。

Huaweiが販売した1億台の中で30%がミッドハイです。Huaweiはこれを重要視している動きがあります。

新興国向けの低価格モデルが約7割を占めていますが、上位モデルへの買い替えと先進国のシェア拡大による中位機種や上位機種の比率を高める結果となっています。

 

中でもその傾向が強いのは、Huaweiのお膝元である中国です。中国市場においてはフラッグシップモデルの「Mate 7」が700万台以上を出荷しており、中間モデルである「P7」「P8」も好調の様子です。

ミッドからハイエンドモデルが受け入れられており、競合の販売数が低下している影響も考えられます。

 

海外市場ではどうなのか

さて、お膝元の中国以外の国の市場ではどうなのでしょうか。まず欧州の市場ではスペインやイタリアなどで400~500ユーロの価格帯がシェアを高めており、スペインでは約50%、それ以外でも10%以上のシェアを獲得しています。

 

次に米国市場です。Huaweiが現状で力を入れている市場であり、2014年に「Mate 2」を投入したのをきっかけとして直販サイトを開設し、オープン市場での開拓を進めています。

また、「Huawei Watch」をAmazonで先行販売するなどのECの活用も目立ちます。

 

日本市場では、「SIMのロックフリー」の市場への製品投入が際立っています。直販サイトの「V MALL」や、格安スマホを手掛けるMVNOを通じてのエントリーからフラッグシップまで幅広く展開しており、SIMロックフリー市場でのシェアNo1を獲得しています。

さらに、大手キャリア向けのキャリアブランドのタブレットやモバイルWi-Fiルーターの多数供給も挙げられます。

 

日米には共通の課題があり、GoogleのNexus 6Pでシェアを取りたい

しかし、日本と米国に関しては共通の課題が存在しています。それは「キャリア主導の市場である」ということです。こういった市場においてミッドハイモデルが浸透するためには、長い時間をかけて活動していく必要があります。

急速な成長を遂げたHuaweiですが、こればかりは時間をかけていくしかありません。特に、米国ブランドである「Nexus 6P」でのシェア獲得に意気込みを感じます。

 

HuaweiはNexus 6Pにおいて長年のGoogleとのパートナーシップの結果であると位置づけています。その点についてはGoogleからの評価の高さを自負しているようです。

GoogleにとってNexusは重要なブランドであり、メーカー選びは慎重であったはずです。それに選ばれたHuaweiは、開発初期の段階で100人規模の人材を投入するなどの姿勢を見せています。

 

Nexusシリーズはメーカー独自の機能を搭載しにくいという特徴がありますが、Huaweiにおいては「Huawei製品の選択肢を広げる存在」として位置づけしています。Nexus 6Pを通じ、ハイエンド市場で知名度を高める狙いもあるようです。

 

着実に販売数を伸ばす中で、メディアにおける評価も上昇

こうして販売数を伸ばしていくHuaweiに対して、メディアによる評価も上昇しています。世界的な企業を対象にした第三者機関の格付けによれば、2014年には中国企業として初となるトップ100入りを果たし、2015年には世界88位となっています。

さらに、製品ブランドの勢いを調べる格付けにおいては2013年に3位集団の1社となり、翌年には単独での3位となっています。

 

この点、Huaweiではグループ全体での評価として位置づけながら、コンシューマービジネスの業績が伸びていることが評価につながっていると分析しています。

事実、世界的に一大市場を形成しているスマートフォン市場において注目されるブランドを展開していれば、それが企業のイメージそのものを高めるきっかけにもつながります。

 

「品質が最優先」 それを支える世界規模の開発と販売体制

Huaweiの成長の秘訣を知る上では、Huaweiの「方針」を知る必要があります。Huaweiは「品質を優先する」という方針を掲げており、これは数年前に方針転換された結果なのです。その方針を支えるのは、世界規模の開発と販売の体制によるものです。

 

「数より品質」への方針転換

Huaweiが高い評価を得るために行った戦略の一つとして「数より品質」の方針転換です。Huaweiが2011年に販売していたスマートフォンは75種類に及びますが、2015年時点では20機種まで絞られています。

 

取り扱う機種の種類を限定することで、機種一つ一つに十分に気を配る事が可能になります。機種一つ一つの品質を高めるという戦略は、日本企業の経営哲学に基づいたものであるとされています。

 

新戦略で整理されたHuawei製品のラインナップ

この方針転換による新戦略において、Huaweiのラインナップは整理されています。まずは「Mateシリーズ」で、パフォーマンスの高さに重点を置いている、大画面のフラッグシップモデルです。

次に「Pシリーズ」はファッション性の高いデザイン重視のモデルです。また、「自撮り」を重視したカメラ機能が特徴です。

次は「Gシリーズ」で、これは普及価格帯のミドルクラスのモデルです。最後に「honorシリーズ」は、販路をECに限定した若年層向けのサブブランドとなります。

 

「Ascend」というスマートフォンブランドの廃止

上記のブランド整理において、Huaweiのブランドである「Ascend」が姿を消しています。このブランド廃止は、社名と同じ「Huawei」というブランドの潜在価値を鑑みて、ブランド名を統一した結果として廃止されています。

 

R&D(研究開発部門)への投資

二つ目の戦略として「R&D」への投資が挙げられます。Huaweiは2015年にコンシューマー分野の研究開発費として12億ドルを費やしたという話です。

もともと、Huaweiは研究・開発部門の比率が高く、コンシューマー部門に所属する約14,000人の社員のうち、約70%の社員がこの部門に従事しています。

 

また、社員数だけでなく「規模」に関してもなかなかのものです。R&Dセンターは世界15カ国に存在し、エリアごとに得意分野を担当しています。

イギリスでは技術面でのイノベーションやデザインを、フランスでは色彩やファッションを担当しています。

米国ではGoogleと共同でOSやチップセットを研究し、日本では国内企業から調達する電子部品の評価などを行います。

 

さらに、中国本社の中央研究所ではクラウドなどの他部門と共同で研究を行うものや、美術や5年以内の商品化が難しい将来的な基礎研究なども行われています。中には、独自のOSなども含まれているとのことです。

 

マーケティングの強化(製品発表会やHuawei WATCH)

3つ目の戦略としては、マーケティングを強化するところにあります。Huaweiは170以上の国と地域にセールスオフィスを設置していますが、B2BからB2Cへの転換でリテール販売チャンネルの弱さを認識し、2年間で販売チャンネルの強化を図っています。

結果、2015年の小売店数は約2倍に増加しています。

 

また、これに合わせてオンラインマーケティングも強化しています。製品発表会を定期的に開催するようになり、世界各国の大規模な展示会に合わせて製品ローンチ、さらにプラットフォーマーが大々的に発表するというケースも増えています。

 

こういった戦略の成果の一つとして挙げられるのが「Huawei Watch」であると言えます。スイスの時計メーカーと共同で開発した機械式時計のような正統派のデザインは、ファッション誌である「VOGUE」とタイアップしたプロモーションを展開しています。

また、イタリアのミラノで行われた「Milan Fashion Week」に出展も行い、ブランドイメージの向上を図っています。

 

SIMフリー市場に先手を打ち、IoT、家、車でのエコシステム拡大を

さて、このようにHuaweiは品質を再優先とし、ブランドイメージの向上とそれを支えるための世界規模での土台作りに成功しています。では、今後Huaweiは品質重視のハイスペックモデルが中心になるのでしょうか?

 

数から品質重視への脱却に成功しつつあるHuaweiの今後の製品展開

確かに、Huaweiの方針は品質重視であり、ハイスペックな端末の継続的な提供が考えられます。

しかし、Huaweiはプレミアム戦略を全てのクラスに適用し、ミッドハイでもエントリーでも、どの価格帯においても高い品質を維持することを方針として掲げています。

スマートフォンのスペックにおいては、ニーズ次第で、シンプルに回帰することが予想されます。リテールにおける存在感を高める方法としては、やはり機能面でのアピールが必要になります。

 

中でも注目しているのは「カメラ」です。Huaweiの端末には「ビューティーモード」などの自撮りの利用を前提とした機能を積極的に付加しています。

その他にはユーザーの需要として「バッテリーの保ちやすさ」と「画面の見やすさ」などが挙げられています。

 

端末のスペックは、そのまま販売戦略にも影響します。スマートフォンの場合だと、高額なフラッグシップモデルはキャリアモデルとして値引きを前提として販売しています。

Huaweiはその点、キャリア市場の日米でSIMロックフリーのモデルに注力し、Mateシリーズなどの上位の価格帯の製品をプッシュしています。

 

Huaweiの方針としては、どうしてもハイスペックなスマートフォンを使ってもらうためには、それなりの価格が必要になるということです。

どの市場においてもユーザーにとって良い選択肢を提供するため、オープン市場においても高価格帯だが高性能でもあるスマートフォンを手にとってもらいたいという意思が感じられます。

 

IoTやスマートハウス、自動車など、さらなる市場が視野に入っている

それだけではありません、Huaweiにおいてはブランド戦略の視野に「IoT」「スマートハウス」「自動車」と言ったコンシューマー市場が含まれているのです。

自動車では「Volkswagen」「Audi」との協業がスタートしています。また、R&Dではエコシステムの拡大のために、常にオープンなスタンスであることをアピールしています。

 

Huaweiのデバイスは独自のUIである「Emotion UI」を搭載しています。今後は端末の種類を問わず、どの接点からでもこのUIからサービスを利用できるようにするというのがHuaweiの方針です。

スマートフォンは個人の次に中小企業で用いられるものであり、そこからIoTなどエコシステムの拡大を目指しています。

 

MVNOが中心となってSIMロックフリーのスマートフォンの市場が拡大し、その中で海外メーカーのスマートフォンがより身近な存在となっています。

Huaweiは製品のコストパフォマンスが高く評価されており、ボディのデザイン性やスリムさによって他社との差別化を図っているといえます。

 

HuaweiはSamsung、Appleをさらに追い上げる姿勢

スマートフォンのシェアにおいては、SamusungやAppleに遅れをとっている現状ですが、今後はこれら上位企業を追い上げる姿勢を見せています。そのためには、さらなるブランドイメージの向上と定着が必要になります。

 

日本においては、スマートフォンに対してハイスペックモデルが求められています。その日本市場において、Huaweiはどれだけの躍進と成功を見せてくれるのでしょうか。その点についても注目してみたいところです。

 

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