MENU

個人の敵!?為替相場に大きな影響を与える「ヘッジファンド」の存在

 

ヘッジファンドは、その莫大な資金量で相場を支配しようと暴れまわります。

しかしながらヘッジファンドと言っても、資金量や投資手法が異なりますから、FXの市場をそこまで思い通りに動かすことはできません。

買いから入るヘッジファンドもあれば、売りから仕掛けるヘッジファンドもありますから、市場を独占的に操るのは無理なのです。

もしヘッジファンドが全く同じ方向に動けば脅威となるでしょう。しかし世の中はうまくできています。

ヘッジファンドがお互いに「つぶし合い」「殴り合い」をしてくれますので、個人投資家がその間隙をついて儲けることが出来るのです。

しかしながら個人投資家から見れば、やはりヘッジファンドは「大きな壁」「敵」と言える存在と言えます。

 

目次

ヘッジファンドとは?

ヘッジとはリスクを回避すると言う意味であり、最初は下降局面で資産を維持する為に行った「売り」がその始まりです。

ヘッジファンドは資産家から大量の資金を集めて運用し、資産家に利益を還元します。

資金運用先は運用益の大きな株式や債券、商品先物取引、為替相場です。

ヘッジファンドの種類・特徴

ヘッジファンドには大きく分けて2つのタイプがあります。

1つは「マクロ系」のヘッジファンドであり、もう一つは「モデル系」ヘッジファンドです。

「マクロ系」ヘッジファンド

マクロ系ヘッジファンドは、マクロ分析によって相場を分析して投資の方針を決めるファンドです。

すなわち、世界の経済動向を見据えた「ファンダメンタル分析」を行い、この先為替がどのように動くかを予測して、為替の売買を行うファンドです。

投資資金を積み上げてくると言う運用方法をとります。

円売りで外貨買いを行い、どちらかと言うと長期間ポジジョンを持ちスワップポイントを狙ったトレードをする事も多い種類のファンドです。粘り強く投資をする事が特徴と言えます。

「モデル系」ヘッジファンド

モデル系ヘッジファンドは、テクニカル分析をベースにして、コンピューターを駆使して数学的に相場を分析して、さらに投資家の傾向や心理状態なども考慮したアルゴリズムを使ってトレードするファンドです。

科学的、数学的に、および心理的側面も組み入れた投資を行います。

投資の傾向は、どちらかと言えば短期での売買を行います。そして時によっては、アルゴリズムを変更してきます。

そして「短期集中型」のトレードを行う場合が多く、相場を一方向に誘導するような投資をするかと思えば、時には反対方向へ引っ張るトレードを行う事もあります。

人間の心理状態の分析もシステムに組み込まれていますから、その売買は、予測不可能な方向に展開することがあるため、個人投資家の悩みの種となっています。

ヘッジファンドが為替相場に与える影響

ヘッジファンドは何と言っても資金量が莫大であり、市場に大きな影響力を持っています。

  • 北米での運用残高は150兆円
  • ヨーロッパで50兆円

合計して200兆円程あり、この額は日本の国家予算に相当します。

そして投資先は株、債券、先物、FXなどですが、FXには多くの資金をつぎ込んでいるようです。ですから為替相場に大きな影響を与えるのです。

日銀も円相場が大きく動く時には市場介入をしますが、投入する資金は数兆円規模です。

介入直後は相場が動きますが、大きく為替を変動させることはできません。

つまり為替相場に最も影響力があるのは、

  • 機関投資家
  • ヘッジファンド

と言えるでしょう。

ヘッジファンドの立ち回りを利用した手法を紹介

ヘッジファンドは大量の資金を持っていますから、個人投資家から見ると「とても手には負えない」と考えるでしょうが、ヘッジファンドの立ち回り(何をしかけているか)を推測しながら勝つ方法があります。

マクロ系ヘッジファンド対応

ファンダメンタル分析を活用して粘り強く中期の利益を狙いますから、相場は一方向動く傾向があります。

個人投資家としてはキリの良い数字を意識して、利益確定やロスカットを設定すれば良いでしょう。

モデル系ヘッジファンド対応

コンピューターのアルゴリズムに則り短期の取引をしてきます。

動きが読みにくく、短期で大きな相場変動をする可能性がありますから、注意深くチャートを監視しなければなりません。

個人投資家は上昇と下降、両面に気を配る必要があるでしょう。

自信がないなら静観したり、利益が少なくても損益確定したりするのが良いかもしれません。

ストップ狩りに巻き込まれないために

ヘッジファンドは個人投資家を「カモ」にしようと狙っています。

例えば、ドル安局面で個人投資家は「そろそろドルは上がるだろう」と推測して、ドル買いを行うとします。

そういった時に、ヘッジファンドはドル売り(円買い)を大量に仕掛けてきます。

すなわちドル安をあえて誘導するのです。

[図1:ストップ狩りの構造1]

[図2:ストップ狩りの構造2]

その局面では、個人投資家は慌てて損切りを行うか、設定していたロスカットが働くか、もっと酷ければ「強制ロスカット」が発動されて、損害をこうむります。

一方ヘッジファンドは、ドルを買い戻して莫大な利益を上げます。すなわち「富」が個人投資家から吸い上げられて、ヘッジファンドへ移動するのです。

では、このストップ狩りを避けるには一体どうすればいいのでしょうか?

以下の5つが考えられます。FX取引をするときは、ぜひ覚えておきましょう。

 

(1)証拠金に対して取引金額を少なくして「強制ロスカット」が発動しないようにする

(2)リスクはあるがロスカットをわざと設定しないでおく

※これは危険を伴うがロスカット狩りには有効です。含み損は増えるが実損はありません。レートの反転を気長に待つ忍耐力が必要です。

(3)レバレッジを小さめに設定するか、取引通貨量を少なくしておく

(4)通貨ペアを米ドル/円の一本やりを避けて、豪ドル/円やユーロ/円等に分散投資を行う

※この方法なら資金が分散し、ロスカット狩りにあっても損失を少なくできます。

(5)ヘッジファンドのストップ狩りに便乗する

ヘッジファンドのマネージャーになった気持ちで、ストップ狩りを避けるという消極的な考えではなく、ストップ狩りに便乗して「儲ける」というプラス思考もあります。

このように、思考の180度転換も、時には必要です。