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海外のFX会社によるレート操作とかって実際あったりするの?

 

「海外のFX会社がレート操作している」という疑念を抱いたことはありませんか?

FXでレート操作というと思い出すのが、2012年のFXCMジャパンの行政処分のことです(楽天証券が2015年に買収して子会社化しました)。

FXの怪しい値動きに対して、関東財務局が業務改善を求める行政処分を出しました。

日本でもこのようなことが起きるとなると、海外のFX会社なら簡単に確認できないので、レート操作していても分からないという不安になる方もいるでしょう。

ここでは、その海外のFX会社のレート操作に関する真偽について解説していきます。

 

目次

海外のFX会社はレート操作をしたりしている!?

FX会社について、よくFAQなどの情報サイトには、いろいろな疑惑が語られているケースがあります。

その中でも「海外通貨の売買を行うレート操作があるのではないか」という疑惑です。

意図的に操作されているのではないかというものです。

冒頭でお伝えしたFXCMジャパンも、このレート操作で行政処分が下りました。

「表向きの提示価格より不利な価格で取引が成立してしまう現象が起きていた」

ので関東財務局が業務改善を求める行政処分を出したというものです。

実は投資家の間では、一部のFXの値動きに不公正を指摘する声が上がっていました。理由としてはスリッページと呼ばれる現象で、これは業者が顧客向けに提示している価格と異なる水準で売買が成立することです。

価格が滑るという意味から呼ばれています。これによりネガティブ・スリッページが発生する状態にしていて、結果的に投資家の利益が本来の水準より小さくなる、損失が実勢以上に膨らんだと見られています。

これは日本の例ですが、顧客資産を不正に持ち逃げすれば、行政処分や追訴される可能性もあります。

では海外のFX会社の場合、このような不公正なレートは問題にならないのでしょうか?

FX会社は海外に限らず日本の業者でも、必ずレート操作をしている

海外のFX会社であろうと日本のFX会社であろうと、どこでも必ずレート操作をしている可能性があります。

ただし、2012年の行政処分のようにFX会社に対する規制は強化されています。昔よりは(数年前より)格段に良くなってきたと言われています。

ただ株取引などと違いFXは歴史が浅い分、規制もまだ緩いと言わざるを得ません。

規制や法律の抜け穴を利用することは、海外でも日本でも多かれ少なかれやっていると思ったほうがいいかもしれません。

残念ながらこのレート操作が違法ではありません。

為替水準自体が外国為替市場に比べて高い、低いということだけなら問題になりませんが、ASK(通貨を売る時の値段)とBID(通貨を買う時の値段)も同じ分ずつ低い場合、買うときは安く売る時は高くなるだけです。

同じFX会社内で売り買いするだけなら利幅が減る心配はありません。

問題は、注文の約定時にFX業者がレート操作をしているのかどうか

成行注文やストリーミング注文を行った時、取引画面の為替レートを見て注文を出しても、注文した価格と実際に約定した価格が違うことがあります。

注文ボタンをクリックしてから約定するまでのコンマ数秒程度の間に、レートが動くという現象は珍しくありません。

この時、指定レートと約定レートが異なることを「スリッページ」と呼んでいます。

スリップ・すべるとも言います。

これが起こる原因は、注文がFX業者のシステムに到達して注文が出される前にレートが変わるからです。

高速回線で世界のどこにいてもネットにつながっていますので、実際の為替相場ではコンマ数秒で変動しています。

この動きも変動せずにそのままの注文レートで通ることもあれば、1秒の間に大きく上下することもあります。

FX業者によってもシステム処理速度が異なり、レート配信処理のスピードによってはスリップページが起こりやすくなります。

約定率が良い、高いと評価される業者はレート配信などの処理スピードが速い業者だと言えます。

スリッページについて解説したところで、人為的に操作されていなくても起こり得ることをご説明しました。

しかし問題は、注文の約定時にFX会社によって人為的にレートを操作されることです。これは可能かどうかというと可能です。

例えば、FX会社で取引に参加している数は相当いるとします。

売り・買いに関して多くの人が注文を出している場合、買い方注文が約定したからといって、レートを下げると売り方の利益が伸びる現象が起きます。逆も同様になります。

そのためどちらか一方の注文の時だけ、レート操作が行われるようです。

しかしながら、このレート操作をわかっていて、その瞬間を狙って仕掛ける個人投資家も多いのが現実です。

成行注文を出したときの不自然なスリッページ

成行注文やストリーミング注文を行った時、不自然なスリッページがあるのは、海外FX会社ではよくあります。

日本でも数年前までは行政の指導が入るまでは度々ありましたが、最近はスリッページ規制が強化されつつあります。ただし、海外FX会社は規制対象外になっています。

スリッページに対策するなら、指値注文を出すことです。これならスリッページが起こっても極端な値段での約定は無くなります。

国内・海外の両方で指値注文を行うことをお勧めします。

また、何かの意図があり指値注文したくない場合でも、許容スリッページの設定をしない(事実上指値注文になりますが)・値を小さくすることが可能です。

どのFX業者の取引画面にも設定が付いているはずです。

スリッページを、例えば3pipsにすれば上下3銭までは約定しますが、それ以上は約定しないといった設定です。

「最良執行方針」を掲げているFX会社なら大丈夫なのか?

FX会社には、顧客に対する義務のひとつに「最良執行方針」というものがあります。これは、顧客の注文は最も顧客に有利になるように約定するといった方針です。

これがないFX会社は、顧客への誠実さが無いと見なされます。顧客の利益は二の次と言っているようにも見えます。

ただし、この「最良執行方針」があるからといってレート操作を行わないとは限りません。

提示レートの中で最も良い条件で約定させると宣言しているだけで、レート操作は行わないとは言っていないからです。「最良執行方針」がFX会社によっては開示されないこともあります。

顧客に対する義務の一つ「最良執行方針」とは

 

「最良執行方針」とは、金融商品取引法第40条の2第1項の規程に従い、顧客に最良の取引の条件で約定してもらうための方針及び方法を定めたもので、取引する場合に必ず顧客は読んで同意する必要がある、と多くのFX会社ではこのように説明しています。

では実際の「最良執行方針」の内容とはどのようなものでしょうか。

以下に某大手FX会社の「最良執行方針」を要約してご紹介します。内容をかなり割愛していますので参考までにご覧ください。

(1)対象となる有価証券

①国内金融商品取引市場に上場されている株券、株券、新株予約権付社債券、REIT、ETF等、「上場株券等」
②グリーンシート銘柄及びフェニックス銘柄である株券、新株予約権付社債券等、「取扱有価証券」

(2)最良の取引の条件で執行するための方法

①上場株券等
顧客からの注文は、原則として速やかに国内の金融商品取引所市場に取り次ぐこととします。
a. 単独上場には、当該金融商品取引所市場へ取り次ぎます。
b. 重複上場は当社端末でご覧いただけます。
c. 翌日以降の期限を指定した注文の場合、取次先変更のご指示があった場合を除き変更しません。
②特定投資家で事前に執行方法についての別途の取り決めをしている顧客に限っては、顧客の個別取引に係る固有のニ-ズを勘案し、顧客の最も合理性が高いと当社が判断する執行方法を選択することがあります。

(3)2の方法を選択する場合

①上場株券等
金融商品取引所市場は多くの投資家の需要が集中しており、流動性、約定可能性、取引のスピード等を総合的に勘案して、ここで執行することが基本的にはお客様にとって最も合理的であると判断されるからです。

(4)その他

システム障害等により、やむを得ず、最良執行方針に基づいて選択する方法とは異なる方法により執行することがございます。その場合でも、その時点で最良の条件で執行するよう努めます。

この義務を掲げているからと言って、レート操作をしていないわけではない!

上記の「最良執行方針」の例は、

「顧客に対して最良の取引の条件で約定させる努力をします」

と宣言しているに過ぎません。

これは、FX会社が「コスト・スピード・執行に関する色々な要素を相互的に判断して執行する義務」であり、逆に言うと色々な条件で、場合によっては損失があるかもしれない、最良な状態で約定していただきたいけどできないこともある、と言っているだけです。

結果的に顧客に最良な結果をもたらさなかったとしても、義務違反にはならないと言っています。

それとレート操作は違う意味になります。

仮に、レート操作が顧客に利益をもたらすなら問題はありません。もっと言うなら、銀行や証券会社ではトレーダーが為替レートの操作を行っている場合があります。

個人投資家は、資金量の問題で操作は難しいのですが、銀行や証券、FX会社であれば資金が豊富なので操作することが可能です。

この手の話は、度々ニュースになっていますが、為替相場自体を、

「操作するケース」と「提示する為替レートを操作するケース」

があります。

FX会社のスリッページは後者の方です。

FX会社が個人投資家に提示する為替レートはカバー先金融機関が提示するレートであり、金融機関はインターバンク市場(金融機関相互で短期資金の貸借が行われる市場)のレートが提示されます。

世界のどこかでこの為替操作が行われると、このインターバンク市場に影響があり、個人投資家にも影響が出ます。

近年では英国レート操作疑惑で為替トレーダーから事情聴取、外国為替指標レートをディーラーが操作といった事件が多く起こっています。

では、なぜFX業者はレート操作をするのか?

FX会社は、日本でも海外でもレート操作を何故するのか?という疑問が沸きます。

FX会社にとって、レート操作するとどんなメリットがあるのでしょうか。

投資家からの注文を受けてカバー先銀行に注文するだけなので、レート操作をしたからといって利益が増えないように思えます。

FXでは、注文するときにスリッページが発生する場合があることは、先ほどご紹介しましたが、わざとスリッページを発生させてFX会社が利益を得るということもあります。

スリッページは投資家にプラスになる場合がありますが、逆にFX会社自体の利益になるシステムにしている会社が存在するということです。

これはスリッページがポジティブなものでなくネガティブなものだけが発生する状態にしたて、投資家の利益が本来の水準より小さくなる、顧客が被った損失が実勢以上に膨らんでいてもFX会社自体の損失はないようにしたりするものです。

FX会社は、FX顧客と一対一の取引(つまり相対取引)をします。

取引所での取引なら違いますが、実値に上乗せがあるからFX会社は収益をあげることが可能になるのです。

そのため、普通を超えた上乗せをして、FX会社は利益を上げるためにレート操作をすることがあるのです。

FX業者が収益を上げる仕組み

FX業者のレート操作は、FX会社が利益を上げるために行っていると想像されます。

では、実際にFX業者が収益をどのように上げているのか仕組みを考えてみましょう。

(1)利益を出す方法「仲介+相対取引」

FX会社の多くが取引手数料を無料にしています。そのため他の何かで利益を出す必要があります。利益を出す方法の1つがスプレッドです。

相対取引は、顧客とは利益相反になりますが、そうなるとFX会社は損失を被ることになります。

FX会社は、顧客注文をインターリンク市場に流す(FX会社は提携先カバー先金融機関からインターリンク市場でリアルタイム取引されている各通貨レートを受け取るようになっています)ことも行っています。

そのとき、インターリンク市場とFX会社が提示するレートは乖離させては利益にならないので(信用問題に関わるから)、注文の仲介+相対取引という形で利益を出しているのが実際です。

この場合、仲介料だけでなく相対取引で得たプラス、マイナスの利益も含みます。

(2)投資家が数多く注文を出すことで利益を得る

売り注文が少ない時などに、レートを一瞬下げて約定させてすぐ元に戻すといったような操作を行います。

注文が約定する瞬間を狙って行われ、取引回数が多い個人投資家は細かく利益を損なう可能性があります。

個人投資家がこのリスクを避けるには、取引回数を減らせば良いわけです。

しかし、FX会社側は自動発注ツールを開発して、個人投資家が楽して取引できるようにツールを提供して「数多くの注文を行わせること」で利益を上げようとしているのです。

ただし、自動売買ツールを利用している方はトータルで見た場合利益が出ているなら(要所要所で損になっていても)納得するかもしれません。

FX業者も数の理屈があるので、取引が多いと利益になる確率が高くなります。

(3)最後に

(2)に関しては、確実に自動売買ツール利用者が総合的に利益を得ているという確証はありませんが、もし利益を上げる確率が高いなら、損をしている投資家は手動売買を行っている方になります。

ただし、FX会社はこれを意図して行っているというより、FXの性質上「敵の利益は自分の損失」なので起こる現象と言えます。

スワップポイントには注意しよう!

FX会社は、買いポジションの顧客に対してスワップポイントを提供します。

FX会社がインターリンク市場に顧客注文を流している場合、このスワップポイントの原資は取引している外貨の金利です。

顧客側が外貨購入を注文すると、FX会社が同じ注文をそのままインターリンク市場に出します。そのとき、FX会社が外貨を手にします。

例えば、そのときの金利が5%として、顧客に対しては2.8%のスワップポイントを提供して、その差額がFX会社の利益になります。

取引所取引では、スワップポイントに関しては通貨ペアの売りも買いも同額なので、このようなコストを負わされることはありません。

もし外貨の長期投資をしたいなら、FX会社でレバレッジ1倍の注文をするよりも外貨預金を購入したほうが金利は確実に残るでしょう。

まとめ

海外FX会社でも日本のFX会社でも、レート操作は一般的に行われていると考えてもいいでしょう。

客観的に考えると、本当に損をしている手動取引の個人投資家の場合、レート操作は問題になるかもしれません。

ただし、一般的には小さい損(つまりスワップポイントがインターリンク市場と違うなど)は取引コストと考えて、優れた自動売買ツールの提供や複数の取引チャンネルを無料で使うことが可能であるとも考えられます。

レート操作を見逃せという意味ではなく、FX会社の収益構造や性質を見てリスクの質や大きさを理解して取引を行うことが大切です。

このような問題点もありますが、FX会社も一蓮托生となって利益を上げようとしていることには間違いはありません。

一見不合理に見えても、グレーゾーンに見えたとしても、投資家の最終的目標は利益を上げることです。それを理解してFX取引に臨むと良いでしょう。

そのためには、FX会社を確かな目や確かな情報から選ぶことが大切です。

問題行為が多いFX会社はいずれ淘汰されるようになります。

リスクヘッジをするなら、

など、投資家自身も積極的に動くことが大切です。