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FXって「円高」と「円安」どっちの時の方が儲かりやすいとかあるの?

 

FXは、正式には「外国為替証拠金取引」と呼ばれて、ドルやユーロなどの外国通貨(為替)を交換・売買してその差益を得る金融商品です。

外国為替は、どちらか一方の通貨が上がればもう一方は下がるという関係で成り立っています。

この外国為替は、政治や経済、国外情勢、事件といったあらゆる事が影響して値動きが変わります。

FXで利益を上げるには、世界のこのような情報を俯瞰的に捉えていく必要があります。普段から膨大な情報を見抜く能力を養います。

日本では変動相場制(フロート制とも呼ばれて、固定相場制のように通貨の比率を一定にせず、為替レートに従いマーケットの需要と供給を自由に変動させる)を採用しているので、円に関しては円安か円高かのどちらかで推移します。

FX投資において、円安・円高のどちらの場合に儲けることが可能か考えてみましょう。

目次

なぜ、為替は円安や円高に振れるの?

日本円は為替取引では円安や円高に振れます。大きな理由ははじめにでもお伝えしたように色々な要因が影響します。

短期的な為替レートが円安や円高に振れる理由としては、需要と供給のバランスが挙げられます。

短期的に為替レートが円安や円高に振れる要因

例えば、小売店では商品価格に関しても重要と供給がありますが、為替レートほど頻繁に売値が変わることはありません。

小売り商品を考えた場合、売り切れ商品と売れ残り商品がどの程度あるかによって重要と供給がわかります。需要が少なく供給が多い商品は値下げをして販売するようになります。

八百屋などの生鮮食品を扱う小売店では供給が多いと時間を追うごとに値引きして販売されます。逆に日持ちするお菓子や缶詰などは慌てて販売する必要がないので日々値下げ対応する必要はありません。

また、小売店が沢山あるので販売価格は容易に変わりません。ただし、供給が多すぎる商品をある小売店がすぐに値下げしなくても、他の小売店で値下げしたら、最初の小売店はすぐ値下げするでしょう。

それは、自分のお店よりも他の店が安いとお客がそちらに流れてしまうからです。このように重要と供給のバランスが伝わる速度が為替市場よりははるかに遅いので、小売りの市場では需要と供給には関係ないように見えてしまうだけです。

最近では小売業界でも、毎日か特定日にチラシで「他店より高いものは安くします」的なキャッチでその日に割引するケースも増えてきました。それでも為替市場の比ではありません。

為替市場は取引所が1カ所だけです。世界中に取引所はありますが、時間帯による主取引所が変わるだけなので、需要と供給のバランスがダイレクトに価格に影響します。

そのために刻一刻と為替レートが変動し、円安・円高に振るようになります。

では、中長期的に為替レートが変動する要因は?

超中期的に為替レートが変動する要因は為替当時国同士の制作金利が違うことや金融政策の影響などが考えられます。

基本的には経済の基本的条件(ファンダメンタルズ)が良い国の通貨は高くなる方向です。ただし実際のマーケットは、色々な要因が値動きに影響します。

為替当事国同士の政策金利の差や、それに影響を及ぼす金融政策など

金利

為替変動に関する様々な要素の中では金利差が挙げられます。

例えば、銀行預金や債券投資では、金利が高いほうが多くの利益を得ることが可能です。

これを期間10年の国債にした場合、日本とアメリカでそれぞれ年利2%として発行されても、その後アメリカの国債が3%になった場合は米国債に乗り換えた方が良いと考えるかもしれません。

米ドルの需要が高まり、米ドルが高く日本円が安いという中期的な要因として考えます。

経済力

もう一つは経済指標と呼ばれるものです。これは各国政府や中央省庁、銀行などが公表する経済の統計資料です。

主要国の経済指標は為替を変動させる要因の一つになります。ただし、これは短期的な影響ですが、例えば大国アメリカの経済指標は世界経済に与える影響としては大きいものがあります。

雇用統計などの発表の後には為替変動が起こることが多く、理由としては雇用状況が良ければ米国経済の拡大につながると予想されて米ドルが買われて円安傾向になります。

マネー供給量

市場介入という方法で、為替相場を安定させる目的で外国為替市場の中で自国通貨を売買することがあります。

自国の中央銀行や政府が市場介入して、自国の通貨が高すぎると売り、安くします。逆に自国通貨が安すぎる場合には自国通貨を買い、外貨を売り自国通貨を高くします。

通貨発行量が多ければ通貨の価値は弱まります。国内ではインフレ、海外には通貨安の状態になります。通貨を多く発行していると為替相手国に対しては通貨安になることが多いと言えます。

国際収支

例えば経営収支の赤字が続く国では資本が流出するため、自国通貨が売られ外国の通貨が買われて為替相場は下落傾向になります。

以上4つの要因をお伝えしましたが、為替レートを決める要因は物価、金利、マネー供給量(量的緩和策)、経済力(GDP成長率、雇用統計)、国際収支(経常収支)という5つです。

この中で短期的な影響は、マネー供給量、経済力の部分でしょう。

その一方で物価、金利、国際収支は短期的にも影響があるものの、中長期的にみると大きな要因になります。

物価を考えてみると、購買力平価(PPP)と表示。ある国である価格で買える商品が他国ではいくらで買えるかを示した交換レート。

日本では、200円で買える商品が米国では2ドルだとすると100円=1ドルが購買力平価になる)による為替レートは長期的な市場レートの動きに非常によく似ています。

この購買力平価の理論は、日本の円安や円高を説明することができます。

例えば、長期的デフレが続いている日本では物価が上がらない状態です。

一方、米国はリーマンショック後の量的緩和によりインフレ傾向が強く、円は一方的に高くなります(ドル供給量が多くなれば円が少なくなるので一方的に円高になるということ)。

このように購買力平価は、長期的に見ると為替レートに影響を及ぼしていることがわかります。

金利を考えると日本は低金利政策が恒常的です。そうなると実際の為替レートとは逆のトレンドになっています(※補足)。

本来理論的には金利は長期的に影響するものですが、現在の超中期的視野に立つと物価が為替レートに与える要因であることがわかります。

説明が少し複雑になりましたが、短期的要因や長期的要因には様々な理由があります。それぞれのセオリーがありますが、理論値と異なるのが為替相場です。

今の日本が低金利政策を続行している限り、この通常のセオリーは通用せず、日本のデフレが終了すれば為替の転換点になります。

短期・中長期と色々見方がありますが、それぞれは相関性があり何等かの理由があり為替相場が動いています。

まずは短期的な動きに慣れてから、理論を理解した上で中・長期的な視野を持つようにしましょう。

(※補足)

低金利通貨が続くと自国から資本が流出し、通貨売りが起こり為替レートは低下して円安になります。

高金利通貨ならその国に資本が流入して通貨買いが起こり為替レートは上昇するので円高になります。本来の理論ですが、実際にはその通りになっていません。

円安になろうが円高になろうが、利益を出せるのがFXの強み

円安や円高の要因を説明しましたが、円安になろうが円高になろうが利益を出すことが可能なのがFXです。

外貨預金が一方的に購入時より円安に動いた時のみ、利益が出ることを考えると非常に柔軟な商品になっています。

FXではロングとショート(買い・売りのこと)があります。

FX投資では円で買い、円安が進んだところで売って利益を出すのが一般的なスタイルですが、その逆もあります。

売りから入って後から買い戻すことで利益を出すスタイルです。

先ほどのロング・ショートは、例えば米ドル/円ロングといったら、米ドルをロング/円ショートという意味です。

つまり米ドルを購入して円を売ることになります。ショートするという表示になると売りから入るという意味になります。

売りから入ることを空売りと言いますが、わかりにくいので少し解説しましょう。

例えば、1ドル100円レートで1万ドルを買い、1ドル110円になったところでそれを売り、10万円の利益を得るのが「買ってから売る」というスタイルです。

その逆は、1ドル110円レートで、1万ドル(110万円)を売り、1ドル100円になったとき、1万ドル(110万円)を買い戻すことで10万円の利益を得る方法です。

これが売りから入るというスタイルで、実際には持っていない1万ドルを取引会社から借りるような感覚で取引します。そのため空売りという呼び方をします。

ロング・ポジションは円安に進んで外貨高になることで含み益を狙います。ショート・ポジションは円高に進むことで外貨安になることで含み益が乗ることです。

これにより円安でも円高でもどちらでも儲けることが可能になります。

取引にかかるコストは、ロングとショートで異なる!

外貨の値動きを見て行くと円高や円安は問題ないように見えます。しかし、FX取引では他の要素も関係してきます。

それがスワップ・ポイントと言われる日本円と外貨の金利差です。現在の日本は低金利状態が続いています。そのため世界のどの通貨を購入したとしても、スワップ・ポイントはプラス金利です。

米国も量的緩和政策を行っていますが、日本円の方がはるかに安い金利です。ロング・ポジションで外国為替を購入する場合、日々スワップ・ポイントが付くことになります。

その逆に、ショート・ポジションで開始する場合、日本以外のどの通貨でもスワップ・ポイントを負担する立場になります。

シンプルに考えると、ショート・ポジションで含み益になるのは外貨安の時で円高の時です。円高と円安の利益を考えた場合、取引のトータルコストは同じではないということです。

スワップ・ポイントを得ることを目的にするのか、しないのか

FX取引において、スワップ・ポイントという視点で考えると確かにロング・ポジションのメリットの1つです。ただし、金利だけを考えると外貨預金のほうが安全性の高い商品です。

その理由は、FXのロスカット(含み損が大きくなりすぎた場合に自動的に行われる強制決済のこと)や追加保証金(保証金維持率が25%を下回った場合に追加入金する保証金のこと)というコストです。

レバレッジ1倍で取引したらロスカットが無いかというとそうではありません。

一方で、外貨預金はこのようなロスカット・追証という考え方はなく、長期運用で金利収入を得る方法です。

金利だけを考えた場合、外貨預金が向いていると考えるのはこうした理由からです。

また、損切りせずに意図しないポジションを持ち続けて、スワップ・スワップポイントがあるという理由で損切りしないという問題も発生します。

FXでは、スワップ・ポイントかキャピタルゲインのどちらで利益を上げるのかをはっきりしておいた方が良いでしょう。

ただし、デイトレードをするなら、スワップ・ポイントに影響されません(入手もなし、支払う義務も発生しない)。

結局、円高と円安の予想が当たらなければ、利益は出せない!

円高・円安どちらでも利益が狙えるのがFXの魅力です。

ただし、どちらに振れるのかわからなければ利益を出すことはできません。スワップ・ポイントが付いても予想が外れたら利益にはなりません。

日本は低金利政策を継続していますが、昨年度から円高傾向になっています。その理由は日米の金融政策の違いです。

ただし、この円高は来年には終了し再び円安ドル高のトレンドに戻ると期待されています。

米国の年2回の利上げを示唆する米連銀総裁の発言などや、直近のドル・円相場の8割程度は米国発の要因です。日銀のマイナス金利が円高を招いているという考えは薄いようです。

中長期的な見方としては行き過ぎた円安と円高を修正するものとして2015年の125円、今年の105円の中間の1ドル115円前後が当面の水準になるかと予想されています。

まとめ

FXは円高でも円安でも儲けるチャンスがあります。取引コストを考えると円安に振れたほうがチャンスは多いでしょう。取引コストがかかるのは資金が減ることを意味します。

また、取引で利益を上げるには、長い低金利政策から日本が抜けて5年ぶりの円高になった今できることを考えてみましょう。既に昨年度から円高傾向になっています。

米国だけでなくロシア・中国経済には変調の兆しがあり、他国の景気動向にも注意しながら取引を行うようにしましょう。安全な取引を心掛けて下さい。