ストキャスティクスって何?

ストキャスティクス(Stochastics)は日本語で推測統計学という意味の指標です。オシレーター系のテクニカル指標RSIと同様に、売られすぎに注目したテクニカル分析です。

期限を区切り、その期間の終値の一に注目し観測すると、上昇トレンドの場合はその期間の値幅上限に位置します。下落トレンドの場合は終値が下限に近づきます。

簡単に言うと、FXの価格が過去と比べて高いのか安いのかを数値化したものです。ただしチャートを見て分かるものではなく、期限を区切りその間の振幅を測る方法です。

ストキャスティクスは、冒頭でもお伝えしたRSI、サイコロジカル・ラインなどと並び評される代表的なオシレーターであり、上げすぎや下げすぎ(振幅を測るものさし)を数字で表したものです。

 

考案者

ストキャスティクスは1950年代にジョージ・レーン(1921年- 2004年7月7日)によって開発されました。彼はトレーダーであり、テクニカルアナリストでもありました。

ストキャスティクスは、テクニカル分析の中でも今日でも使用されているコア指標の一つです。彼はその50年のキャリアをEFハットン社(証券会社)で始めました。

またトレーディングだけにとどまらず、高度なテクニカル分析の方法を投資家や金融の専門家に教え、ストキャスティクス普及に尽力しました。

 

考え方

ストキャスティクスは、過去における高値、安値に対して当日の終値がどの位置にあるかを数値化したものです。

この指標には「%K」「%D」「%SD」の3つの指数から構成させています。言い換えると現在の相場水準が一定期間の変動幅の中で、どの程度の強さ(売られ過ぎ・買われ過ぎ)なのかを見るものです。

 

計算式

基本の指数「%K」は、一定期間内に動いた値幅の範囲を100とした場合、現在価格(直近の終値)がその何%に位置するのかを示す数値です。

%K={(直近の終値-安値)÷(n期間の最高値-n期間の最安値)}×100

※「%D」はある一定期間を設定し、その期間は%Kで使った期間とは異なる期間にします。

%D={直近のn’日(直近の終値-過去n日の最安値)の合計÷ (直近n’日の(過去n日の最高値-過去n日の最安値)の合計)}×100

とても複雑に感じるので、分かりやすく言うと、

{(現在値-安値)の期間分の合計÷(高値-安値)の期間分合計}×100

と考えてください。

*「%SD」=直近n”日の%Dの単純移動平均(ある期間の%Dの平均)

*日数n=14日・9日・5日

*日数n’=3日

*日数n”=3日

 

式を分かりやすくするための例

%Kを算出するための日数n=5日、%Dの日数n’=3日にします。

前々日、前日、当日のそれぞれの過去5日の[高値-安値]を出します。%Kの分母になります。これを3日分合計します。

 

そして、前々日、前日、当日のそれぞれの過去5日の[直近の終値-安値]を出します。これが%Kの分子になり、これを3日分合計します。

これらの数値は、%Dを求める時の分母と分子になります。%SDは日数n”の%Dの平均です。つまり日数n”が3日なら[3日分の%D÷3]で計算することができます。

次に実際の数字を当てはめて考えてみましょう。

 

%Kの算出

%Kの日数nは5日を使用して、5日分の変動幅の中で現在の為替価格がどの位置にいるかを表します。具体的な数字を入れてみます。

[為替価格推移例]*実際と異なります。

価格 +-
1日目 100円  
2日目 120円 +20円
3日目 110円 ▲10円
4日目 140円 +30円
5日目 180円 +40円
6日目 190円 +10円
7日目 160円 ▲30円
8日目 150円 ▲10円

上記の表を基に計算してみます。

<5日目>

{180円(5日目)-100円(1日目)}÷{180円(5日目)-100円(1日目)}×100=100%

<6日目>

{190円(6日目)-110円(3日目)}÷{190円(6日目)-110円(3日目)}×100=100%

<7日目>

{160円(7日目)-110円(3日目)}÷{190円(6日目)-110円(3日目)}×100=62.5%

<8日目>

{150円(8日目)-110円(3日目)}÷{190円(6日目)-140円(4日目)}×100=20%

%Dの算出

%Dは%Kを移動平均化したものです。使用される日数は3日です。%Kの例から求めてみましょう。

<5~7日間>

(100+100+62.5)÷3=87.5%

<6~8日間>

(100+62.5+20)÷3=60.83%

計算式は難しいように感じましたが、実際に数値を入れて計算するとさほど難しいものではありません。

そしてそこから計算して出すと以下のようなグラフになります。

 

[ストキャスティクス例]

*グラフは%K、%D、% SD

*実際と異なる場合がありますので例としてご覧ください。

 

売買のポイント

%Kは0から100までの間を動きます。最新の価格が%Kを算出する期間の最高値に近ければ近いほど数値は大きくなります。最新価格が最高値なら%Kは100、最安値なら0になります。真ん中なら50と考えます。

 

%Kは上昇トレンドなら100を上限として上昇トレンドを辿り、下落トレンドなら0を下限として下がります。%Dはある期間の%K(上記の%Dの計算例でもわかるように)の平均した値なので、やはり動く範囲は0から100になります。

ただし、動きは%Kに遅れて動きます。また%Dの平均である%SDはさらに%Dよりも遅れて動きます。

 

ストキャスティクスはこの3つの指数を単独か組み合わせて使います。組み合わせは色々ありますが、一般的に使われる3つについてご紹介します。

 

①%K単独

シンプルな使い方として%Kだけ単独で使う方法があります。100に近い高水準ゾーンや0に近い低水準ゾーンに来たら逆方向の動きに注意する警戒シグナルとして捉えます。

  • 売りシグナル=高水準ゾーン
  • 買いシグナル=低水準ゾーン

上記の売りと買いのシグナルは逆張りの売買シグナルとしてもよく使われます。高水準と低水準の基準は80%と20%、75%と25%、70%と30%などがよく使われているようです。

 

②ファスト・ストキャスティクス(Fast Stochastics)

%Kと%Dを組み合わせて使う場合に、ファスト・ストキャスティクスと呼んで、トレンド判断や売買シグナルとして考える方法です。

%Dが%Kより遅れて動くので上昇トレンドにある時は、先に%K、遅れて%Dが上昇します。上昇が鈍り、高値更新がなくなれば%Kは先に頭打ちになります。

 

高値水準が下がり続け%Kが%Dと下に抜けるデッドクロスの状態になった場合は、売りシグナル、逆に%Kが%Dいずれも下がり、低水準ゾーンで%Kが%Dを上抜けするゴールデンクロスになった場合は買いシグナルになります。

  • 買いシグナル

%K・%D共に20%以下の時に、%Kが%Dを下から上抜いた時

  • 売りシグナル

%K・%D共に80%以上の時に、%Kが%Dを上から下抜いた時

 

③スロー・ストキャスティクス(Slow Stochastics)

スロー・ストキャスティクスは、%Dと%SDを組み合わせて使います。

ファスト・ストキャスティクスと同じ使い方で、高水準ゾーンで%Dが%SDを下抜けるデッドクロスが売りシグナル、低水準ゾーンで%Dが%SDを上抜けるゴールデンクロスは買いシグナルとして考えます。

  • 買いシグナル
  1. %Dと%SDが20%以下の低水準の時、%Dが%SDを下から上抜けた時
  2. 逆行現象(ブリッシュ・ダイバージェンス)となり、価格は下落しているがストキャスティクスが保ち合いから上昇に転じる時
  • 売りシグナル
  1. %Dと%SDが80%以上の高水準の時に、%Dが%SDを上から下抜いた時
  2. 逆行現象(ベアリッシュ・ダイバージェンス)となり、価格は上昇しているがストキャスティクスが保ち合いから下落に転じる場合

 

注意点

ストキャスティクスは、レンジ相場(一定の変動幅の範囲内で価格が上下することを繰り返す)では有効な方法ですが、トレンド相場(次々上値または下値を更新し、流れが一定方向に突き進む相場)では有効ではありません。

 

ストキャスティクスは上記でも解説したように、何%以上を高水準とし、何%以下を低水準にするかによってもシグナルの出方が違ってきます。

またどの程度の期間が最適か、高水準と低水準の%は何を基準にするとよいのかは一概に言えません。相場の状態によって効果の有る無しが決まることです。

 

テクニカル指標は色々な使い方ができるのですが、その相場を読み違えると逆効果になることもあるので注意が必要です。

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