DMI(Directional Movement Index)の詳細

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DMIとはDirectional Movement Indexの略でトレンドの強さや大きさを指数化したもので、日本語では方向性指数と訳されます。テクニカル分析の中では多くの記号を使っていきますが、DMIも記号を使って表示します。

DMIでは、主に+DI(上昇方向)、-DI(下降方向)、ADX(トレンドの強さ)の3つの指標を利用します。このDIを出すためにはDM(変動幅)を算出する必要があります。

ここではこのようなDMIに関する考え方、計算式、売買ポイントについてわかりやすく解説します。

 

考案者

考案者はJ.W.ワイルダー(John Welles Wilder.Jr/1978年~)でテクニカルトレーディングの第一人者として活躍した米国投資家であり、テクニカルアナリスト、投資アドバイザーです。

数あるトレーディングシステムの中でもワイルダーの開発したものが世界中で最も多く使われています。テクニカル分析の研究をしたり、投資を始めると必ずワイルダーの名前を聞くはずです。

もちろん彼のテクニカル分析はすでに古典になり、今では転用や改変、改作されて今でも投資家やアナリストに影響を与え続けています。

考案された計算式は非常にシンプルでありながら独特のコンセプトに満ちており、彼の指標群はテクニカル分析のバイブルとして今も相場の世界では息づいています。

彼の著書「New Concepts In Technical Trading Systems」はテクニカル分析の原点ともいわれ、出版当時は画期的と評され今でも普遍的な価値を有しています。

 

考え方

DIを算出するためにはDM(Directional Movement)という方向性を出す必要があります。これは前日と当日の変動幅(上昇・下落幅)を比較して方向性を分析します。

冒頭でも上昇下落の上下方向に加えて強さの3つの指標が必要だとお伝えしましたが、実質変動幅というTR(True Range)という計算が必要になります。

考え方としては価格の上昇・下落幅を数値化し、トレンドの方向性と強弱を分析していく方法です。

簡単に言うと

(1)当日の高値・当日の安値のどちらかが前日の高値・前日の安値に比べてどちらか大きいほうを比較する

(2)当日値幅が前日の高値または安値に比べてどちらが大きいのか比較する

(3)一定期間の平均値を計算し、トレンドの強弱を数値化する

という考え方です。

これを基に、強気筋(買い方)と弱気筋(売り方)の勢力を計測しトレンドを見極めます。

当日の高値が前日の高値を上回る時は強気筋優勢として上昇、当日の安値が前日の安値を下回る場合は弱気筋優勢として下落といように考えます。

文章にしてしまうと難しく感じてしまうので、次に実際に例をもとに計算してみましょう。

ここでのまとめは

+DIは高値更新が継続して上昇することで+DIの上昇は上昇トレンド

-DIは安値更新が継続して上昇することで-DIの上昇は下落トレンド

と考えます。

ADXは相場の方向性・強さを表す指標で、トレーディングしている方の多くは現実的にはADXを使って相場が横ばいか上昇・下降かを判断することが多いようです。

 

計算式

方向性の分析

変数DMは3つに分かれます。

当日のDMが

①当日の高値から前日の高値を引いた差(値は+と-の両方あり)

②前日の安値から当日の安値を引いた差(値は+と-の両方あり)

③ゼロ

のいずれかになります。

そして、DMを+DMなのか、-DMなのかに分別します。

次に分かりやすく図解していますので、それを見ながら計算してみましょう。

 

①当日の高値から前日の高値を引いた差(値は+と-の両方あり)

+DM=当日の高値-前日の高値(上昇幅は上昇方向に増加したので上昇が強い)

②前日の安値から当日の安値を引いた差(値は+と-の両方あり)

-DM=前日の安値-当日の安値(下落幅は下落方向に増加したので下落が強い)

③ゼロ

+DM<0なら+DM=0(当日の高値が前日の高値を上回らない)

-DM<0なら-DM=0(前日の安値が当日の安値を上回らない)

+DM>-DMなら-DM=0(当日の-DMが+DMを下回ると-DM=0)

-DM>+DMなら+DM=0(当日の+DMが-DMを下回ると+DM=0)

実際に、ここでは+と-の数字があるように思えてしまいますが、下の表を見てもらうと+DMと-DMは0以上の数として表されます。

+や-は0以上や以下を表示するのでなく、上げ幅・下げ幅を表示する変数というように考えてください。

以下は分かりやすく数字を当てはめています。

始値 高値 安値 終値  

+DM

 

-DM

1日 400 420 395 415
2日 415 425 415 420 420-415=5 395-415
3日 425 425 410 415 425-425 415-410=5
4日 415 420 405 415 420-425 410-405=5

上記の表を見れば実際の考え方が分かります。

数字が出ていないところは0と考えるという意味がわかります。このように変数DMを求めたら次は実質変動幅の計算を行います。

 

実質変動幅の計算

実質変動幅は1日の変動幅(True Range)のことで、ここで初めて先ほどの例で出てきたDMをTRで割って+DI・-DIを出すことができます。

実質変動幅は変動幅の増加分を指し、下の図でいうと表AからCの中で一番大きい数字を使用します。

上記の表は以下のような形で数字が算出されます。

図A 当日の高値-当日の安値

図B 当日の高値-前日の終値

図C 前日の終値-当日の安値

そしてこの3つの値幅の中から最大値を当日の実質値幅として考えます。またDMIではTRの平均値(Average True Range)を使って計算されます。

 

方向性指標の計算

方向性指標(DI=Direction Indicator)は方向性(DM)を実質変動幅(TR)で割り、方向性指標を計算する方法です。

+DI=+DM÷TR(直近のN日間の+DMの平均)÷(直近N日間ベースのATR)

-DI=-DM÷TR(直近のN日間の-DMの平均)÷(直近N日間ベースのATR)

ここで初めてDIが求められます。この日間に関して、ワイルダーはN=14日間を採用しています。

指南書にはそれぞれ14日間の+DM及び-DMの合計を14日のTRで割るように解説されています。どちらでも構いません。

このとき出た数字は100%を最終的にかけると

+DI 上昇の強さ

-DI 下落の強さ

を初めて知ることになります。

 

方向性指数の計算

方向性指数(DX=Directional Movement Index)は方向性の強さを示す先ほどの(3)で出した+DIと-DIの差を+DIと-DIの合計で割り数値化したものです。

これはトレンドの強弱を認識するためのものです。

数式にすると以下のようになります。

DX={+DI-(-DI)}÷{+DI+(-DI)}

DXは上昇や下落に関わらずトレンドが強くなると増加し、弱くなると減少する傾向にあります。DXが反転する場合はトレンドが反転する可能性が高いと考えていいでしょう。

 

ADX

ADXはAverage Directional Movement Indexの略で、株価トレンドの強さを示します。

ADXRは(4)のDXの指数平滑移動平均線(EMA)になります。先ほどDXを計算しましたが、その直近のN日間の平均がADXとなります。

これはディレクショナルラインという+DIと-DIの差を見ていきます。実際にトレンドが強くかつ継続する場合は、ディレクショナルライン(+DIと-DIの差)は拡大していきます。その場合ADXは上昇します。

逆にADXが下落する場合にはトレンドが弱く、反転するかもしくはレンジ相場に移行するのでディレクショナルラインの差は縮小します。通常日足ではワイルダーと同じ14日間、週足では14週間、月足では14か月が使われます。

 

売買ポイント

単純に言うと+DIが-DIを下から上に抜いた時が「買いシグナル」とし、+DIが-DIを上から下に抜いた時が「売りシグナル」とされます。売買ポイントはこのように+DIと-DIがクロスした時と言われています。

+DIが-DIより数値が高ければ上昇トレンド、-DIが+DIより大きい場合は下降トレンドとして見ていきます。この上昇と下降のトレンドが変わる時が売買ポイントとなります。

それにADXを考えてみるとADXはトレンドの強さを示します。(4)で計算した時に絶対値を使って計算しているので、ADXの数値が上がる場合はトレンドが継続していることを示しています。

※上表のグラフは+DI、-DI、ADXとなっています。

この場合、最初の丸囲みは+DIが-DIを下から上に抜いているので「買いシグナル」、2番目の丸囲みは-DIが上から下に抜いているので「売りシグナル」という判断になります(実際の売り買いの判断とは異なりますので参考としてご覧ください)。

 

DIMのポイントと見方について

+DIはローソク足の動きと相関し、-DIはローソク足とは逆になります。+DIが-DIより上にある時は株価が上昇トレンドか上昇基調にあるととらえて、その差が大きければ大きいほど相場の勢いが強いと判断されます。

-DIが+DIより上にある時は株価が下降トレンドか下落基調にあるととらえて、その差が大きいほど相場の勢いが強い(先ほどとは逆の意味で)と判断されます。

ADXが上昇や下落のトレンドの強さ(これは相場の勢いと同じ意味です)を表し、+DIとADXが一緒に上昇している場合は上昇トレンドの勢いが強いことになり、逆に-DIとADXがともに上昇している時は下降トレンドの勢いが強いということになります。

先ほど解説した+DIが上向きで-DIが下向き、ADXが上向きに3本クロスしている時は「買いシグナル」として認識し、+DIが下向きで-DIが上向き、ADXが上向きに3本クロスしている時は「売りシグナル」として認識します。

 

Extreme Point Rule

ワイルダーは取引ルールに関して極値ルールがあり、以下のようにまとめています。

+DI>-DIの時に高値高値を更新したら買いシグナル

+DI<-DIの時に安値安値を更新したら売りシグナル

これをベースに以下の設定で買いシグナル・売りシグナルを決めます。

 

①クロスオーバールール

・買いシグナルは+DIが-DIを下から上に抜く時

・売りシグナルは+DIが-DIを上から下に抜く時

 

②エクストリームポイントルール

+DIが-DIがクロスするバーの極値

・上昇クロス(+DIが-DIを下向きにクロス)は価格が極値(クロスした時点の高値)を上抜けるまで待つ

・下落クロス(+DIが-DIを下向きにクロス)は価格が極値(クロスした時点の安値)を下抜けるまで待つ

 

③ターニングポイントルール

ADX>+DI&-DIの時、ADXの下落がトレンド転換のシグナル

ADX<+DI&-DIの時、トレンドフォロー方のシステムは避ける

 

 

表の見方をご説明しましたが、実際の取引ルールは多少複雑です。ADXが25以上であればトレンドの相場なので順張り、25未満の場合はレンジ相場が高いとみなされて逆張りで臨むとされています。

先ほどの図表では+DIが-DIの下から上に突き抜けた買いシグナルでは実際にはADXが25以上ある時が望ましいので、単純に+DIが下から上に突き抜けただけでは買いシグナルの判断はできません。

利食いといってADXが+DIと-DIの上から反落したり、損切りといって+DIが-DIを下抜けるようなことが起こります。売りシグナルも同様で、ADXが+DIと-DIの上に突き抜けた時(25以上)が理想的と言われています。

つまりどちらもADXは25以上ある時に売り・買いのシグナルを出すほうがいいと考えます。このあたりは実際に取引をしてみるとわかる部分なので是非トレードに参加してみましょう。

 

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