キャッシュアウト開始でデビットカードがあればレジをATM代わりに使える?

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欧米では広く普及しているデビットカードのサービスの一つである「キャッシュアウト」が、日本でも導入を検討されています。

では、キャッシュアウトとはどんなサービスなのか、また、日本で導入するにあたってのメリットや課題は何か、ということが気にあるのではないかと思います。

 

いくら利便性の高いサービスであったとしても、どういったサービスであるのかということがわからなければ、利用のしようがありません。

そこで今回は、デビットカードで利用できるサービスであるキュアッシュアウトについて解説していきます。

「キャッシュアウト」とはどんな仕組みなのか

まず、「キャッシュアウトとはどんなサービスなのか?」という基本的な内容について解説していきます。

買い物と同時にレジから現金を引き出せるサービス

まず、キャッシュアウトというサービスは、「デビットカードでの決済時に、現金を同時に引き落とすことができるサービス」となります。

例えば5,000円の決済をデビットカードで支払う際に、キャッシュアウトとして1万円を指定すると、支払いをカードで行い、同時にレジから1万円を引き出すことができるのです。

そして、決済が完了したら銀行口座からは決済額5,000円と、キャッシュアウトの1万円の合計15,000円が引き落としされるという仕組みです。

 

特に、ATMでの現金の引き出しにリスクの伴う外国では、キャッシュアウトが普及しています。

人の多い屋内で現金を安全かつ手軽に引き出すことが、海外での普及につながっているのです。

ATMと違い手数料無しで口座のお金を引き出せるのが最大の魅力

キャッシュアウトを利用する上での大きな魅力として「手数料無しで現金を引き出すことができる」という特徴があります。

現金をおろすのに手数料がかからない点が魅力であり、手軽に利用できることとあいまって多くの人に利用されているのです。

キャッシュアウトは小売店にもメリットのある仕組み

実は、キャッシュアウトは利用者だけでなく、それを提供する小売店側にも一定のメリットが存在しているのです。

キャッシュアウトを利用できる小売店においても、カード手数料を負担する代わりに「現金をおろすのを目当てのお客から商品を買ってもらえる」というメリットがあるのです。

 

要するに、「現金を引き出したい」「あのスーパーマーケットでキャッシュアウトが利用できる」「なら、買い物ついでに現金も引き出してしまおう」ということになるのです。

キャッシュアウトを利用する利用者の、普段使いの店舗になる事により、顧客を確保することができるというわけです。

日本でのキャッシュアウトの導入計画について

次に、日本でのキャッシュアウトの導入計画について解説していきます。

2017年から導入される見込みで計画中

日本では、現在では2017年からのサービス開始を目処に、金融庁の金融審議会が導入の検討を行っています。

個人的な見解としては、こうした「デメリットやリスクも伴うサービス」の普及は、予定よりも遅くなるのではないかと考えています。

キャッシュアウトが抱える問題点については後述します。

小売店だけでなく、将来的にはタクシーや宅配業者にも導入を検討

キャッシュアウトの日本導入に関しては、将来的にキャッシュアウトを利用できる場所を増やすことが検討されています。

基本的に「小売店」での利用がメインになるとは思いますが、さらに「タクシー」や「宅配業者」のように、カード払いを利用する機会のある場面においてキャッシュアウトを利用できるようにするという仕組みです。

 

利用できる場面が増えることで、キャッシュアウトの利便性は増加します。要するに「ATMを増やす」のと同じような利便性を確保できるということになるのです。

利便性のあるサービスであれば、各企業も顧客の獲得のために企業間競争の一環として導入を検討する可能性があります。

郊外などのATMが少ない地域での活用も大きな目的

また、日本独自のキャッシュアウト普及の目的として、「ATMが少ない郊外などでの利便性向上」が含まれているという側面も少なからず関係しています。

ATMが少ないエリアでは、キャッシュカードを使っての現金引き出しの場が少なく、特に給料になればATMに行列を作ってしまうことになります。

 

キャッシュアウトを「ATMの代わり」と位置づけすることができれば、利便性を大幅に向上させることができます。

この観点から見れば、ATMの少ない地域に立地する商業施設でのキャッシュアウトの普及が促進されるのではないかと考えることもできます。

もちろん「デビットカードの普及」も大きな目的の一つ

もちろん、キャッシュアウトの普及を通じて「デビットカードを普及させる」という狙いもあります。

むしろ、ある見方をすれば、日本での利用者が伸び悩んでいるデビットカードを普及させることが一番の目的と言っても過言ではありません。

 

キャッシュアウトが利用できるということによって、「デビットカードの利便性を高めることができる」という側面もあります。

多機能になればなるほど価値が上昇するものですが、キャッシュアウトのように「生活に直結する利便性」ともなれば、デビットカードに対する付加価値の上昇幅は大きなものになります。

特に、利用できるATMの数が少ない郊外の場合であれば、さらにデビットカードの付加価値は高まるものであると予想できます。

 

「ゆうちょ銀行」が民営化したことにより、利益拡大のためにデビットカードの普及に力を入れだしているという動きがあります。

国際ブランドに劣るJ-Debitカードの魅力を増やし、利用拡大を狙っているとも言えます。

キャッシュアウト導入には課題もある

しかし、キャッシュアウトが普及することには、一種のリスクも存在することになります。

これを解決しない限り、日本でのキャッシュアウト普及は遠のくのではないでしょうか?

レジで人が保管をするというリスクがある

まず、「レジで人が保管する」ということのリスクです。

これには2種類のリスクが存在しています。

まず、ATMよりもレジの方が「強盗」に遭うリスクが高いということです。

ATMほどではないにしても、現金の保有金額が高く、かつセキュリティのレベルもATMほど高くないレジは、強盗目的の人物に狙われやすくなっています。

人は機械とは違って恐怖するため、凶器を使って脅されればレジ内のお金を明け渡してしまう可能性があります。

ATMの場合、凶器をちらつかせて脅すなんてことはできませんから。

 

もう一つのリスクは人が受け渡しを行うため、ミスを起こすリスクも高まるということです。

ATMの場合、お金をやり取りするのは利用者と「機械」です。

機会が完全無欠であるということではありませんが、精密機械であるATMが金額のミスを起こすことはあまり考えられません。

可能性がゼロではないとは言っても、「人対人」のやり取りが基本となるキャッシュアウトと比較すると、そのリスクは大幅に異なります。

 

今まで「利用者の預金に影響を及ぼす」という仕事をしてこなかったレジ担当者が、いきなり数万円単位でお金をやり取りすることになるのです。

そうなれば、自ずとミスも多くなります。特にサービス提供開始直後ともなれば、ミスの発生件数も多くなることでしょう。

そうなれば、利用者は激減することになります。

利用者のいなくなるサービスなど、継続する理由はありません。

 

加えて、日本の場合であれば「コンビニATM」での現金引き出しも可能ですし、コープなど一定規模の施設にはATMが設置されていることが多いです。

そのため、「ミスを起こす可能性が圧倒的に高いキャッシュアウト」を、わざわざ利用するということに対する需要がどこまで高まるのかという疑問もあるのです。

利便性自体はそれなりにあるのでしょうが、それを運用するためのリスク対策が充分でないと普及は難しいのではないかと思います。

タクシーや宅配業者は高額な金額を保有しておくことが難しい

次に、前述の「タクシー」「宅配業者」といった、キャッシュアウトの導入を検討している業種の場合、「高額な金額を確保する」ということに対する管理能力も問われます。

「移動をし続けること」「スタッフが1名で対応をすること」など、高額な金額の管理が難しいというのが現状であると言えます。

 

現在、タクシーや宅配便の「代引き」などでは、利用者が決済をする際のお釣りを支払う能力は十分に確保されていると言えます。

一部、時間帯等によってはお釣りの支払いにも手間取ることもありますが(筆者は昔、タクシー代を1万円で支払おうとしたらコンビニで崩してくると言われたことがある、数千円のお釣りが支払えないためである)、基本的に1万円未満の金額を支払う能力は維持できていることが多いです。

 

しかし、キャッシュアウトのように「数万円を引き出す」という目的で利用される場合だと、それに見合うだけの金額を保有しておかなければならないということになります。「今、3万円までしか引き出せません」と言われてしまえば、ATMと比較してその利便性は極めて限定的なものになってしまいます。

特に給料日ともなれば、数人の利用者だけでタクシーや宅配業者の懐はすっからかんになってしまうことでしょう。

 

さらに、レジの場合であれば基本的に店員や社員に対応を求めることも可能です。

担当者に何かわからないことがあっても、他の店員や社員に聞くことで対応することができます。

しかし、タクシーや宅配業者のように、一人で業務を行うような場合だと、何かトラブルがあったときなどに対応しきれなくなる可能性があります。

この場合でも「人が対応する」という部分がネックになるのです。

新サービスの登場による詐欺の可能性

最後に、キャッシュアウトという「新サービスの提供が、詐欺行為の温床になりかねない」というポイントです。

これはキャッシュアウトに限ったことではないのですが、新しいサービスが開始された直後はそのサービスを利用した詐欺犯罪が多発しやすいという側面もあります。

 

特に、高齢者の利用が多いサービスでもあることを考えると、詐欺被害の可能性が非常に高いのです。

より近場から現金を引き出せる仕組みとなるので、高齢者が利用するという場面も多く見られることでしょう。

しかし、リスク管理が疎かになる高齢者の場合、詐欺被害に遭いやすいというリスクがあります。

 

高齢者に限らず、キャッシュアウトの仕組みやサービス利用の背景を悪用した詐欺行為が行われるということは、容易に想像することができます。

もちろん、そうしたリスクを踏まえた上でサービスというものは提供されるものですが、ここまで説明してきたキャッシュアウトのメリットとデメリットを総合的に判断して、果たして犯罪行為の温床となりかねないサービスの提供を開始すべきであるのかという疑問も生まれます。

 

確かに、キャッシュアウトには一定の利便性があることは事実です。

ですが、現状において代替手段も十分に普及している状況において、犯罪に利用されてしまうリスクを犯してまでキャッシュアウトを普及させる必要があるのでしょうか。

日本においてキャッシュアウトを普及させるためには、既に述べたリスクをいかにして緩和・回避させることができるのか、犯罪行為に悪用されるリスクをいかにして減少させるのか、未だに多くの過大が残されているということを重く受け止め、解決していく必要があると言えます。

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