つらい妊娠初期症状がある妊娠3か月が終わり、安定期目前の妊娠4か月へ。
赤ちゃんはめまぐるしい成長を遂げ、ママも少しずつ体重の変化を感じ始めるころです。
この時期の赤ちゃんとママにはどのような変化があるのでしょうか?
妊娠4ヶ月とは?
妊娠4か月とは、妊娠12~15週目にあたり、安定期直前で体調も好転してくる時期を指します。
つわりや眠気など妊娠初期症状が落ち着き始めることから、少しずつ食欲がわいてくるママも多くなります。
体も妊婦らしいボディラインになり、これまで着ていた服のサイズが合わなくなってきます。
おなかの中では胎盤が完成してきます。
胎盤ができる前は、ママの血中から栄養や酸素が直接赤ちゃんに届けられていましたが、完成後からは胎盤がフィルターとして活躍し、胎児に悪影響のある物質を止めてくれます。
赤ちゃんは胎盤から栄養や酸素をもらい、老廃物は胎盤からママを通じて排出するようになります。
この栄養を運ぶ役割を果たすのが、へその緒(臍帯:さいたい)です。
へその緒で胎盤と胎児がつながると、赤ちゃんの成長スピードも一気に加速し、ママの食生活も重要になります。
しかし、いくら胎盤がフィルターになるとはいえ、薬の服用や飲酒・喫煙しても大丈夫というわけではないので、これまで通り生活習慣には気をつけてください。
妊娠4ヶ月の症状や状態
胎盤とへその緒で赤ちゃんがつながる妊娠4か月には、胎児の成長も顕著に。ようやく赤ちゃんらしい体つきになり、妊婦検診でわが子に会えるのがとても楽しみになりますよ。
赤ちゃんの様子
体つきに個人差が出てくる
4か月には、赤ちゃんも身長は約2~3倍、体重は5~6倍に成長。
大きさにも個人差があらわれるようになります。
しかし、このときの体重はおなかの厚みや横幅、骨の長さなどから割り出されたもので、当然誤差もあります。
「小さすぎやしないかな」「もうちょっと食べないといけないのかな?」と不安に思うことはありません。
筋肉の発達から、かわいらしいしぐさも見られる!
このころには、器官形成期に作られた消化器官も働き始め、乳歯の元も作られます。
また、髪の毛や産毛も同時期に生えはじめ、透明だった皮膚も不透明に。
体つきは2頭身から赤ちゃんらしいバランスのとれた体格へと成長し、検診のときにはいろいろな動作も見られます。
これは筋肉が急成長した証で、手を握ったり開いたりといった、掌握反射が備わります。
胎動として感じるのはまだ先ですが、足でおなかを蹴ったり歩行しているように動かしたりといった行動も、おなかの中で繰り返しています。
また、ママのおっぱいを吸うために大切な「吸てつ反射」という原始反射が備わるのもこのときで、口に触れたものに吸いつこうとします。
おなかの中で指をしゃぶるところがみられることがあります。
脳も急成長!ママの感情が伝わるようになる
脳の発達も著しく、妊娠4か月には感情をつかさどる部分(間脳・大脳辺縁系)が完成に近づきます。
この時期にはママのストレスが赤ちゃんに影響するといわれていますので、ゆっくりお風呂に入ったり音楽を聴いたりして、のんびりした気持ちで過ごしましょう。
生殖器の形が明確に!運が良ければ男女判定できる
待ちに待った男女の判別がつきやすくなるのも、妊娠4か月!
このときには生殖器の形がはっきりしてくるので、運がよければ性別がわかります。
ただ、赤ちゃんの向きによっては生殖器が見られないので、100%確認できるというわけではありません。
検査時の見間違いもあり、「女の子だと検査で聞いたのに、生まれたら男の子だった」なんてこともよくあります。
しかし、妊婦検診は赤ちゃんとママの健康状態や、発育状況に異常がないかといったことを確認することが一番重要。
病院によっては、トラブルになるのを防ぐために「性別は生まれるまで教えない方針」というところもあります。
そもそも、産婦人科医は性別を教える義務がないので、もし知りたいなら病院の方針も調べておいた方がいいでしょう。
ママの様子
子宮の変化からくる症状
妊娠4か月の終わりごろには、子宮の大きさが子どもの頭くらいになり、ラインの出る服を着ると妊婦だということが一目瞭然になります。
子宮が大きくなるにつれ、腰痛や腹痛を感じやすくなりますので、つらいときにはソファーやベッドでゆっくりと休みましょう。
このころから、子宮底長といって、恥骨の上端から子宮最上部までの長さを測る検査が加わります。これは、胎児の発育状況や羊水の量を確認するため。
羊水の量が極端に少ないと、赤ちゃんが排泄の練習ができていないことになり、腎機能障害の可能性も考えられるからです。
妊娠4か月の子宮底長は、大体12cmが平均的な長さになります。
体重管理に注意!
つわりも和らぎ、食欲が戻ることから体重も増加しやすくなるので、体重管理にはこれまで以上に気をつける必要があります。
ただし、人によっては出産直前まで気持ち悪さが続くこともあるので、食べ物や飲み物を工夫したり、病院で点滴をしてもらったりと対策を取りましょう。
ホルモンバランスの変化・ストレスからくる不調
妊娠中に継続して分泌されるプロゲステロンというホルモンの影響で、便秘や肌荒れなどが起こりやすくなります。
また、ボディラインの変化や、妊娠によるストレス・不安などから、精神的に不安定になりがちです。
赤ちゃんに栄養がどんどん運ばれていくようになるため、貧血や体調不良に悩まされることも。
この時期、めまいを起こして転倒すると命取りになりかねませんので、鉄分をしっかり補給して、自分自身が倒れないよう気をつけましょう。
また、おりものや汗の量も多いので、不快感もある時期です。こまめに下着を変えたり、着替えたりといった、対策を立てましょう。
妊娠4ヶ月の注意点
体重増加に注意!
妊娠4か月の摂取カロリーは、基本摂取カロリー+50kcalなので、赤ちゃんが急成長しているからといって急激に食事量を増やす必要はありません。
食事は「量より質」を心がけるようにしましょう。
今後は、授乳・離乳食と食事に気を遣う日が長くなるので、これを機に食生活の見直しをしてみるのもおすすめです。
妊娠前に標準体型(BMI18.5~25未満)だった人は、トータル7~12kgの増量を目安に。
これは、赤ちゃんの体重と自分の脂肪、胎盤、羊水、血液などの増加量をすべて含めた重さです。
妊娠4か月は1週間0.3~0.5kgの増量が目安なので、急激に増加しないよう注意してください。
特に妊娠中は、赤ちゃんが成長するために糖分を使うので、母体は脂肪を蓄えられるよう体質が変化します。
急激な体重変化によって、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、妊娠中毒を引き起こす可能性があるので食べすぎには気をつけましょう。
しかし、ただ気をつけるといってもなかなか難しいところ。
そんなときは食べたものを写真に撮ったり、手帳にメモしたりして、体重と一緒に記録しておくとよいですよ。
また、近年は妊娠前・妊娠中の食生活が赤ちゃんの生活習慣病発症リスクを高めてしまうという説(「成人病胎児期発症説」)もあります。
最近は低体重児の増加が指摘されており、これに女性のダイエット志向や喫煙習慣などが要因として考えられているのです。
「小さく生んで大きく育てる」とよく聞くようになりましたが、胎児期の低栄養は糖尿病や高血圧、メタボリックシンドロームなどのリスクを上昇させるというデータが出ています。
妊娠中は「赤ちゃんのために栄養を摂らなきゃ」という気持ちと、ダイエットしたい気持ちで葛藤(かっとう)することもありますが、わが子の健康を守るためにも食生活を見直してみませんか?
もちろん、太りすぎも妊娠高血圧症候群や巨大児等のリスクを高くしますので、妊婦検診できちんと確認してくださいね。
後期流産の可能性
安定期直前の妊娠4か月。流産の危険性は、妊娠12週未満よりずっと低くなります。
しかし、妊娠12週以降の「後期流産」では、母体の影響が大きくなります。
たとえば、子宮筋腫や子宮頚管無力症といった婦人系疾患がある場合、後期流産のリスクが高くなります。
もし、こういった婦人系疾患で治療を受けた経験がある人は、出産する産婦人科で必ず医師に相談してください。
また、仕事や家庭環境からくるストレスによって、後期流産が引き起こされる可能性もゼロとはいえません。
おなかの張りがつらいときや、腹痛を伴う出血があった場合には、切迫流産を疑いすぐに病院で受診しましょう。
初産の場合、「おなかが張る」というのがどういった感覚かわかりづらいと思いますが、簡単に言うと「下腹部が突っ張る」「固い」といった印象です。
普段はふにっとした感触なのに、サッカーボールのようにカチカチなおなかになっていたら、おかしいと思ってよいでしょう。
おなかが突っ張るような感じがあったときには、すぐに横になりしばらく安静に。
突っ張る時間が長い、頻度が増えてきた…というときにも、迷わず病院で相談してください。
妊娠5か月には安定期に入るので、軽い運動も楽しめるようになります。
母親学級のほか、マタニティヨガやマタニティピラティスなどに参加して、妊婦さんたちと交流してみるのもよいですよ。
経産婦からのアドバイスを聞くと、ストレスや不安も解消できます。ただし、切迫流産の疑いがある場合には、どのレベルの運動までなら可能か、必ず医師の判断を仰いでくださいね。
妊娠4ヶ月の過ごし方
戌の日の安産祈願の準備
妊娠5か月目には、わが子のために行う初めてのイベント、「戌の日」が待っています!
戌の日とは、妊娠5か月目に入った妊婦が、腹帯を締めて安産を祈願するイベントです。古事記に記載されるほど古くからあるイベントで、「犬のように安全で健康に赤ちゃんを産めるように」という意味も込められています。
どの神社にお参りするのか、だれと行くのか、服装は…?など、妊娠4か月の段階でプランを立てておきましょう。
当日、急に体調が悪くなることもあるので、その場合はどう対処するのかも検討できます。
また、腹帯を巻くことは「おなかを保温できる」、「位置を安定させる」、「腰の反りを軽減し体の負担を減らす」といったメリットも。
ただし、病院によっては腹帯を巻かないよう指導するところもあります。
医師は赤ちゃんや母体の状態を考えて指導しているので、もし巻かないように言われたときには、その指示に従ってくださいね。
積極的に母親学級に参加しよう
初産の場合、妊娠中の正常な状態がわからず、異常かどうか判断がつかないことがよくあります。
流産の兆候や体重の変化など、異常にいち早く気づくためには、積極的に母親学級に参加するのが一番です。
妊娠中の正常値や、体の変化・精神面での問題、食生活などさまざまなアドバイスをもらえます。
出産予定の産婦人科以外にも、市区町村が主体となったものもありますので、ぜひパートナーと一緒に参加してください。
男性は、妊娠を経験するママと違い、生まれる瞬間まで「父親になった」という自覚がないことも。
生まれてからの混乱を避けるためにも、入浴方法やお尻の拭き方などを、ママと一緒に勉強してみてください。
まとめ
安定期直前の妊娠4か月は、おなかのふくらみとともに、ママとしての自覚も強くなっていきます。
妊婦検診のたびにわが子と会える喜びも、この時期ならでは。
赤ちゃんと一心同体で過ごせるのは残り半年ほどですので、マタニティライフを楽しみながら過ごしましょう。