生理が止まったことや、つわりや眠気といった妊娠初期症状から、妊娠に気がつく妊娠2か月目。この時期は、赤ちゃんもめまぐるしく成長し、母体にも大きな変化があらわれます。
今回は、妊娠2か月の赤ちゃんとママの状態や様子をみていきましょう。
妊娠2か月とは?
妊娠2か月目とは、妊娠4週~7週目にあたる時期で、1か月目よりも母体の変化があらわれやすく、妊娠を実感し始めます。
生理が順調な人は、次の生理予定日がちょうど妊娠4週目にあたるため、生理が遅れたことで妊娠に気づくことも。
ただし、妊娠検査薬では正確な判定が出ないので、生理が遅れた場合でも検査するのは翌週まで待ちましょう。
5週目に入れば、ほぼ100%の確率で妊娠の判定ができます。
この時期には、産婦人科行けば超音波検査で赤ちゃんの入った豆のような袋(胎嚢:たいのう)が確認できるので、妊娠検査薬で陽性反応が出たらすぐに病院へ足を運びましょう。
さらに、6週目にはつわりや眠気などの妊娠初期症状が出始めます。
このころの赤ちゃんは体の重要な器官を作り始める時期で、超音波検査によって心拍を確認できます。
つまり、赤ちゃんが宿ったことを初めて超音波検査で確認できるのが、妊娠2か月目なのです。
心拍の確認は子宮外妊娠や流産を見極める重要な役割を持っており、場合によれば命にかかわることも。
妊娠検査薬で陽性反応が出たからといって後回しにせず、必ず受診しておきましょう。
妊娠2か月の症状や状態
妊娠2か月目は、妊娠検査薬を使って赤ちゃんがいることを確認できる時期。この時期には、1か月目よりも顕著な変化があらわれます。
赤ちゃんの様子
受精卵から胎芽という赤ちゃんの元に育つのが、妊娠4週目。
最初はタツノオトシゴのような形をしていますが、2か月の終わりごろには、手足や頭がある人に近い姿に変わります。
人間の進化の過程をたどっているような、不思議な光景が見られるのは、この時期ならではですね。
最初は0.1mmほどだった受精卵も、妊娠2か月の後半には12~14mmほどまで成長し、6週目の終わりごろには手の指も確認できます。
また、脳や腎臓、心臓、肺など体を構成する重要な器官が形成されはじめる重要な時期のため、この期間「器官形成期」と呼びます。
7週目の終わりごろには、脳や脊髄などの神経細胞の約80%が作られます。胎盤や臍帯(さいたい)の元となる組織も発達し、赤ちゃんを育てる環境がどんどんと整ってきます。
この時期は、お酒やたばこはもちろん、薬の影響も受けやすくなるので、日常生活には注意が必要です。
ママの様子
妊娠2か月目はおなかも小さく、目に見えてわかる変化は少ないですが、体内では急速な変化が起こっています。その一つがホルモンバランスの変化です。
妊娠すると、妊娠を維持するためにhCGやプロゲステロンといったホルモンが分泌され、これらの影響でだるさや熱っぽさ、眠気、つわりといった諸症状が引き起こされます。
涙もろい、情緒不安定になるといった感情の変化もホルモンバランスの変化によってもたらされるといわれています。
妊娠初期でもっともつらいのは、やはりつわり。しかし、つわりといっても人それぞれで、嘔吐や嗜好(しこう)の変化、食事量が増えるといった症状の総称を「つわり」といいます。
なかには、ご飯や揚げ物などのニオイに吐き気を感じる“ニオイつわり”や、食べても食べても物足りない(食べていないと気持ち悪い)“食べつわり”などに困ることも。
食べ物の好みが変わっただけ・胃がむかむかする程度など、つわり自体をあまり感じない人もいるため個人差はありますが、どんな症状があるのかあらかじめ調べて心に留めておくとよいでしょう。
妊娠2か月の注意点
大量の不正出血に注意!
妊娠初期は、流産の可能性が高い時期。全ての妊婦のうち、約15%は自然流産となっており、そのほとんどが妊娠12週未満で起こります。
原因はほとんどが染色体異常であり、防ぐのは難しいものですが、場合によっては母体への影響も考えられます。
注意すべき症状は、不正出血。妊娠初期は子宮内も不安定で、不正出血があること自体は不自然ではありません。
しかし、あまりにも出血が長引く、量が多いなど、「異常かもしれない」と感じた時には、すぐに産婦人科を受診しましょう。
同様に、おなかの張り・痛みなどにも注意を払ってください。
痛みの強さは人それぞれですが、妊娠初期症状がいきなりなくなったことで流産に気づくこともあります。
また、この時期に起こる流産は母体の状態で左右されるものではないケースがほとんど。流産になったとしてもあまり自分を責めず、次のタイミングを待ちましょう。
薬の服用に注意!
器官形成期と呼ばれる妊娠2か月は、体の重要な器官を作る時期であり、薬の影響を非常に受けやすくなっています。そのため、別名「絶対過敏期」とも呼ばれています。
薬による赤ちゃんへの影響は、大きく分けて2つ。赤ちゃんの体に奇形をもたらす「催奇形性」と、発育や機能に悪影響をもたらす「胎児毒性」です。
薬の多くは、胎盤を通過して胎児へ移行します。
たとえば、頭痛や生理痛のときに使う消炎鎮痛剤では、胎児の血管を収縮させたり、新生児肺高血圧症の原因になったりすることもあります。
また、腎臓の働きが低下することにより、羊水過小をまねくことも…。
妊娠初期に服用した薬の影響が、後期や分娩時に出ることもあるため、十分に注意する必要があります。
もちろん、抗生剤やワクチンなども同様です。放射線による影響も考えられるので、レントゲン検査や放射線治療なども避けるべきでしょう。
しかし、持病のため服用しているという方は、薬をやめることで逆に赤ちゃんへ悪影響を及ぼしてしまうケースもあります。
病をコントロールするためにも、妊娠中の治療方針について早めに医師と相談しておきましょう。
なかには、妊娠に気づかず服用してしまい、赤ちゃんに影響があるのではないかと不安に思われる方もいるでしょう。
しかし、数回飲んだ程度で100%問題があるというわけではありません。
心配であれば、担当医に飲んだ薬の種類や量を報告し、相談してみるのが一番です。
妊娠に気づいたあとは、「風邪薬や頭痛薬などが欲しいだけ…」という場合でも、きちんと病院で処方されたものを使用しましょう。
妊婦であることも、忘れずに伝えるようにしてください。
妊娠2か月の過ごし方
食事に気を遣おう!
つわりのあらわれる妊娠2か月は、食事をとっても吐いてしまったり、反対に食べつわりで過食気味になったりと、食生活が乱れがち。
どれだけバランスのよい食事を心がけていても、食べることが苦痛になってしまうと、難しいものです。
吐きつわりの場合は、無理に食べようとするのではなく、「食べられるときに少しずつ食べる」よう注意しましょう。
妊娠中は赤ちゃんに栄養を送ることを優先しているため、貧血や立ちくらみ、頭痛なども引き起こしてしまいます。
特に、鉄分と葉酸は重要ですので、ホウレン草や納豆など、この鉄分・葉酸を含む食材を摂るよう心がけましょう。
どうしても吐いてしまう場合には、妊婦さん向けのサプリメントをドラッグストアでチェックしてみるのもおすすめ。
お菓子感覚で食べられるタブレットや、ビタミンも補給できるものなど、さまざまなタイプのサプリメントが販売されています。
ただし、1日の必要量を超えないよう、注意してくださいね。妊娠中は便秘に悩まされる人も多いので、便秘解消に役立つヨーグルトや納豆を摂ることも忘れずに!
昔はよく「妊娠中は二人分食べないといけない」といわれたものですが、おなかの中の赤ちゃんはまだまだ小さい時期。
妊娠2か月の基本摂取エネルギーは、標準体形で1850kcalほどと、いつもより50 kcal増えるだけです。バナナなら1/2本、チーズは約15gですので、間食にフルーツやチーズをプラスするくらいで大丈夫。
大切なのは量よりバランスですので、食べつわりの方は食べ過ぎはもちろん、偏食にも気をつけましょう!
母子健康手帳をもらいに行こう!
妊娠がわかったら、住民登録している市区町村で母子手帳をもらいます。
地域によって医師の証明書が必要なところもあるので、電話での問い合わせは必須。
母子手帳には、妊婦検診の結果や出産時の状況、赤ちゃんが小学校に入るまでの健康状態・予防接種などを記録するので、大切に使用してください。
「妊婦健康診査受診票」を受け取ると、自治体からの補助で妊婦検診が無料になるところもあるので、母子手帳申請の際合わせて行うとよいでしょう。
まとめ
妊娠初期症状のあらわれる妊娠2か月目は、新たな命の誕生に喜ぶ反面、つわりや眠気などで悩まされる時期。
薬や食生活など気をつけなければならないところはありますが、少しずつ大きくなる赤ちゃんから元気をもらえるので、つらい時期も一緒に乗り切りましょう!