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ブラック企業の罠!?好条件な転職求人ばかりに目を取られない!

 

転職活動を行う際は、求人情報に書かれた条件を元に、転職先の候補を絞っていくことになります。このとき、「できるだけ好条件の企業を選びたい!」と考えるのが人情というもの。ですが、いくら求人情報に書かれているのが好条件だからといって、本当にいい転職先かどうかはわかりません。もしかすると、思わぬ罠が潜んでいる可能性もあるのです。

目次

好条件だからと、簡単に飛びついてはいけない!

好条件には「裏」があることもある

人材を求めている企業が求人情報を出すとき、果たしてどんな意図を持って条件を記載しているのか、考えたことはあるでしょうか?多くの転職希望者の方は、「できるだけ自分を高く評価してほしい。いい人材だと思ってほしい」と考えながら転職活動を行っていることと思います。同じように、求人を出している企業も「できるだけ多くの人に、魅力的な企業だと思ってほしい」と考えながら求人を出しているのです。

そういった事情を考慮すると、企業が出す求人情報には多少の「見栄」が潜んでいると考えるべきです。たとえば、本来よりも業界内で認知度が高い会社であるように見せかけたり、過去の実績を過大に表現したり…。多くの企業が自社のことを少しでもよく見せようと言葉の表現を選んでいることでしょう。

これが、「見えを張っている」という範囲で済まされるようならまだ問題はありません。しかし、中には悪意を持って転職希望者を騙そうとしている企業もあります。求人情報の好条件には、そうした「裏」の意図がひそんでいる場合もあるのです。

好条件を餌にブラック企業が求人をしていることもある

「悪意を持って転職希望者を騙そうとしている企業」とは、いわゆる「ブラック企業」です。ブラック企業は基本的に労働者のことを「使い捨て」としか考えていません。ですから、「できるだけいい人材をたくさん募集して働かせたい。もしだめになったら、また別の人を雇えばいい」と考えているのです。

ブラック企業の労働条件は、社員のことをまったく考慮せずに設定されています。そのため、既存の社員が劣悪な労働環境に耐えられず次々と辞めていくことになります。ですから、ブラック企業では常に新しい人材を確保し続けないと業務を続けることができません。ブラック企業にとって、求人情報はまさに生命線ともいえる存在なのです。

もちろん、好条件の求人情報がすべてブラック企業によるものというわけではありません。単に「見えを張っているだけの求人」もあるでしょうし、本当に記載されている通りの好条件で働ける求人もあるでしょう。しかし、だからこそ「求人情報に記載された条件が本当か否か?」を見極めることが肝心なのです。

気をつけておきたい好条件の内容とは

「モデル年収」の最高額はすぐに当てはまる訳ではない

では、求人情報の好条件の真偽を見極めるには一体どうしたらいいのでしょうか?ここから先は、求人情報によく記載されている、「誤解しやすいキーワード」をいくつかご紹介して、求人情報の真の意味を見極めるテクニックをご紹介したいと思います。

最初にご紹介する「誤解しやすいキーワード」は、「モデル年収」です。求人情報を見たことのある方なら、よく「30代社員のモデル年収はこちらです」といった表記を見た経験があるのではないでしょうか?

「モデル年収」と書かれていると、いかにも「その企業に勤めている30代社員の平均年収がその金額である」と考えてしまいがちです。あるいは、「その企業でその職種の仕事をすれば、最低限それだけの給与が保証される」と捉える人もいるでしょう。しかし、実際には「モデル年収=同一職種の社員の平均年収」というわけでも、「同一職種の最低限の給与」というわけでもありません。

コトバンクによると、モデル年収とは「対象となる求人職種の一定の給与指標を示したもの」とされています。つまり、「同じ職種で今働いている人の中から、モデルとなる人をひとり選んで給与を紹介するよ」と言っているに過ぎないのです。モデルとして選ばれた社員が「同じ職種の給与水準の中で、上位にいるか下位にいるか」には一切触れていません。

参考:モデル年収とは(コトバンク)

企業側としてはできるだけ求人情報は好条件だと思われた方が良いわけですから、給与が水準より低い社員からモデルを選ぶ理由がありません。よって、「モデル年収」という記載があったとしても、「それだけの額が必ずもらえる」とは考えない方が無難です。

その「残業なし」は本当に残業なし!?

続いて、気をつけたいキーワードは「残業なし」です。多くの企業が残業を余儀なくされている昨今、「残業なし」はそれだけで求人情報を魅力的に見せてくれるキーワードだといえるでしょう。

しかし、この言葉も文字通り受け取るべきではありません。なぜなら、求人情報を掲載するメディアも、記載されている情報をすべてチェックしているわけではないからです。なにも「残業なし」という言葉に限ったことではありませんが、そうした「実際に働いてみないとわからない情報」は求人メディアからしても確かめようがありません。ですから、もし本当は残業があるとしても、「残業なし」と書かれてしまえば後はどうしようもないわけです。

「残業なし」が本当かどうかを事前に確かめるのはなかなか困難です。業界・業種としてそもそも残業が多いところかどうかといった、総合的な情報から判断したり、気になる企業には個別に問い合わせしたりするのもいいでしょう。

「ブランクOK」では、リハビリ期間もなくいきなり責任者なんてことも

求人情報を見ていると「ブランクがある人でもOKです」という記載がある場合があります。こうした「ブランクOK」という言葉は文字通り受け取ってもいいのでしょうか?「ブランクOK」の意味は、「一時的に別の職種で働いていた人や、育児などで就業期間に間が空いている人でも大丈夫です」という意味です。これはほとんどの方が言葉を見たときに受け取る意味とほぼ同じなのではないでしょうか?そういう意味では先に紹介した2つの言葉と比べて、言葉の解釈の仕方から誤解が生まれるリスクは少ないといえます。

「ブランクOK」の本当の問題は、「ブランクOKと記載されていても、実際に就業してみたらブランクがあることが大いに足かせになった」という事態がありうることでしょう。転職先がブランクの有無を気にしていないということは、「ブランクの存在が仕事のうえでマイナスになる」という点も軽視している可能性があります。たとえばあなたが、「ブランクがあるから、最初の1年くらいはゆっくり仕事の感を取り戻そう」と思っていたとしても、転職した途端、責任ある立場を任せられてしまう、なんていうこともあるかもしれません。

また、IT業界など技術革新が新しい業界では、ブランクがあると持っている技術が時代遅れになってしまっていることもあるでしょう。そのような場合は、たとえ転職先が「ブランクOK」だったとしても、「実際に仕事をしてみたら務まらない」という可能性もあります。ですから、「ブランクOK」との記載がある求人に応募する場合は、転職先がブランクをどのように捉えているかという点と、実際の業務でブランクがネックにならないかという点をよく確認しておきましょう。

「頑張れば頑張った分だけ評価」は過剰ノルマの証!?

「社員の頑張りを評価する会社です」「頑張った分だけ、給与に反映させていただきます」といった記載がある求人も少なくありません。一見、「働きぶりを評価してくれる、いい企業」に思えますが、思わぬ落とし穴が隠れていることもあるので、注意してください。

「頑張った分だけ評価」ということは、一部か全部かはともかく「成果報酬型」の制度が存在することを意味している場合があります。逆にいえば「成果が上がらない限り、給与も上がらない」という可能性も捨てきれない、ということです。

問題は、「仕事のうち、どの程度を成果で判断されるのか」という点。たとえば、「基本給に加えて、成果に応じたインセンティブが受け取れる」、あるいは「成果を上げると役職が上がり、役職に応じたインセンティブが受け取れる」といったパターンが考えられます。「頑張ったら頑張った分だけ評価」と記載がある求人に応募するときは、「頑張りをどのように評価し、給与に反映するのか」という点を事前にチェックしておきましょう。

好条件につられてブラック企業に入らないために、気をつけたいポイント

好条件で長期間に渡り求人を出している

ここまでは、求人情報の好条件で気をつけたいキーワードをご紹介してきました。しかし、もっと危険なのは、好条件につられてブラック企業に引っかかってしまうことです。よって、最後はブラック企業が掲げる「偽りの好条件」を見極めるポイントを確認しておきましょう。

まず、好条件にもかかわらず、長期間求人を出し続けている企業には注意が必要です。好条件の求人は、多くの転職希望者から応募が集まるので、通常は短期間で掲載が終了します。しかし、先に述べたようにブラック企業は社員の入れ替わりが激しいので、常に新しい社員を求め続けなければいけません。結果的に、好条件の求人が長期間掲載されることになるので、「求人情報の掲載期間」は、ブラック企業を見極めるひとつのポイントになります。

社員数の割に募集定員が多いのは、入れ替わりの激しさを表している

ブラック企業の特徴である「社員の入れ替わりの激しさ」という点に注目すると、ブラック企業の求人を見極めるためのもう一つのポイントが浮かび上がってきます。求人情報からは、事業規模・社員数といった会社情報も確認することができます。もし、求人での募集定員が社員数に対して異常に多いようなら、社員の入れ替わりが激しい=ブラック企業である可能性が高いでしょう。

もちろん、離職率が高い業種や職種も存在するので、「どの程度の割合よりも高ければブラックか?」というのは一概にはいえません。ほかの条件と合わせて、総合的にチェックするのがいいでしょう。

すぐに辞める人が多い企業は、試用期間が長く設定されている

ブラック企業の特徴の一つが、「試用期間が長い」という点です。一般的に試用期間では、本採用後よりも給与を低く設定できるので、人材を使い捨てと考えているブラック企業にとってはメリットがあるのです。また、ブラック企業では離職者が多く出るため、試用期間を設けて「従順な人材」を選ぶという側面もあります。

幹部候補を求めすぎているのは、教育システムがない可能性も

ブラック企業といえども、使い捨ての社員を束ねる「幹部社員」は必要になります。とはいえ、一般社員は基本的に使い捨てるわけですから、社内で幹部社員になれる人材を育成することはできません。従って、ブラック企業で一般社員とは別に、幹部候補の社員の求人も実施しているはずです。

通常の企業であれば、一般社員が幹部になるケースもあるため幹部の求人比率はそう多くはありません。もし、一般社員と幹部社員、どちらの求人も多く行っているようなら、ブラック企業である可能性が高いでしょう。

まとめ

今回は、求人情報の好条件の真偽を見極めるポイントをご紹介してきました。求人情報は、企業が見栄を張って好条件を提示している場合もあれば、ブラック企業の求人である場合もあるので字面通りに受け取ってはいけません。

求人情報を見るときは、「モデル年収・残業なし・ブランクOK・頑張った分だけ評価」といったキーワードがないか注意してください。こうしたキーワードは、言葉から受ける印象と実際の意味が違っている場合があります。

ブラック企業の求人を見極めるには、ブラック企業の特徴である「社員の入れ替わりが激しい」という点に注目しましょう。求人情報を細部までチェックし、もしブラック企業に当てはまる条件が複数見つかった場合は要注意です。

転職活動を行うときは、求人情報に書かれた好条件に踊らされてはいけません。好条件に裏に隠れた真の理由を見極めることこそ、転職を成功させる鍵なのです。