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大企業から中小企業への転職は慎重に!メリット・デメリットを比較

 

大企業での働き方と中小企業での働き方は、全く違います。組織的なのか、非組織的なのか、スペシャリストが向いているのか、ゼネラリストが向いているのか、これは人それぞれです。一般的には大企業のほうが年収は高く、福利厚生も充実していることが多いので、人気や入社難易度も高く、サラリーマンとしての憧れかもしれません。

しかし、大企業で働いている方の中には中小企業に転職したいと感じている方も当然いるでしょう。中小企業には大企業にないメリットが沢山あるからです。ただし、当然デメリットも多く存在していますので、転職する前に必ず自己問答をするべきでしょう。

この記事では、大企業と中小企業の、良い点と悪い点、そして中小企業に転職したことで起こる失敗例も重ねてご説明いたします。

目次

大企業から中小企業へ転職するメリット

仕事で会社に貢献できる割合が大きい

社員数が10名であれば、あなたは会社の1割を占めることになります。100人の会社であれば1%、1,000人であれば0.1%です。このように社員数が少なければ少ないほど、あなたの仕事が会社に貢献できる割合が大きいのです。

割合が多ければ多いほど、会社にとってのあなたの重要度や必要性が増すことになるので、会社側のあなたに対する対応は大企業にとってのあなたの扱いと全く違うものになり、自由に仕事ができることになるでしょう。

例えば、10名、20名の企業で営業成績1位の成績を納めることができれば、会社全体であなたが働きやすい職場を形成するようになるでしょう。もし、あなたが会社を退職したりすれば会社の今後に大きな影響を与えるためです。こういった働き方を大企業で実現するのは、ほぼ不可能でしょう。

早い段階から責任ある仕事を任せてもらえる

中小企業の場合、研修、資格取得などの社員教育に大きな時間を割くことは稀であり、大企業に比べると現場経験や自分が責任者としての業務をスタートするタイミングは早いことが多いでしょう。その理由は「教育に時間をかけるお金と余裕」がポイントです。

実は研修などの教育などの費用は、営業人件費や広告費などの直接売上に直結する費用よりも優先度が低いです。売上が上がらなければ教育はおろか、毎月の給料やボーナスが支払えないため、まずはその売上を達成することが優先されるのも無理ありません。

つまり、会社規模が小さければ小さいほど、教育へ投資する金額は少なくなりやすいので、自分主体で働くことが早期に求められます。言い換えれば、任せざるを得ないといったところでしょうか。

このように聞くと、デメリットと捉えられるかもしれませんが、そんなことはありません。大企業から中小企業への転職の場合、一般的には初月の待遇は低くなるはずです。それでもなお、その会社に転職したいと思えるのであれば、あなたはその会社で達成したい目標があったり、実力が発揮できるといった、待遇以外の会社を選ぶ理由があるはずです。

実は、そういった方にとっては、形式ばった組織的な研修はあまり必要がありません。それよりもできるだけ早く実力を試すフィールドまでたどり着いて、実務経験をどんどん積むほうが大きく成長できる上に、責任感のある大きな仕事に携わることができるでしょう。

決済までのスピードが早い

これは一概に言えませんが、中小企業のほうが大企業より決済が早いことが多いです。商材の単価が小さい分、受注から入金までのスピードが速くなりやすいといったものです。頑張った分の努力が結果に反映されるまでの期間が短いというのは、早い段階で実績を出せるということなので、成績によって給料やボーナスに大きく反映される会社の場合は、大きなアドバンテージになるでしょう。

大きな金額の受注を長い期間で得るというのは安定した会社基盤があるからこそできることではありますが、会社に貢献をした実感は薄くなりやすいです。小さくても自分の力で成果を出せた時は、達成感や貢献の時間を大きく感じられます。スタートして間もない個人事業主のような感覚が会社内で感じることができるのです。

大企業を離れて中小企業へ転職するデメリット

大手企業の安心感を失う

大手企業には圧倒的な安心感があります。もちろん大企業でも倒産する可能性はありますし、ここ数十年でその絶対的な安心感というイメージは崩れつつありますが、それでも大企業はやはり大企業です。倒産するリスクは低く、いきなり失業状態になるようなことはほとんどないでしょう。

また、この安心感というのは、大企業に在籍している時はあまり実感がないものであり、当たり前のものという感覚になっていることが多いです。中小企業に転職してみて初めて大企業の安心感を実感するのです。

給与の高さを捨てることになる

一般的には大企業のほうが中小企業よりも給料は高いです。あなた自身で、中小企業に転職することによる給料の変化は強く意識しておいたほうがいいです。年収を上げるために転職する場合は、その年収があがる仕組みや可能性をしっかり吟味してください。働き方を変えるという目的で転職する方も、どのくらい年収が変化するかは気にしておいた方がよいです。あなたの年収の下限を明確に設定し、その旨を面接時に伝えるのも良いでしょう。

ただ、給料の高さはあくまで平均値であって、あなたの働き方が中小企業に適している場合や、あなたの能力を発揮できる職場環境が中小企業にある場合は、給料が大きくあがる可能性を秘めています。もっと言えば、役員になれる可能性も十分に考えられるのです。会社にとって能力的、人間的にも必要不可欠な存在となった時、あなたをどうしても手放さなしたくない、という動きが見られます。その時には多額の役員報酬を設定してでも、あなたを囲い込むでしょう。

このように給与の平均では大企業が優勢ですが、上昇の幅とそれが現実的かどうかを考えれば、中小企業のほうが給与は高くなるかもしれません。

福利厚生など、社員への待遇が下がる

給与以外の待遇も大企業に軍配があがります。住宅手当や、営業手当、資格手当などは、規模が小さい会社ではなかなか導入しにくいものなのです。当たり前のように感じていた待遇が得られない可能性もあります。中小企業を経験している方なら大丈夫ですが、大企業でしか勤務経験がない人は、友人に聞くなりして、イメージを掴んでください。

大企業では順調だったのに…中小企業へ転職して失敗する事例

大企業の看板が無くなり仕事がうまくいかなくなる

営業職の転職で最もよく起きる、中小企業への転職失敗例です。これは、個人で独立して仕事を始めた人にも言えるケースです。今まで、看板で仕事ができていたものを、すべて実力と勘違いをしていた人に起こりうる内容ですね。大企業の年収が高い理由をご存じでしょうか。それは、中小企業よりも受注率が圧倒的に高いからです。中小企業よりも小さな能力で大きな売上を達成することができます。

では、なぜ受注率が高いのでしょうか。これは信用度があるからです。もちろん、社員における信用度ではなく、会社への信用度です。商品を購入する際の信用度は、「会社信用」+「営業マンへの信用」で別れています。多くの人を満足させてきたという過去の実績が積み重なってきたからこそ、企業は成長していくので、大企業であれば会社への信用度の割合はとても大きいはすです。

大企業で年収が高くなるのは、過去にその企業で成果を出してきた先人達が積み重ねてきたものが会社全体に残っているからなのです。これは信用度としてだけでなく、営業の手法や、教育制度、企業風土、ビジネスモデルなども、目に見えない会社の財産として残っています。株式会社が法人と言われるように、会社は人格をもつ人なのです。

例えるならば、あなたは靴でしょうか。走りやすい靴、軽い靴、山登りに適している靴、室内ようの靴など、靴にも様々な個性がありますよね。ただ、その能力が最大限発揮されるかどうかは、その靴を履く人次第です。走るための靴であれば、その性能に大きな差があったとしても、走る人によってスピードは全く違いますよね。

運動靴を履いた6歳の小学生と長靴を履いた14歳の中学生が100m走をしたどちらが勝つでしょうか。おそらく後者でしょう。この例でいえば、大企業は国体陸上選手といえるでしょう。

中小企業に転職すると、走者が丸ごと変わるということを念頭に入れましょう。もし、あなたが長靴なのであれば、走るのが得意な人ではなく、農業を営む人の靴になったほうが、実力を発揮できるかもしれません。

今一度、自分の働き方が転職を希望している中小企業でも成立するのかを考えてみてください。今の会社規模だからできていること、信用があるからできていることを考えてみると良いでしょう。会社の看板による恩恵は、当事者はほとんど気が付かないものです。

取引先からの対応の質が下がりストレスに感じる

会社の目的は利益です。一人ではできないビジネスを集団で行うことで可能にしているのが会社です。したがって、当然と言えば当然なのですが、利益を得られる取引先、いわゆるお得意先にはえこひいきをします。飲食店で常連さんにサービスをする例が分かりやすいでしょうか。

なぜ、こういった話をするかというと、大手企業はそのえこひいきを得られやすい会社だからです。例えば、利益が1,000万になりそうな大企業Aと利益が50万ほどになりそうな中堅企業Bであれば、どちらを優先して営業活動を行うべきでしょうか。そして、より相手の要望に応えるべき企業はどちらでしょうか。それは紛れもなく企業Aであり、手厚いフォローや、真摯な対応を心がけるでしょう。

逆の立場で考えてみてください。中小企業における取引先からの対応は、当然大企業よりも悪くなる可能性があるのです。大手企業であれば、取引の額が大きく当然重要度が高いので、取引先も丁寧な仕事をこなし、丁寧な対応をしてくれるでしょう。大企業でしか働いたことのない方にとっては、それは当然のことかもしれませんが、中小企業に勤めると、必ずしも良くしてくれる取引先ばかりでなくなるのです。

職場の人から「元大手社員」と色眼鏡で見られる

「これだから元大手社員は」といった色眼鏡で見られる可能性もあります。大手企業出身者というのは、それなりに期待が大きいものです。その期待が大きければ大きいほど、実際の成果とのギャップが大きくなり、ミスをした時などの風当たりがキツくなってしまうこともあります。

まとめ

大企業というのは皆の憧れです。それを捨てて、中小企業に転職するのは、もったいないと考えるのが普通でしょう。社会的地位や、クレジットカードにおける信用レベルにも影響を与えます。また、中小企業から大手企業に転職するのはかなり難しいので、「気に入らなかったらまた転職すればいいや」という安易な考えは通用しません。

したがって、転職したい確固たる理由とその意志がある方だけ、チャレンジしてみると良いと思います。戻れなくなるリスクと、働き続けるリスクを天秤にかけ冷静な判断を心がけてください。