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第二新卒と呼ばれる若手の転職は有利?経験を積んでからの方がいい?

 

厚生労働省の発表によると、大卒の約3割が新卒で入社した会社を3年以内に退職しています。

3年以内の転職となると、一般的にキャリアの浅い転職と言われ、即戦力が必要な中途採用市場では不利と思われがちです。

また、これが「最低でも3年以上は働き続けた方がよい」と言われる理由の所以でしょう。しかし、実際にはどれだけ不利になるのでしょうか。そもそも不利になるのでしょうか。

この記事では、キャリアが浅いと言われる20代前半から後半の転職の特徴と、コツを紹介していきたいと思います。

 

目次

第二新卒と呼ばれる若手の転職が増加

第二新卒とは?

第二新卒という言葉を聞いたことはあるでしょうか。

第二新卒とは、新卒で入社した会社を早期退職した、まだまだ若い人材のことを指します。

スキルや実績を活かした一般的な中途採用とは違い、ポテンシャル重視である新卒採用扱いで応募するので、給料などは大卒1年目と同じですが、様々な業界にチャレンジしやすいのが特徴です。

第二新卒扱いされるのは、学校を卒業してから3年以内と言われることが多いですが、実は、明確な年齢は決まっておりません。よく言われる枠組みだと「28歳以下の勤続経験が一社のみである求職中の人材」を指します。

ちなみに、一社も経験していない場合は既卒と呼ばれます。企業からの評価は圧倒的に第二新卒の方が高いです。

とはいえ、第二新卒扱いされるかどうかは、募集する企業にとって違います。

一般的な新卒採用は「正社員として働いた経験がなく、真っ白な状態でありイチから教育ができること」がメリットとして挙げられますが、第二新卒の場合、働いた経験というよりかは年齢のほうが重要視されやすいです。

例えば、28歳で大学卒業、同年に就職、30歳時に退職した人材を第二新卒と言えるかどうかは難しいところです。反対に高卒後19歳で就職5年の勤続経験を経て24歳時に退職した人材は第二新卒扱いされやすいでしょう。

ただ、第二新卒は「能力」よりも「ポテンシャル」が重視されやすいので、その5年間のスキルを大きく生かせないのが難点です。

なぜ第二新卒の転職が増加しているのか

第二新卒の転職が増加している理由はズバリ需要が年々増加しているからです。では、なぜ第二新卒が人気になってきているのでしょうか。

大卒求人倍率の増加により採用難易度が上がっている

リーマンショック以降ずっと低迷していた大卒求人倍率ですが、2015年から急増しており、そこから3年連続増加しています。2017卒の求人倍率は1.74倍と言われており、1人あたり1.74名分の求人が存在しているということになります。

もちろん、企業の立場で考えれば採用が難しくなってきていることになり、それに伴い採用費や人件費が高騰します。であれば、第二新卒でもいいので採用したいと考える会社が増えるのは当然ともいえるでしょう。

新卒よりも働くことへの関心が高い

一度退職を経験しているので「働くこと」について真剣に考えている人材が多いです。

自分が求めている会社はどんな会社か、自分は何が得意で何が苦手なのかを、把握しており、社会人を一度経験しているからか謙虚なことが多いです。

働くことについてリアルな考えを持っており、説得力があるので、企業目線だと評価のブレが少ないのです。

新入社員の教育コストの削減

新卒は大学生と社会人との境目なので、社会人としての教育が必須となります。新入社員研修では、一般的な事務処理、お客様の対応、その他様々な社会人のマナーを学ぶのですが、第二新卒の場合、この期間をスキップすることができます。

新人教育は、時間だけでなく人件費もかかるので大きな予算削減になるでしょう。

また、社会人経験があるので、即戦力とは言えないかもしれませんが、新卒の社員よりは短期間で即戦力になるので、その点もプラスと見られるでしょう。

まだ企業になじみやすい年齢である

前職での経験がまだまだ浅い分、社風になじみやすく柔軟性が高いと言えるでしょう。

中途採用の最大のデメリットである会社への帰属意識の低さが、第二新卒だとまだまだ教育可能な年代であると考えられています。

第二新卒が転職で有利になる場合とならない場合

異業種への転職は早い方が有利

「自分のやりたい仕事はこの業界じゃないな・・・」と考え、転職をする場合は、若ければ若いほど有利です。なぜなら若ければ若いほど教育を受けやすいからです。

異業種に転職する場合は、その業界知識や働き方そのものを一から学ぶ必要がありますが、年齢を重ねれば重ねるほど、人からモノを学びにくくなっていきます。

実は、企業にとっては年齢を重ねた人材を教育するには3つのデメリットがあります。

① 教育を結果に活かすことのできる期間が短くなる

終身で勤務すると考えた場合、定年までの年数が会社に貢献できる年数そのものです。20歳の社員と40歳の社員で比較すると、会社に貢献できる年数が20年も違うので、20歳の社員に教育したほうが高い成果を得られると考えられます。

② 若いほうが学習するスピードが速い

20歳の社員のほうが学習力は高いことが多いです。

40歳の場合、前職での経験により自分の考えや手法が確立しており、学んだことを素直に実践できなかったり、物覚えが悪かったり、体力的に衰えていたりと様々です。

③ 年齢が高いと、教育する側が気をつかう

年上を敬うべきといった文化がある日本では、年を重ねれば重ねるほど、「人に教えてもらう機会」が減っていきます。年齢を重ねれば重ねるほど、相対的に自分より年上の人材は減っていくことが主な理由でしょう。

しかし、違う業種へ転職した場合は、どれだけ社会人経験が豊富な人材でも、教えてもらわなければ何もできませんので、必ず教育を受ける必要が出てくるでしょう。

そんな時に自分よりも10歳近く年下の上司から教育を受けるのはどんな気持ちでしょうか。例え、教えてもらう側が気にしていなかったとしても、教える側が恐縮するものです。

以上の3つの理由により、教育を受けるのは若いほうが有利ということが分かりますね。

同業種の場合、キャリアがあり即戦力となる方が有利なことが多い

もちろん、同業種の場合はキャリアがあるほうが有利となり、ポテンシャルよりも実績や成果によるアピールが重要になります。

業種特有の教育も受ける必要がなく即戦力として扱われるので、年収も大きく下がらないでしょう。この場合は、キャリアが浅い若手のほうが不利に働くでしょう。

なぜなら「あなたが成果を出す」という根拠がないので、待遇を低く設定しないとリスクが高いからです。したがって、すぐに実績を出せば2年目から給料を大幅にアップするでしょう。

しかし、キャリア持ちの転職の場合は最初から役職を持つ可能性も高く、大きなアドバンテージになることは確かです。一度役職を持ってしまえば、多少成果が出なくても、降格は難しいですからね。

同業種でも、社風に染まる前の早い段階が好まれることもある

同業種であっても社風に染まっている人材を懸念する場合もあります。それは独特な社風や価値観を持っている会社の場合です。

業界が狭いと、その業界独特の社風があるものですが、中には一社だけ全く違う雰囲気を持つ会社が存在していることもあります。

こういった会社はむしろ経験が浅い社風に染まり切っていない社員を好む傾向にあり、違う業界の人材も積極的に採用していることが多いです。

若さがウリの第二新卒も、良いようにばかり見られるわけではない

「忍耐力がない」と見られるリスク

退職経験しているのは、一般の中途採用と同じなので当然、退職した理由については敏感になってしまいます。

在職期間があまりにも短い時や、退職理由によっては忍耐力が無いと捉えられることもあります。年配の方ほどそう考える傾向があるので、面接官の年齢に応じて退職理由の伝え方を分けるべきかもしれません。

最低限のビジネスマナーは身についていることが大前提

新卒ではなく第二新卒をわざわざ採用する最大のメリットは教育面のコスト削減です。

すなわち、新入社員には備わっていない社会人としての常識、ビジネスマナーを身に着けていないと第二新卒としての魅力が無くなってしまいます。

スキルや人脈のある中堅と比べると、即戦力として負ける

20代の経験が浅い段階だと、企業が即戦力になる人材を求めている時は、ほぼ確実に経験やスキルを持つ中堅の人材に負けてしまうでしょう。

これは企業の状況やタイミングによるので、仕方がありません。ただ、就職情報サイトなどに掲載している募集企業の多くが、経験が浅くても、年齢が若ければ採用したいと考えているので、求人情報を見ながら慎重に応募する企業を選択しましょう。

ただ、年齢に関する募集制限は人権侵害と考えられており、web上の情報だけでは分からない可能性も高いです。その場合は直接聞くしか確実にわかる方法はないでしょう。

また、その企業に新卒として入社しても良いと考えているのであれば、新卒採用を行っているかもチェックしてみましょう。

もし、行っていれば第二新卒のルートで応募することが可能ですし、採用される可能性も中途採用のルートよりも高いでしょう。

中途向けの媒体で求職者と接触し、新卒として採用する例は意外と多いです。使えるルートはどんどん活用しましょう。20代限定の特権です。

結局のところ、転職は早いほうがいい?遅い方がいい?

企業からの第二新卒の人気は高い

採用が難化していることもあり、第二新卒の人気は年々高まっておりますので、異業種の転職であれば、できるだけ早いうちに転職し、転職先でキャリアを積むことで待遇を高くするほうが効率的でしょう。

残念ながら最初の給料は新卒と同水準まで下がってしまう可能性が高いですが、新卒より戦力になりやすいので給与の昇給スピードは比較的早めです。

同業他社への転職の場合も第二新卒の人気は非常に高く、1年目に好待遇は難しいかもしれませんが、結果を出しやすいので待遇は同水準、もしくはそれ以上までアップする可能性は高いでしょう。

転職が比較的優しいのは30歳まで!

30歳を超えると異業種への転職が非常に難しくなります。教育の面で問題が起きやすくなる点や、給与面でのギャップなどが主な原因です。

異業種への転職を考えている20代の方は早急に活動を始めるべきでしょう。

まとめ

第二新卒は、新卒採用と中堅の中途採用のちょうど中間といったところでしょうか。

企業目線で考えると、新卒より教育コストが低く、給料は安く抑えられるので経済的であり、さらに企業文化や新しい知識の吸収力も高いのがメリットである反面、実績が少なくスキル不足であり即戦力としては中堅に劣るのがデメリットでしょう。

よく言えば「ちょうどよい」、悪く言えば中途半端とも言えます。これから第二新卒として就職活動されるのであれば、これらの良い点、悪い点を理解した上で行動しましょう。

同業他社への転職を希望している方は、もう少し経験を積んでから転職をしたほうがよいかもしれません。

もう少しで役職が得られる場合や、実績としてアピールできる業務に携わっている場合は、それらを一段落終えてから活動するべきでしょう。

また、異業種への転職を希望している場合は、できるだけ早く活動するべきです。