確定申告

個人事業主が抑えておきたい確定申告のポイント

個人事業主が確定申告をしようとする場合、いちばん最初に疑問に思うのは、「青色申告」と「白色申告」の違いではないでしょうか?

確定申告では「青色申告」と「白色申告」のどちらかの方法を選ぶ必要がありますが、そもそもの違いがわからないので、どちらの方法で申告するべきなのか教えてほしいという方も多いはずです。

このページでは、多くの方が疑問に思っている「青色申告」と「白色申告」の違いについて説明します。

確定申告をする前に、自分に適しているのはどちらの方法なのか、しっかりと見きわめましょう。

青色申告と白色申告の違い

手間が多いが節税効果があるのが青色、白色はその逆

青色申告と白色申告の違いを一言で言えば、手間はかかるけれど節税効果があるのが青色申告、簡単にできるけれど節税効果がないのが白色申告ということになります。

青色申告では、帳簿をきっちりつけたり決算書を作成したりしなければなりませんから、白色申告より手間がかかります。

しかし、こうした手間をかけた分、税務上の様々な特典を受けられるという大きなメリットがあります。

青色申告

白色申告

記帳義務

あり(簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記のいずれか)

あり(簡易簿記で可)

事前の届出

必要

不要

確定申告の際の提出書類

所得税青色申告決算書

確定申告書B

収支内訳書

確定申告書B

その他

税務上の特典あり

税務上の特典なし

青色申告と白色申告の違いは、大まかには上の表のとおりになります。

しかし、両者の違いとして知っておいた方が良い細かな点がほかにもありますので、これから詳しく見てみましょう。

白色申告のメリット・デメリット

白色申告は確定申告の原則的な申告方法ですから、何も手続きしなければ自動的に白色申告ということになります。

白色申告には、以下のようなメリット、デメリットがあります。

白色申告のメリット

白色申告のメリットと言えば、記帳が簡単で手間がかからないということです。

白色申告では、「単式簿記」と呼ばれる家計簿レベルの簡易な方法で帳簿をつけたのでかまいません。

また、白色申告をする場合には事前に税務署に届け出る必要もありませんので、手続きも簡単になっています。

なお、白色申告では、以前は年間の合計所得が300万円以下の場合には記帳義務がなかったので、所得の少ない人にとっては手間を省けるというメリットがありました。

しかし、平成26年1月以降は白色申告においても、所得の額にかかわらず記帳及び帳簿保管が義務付けられています。

つまり現在では白色申告をするメリットは随分少なくなっているということです。

白色申告のデメリット

白色申告では青色申告のような税制上の特典はありませんので、節税の効果が薄くなってしまいます。

たとえ所得の額が同じでも、白色申告すれば、青色申告よりも税金が高くなってしまうことがあります。

また、白色申告には青色申告にはない「推計課税」という制度があります。

推計課税とは、税務調査の際に記帳の不備がわかった場合に、所得の申告額にかかわらず、「本来ならこれくらいの利益が出ていているはず」と税務署が一方的に判断して課税できるというものです。

「推計課税」により課税されても、それを覆す証拠がなければ反論することができず、従わざるを得なくなってしまいます。

青色申告のメリット・デメリット

青色申告は、税務署に申請して青色申告の承認を受けた場合にできる確定申告の方法になります。

青色申告できるのは、事業所得、不動産所得、山林所得の3つになりますから、たとえばサラリーマンが給与所得について青色申告するということはできません。

青色申告ができるのは、主に、事業所得のある個人事業主になります。

青色申告をするには、あらかじめ税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出し、承認を受けておく必要があります。

青色申告では「単式簿記」と「複式簿記」を選べる

青色申告の帳簿つけは、必ず複雑な方法で行わなければならないわけではありません。

青色申告でも、記帳の方法は「単式簿記」と「複式簿記」のどちらかを選べるようになっています。

「複式簿記」とは、正規の簿記の原則に従った記帳の仕方で、お金の流れを「借方」「貸方」の二方向からとらえる「仕訳」という作業が必要になりますから、「単式簿記」よりも手間がかかります。

なお、青色申告では、事業所得が300万円以下の場合、「現金式簡易簿記」(現金主義)という方法も選べます。

「現金式簡易簿記」では、現金の出入りが発生した時点で帳簿に記録すればいいことになりますから、つける帳簿が現金出納帳だけですみます。

「現金式簡易簿記」の方法を選ぶ場合には、「所得税の青色申告承認申請書」のほか、「現金主義の所得計算による旨の届出書」も提出しなければなりません。

青色申告では、どの記帳方法を選ぶかで、受けられる恩恵が変わってきます。

青色申告では青色申告特別控除として所得から一定額を差し引くことができますが、控除額は「複式簿記」を選んだ場合65万円、「単式簿記」「現金式簡易簿記」を選んだ場合10万円となっています。

つまり、青色申告で税制上の特典を最大限享受するためには、「複式簿記」による記帳を行う必要があるということです。

青色申告のメリット

青色申告の主なメリットとして、次のような点があります。

1.青色申告特別控除が受けられる

青色申告をすれば、青色申告特別控除として課税所得から一定額を差し引くことができるという、白色申告にはない大きなメリットがあります。

青色申告特別控除額は65万円または10万円で、「複式簿記」で記帳した場合には65万円、「単式簿記」または「現金式簡易簿記」で記帳した場合には10万円の控除額が適用されます。

2.赤字の場合翌年以降の税金を軽くできる

青色申告には、事業で損失が出て赤字になった場合、その損失を翌年以降3年間繰り越して黒字の所得から差し引くことができる「純損失の繰越控除」という制度があります。

たとえば、初年度に300万円の赤字が出た場合、翌年以降毎年100万ずつ黒字が出たとしても、3年間は税金がかからないことになります。

3.貸倒引当金でリスクをカバーできる

貸倒引当金とは、売掛金の回収が翌年以降になる場合に、貸し倒れ(回収不能)になるリスクに備えてあらかじめ必要経費として計上しておく費用になります。

白色申告では貸し倒れになることがほぼ確実な場合にしか貸倒引当金を計上できませんが、青色申告では売掛金残高の5.5%を無条件で貸倒引当金にできます。

4.少額固定資産を一括して経費にできる

会社で備品等を購入した場合、10万円未満であれば「消耗品」などで必要経費に計上できますが、10万円以上になると「固定資産」ということになり、減価償却という方法により一定期間にわたって分割して経費計上していく必要があります。

しかし、青色申告では30万円未満の固定資産は、少額固定資産として、合計300万円まで購入した年にすべて必要経費にできる特典があります。

少額固定資産については、通常の減価償却をするか一括して経費計上するかを選ぶことができます。

これにより、利益が多い年には経費を一括して計上して所得を減らしたり、赤字の年には減価償却で経費を将来に持ち越したりして節税することが可能になります。

5.家族に支払った給与を全額経費にできる

青色申告では、家族に給与を支払った場合に、経費にできるという特典もあります。

家族へ支払った給与は白色申告では原則として必要経費にはならず、専従者控除として一定額(配偶者86万円、その他の親族50万円)を控除できるのみになります。

青色申告で家族を青色申告専従者として届け出れば、青色申告専従者に支払った給与は全額必要経費にすることができますから、節税の効果があります。

・青色申告のデメリット

節税効果が高く、メリットの多い青色申告ですが、デメリットと言えることが全くないわけではありません。

青色申告のデメリットとしては、以下のような点が考えられます。

1.手続きが面倒

青色申告するためには、事前に「所得税の青色申告承認申請書」を税務署に提出し、承認を受けなければなりません。

提出期限までに提出できなければ、青色申告ができるのが翌年以降になってしまいますから、提出のタイミングにも注意する必要があります。

また、もし青色申告をやめて白色申告に戻したいという場合には、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を提出しなければなりません。

こうした手続きだけでも面倒に感じてしまうことがあると思います。

2.記帳の手間がかかる

青色申告で65万円の控除を受けるには、正規の簿記の原則に則って「複式簿記」で記帳を行わなければなりません。

経理の知識がなければ難しく感じてしまいますし、日々の経理処理に手間や時間がかかってしまいます。

3.青色申告にはペナルティもある

青色申告では、確定申告書の提出が期限に遅れた場合には、65万円の控除が受けられず、控除額が最大10万円になってしまうというペナルティもあります。

また、青色申告の承認を受けた場合、2年連続して申告期限を守らなかったら、青色申告の承認が取り消されることがあります。

青色申告の承認申請が取り消されると、通常その後3年は白色申告を行わなければならず、節税効果が得られなくなってしまいます。

ABOUT ME
kumi
元証券会社勤務で現在は3人の子供を育てながらライターとして活動中。nanairoでは主に、お金・節約術に関する記事を執筆しています。