確定申告

確定申告で損をしない!新ルール『106万の壁』を理解しよう

よく言われる「○○万円の壁」という言葉ですが、2016年から新たに「106万円の壁」が誕生しました。

この壁ができることで、これまでと何が変わるのかと、疑問や不安を感じている方もいらっしゃると思います。

新たに加わった「106万円の壁」について、今までにあった「103万円の壁」や「130万円の壁」と合わせて理解し、影響を受ける方は対策を考えておきましょう。

「103万円の壁」の正体

「所得税」に関わるボーダーラインのこと

103万円というのは、パートなどでお給料をもらいながら働く場合に、所得税がかかるかどうかの境目になる年収の金額です。

103万円がボーダーラインになるのは、以下の理由によります。

(1) 給与所得控除額の最低金額が65万円

所得税というのは「収入金額」にそのまま課税されるわけではなく、収入から必要経費を差し引くことができます。

すなわち、

所得金額=収入金額-必要経費

ということになります。

ここで、給与所得者の場合には、必要経費として具体的に計上できるものがありませんから、一定の「給与所得控除額」を必要経費の代わりに差し引くことになっています。

つまり、

給与所得金額=収入金額-給与所得控除額

ということになります。

給与所得控除額は給与収入の額に応じて変わりますが、最低金額は65万円になります。

これは、給与収入が65万円以下であれば、そもそも給与所得は発生しないということを意味します。

(2) 所得控除のうち基礎控除額が38万円

所得税の計算では、「所得金額」から「所得控除額」を差し引くことができ、これをもとに税額の計算をします。

すなわち、

課税所得金額=所得金額-所得控除額

ということになります。

所得控除にはいくつか種類があり、人によって適用できるものが違いますが、誰もが無条件に適用できる38万円の基礎控除と呼ばれるものがあります。

つまり、所得金額が38万円以下であれば、所得税はかからないということになります。

(1)、(2)を合わせて考えると、給与所得者の場合には、最低でも38万円+65万円の合計103万円の控除が受けられることになります。

つまり、お給料をもらっている人の場合、年収が103万円以下であれば、所得税はかからないということです。

103万円を超えたら「配偶者控除」から「配偶者特別控除」へ

パートで働いている主婦の場合、103万円を超えるかどうかで、夫にかかる税金にも影響が出てきます。

所得控除の中には「配偶者控除」があり、控除対象配偶者がいる人であれば所得から一定額を差し引くことができます。

そして、この場合の控除対象配偶者の要件にも、所得金額が38万円以下というのがあります。

パートなどでお給料をもらっている妻の場合、所得金額が38万円以下ということは、収入は給与所得控除額の65万円を足した103万円以下ということになります。

つまり、妻の収入が103万円以下なら、夫は配偶者控除を受けることができます。

なお、妻の所得金額が38万円超76万円未満(給与収入103万円超141万円未満)の場合には、夫は配偶者控除を受けられませんが、配偶者特別控除を受けることができます(ただし、夫の所得金額が1000万円以下の場合)。

妻の収入が103万円を超えても141万円までは配偶者特別控除があるということです。141万円というのが、配偶者がいることで夫が控除を受けられるかどうかの壁になります。

「130万円の壁」の正体

「社会保険」加入のボーダーライン

「130万円の壁」というのは、税制上の問題ではなく、社会保険の問題になります。

社会保険の被扶養者として認定されるためには、認定者の年収が130万円未満で、かつ被保険者の年収の2分の1未満である必要があります。

つまり、パートで働いている妻の場合、年収130万円を超えれば社会保険で夫の扶養に入れないことになりますから、自分で会社の社会保険または国民年金・国民年金保険に加入しなければなりません。

なお、年収130万円未満であっても、夫の年収の2分の1を超えている場合には、夫の扶養には入れないことになります。

社会保険の費用はいくら必要?

自分で会社の社会保険に入らなければならないとなると、保険料の負担が発生します。

保険料は被保険者と事業主が折半することになりますから全額を負担する必要はありませんが、2分の1の額が給与から天引きされることになります。

社会保険料がどれくらいになるかは給料や地域によっても違いますし、加入先が協会けんぽか組合健保かによっても多少異なりますが、一般に、給与の14%前後になります。

「106万円の壁」の正体

「106万円の壁」も社会保険加入のボーダーライン

2016年10月に新たにできたのが「106万円の壁」です。「106万円の壁」も、社会保険に関するものになります。

と言っても、130万円が106万円に引き下げられたわけではありません。

「130万円の壁」は配偶者等の社会保険の扶養に入れるかどうかの問題ですが、「106万円の壁」は自らが社会保険に入らなければならないかを判断する基準になります。

これまでは、パートタイマーで社会保険への加入が義務付けられるのは、フルタイムで働いている人の概ね4分の3以上の労働日数、労働時間で働いている人でした。

しかし、2016年10月以降は、次の要件をみたす人(ただし、学生は適用除外)は社会保険に加入することになります。

  1. 勤務時間が週20時間以上
  2. 1ヶ月の賃金が8.8万円(年収106万円)以上
  3. 勤務期間が1年以上になる見込みがあること
  4. 従業員501人以上の企業で働いている

1~4の条件をすべて満たしていない場合には、年収106万円を超えても社会保険に加入する必要はありません。

しかし、今後は社会保険の適用条件を拡大する方向にありますから、現在社会保険に入らなくても良い人でも、ゆくゆくは入らなければならない可能性もあります。

特に、従業員501名以上のラインは引き下げられると言われていますから、「大きな会社に勤めていないから関係ない」というわけにはいかなくなります。

「106万円の壁」をもっと詳しく知りたい

月収8.8万円にはどこまで含まれる?

社会保険加入のボーダーラインとなる106万円ですが、そもそも年収でみるのではなく、月収8.8万円という基準になります。

8.8万円に12を掛けると105.6万円になりますが、これを切り上げして「106万円の壁」と呼ばれているのです。

月収というのは社会保険の保険料の算定に使われる標準報酬月額になり、給与の額と一致するわけではありません。

社会保険の加入条件を判断するために標準報酬月額の算定をする際には、残業手当、通勤手当、精皆勤手当、家族手当などは含めない扱いになっています。

これらの手当を除いて8.8万円を下回っていれば、社会保険には加入しなくてよいということになります。

従業員501人以上ってどんな企業が当てはまる?

2016年10月以降の社会保険の加入条件には、従業員501人以上という加入条件があります。

この場合の従業員はどの範囲で考えるかということですが、元々の基準による社会保険の加入者が501人以上という意味になります。

パートの掛け持ちの場合は合計金額になるの?

「106万円の壁」は勤務先の社会保険に加入しなければならないかどうかの基準になります。

パートを掛け持ちしている場合には、1ヶ所で106万円を超えていなければ社会保険に加入する必要はないことになります。

デメリットばかりでなく、メリットもある

新たに社会保険に加入しなければならないとなると、保険料の負担が増えるというデメリットばかりを考えてしまいがちですが、社会保険加入によるメリットもあります。

将来もらえる年金額が増える

自分で厚生年金に加入すれば、将来受け取る年金額が増えることになります。

夫の扶養に入っている主婦は国民年金の第3号被保険者で、将来もらえる年金は国民年金のみになります。

しかし、自分で厚生年金に加入すれば、厚生年金からも年金をもらえることになります。

自営業者の奥さんはお得になるケースもある

自営業者の場合には社会保険に入れませんので、国民年金・国民健康保険に加入することになります。

国民年金・国民健康保険には扶養という制度はないため、自営業者の妻は自分で国民年金・国民健康保険に入らなければなりません。

自営業者の妻がパート先の社会保険に入れるようになれば、会社が保険料を半分支払ってくれることもあり、保険料が安くなることが多くなっています。

扶養家族にとってもメリットが生まれる場合も

社会保険の適用対象が拡大することは、パートの妻だけでなく、親と同居している子どもなどの扶養家族にとってもメリットがあることがあります。

これまで国民年金・国民健康保険を払っていた扶養家族も、会社の社会保険に加入することで、保険料の負担が軽くなることが多くなります。

ずっとアルバイトの状態が続いても厚生年金を受け取れますから、将来に対する安心感にもつながります。

ABOUT ME
kumi
元証券会社勤務で現在は3人の子供を育てながらライターとして活動中。nanairoでは主に、お金・節約術に関する記事を執筆しています。