MENU

確定申告が必要な人や確定申告で得する人はどんな人?

確定申告をしなければならない人とは、個人事業主として仕事をしている人と思っている方も多いでしょう。個人事業主でないいわゆるサラリーマンでは、確定申告をしたことがない方が多いのも事実です。

確定申告というのは、果たして個人事業主のみがするものなのでしょうか?

ここでは、「確定申告は個人事業主がするものなの?」「個人事業主以外は確定申告しなくていいの?」という疑問をお持ちの方のために、確定申告が必要な人とはどんな人なのかを解説します。

目次

確定申告は大きく分けて3種類の人に分けられる

確定申告は所得税の納税のために必要な手続きです。納税は国民の義務ですから、確定申告するかどうかを本人の全く自由な意思で決められるわけではありません。

それぞれの人の確定申告の必要性については、

  1. 確定申告をする必要がない人
  2. 確定申告をしなければならない人
  3. 確定申告をした方が得する人

の3パターンに分かれることになります。まずは、自分が(1)~(3)のどれに当てはまるのかをしっかり確認しましょう。

(1) 確定申告をする必要がない人

所得税の納税のためには確定申告が必要ですが、既に所得税を納税してしまっている人やそもそも所得税の納税義務がない人は、確定申告する必要がありません。

以下の条件にあてはまる人は、確定申告の義務はありませんので、確定申告について悩む必要もないということです。

会社の従業員で、会社で年末調整を受けている人

会社勤めのサラリーマンは、毎月の給与から所得税を源泉徴収されており、年度の終わりに会社が年末調整という形で過不足分を清算してくれます。

ですから、確定申告で所得税を申告・納付する必要はありません。

所得が少額(38万円以下)の人

所得税は、所得から各種の所得控除を差し引いたものに課税されます。

所得控除には、すべての人が適用を受けられる38万円の基礎控除がありますから、少なくとも所得38万円以下であれば、所得税がかかることはありません。

公的年金等の収入金額が年間400万円以下で、その他の所得金額が20万円以下の人

年金は雑所得とされ、65歳未満の場合は108万円、65歳以上の場合は158万円を超える年金を受け取れば原則として確定申告が必要になります。

ただし、下記ア、イの両方の条件をみたす場合には、確定申告をしなくても良い「確定申告不要制度」があります。

ア.公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下

イ.公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(個人年金、生命保険の満期返戻金など)が20万円以下

(2) 確定申告をしなければならない人

確定申告を義務付けられている人は、大きく2つのパターンに分かれます。

給与所得者で確定申告が必要なケースと、給与所得者かどうかに関係なく確定申告が必要なケースです。

給与所得者で確定申告が必要なケース

以下の条件にあてはまる給与所得者は、確定申告する義務があります。

2,000万円を超える給与収入がある人

給与収入が2,000万円を超えると会社で年末調整してもらえませんので、確定申告しなければなりません。

給与所得以外に副収入があり、副収入の所得だけで20万円を超える人

サラリーマンでも、ネットオークションやアフィリエイトなどで副収入を得ている場合、経費を差し引いた所得額が20万円を超えれば確定申告義務が生じます。

副業の場合には個人事業主でないから確定申告は不要と思っている人も多いようですが、副業かどうかではなく、いくら稼いでいるかがポイントになります。

2か所以上の会社から一定額の給与を得ている人

2ヶ所以上の会社から給与をもらっている場合、「主たる給与」をもらっている会社で年末調整を受けていても、他の会社の給与(「従たる給与」)については所得税の清算ができません。

ですから、原則として確定申告が必要になります。なお、「従たる給与」が年間20万円を超えない場合には確定申告の義務はありません。

同族会社の役員やその親族であり、会社から支払われる地代、貸付金の利子等から所得が発生する人

同族会社の役員等が、その同族会社から給与のほかに貸付金の利子や不動産の賃貸料などを受け取っている場合には、これらの所得金額が20万円以下であっても確定申告が必要になります。

個人事業主の使用人といった立場で源泉徴収が行われていない人

個人事業主の事業所に勤めていれば、源泉徴収してもらっていないケースもあると思います。

このような場合には、確定申告して税金を納める必要があります。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出せず退職金を受け取り源泉徴収された人で、源泉徴収税額が正規の税額よりも少ない人

退職金の支払い時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、会社が20%の源泉徴収を行います。

源泉徴収額が少なかった人は、確定した税額に従って、確定申告で税金を納付する必要があります。

被災者において、災害減免法により源泉徴収税額の徴収猶予や税金の還付を受けた人

災害減免法により所得税の徴収猶予や還付を受けた場合には、年末調整されないため、確定申告で清算しなければなりません。

給与所得者かどうかに関係なく確定申告が必要なケース

給与所得があってもなくても、以下に該当する場合には、確定申告が必要になります。

個人事業主としての事業所得や、アパート経営などでの不動産所得がある人

これらの所得の合計額から所得控除を差し引いて計算した所得税額が配当控除よりも多い場合には、確定申告が必要になります。

ネットオークションやアフィリエイトなどで収入を得ている場合、サラリーマンの副業なら20万円を超えると確定申告が必要になりますが、サラリーマンでない主婦などの場合には38万円を超えると確定申告義務が発生します。

年金等での収入がある人

年金受給者で確定申告不要制度の対象とならない場合には確定申告が必要です。

不動産やゴルフ会員権などを譲渡・売買することで、所得を得た人

不動産やゴルフ会員権を売却して利益が出た場合には、譲渡所得があったことになりますから、確定申告して税金を納める必要があります。

(3) 確定申告をした方が得する人

以下に該当する人は、必ず確定申告をしなければならないわけではありませんが、確定申告をすれば税金が戻ってくることがあります。

給与所得者で、医療費控除、寄付金控除、雑損控除などの適用対象者

所得控除のうち、雑損控除、医療費控除、寄附金控除は年末調整では適用できませんから、適用を受けるには確定申告が必要です。

また、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)の適用を受けるには、初年度は年末調整されないため、確定申告が必要になります。

給与所得者で、年末調整で生命保険料控除などを受けられなかった人

年末調整までに書類が間に合わず生命保険料控除や地震保険料控除が受けられなかった人は、確定申告して税金の還付を受けることができます。

給与所得者で、年途中で退職して年末調整までに再就職していない、再就職したが再就職先で年末調整を出せていない人

年度途中で退職した人の場合、源泉徴収により所得税を多めに払っているケースが多いですから、このような場合には確定申告すれば税金の還付を受けられます。

「退職所得の受給に関する申告書」を提出せず退職金を受け取り源泉徴収された人で、源泉徴収された税額が納めすぎの人

退職金の支払い時に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない場合には、会社が20%の源泉徴収を行います。

源泉徴収された額が正規の税額よりも多かった場合には、確定申告により税金の還付が受けられます。

所得が少なかったので、予定納税していたが税金を納めすぎてしまった人

予定納税の制度により所得税を前もって納付したけれど、所得が少なく納め過ぎになってしまった場合には、確定申告して税金を取り戻すことができます。

副収入の所得が20万円以下の給与所得者で、副収入で源泉徴収されている人

給与所得者が副収入で源泉徴収されている場合、副収入が年間20万円以下であれば納税義務が発生しませんので、確定申告して税金の還付が受けられます。

アルバイトをして源泉徴収されているけれど、年末調整を受けていない人

アルバイトで源泉徴収されている税額が多い場合には、確定申告により還付が受けられます。

自分は確定申告が必要なのか、した方がお得になるのか見極めよう

納税は国民の義務ですが、確定申告は納税のために必要な手続きになります。

納税の義務を果たすために、自分は確定申告が必要なのかどうかの判断がいちばん重要になります。

一方で、確定申告する義務がないけれど、確定申告することで税金の還付が受けられる人もいます。

上記を参考に、自分の立場がどこに当てはまるのかをしっかり理解したうえで、確定申告すべきかどうかの判断をしましょう。

目次