確定申告

出産をしたら確定申告で医療費控除を申請しよう

「医療費控除」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?ある年の家族の医療費が一定の金額を超えると、払い過ぎた税金が取り戻せることがあるのですが、出産の場合でも一定の費用については適用されます。

では、どういった場合に適用され、どのような手続を踏めばよいのかを確認してみましょう。

医療費控除について知ろう

医療費控除の申請方法

会社に勤めている人は、毎年年末になると総務や経理の人が「年末調整」をしてくれていることでしょう。

これは、その年に源泉徴収された所得税を、各種の控除などを考慮した上で再計算し、過不足を調整するための手続きです。

通常、これですべての精算が終わるはずなのですが、医療費控除は例外で、年明けに自分で確定申告を行って精算しなければならないのです。

 確定申告は原則として自分の住所地を管轄する税務署に出向いて行います。家族全員の医療費の領収書、前年の源泉徴収票を準備して整理し、合計額を計算しておくと手早く申告できます。

確定申告の手続きについて現在は「イータックス」と呼ばれる電子申請で行うこともできます。申告の期間は、サラリーマンであれば対象となる医療費がかかった翌年の1月1日から5年間となります。

自営業者など、医療費以外にも申告する必要がある人は2月16日から3月15日(年により祝日の関係で若干異なることもある)の確定申告期間に合わせて行うことになります。

具体的な手続方法は以下の通りです。

税務署に行くと医療費控除の一式(医療費の明細書、領収書を入れる封筒)をもらうことができます。

もちろん手書きでも構いませんが、税務署のイータックスコーナーで入力してプリントアウトすることもできます。

自宅でイータックスを使って電子申請する場合ですが、これは24時間受け付けていること、医療費の領収書の内容を入力することにより原本を添付省略できることなどからうまく使いこなせれば便利なものです。

国税庁側も、オンラインでの申請の方が処理が手早く、楽にできることから推奨してはいるのですが事前の準備が大変です。

 指定のブラウザなどインターネット環境が整っていることを確認する、電子証明書を取得する手続をとる(マイナンバーカードまたは住基カードに格納される)、ICカードリーダライターを準備するなど、やらなければならないことがかなりあります。

しかもそれらをセットアップするためにはそれなりにパソコン操作に慣れている必要があるため、普段使い慣れない人にとっては少し難しく感じるかも知れません。

何度も申告のために使うのでなければあまりそこまで手間をかける意味がないこともあるため、そのような人はむしろ税務署に出向いた方が早いのではないでしょうか。

医療費控除の対象となる条件

通常、医療費控除の対象となるものは医師の診療費や医師の指示による投薬、入院費などです。

家族全員の収入を合算して年間10万円以上であれば控除の対象になりますが(総所得金額が200万円未満の人については総所得金額の5%となります)、たとえ同居していない家族であっても「生計を一つにしている」という条件を満たせば合算することができます。

つまり、家を出て下宿している子供にかかる医療費も合算してよいということになるわけです。

医療費控除の計算方法

医療費控除は、医療費が一定以上の金額になった時にそれに所得税率をかけたもの

が戻ってくるというのがその内容です。一定以上の医療費そのものが戻ってくるわけではないことに注意しましょう。

具体的には次の計算式を使います。

1年間の医療費で対象になるもの-保険金や給付金などで手当てされたもの-10万円=医療費控除額 →これに対して所得税額を掛けたものが実際の還付額となります。

医療費控除の対象になるもの

妊娠・出産前の医療費控除

不妊治療、人工授精

自然に子供を授からない夫婦が病院を受診して医療行為として受ける不妊治療は「その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」とみなされて医療費控除の対象とされています。

妊婦検診代やそのための交通費

定期的に受診する妊婦検診の費用や、病院に行くまでの交通費についてきちんと領収書を保存しておけばその分も医療費控除の対象になります。

ただし、検診費用そのものは市区町村などで助成金が出るものもありますのでそれは対象になりません。

出産時の医療費控除

もし、突然陣痛が来てしまった場合にタクシーで病院まで行った場合は緊急時ということでその分が控除の対象になりますし、出産の際の医師の施術、助産師の分娩介助の対価については医療行為ですから当然対象になります。

そして、出産の後に正常な分娩でも1週間ほど入院しますがその際の入院費、入院の際に支給される食事代も控除の対象となります。

通常の相部屋による入院代は対象となりますが、医師の指示で個室に入ったり、相部屋が空いていなかったなどの事情以外(本人の希望等)で個室に入った場合、差額ベッド代は対象になりません。

また、入院中の洗面用具代や病室でのテレビなどの賃借料等も必要な費用とはいえるのですが、直接の治療の対価ではないため控除の対象にはなりません。

出産後の医療費控除

出産後1カ月の健診も対象になりますし、保健師、看護師はもちろんのこと、一般のシッターなども療養上の世話をしてもらうための対価と認められれば医療費控除の対象になります。

医療費控除の申請のポイント

医療費でかかったレシートは保管しておく

税務署に申請に行く場合は家族分の医療費のレシートをすべて持参します。

ばらけないように人ごと、病院ごとに整理しておくとなお良いでしょう。電子申請の場合は添付を省略できるものの、いざ税務署から提示を求められたらいつでも提示できる状態にしておかなければなりません。

いろいろな治療を行ってまとめて控除を受ける

とりわけ所得に年ごとの波があるような人は、その年の所得が高くなって税金がかさみそうであれば、普段高額でなかなか踏み切れなかった治療で医療費控除の対象に入るものをやっておくというのも一つの方法です。

たとえば、インプラントのような自由診療であっても治療に必要な範囲と認められる部分については医療費控除の対象とすることができるからです。

申告する人は家族の中で一番所得税率の高い人にする

所得税は「超過累進税率」といって所得が高ければ高いほど税率が上がるしくみになっていますが、平成27年の所得分からは7段階に分けられており最低税率で5%、最高税率で45%にもなっています。

つまり、医療費控除を申告するのは、より所得の高い人にする方が有利なのです。

保育料を安くすることができることもある

たとえば、医療費控除の還付金だけを考えるとそれほど金額が大きくないので、そのために確定申告の手間をかけるのも面倒だからやらない方がいいのでは?と思うこともあるでしょう。

ただ、控除できる金額があるということ自体がその他の支払い、たとえば住民税や認可保育園の保育料を安くできることもあるのです。

こういったことを考えるとやはり少々面倒でもしておいた方が良いといえそうです。

「出産一時金」をもらっている場合はどうなるの?

出産一時金って何?

正確には「出産育児一時金」といいますが、自分の加入する国民健康保険や社会保険から、分娩や入院の費用を一時金として支給してもらえる制度です。

出産は通常、病気とはいえないため健康保険の対象外ですが、分娩や入院で数十万という高額の費用がかかるためそれを保険から手当しようというものです。

現在、産科医療補償制度に加入する産院の場合は42万円、それ以外は39万円が支給されることになっています。

支払の方式は健保組合などが産院に支払う「直接支払い方式」と、事前に本人が健保組合等に届出をした上で病院が本人に代理して一時金を受け取る「受取代理制度」があります。

受取代理制度は事前のひと手間がかかるもののそこまで大変な手続ではありません。

ただ、本人の便宜を考えて現在では前者の直接支払い方式が主流となっています。

控除を受けることはできるが、注意が必要

出産育児一時金をもらっているからといって医療費控除の対象自体から外れることはありません。

ただ、出産育児一時金が実際に支払われた分については医療費控除を計算する基礎となる医療費から差し引かなければならないことに注意しましょう。

また、帝王切開などで出産費用が高額になった場合、これも健康保険の制度として「高額療養費」による補助が受けられることになりますが、これについてもかかった医療費からは差し引かなくてはなりません。

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kumi
元証券会社勤務で現在は3人の子供を育てながらライターとして活動中。nanairoでは主に、お金・節約術に関する記事を執筆しています。