つみたてNISAは、税が優遇されるNISAの新制度で2018年1月からスタートしました。
今回の新NISAは、要は「積み立てに特化したバージョン」と思っていただければ分かりやすいかと思います。
なお、つみたてNISAの口座開設受付は、前年の2017年10月から既に始まっており、日本在住の20歳以上の方であれば誰でも申し込むことができます。
今回は、つみたてNISAとは一体何なのか、従来のNISAとの違いは何か、詳しく解説していきます。
つみたてNISA(積立NISA)とは
つみたてNISAとは、積立投資によって得られた売却益や分配金の運用益がすべて非課税になる制度です。
現在日本では、積み立て投資で得た利益に対して、
20.315%の税金(所得税+住民税+復興特別所得税)
がかかりますが、この制度を利用した場合は全て非課税になります。
例えば、投資信託を運用して100万円の利益が出たと仮定します。
この場合、通常
「100万×20.315%=203,150円」
の税金を支払うことになり、実際手元に残るのは
「100万-203,150円=796,850円」
になります。
こうして金額に表してみると、結構大きいことが分かります。
しかし、つみたてNISAを利用すれば、この「203,150円」という税金が丸々なくなるというわけです。
ここまで読んでいただいて、「従来のNISAと何が違うの?」と思った方が大勢おられるかと思います。
確かに、投資によって得られた利益が非課税になるというメリットは、従来のNISA何ら変わりありません。
しかし、その以外の細かなルールが少しずつ違うので、それを次章で解説していきます。
つみたてNISAと従来のNISAとの違い
続いて、つみたてNISAと従来のNISAとの違いをご説明していきます。
【非課税制度NISAの比較表】
つみたてNISA | NISA | |
対象者 | 日本に住む20歳以上の方 | |
資産の引き出し | 可(※現金に戻していつでも引き出せます。) | |
損益通算 | 不可 | |
譲渡損失の繰越控除 | 不可 | |
金融機関の変更 | 可(※ただし年単位での変更のみ) | |
投資方法 | 定期的かつ継続的な積立 | 一括、積立 |
対象商品 | 金融庁が認可した投資信託・ETF | ETF・REITを含む上場株式、投資信託 |
投資できる期間 | 20年間(2018~2037年) | 10年間(2014~2023年) |
非課税の期間 | 投資した年から最長20年間 | 投資した年から最長5年間
(ロールオーバーすれば最大10年間) |
年間の投資上限額 | 40万円 | 120万円 |
累計非課税の投資上限額 | 800万円 | 600万円 |
つみたてNISAは文字通り「積立専用」
従来のNISAは、最大120万円で一括購入することもできますし、積立購入にも対応しています。
一方、つみたてNISAでは、定期的でかつ継続的な積み立て購入しか認められていません。
なお、この「定期的な」という意味は、
- 毎月
- 2ヵ月に1回
- 年に2回(※ボーナス時など)
などです。
また、この積み立てる頻度は、取引する金融機関によって選択肢が違うので、口座を開設する際はよく確認しておきましょう。
つみたてNISAは対象商品が選択肢が少ない
従来のNISAは、
- 上場株式(ETF、REITを含む)
- 投資信託
が対象商品です。
一方、つみたてNISAは、金融庁が「積立」「長期」「分散」という3つの投資に適していると認可された投資信託・ETFのみが対象商品になります。
非課税の期間と年間投資上限額の違い
非課税になる期間は、通常のNISAの「5年間」に対し、つみたてNISAは「20年間」となっています。
また、年間の投資上限額が通常のNISAが「120万円」であるのに対して、つみたてNISAは「40万円」。
これらの違いから見えることは、つみたてNISAの方がリスクが少なく、より長期的な投資に向いた制度ということです。
まとめ
これまで読んでいただいて、つみたてNISAがどういった制度なのか大体は掴んでいただけたかと思います。
まとめると、NISAは
- 一括投資可能
- 年間の投資上限額が多い
- 投資対象商品の選択肢が広い
などから、投資経験者にメリットが大きい制度と言えます。
一方、つみたてNISAは、
- 年間の投資上限額が少ない
- 非課税の期間が長い
- 積立、長期、分散に向いた投資
などから、投資初心者にメリットが大きい制度と言えるでしょう。
金融庁が定めた基準を満たす「投資信託・ETF」
また、つみたてNISAは、金融庁が認めた「投資信託・ETF」のみが対象であるため、これも投資が初めての人にとって1つの利点と言えるでしょう。
現在国内で販売されている投資信託は約6,000本もあり、初心者の方がその中から自分に最適なファンドを見つけるのは難しいことでもあります。(このファンドを選ぶ作業が投資信託の醍醐味と言えばそうなのですが)
この点、つみたてNISAなら、金融庁の定めた厳しい基準をクリアした135本(※2018年2月)に限定されているので、初めての方でも選びやすいですよね。
ただし、金融庁が厳選しているからといって、利益が出ることが保証されているわけではありません。そのことだけは忘れずにつみたてNISAを始めるようにして下さい。