株式に関する専門用語は数多くありますが、「IPO」という言葉を知っているでしょうか。
「新規公開株」や「新規上場」などとニュースで報道されているのを耳にしたことがあるのではないでしょうか。
近年であれば、フェイスブックや日本郵政などが株式を新規に上場してとても話題になりました。
「IPO(新規公開株)」への投資は初心者でも簡単に利益を出しやすい投資で、利益を出しやすいどころか投資額を2倍3倍と増やすことも夢ではありません。
なかなか申し込んでも当たらないIPOですが、申し込まなければ当たりません。
ここではIPO(新規公開株)どのようなものなのか、本当に儲かるものなのかも含めて解説していきたいと思います。
「IPO」とは
IPOとは「Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、新規公開株・新規上場株のことを指します。
新規上場とは、未上場の企業が新規に証券取引所に株式を上場することをいいます。
新たに証券市場に上場するその株式のことをIPO(新規公開株)と言います。
企業は何の為に上場するのか
では、そもそも企業は何の為に上場するのでしょうか。
実は、証券取引所に株式を新規上場することは企業側にとってたくさんのメリットがあるのです。
株式を証券取引所に上場すると、株式市場において不特定多数の投資家が売買可能となります。
そうすると、たくさんの人に株を購入してもらうことで、金融市場から広く資金調達することが可能となります。
この資金をもとに新たな設備投資などを行い、事業拡大をしていくことができます。
また、上場することによって企業の知名度や信用度が向上します。それによって自社製品の宣伝ができるのです。
創業者など、IPOを行う前の未上場の時点で、多くの株を持っている株主は、上場することによって非常に多くの資産を獲得できるということもメリットの一つです。
投資家にはどのようなメリットがあるの?
一方で、投資家にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
証券取引所に上場すれば、誰でも自由に株式を売買できるようになります。
裏を返せば、取引所に上場していない株を購入することは基本的にはできません。
日本には多くの未上場企業があります。サントリーは未上場企業の為、サントリーの株が買いたいと思っても買うことはできません。
しかし上場を決めた銘柄に関しては、上場前に株を購入することができるのです。
つまり、上場前に新規公開株を買うことができる。これがIPOです。
IPO銘柄の公募価格は安めに設定されることが多いため、上場後すぐに利益が出ることが多いです。
特に将来性が見込まれる企業であったり、上場前から有名な企業の株価は大幅な値上がりが期待できます。
そのような銘柄は購入希望者が殺到するために、抽選となりますが、倍率が高くても申込に挑戦する価値は大いにあるでしょう。
しかもIPOは手数料がかかりません。普通、株を購入する時は手数料がかかります。
しかしIPOの場合は手数料が無料なのです。
つまり、IPO(新規公開株)を購入できた場合、手数料はかからず、しかも大きな利益を得られる可能性があるということです。
2015年の「IPO」の結果
2015年のIPOの結果を見てみましょう。2015年は92社が新規上場をしました。その中でも、初値が公募価格を上回ったのはなんと82社でした。
これは確率にすると、なんと89%です。
また初値(上場日の取引開始時に付く値)が公募価格の2倍以上になったのは17社もありました。
株や投資信託・FXなど、どんな投資をするにしても勝つ確率が89%のものはそうありません。
このようにIPOには大きなチャンスがあるのです。
リスクとリターンを考えた場合に、リターンが大きい割にリスクが比較的低いので、投資初心者の方にもおすすめできます。
注意点
いくつか注意点がありますので説明しておきます。
IPOでも損することもある
IPOが当たったからといって必ず利益が出るというわけではありません。初値が公募価格よりも下がってしまうことだってあります。
現に2015年のIPOでは、89%の確率で勝てたということは、その逆に11%のIPOは初値が公募価格を下回っていたということです。
特に、人気のない業界や、成長性が低いと思われるIPOは初値が低くなる可能性があります。
大事なことは、IPOだからといって何にでも飛びつくのではなく、上場する企業の成長性や業界動向などを調べて、見極めることです。
どの証券会社でも申し込めるわけではない
注意してほしいのは、IPOはすべての証券会社で取り扱っている訳ではないということです。
IPOは銘柄によって取り扱っている証券会社が違います。また取り扱っていない証券会社もあります。
IPOを申し込める証券会社は、
- 主幹事証券会社
- 幹事証券会社(平幹事)
- 委託幹事(裏幹事)
に該当する証券会社(シンジケート)です。
企業が上場する時、必ずどこかの証券会社にファイナンス業務を行ってもらう必要があります。その際に上場をサポートする証券会社を「幹事証券会社」と言います。
その中でも中心的に役割を果たす証券会社を「主幹事証券会社」といいます。
そして、主幹事、幹事証券会社からIPOの売り出し業務等を委託されるのが「委託幹事(裏幹事)」です。
そのため、いずれかに該当する証券会社の口座を保有しておく必要があります。
どの証券会社でもIPO株を買えるわけではないということに注意しておいてください。
いろんな銘柄のIPOに挑戦したいと思っている方は、複数の証券会社で口座を開設しておいた方がいいでしょう。
IPOの配分数量は主幹事かどうかで決まる
余談ではありますが、証券会社は企業を上場させると多額の報酬がもらえますので、企業が上場する際には、各証券会社が是非とも主幹事に選んでもらいたいと思っています。
人気企業のIPOの場合、主幹事証券会社になることができれば、他の引受証券会社よりも多くの新株を販売することができます。
(○○株式会社が新規上場するに際し、10000株の新株発行があった場合、「A証券会社は6000株、B証券会社は3000株、C証券会社も2000株売ってください」という具合に配分されます。)
投資家サイドから考えれば、主幹事証券会社に口座を開設した上でブックビルディングに申し込んだ方が当選確率は高くなるでしょう。
IPOが行われる際に、「今回はA証券会社が主幹事を取ったのか」という風な視点で見ると、少し変わった見方ができるかもしれません。
IPO購入までの流れ
それではIPO購入までの流れを説明していきます。
口座開設・入金・銘柄選択
IPOの銘柄を選択し、取扱いしている証券会社にて口座開設をします。
そして口座に必要資金より気持ち多めの資金を入金しておくようにしましょう。
IPO承認・参考価格の決定
企業の新規上場が承認されると、証券会社が同業種の株価・資産・業績予想などを考慮して、参考価格を決定します。
仮条件決定
証券会社が公募価格の仮条件を決定します。仮条件は○円~○円というような表し方がされます。
価格と数量の申込
仮条件の範囲内で、価格と数量を証券会社に伝えて申し込みます。その需要を考慮して公募価格が決められます。
※基本的に、当選するには上限価格で申し込む必要があるようです。実際に大手証券会社で申し込みをする際は、無条件で上限価格で申し込みを行います。
公募価格の決定
需要申告で最も多かった価格で公募価格が決定します。
大体の銘柄は仮条件の上限価格で決まることが多いです。
ちなみに、これら一連の新規公開株の1株あたりの価格を決定する方法のことをブックビルディング方式といいます。
抽選
買いたいという人がIPOの売り出し数量よりも多ければ、抽選となります。
ただし、売り出し数量より購入希望者の方が多いケースがほとんどなので、IPOはほぼ全て抽選となります。
当選!・購入!
上記の流れを経た上で、当選すれば新規公開株を購入することができます。
IPOの配分方法について
IPOの当選に向けて最も大切なのは証券会社選びです。
先程説明した通り、すべての証券会社でIPOを取り扱っているわけではありません。
取り扱いがある証券会社のなかでも、それぞれの会社によって配分の方法は異なります。
つまり、「どこの証券会社で申し込みをするのか」がとても重要になってくるのです。
配分の方法には2種類、「裁量配分」と「抽選配分」があります。
裁量配分
裁量配分とは、証券会社の担当者の裁量によってIPOを振り分ける方法です。
証券会社の多くが、引き受けたIPOの数量の大半を裁量配分で振り分けています。
それならば、担当者と仲良くなってお願いすれば配分をもらえるようになるのではないか等と考えがちですが、そうではありません。
証券会社の担当者というのは、実際に顧客の窓口になっている営業員ではなく、大体は支店長が裁量権を握っていると思います。(私の勤めていた証券会社はそうでした。)
営業員が需要の注文を受けますが、営業員は申し込みを受けている顧客が、
- 「いかに預かり資産が多いか」
- 「新規顧客で今後の取引がいかに見込めるか」
- 「大口顧客で普段の取引量がいかに多いか」
等が配分条件となってきます。
いわゆる今後の証券会社の売り上げにつながりそうな人が選ばれます。
可能性があるとすれば、
- 実際に投資余力がかなりある。(最低1,000万円以上)
- 普段から証券会社に手数料を落としている。
- 新規口座開設を伴う応募である。
などの条件が必要となってきます。
抽選配分
抽選配分はコンピューターで公平な抽選を行う方法で、ネット証券を中心に広まっています。
資金が少なくても、初めての申し込みであっても関係なく、平等に抽選が行われます。
裁量配分では資金力が物を言いますが、抽選配分では純粋な運による配分のため、誰にでもチャンスがあると言えます。
また、ネットなので簡単に手間がかからず申し込めることも特徴です。
しかし、どこの証券会社も裁量配分の割合が高く、そもそも抽選配分で振り分けられる割合が少ないのが難点です。
当選確率を少しでも上げるために、複数の証券会社にて申し込んだり、あきらめずに何度も申し込みをすることで、確率の分母を増やすことが重要となってきます。
IPOにおすすめの証券会社を紹介
ここまでIPOについて説明してきましたが、IPOが当選しやすい証券会社がどこなのか。せっかくIPOに申し込むなら、当選しやすい証券会社で申し込みたいですよね。
各証券会社によって、IPOの配分に関するルールが異なっており、特徴があります。
今回は、自身がおすすめする≪SBI証券≫の紹介をさせていただこうと思います。
SBI証券は、IPO銘柄の取扱数が業界でダントツで1位です。2015年は85%、2014年は83%ものIPOを取り扱っていました。
また、主幹事を引き受けるのは野村証券や大和証券等の大手証券会社が相変わらず多いですが、SBI証券はネット証券の中でも主幹事を引き受けることが多い証券会社です。
(SBI証券の主幹事+引受幹事数)
2015年 78社/92社中 → 84.8%
2014年 64社/77社中 → 83.1%
そして何よりもおすすめのポイントがIPOの配分方法にあります。
一般的な抽選方法以外に、「IPOチャレンジポイント」というオリジナルの制度があり、これが投資家の人気を集めています。
SBI証券の配分方法
SBI証券にはIPOの配分方法が2種類あります。
IPO数量の70%は「口数比例方式」
残りの30%は「IPOチャレンジポイントによる配分」です。
口数比例方式
IPOの申し込み口数に応じて番号が付与され、抽選が行われます。
応募口数が多ければ多いほど、当選確率は高くなります。
資金が多くある人が有利ではありますが、抽選ですので「運」が重要となってくる配分方法であるといえます。
IPOチャレンジポイントによる配分
「IPOチャレンジポイント」とは、SBI証券のオリジナルのシステムです。
IPOの抽選に申し込みをして、抽選に外れた場合に自動的に「チャレンジポイント」が1ポイント付与されます。
このチャレンジポイントは次回以降のIPO申し込みの時に利用するこができ、チャレンジポイントが多い順に当選する仕組みです。
抽選に外れたとしても、チャレンジポイントをコツコツと貯めていくことで、どんどん当選確率が上がっていくというシステムです。
IPOに申し込んで例え抽選に外れたとしても、外したことが無駄にならないというのが一番の魅力だと思います。
最後に
IPOの配分が当たった場合、手数料はかからず、しかも普通の投資より統計上では儲かりやすい(しかも大きく利益を得られる可能性もある。)と投資家のメリットは非常に大きいものとなります。
投資初心者の方も是非、IPOの抽選に参加してみてください。
投資家の中には、株式投資はIPOしか行わないという人もいます。それぐらい魅力のある投資手法なのです。
IPOの銘柄の人気が高ければ高いほど、配分を獲得するのは難しくなります。
しかし、あきらめずに申し込みを続けていればいつか当選する日が来るはずです。
宝くじなどよりは当たる確率は高いと思います。
ただ、宝くじと違うところは損をする可能性もあるということです。
これは間違いなく儲かりそうだと思うIPOの銘柄に関しては、どこの証券会社が幹事会社になっているのかを調べ、口座開設をした上で申し込みをしてみましょう。
抽選に申し込まなければIPOの配分が当たることはありません。
IPOに挑戦したいと思った方は、できるだけ多くの証券口座を開くことをオススメします。
投資初心者の方の投資への入り口としては、うってつけではないでしょうか。
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