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リバースモーゲージとは?リバースモーゲージのリスク・問題点

 

リバースモーゲージという言葉を聞いたことがあるでしょうか。

リバースモーゲージの仕組みを簡単にご説明すると、持ち家を担保として銀行や自治体から融資を受けて、借りたお金は債務者が死亡した時に自宅を売却することで一括返済するというものです。

詳しい内容はリバースモーゲージを取り扱う金融機関や自治体によって異なりますが、利用者としては給与収入がなくなり、住宅ローンを借りられない年齢になっても融資を受けられる点でメリットがあります。

リバースモーゲージには大きく、毎年一定額を受け取れる年金方式や、まとまった金額を一度に借り入れられる一括融資方式、決められた借入枠内で必要な時に必要な額の借入が出来る随時融資方式などがあります。

目次

返済について

リバースモーゲージは、毎月利息のみ返済する方法や、借入時に利息を借入残高に組み入れ、その後の返済は一切不要な方法等があります。

前者の場合借入額が大きくなると利息分の返済だけで大きな金額となってしまうこともあるため注意が必要です。

また、どっちの方法でも死亡時や取引終了時には一括して返済する必要があります。

リバースモーゲージの歴史

リバースモーゲージの歴史を見てみると、アメリカでは1960年に取り扱いが開始されましたが、日本では1981年に武蔵野市の福祉資金貸付制度が導入されています。

その後、世田谷区や神戸市など都市部の自治体で取り扱いが広がるなど、初期には自治体での利用が中心で、マイナーなものでした。

2010年代に入ると、年金問題や高齢化問題など社会的要請も有り、みずほ銀行を始めとして3大メガバンクが利用を開始するなど民間金融機関においてもその利用が広まってきています。

自治体と民間金融機関の違い

リバースモーゲージは、自治体のものと民間金融機関のものがあり、基本的な仕組みは変わりませんが、その制度の目的に違いがあります。

自治体によるリバースモーゲージ

厚生労働省の「不動産担保型生活資金貸付制度」は、低収入な高齢者の自立支援を目的として作られた制度で、利用にあたっては以下の項目を満たす必要があります。

  1. 低所得世帯:必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯(住民税非課税)
  2. 障害者世帯:身体障害者世帯、療育手帳、精神障害者保険福祉手帳の交付を受けた者等の属する世帯
  3. 高齢者世帯:65歳以上の高齢者の属する世帯

また、融資を受ける際には土地の評価額70%以内で、月30万円以内での利用となります。

みずほ銀行のリバースモーゲージ

一方、民間金融機関のリバースモーゲージとして、ここではみずほ銀行のリバースモーゲージをご紹介します。

みずほ銀行のリバースモーゲージは、「自宅を担保に資金を確保し、充実したセカンドライフを実現」するためのローンで、現在では持ち家の住所を東京都と神奈川県、埼玉県、千葉県の1都3県に住所を有する、契約時年齢55歳以上で、安定かつ継続した収入が見込める方が対象となっています。

担保評価について

リバースモーゲージは金融機関が算出した不動産の担保評価額を元に、その評価額の範囲内で融資を受けられるものです。

不動産の担保評価は時の流れと共に変化していくものなので、最初の融資時に評価を受けるほか、定期的に評価の見直しが行われます。

仮に、担保評価の見直しにより評価が下がりすでに受けた融資分より低くなってしまった場合には超過分を一括返済する必要があったり、追加で担保を提出しないといけなくなったりしてしまうので注意が必要です。

また、リバースモーゲージは債務者が死亡した際、その担保となる不動産を売却して債務を返済しますが、返済してもなお負債が残れば残された相続人が支払うこととなるため、担保評価額いっぱい使わないようにした方が良いでしょう。

リバースモーゲージのリスクと問題点

リバースモーゲージは高齢者の方でもまとまった資金の融資を受けられる便利な制度ですが、利用にあたりリスクや問題点を理解しておく必要があります。

リバースモーゲージには長生きリスクがある

リバースモーゲージは不動産の担保評価額の70%〜80%融資を受ける制度ですが、例えば65歳から融資を受け始めた場合、80歳までの15年間で担保評価分全てを利用してしまうと、80歳以降リバースモーゲージから融資を受けることができず、年金だけで生活しないといけなくなる可能性があります。

高齢になればなるほど医療費や介護費の負担が大きくなることを考えると、リバースモーゲージを利用するにしても、その利用開始年齢についてよく考える必要があります。(とはいえ、何歳まで生きられるか分からないので適切な設定は難しいですが・・・)

現在のところ都心意外での利用が難しい

みずほ銀行のリバースモーゲージが現在のところ1戸3県に限られており、また金融機関としても数十年後にその不動産を売却して融資金を回収することができなければ融資ができないため、不動産を評価する目も厳しくなります。

これは他の金融機関でも同様で、実際のところ不動産の評価の付きやすい都心や、地方中心都市での利用が中心です。

マンションは基本的に対象外

また、リバースモーゲージで担保の対象となるのは一般的に、土地付き一戸建て住宅に限られます。

建物は築年数が経つにつれて担保評価額が下がることもあり、担保の対象外としている金融機関が大半で、これはマンションも同様です。

このように、都心や地方中心都市で土地付き一戸建てを所有している方以外には利用が難しいのが現状です。

リバースモーゲージか売却か

リバースモーゲージにはまだまだリスクや問題点もありますが、通常融資を受けられずまとまった資金を受け取る手段のない高齢者でも資金を調達する一つの手段となります。

また、リバースモーゲージの利用を検討する際には、他の方法として例えば不動産を売却してより家賃の安い賃貸に移り住んだり、現在の不動産を賃貸に出して別の住処を探したりなど、他の方法と比較検討してみることが大切でしょう。

リバースモーゲージと比較して不動産を先に売却することのメリット

リバースモーゲージと比較した場合の不動産を先に売却することのメリットは、売却して得た金額内で生活ができるということでしょう。

リバースモーゲージでは将来いくらで売却できるか分からず、売却後負債が残った場合相続人に迷惑をかけることになってしまいます。

一方、リバースモーゲージの場合、担保に提供した不動産にそのまま住めるため新しく住居費用を支払う必要がありませんが、売却してしまうと新しい家の家賃負担が発生します。

賃貸に出す場合

また、売却に出さず賃貸に出せばリバースモーゲージにある長生きリスクから逃れることができます。

年数が経てばそれだけ空き家リスクが増えたり家賃収入が減ったりする可能性がありますが継続した収入が得られ、また亡くなった場合は子供に不動産を残すこともできます。

このように、リバースモーゲージは他の不動産活用法と比較した上で利用を検討すると良いでしょう。

まとめ

リバースモーゲージは年金問題や高齢化社会など社会的要請を受けて制度利用が広まっていますが、利用にはリスクや問題点もあります。

不動産を所有しているのであればまとまった資金を得る方法は他にいくつか考えられるので、リバースモーゲージ利用の際は良く比較検討して最も自分に適した方法を選ぶと良いでしょう。