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自動車ローンと住宅ローンの関係は? 審査にどう影響するの?

 

近年、都心へのアクセスが改善されたことで埼玉県や千葉県といった郊外に家を購入する人も増えてきました。東京と比べると、価格の安さや敷地面積が広いといった利点がある郊外住宅。そんな場所に住む人たちにとって「車」は必要不可欠なものですね。

郊外住宅の多くは、カースペースが2台以上確保されていたり、安心して運転ができるように計画道路の幅にゆとりを持たせるなどして、車ユーザーのカーライフをサポートしています。

さて、そんな中でよくあるのが、「自動車ローンを組んでいるけれど、住宅ローンの審査は通るのか」という疑問です。

今回はそんな疑問にお答えします。

住宅ローン審査は「返済負担率」がキーポイント

駅から徒歩20分以上の場所にある住宅を購入したとしたら、車が無いと生活は不便でしょう。

しかし、マイホームほどではないとはいえ、車も大きな買い物のひとつ。自動車ローンを利用する人も多いと思います。

例えば子ども2人の4人家族。軽自動車では手狭なので人気のミニバン、ホンダのステップワゴンを300万円で購入しました。自動車ローンの残債は200万円あります。

このような状況で住宅ローンの審査は通るのか。他のローンを返済中だからといって審査が通らない、ということはありません。

ただ不利に働くことは確かです。

住宅ローンは、借りる人の年収やその他のローンを加味して審査されます。具体的には額面の年収に対する「返済負担率」に基準を設けているのです。

どういうことか。例えばフラット35の基準は年収400万円未満で30%、400万円以上で35%とされています。

住宅ローンで借入したい額を4,000万円とします。金利は2%で35年ローンです。そうすると月々の返済額は13万2,505円です。

1年間で159万60円支払うことになります。これが「年間返済額」です。

「返済負担率」は「年間返済額」を年収で割ったもの。つまり上記の住宅ローン利用検討者の年収が500万円だったとすると

159万60円(年間返済額)÷500万円(年収)=31.8%(返済負担率)

となります。

フラット35の場合、年収400万円以上は返済負担率を35%までに定めていますから、この人は4,000万円を借りるための審査に支障はありません。

ところが、ステップワゴンの返済が毎月5万円あったとしたらどうでしょう。

車の年額返済額は60万円となります。つまり

(159万60円・住宅ローンの年間返済額)+(60万円・自動車ローンの年間返済額)÷500万円(年収)=43.8%(返済負担率)

こうなると定められた返済負担率をオーバーしているので、4,000万円の借入は不可能です。

車の残債を一括で支払うか、車を手放さない限り4,000万円は借りることができないので、借入額を下げて他のマイホームを検討することになるかもしれません。

住宅ローンは他の借入金があると、借入できる金額も少なくなるのです。

目次

逆算して借入上限の目安を知っておこう

今の例を逆算していけば、「どれくらいの返済プランなら、審査に影響なくお金を借りれるのか」という目安が判断できます。

年収300万円の場合

300万円(年収)×30%(フラット35が定めた返済負担率)=90万円(年間返済額の上限)

90万円(年間返済額の上限)÷12(月)=7万5,000円(月返済額の上限)

年収300万円だと、月々7万円ほどの返済プランを組んだものでないと審査は厳しいことが分かりますね。

年収1,000万円の場合

1,000万円(年収)×35%(フラット35が定めた返済負担率)=350万円(年間返済額の上限)

350万円(年間返済額の上限)÷12(月)=約29万1,700円(月返済額の上限)

年収1,000万円となれば、自動車ローンの返済に月々5万円かかっていたとしても、月々の支払いが10万円を超すような住宅ローンも組める可能性が高いということです。

金融機関が試算するのは「審査金利」?

これまで紹介したのは一般的な考え方や計算方法です。ですが、実際の審査では計算通りにならないこともしばしばあります。

それは審査をする金融機関が「適用金利」ではなく「審査金利」で試算、審査するケースもあるからです。

変動金利などは今後、金利が上がるとなると返済負担も増えます。融資する側はそうなった場合、返済が継続できるのかも判断しなくてはなりません。

実際に貸し出す金利よりも高い「審査金利」で試算すると、どんな金利のタイプでも利用者に案内することができるので、このような審査方法を採用している金融機関もあるのです。

一般的に審査金利は、3〜4%で設定されていることが多いです。

自動車ローン返済中に希望の住宅ローンを組むには?

自動車ローンの残債があると、住宅ローンのハードルも上がってしまいますね。ではそんな状況の中で、希望の借入額の融資を受けるにはどうしたらよいのでしょうか。

一つは先ほども述べた通り、自動車ローンの一括返済です。先述の例に挙げた、ステップワゴンの残債が200万円残っているため、返済負担率がオーバーしてしまい、希望の4,000万円が借入れできませんでした。

逆に考えると、この200万円さえなければ4,000万円は借りられるということ。親族に借りるなどして一括返済してしまうのも手だと思います。

もう一つは、自動車ローンの返済期間を延長することです。返済負担率をオーバーさせないためには、年間返済額を抑えればいい。

上記の例で年間返済額は月々5万円の60万円でした。つまり返済期間は40カ月ですね。これを月々1万円の年間返済額12万円になるように、プランを変更します。

すると

(159万60円・住宅ローンの年間返済額)+(12万円・返済期間を延長した自動車ローンの年間返済額)÷500万円(年収)=34.2%(返済負担率)

これで、ステップワゴンを所有しながら4,000万円の家に住むためのローン審査をする条件が整いました。

住宅ローンに自動車ローンを組み込むのは違法

自動車ローンは住宅ローンに比べて、はるかに返済期間が短いです。ということは住宅ローンの返済の方が家計の負担は減りますね。

例えば自動車ローン200万円を金利3%、5年返済で利用したとすると、毎月の支払いは約3万6千円です。一方、この200万円を住宅ローンに組み込んで、金利2%、35年返済で考えてみます。

すると、毎月の負担は約6千600円になりますから、おおよそ3万円分家計が楽になるわけです。

ところが、こうした行為は厳密に言うと違法です。なぜなら住宅ローンは家の購入や改築に限定されたローンだからです。

それを車のローン返済に充てて、さらに住宅ローン控除を受けるとなると「脱税」の罪に問われてしまうのです。

仮にこれをやったとしても、利息分の支払いを考えると大きく損をします。先ほどの200万円の例で見ると総返済額は215万6,212円です。つまり利息分は15万6,212円となります。

これを住宅ローンに入れて計算すると総返済額は278万2,347円となり、78万2,347円分の利息を支払うことになります。

ということは、差額分の60万円以上を多く支払わなければならないのです。

繰り上げするなら住宅ローン

では、どうするのが得なのでしょうか。ローン返済における損得は一にも二にも返済期間の短縮です。つまり繰り上げ返済。

住宅ローンの金利は一般的に、自動車ローンより低いことが多いです。しかし、返済期間が長く、借入残高も大きい。ということは自動車ローンより住宅ローンを優先して繰り上げた方が、トータルでお得になるケースが多いのです。

車は確実に生活を豊かにするもの。自動車ローンと住宅ローンの関係性を理解して、安心のカーライフを含めたライフプランを立てましょう。