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自営業でも住宅ローンは組める?審査に通らないって本当?

 

自営業者(個人事業主)とは、株式会社や有限会社などの法人に所属せず個人で確定申告している人を指します。

「自営業は住宅ローンが借りられない」という噂を聞いて不安に思っている自営業の方、またこれから独立して自営業を行おうしている方も多いと思います。

実際に金融機関から公開されている「住宅ローン審査条件」の中にも、サラリーマンと比べて厳しい条件が述べられているものがあります。

これは金融機関側のリスクを考えると仕方のないことではあります。

しかし、諦める必要はありません。自営業の方で住宅ローンを組んでいる人はたくさんいます。

ここでは、自営業の方が住宅ローンが借りにくい理由と、住宅ローンを借りるためのポイントについてご説明します。

目次

自営業者が住宅ローンが借りられないって本当?

自営業者とサラリーマンの違い

住宅ローンは高額な資金を長期間に渡り貸し出す性質の商品です。

返済期間は一般的に30~35年とされ、非常に長期にわたります。

そのため、住宅ローンの申し込みにあたって継続的に安定した収入を維持できるかどうかが審査のポイントになります。

サラリーマン・会社員は会社と雇用契約を結んで給料を受け取る立場であり、雇用保険や労働保険などでセーフティーネットがしっかりしているのが一般的です。

国家や都道府県などが雇い主になる公務員は、景気が悪いからといって収入が極端に下るということはありません。

金融機関から見ると最も安心して融資できる相手と言えます。

一方、自営業者の場合、事業の波や景気に収入が左右されます。

事業がうまくいくと多くの収入を得られる反面、事業がつまずくと収入が極端に減る場合があります。

事業がうまくいかなくなったからといって、住宅ローン返済を遅らせることは一般にはできません。

金融機関から見ると、安定した回収ができないリスクを考える必要がある相手です。

安定した収入を証明できればOK!

自営業は金融機関から見ると回収不安のリスクがあるため、融資の審査も慎重になります。

基本的に、自営業者はサラリーマンの勤続年数よりやや長い営業年数が条件となっています。

サラリーマンの場合には収入の証明には直近の源泉徴収票などを提出すればOKですが、自営業の場合には3年以上の年収証明資料の提出が普通です。

事業の決算報告書や課税証明、年金納付の証明を求められることもあります。

複数年にわたって年収が安定しているかどうかを確認する必要があるためです。

また、この先も事業が安定して継続するかどうか、事業の業種が流行り廃りに左右されないものであるか、などは非常に重要な審査項目と見られています。

以上をクリアして収入が安定していることを証明できれば、自営業の場合でも住宅ローン審査に通ることは難しくはありません。

逆に、事業が成功し事業・収入が拡大していてそれが安定的なものであれば、金融機関から非常に魅力的な融資先とみなされるでしょう。

自営業者が住宅ローンを借り入れるためのポイント

頭金をたくさん用意しておく

頭金をしっかりと用意するのは、単純に借り入れ額を減らすという目的だけではありません。

手元にまとまったお金があることで、金融機関に対して資金の管理をきっちりと行える人物像であることをアピールし、審査も通りやすくなります。

自営業の場合、頭金は20%~30%程度用意しておくことが望ましいと言われています。

負債を減らしておく

住宅ローンの審査でよく参考にする指標に「返済比率(返済能力)」があります。

返済比率とは、年収に対する1年間のローン返済金額の比率を指し、目安は25%程度と言われています。

自営業の場合、事業資金を融資でまかなっていることも多いと思います。

もし住宅ローンの他に負債を抱えているならば、できる限り完済して年収の多くを住宅ローンの返済に回せるだけの環境を作っておくことが大切です。

また、審査時に国民健康保険や年金 、住民税の納付状況もチェックされます。

自営業の方には国民健康保険や国民年金を滞納している方も見られますが、可能であればこれらもすべて支払ってから住宅ローンの審査に申し込みましょう。

確定申告の額(所得金額)を上げる

自営業の場合、税金対策として売上げや所得を少なめに申告している場合もあるかと思います。

それでは住宅ローン審査には不利になってしまいます。

他社からどう見られているかを意識して、申告する収入・利益をコントロールし、納税を行っている必要があります。

住宅ローン審査において自営業者・個人事業主の「収入」は、「確定申告書(青色申告決算書の損益計算書)」上の「差引き金額」で見られます。

事業内容によっては減価償却費、銀行への融資返済などがプラスされたりマイナスされたりされます。

この差引金額の推移や、継続的な黒字化などが審査の前提となります。

多くの金融機関で、最低でも過去3年黒字を継続していることが融資の条件とされています。

自営業向けの住宅ローンは?

フラット35を利用する

フラット35は、政府関係機関の「住宅金融支援機構」が展開していることから、民間金融機関とその存在の目的が全く異なっています。

国民に長期固定金利で資金を提供し、マイホーム購入をサポートすることがフラット35の目的です。

そのため他の民間金融機関と住宅ローン審査の基準が大きく違います。

「年収・所得に関係なく住宅ローンの審査をしてくれる」のが、フラット35の特徴です。

フラット35では、住宅ローン融資の基準は、

「年収に占めるすべての借入れの年間合計返済額の割合(総返済負担率)が、30%以下または35%以下であること」

この一つだけです。

どれくらい借りられるか、については基準がありますが、年収いくらで借りられるか、については特に基準はありません。

また、フラット35であれば審査を受ける際に必要な所得を証明する書類は1年分で足ります。

公務員だろうと自営業だろうと、職業の違いによって審査が不利になることはありません。

審査基準の明確な金融機関を利用する

住宅ローンの審査がどの項目をどのように評価しているかは不明で、各金融機関によって違いがあります。

審査の基準が全く分からない金融機関もあれば、細かい条件を公開しているところもあります。。

例えば新生銀行では、

「自営業の方は、2年平均300万円以上の所得を有すること」

楽天銀行では、

「前年の申告所得が、申込人と連帯債務者合算で400万円以上であること。総返済負担率が30%~35%以下であること」

とはっきりと示されています。

貸してくれるかどうか分からない金融機関を右往左往するよりも、年収などの条件が予めクリアできていることが確認できる銀行を選択するのも一つの手です。

事業に近い金融機関を利用する

自営業者が住宅ローンを利用する場合、行っている事業に近い機関から借りるという方法もおすすめです。

例えば、日頃から付き合いのある信用金庫や労働金庫、農業に従事されているであればJAなどが選択肢に挙げられます。

長く取引のある金融機関であればその分信用もあり、頭金なしでも融資を受けられるケースもあります。

事業に近い機関では住宅ローン金利が優遇されるなど、独自のサービスを展開している例もあります。

まとめ

自営業者が住宅ローンを借りにくい理由は、収入が不安定と見られていることです。

住宅ローンを利用したい場合は、過去3年間の事業収支を黒字にし、安定した収入が期待できることを証明しなければなりません。

ただし、住宅金融支援機構のフラット35を利用する場合は、その限りではありません。

住宅ローンの審査は厳しいですが、その審査を通るということは自身の事業が評価されていると考えることもできます。

家を買うということを一つの目標にして、事業を発展させるモチベーションにしてはいかがでしょうか。