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住宅金融支援機構の長期固定金利住宅ローン「フラット35」の仕組みとメリット・デメリット

 

フラット35は住宅金融支援機構がお金を出す住宅ローンで、民間の金融機関が窓口となることが特徴です。

正しくは、民間の金融機関窓口で債務者が実行したフラット35の債権を住宅金融支援機構が買い取り、それを担保とする債権を発行し、その債権を投資家が購入することで資金調達がされています。

  住宅金融支援機構【フラット35】のしくみ

目次

フラット35は全期間固定金利の住宅ローン

利用者から見た場合のフラット35の特徴は、フラット35は借入期間中ずっと金利の変わらない全期間固定金利の住宅ローンであるということです。

借りた時に金利が1% だった場合にはその金利が35年間ずっと適用され、借入れた時から最後の返済まで返済額が確定されることになります。

民間の金融機関の変動金利や固定期間選択型の住宅ローンと比べると借入期間中の金利の変動リスクのない、安全安心な住宅ローンだと言えます。

金利は毎月変わる

一方、フラット35の金利は毎月変わります。

住宅購入は建売購入やマンション購入でも1ヶ月〜2ヶ月かかることもあり、また新築住宅では半年〜1年と時間がかかることがあります。

住宅ローンの審査時に1%だった金利が、実行時に2%に上昇していた場合、実行時の2%の金利が適用されることになります。(もちろん、その逆も有り得ます。)

なお、フラット35の金利は日本の10年国債利回りに連動するため、ある程度金利の上下を予想することができます。

フラット35Sの適用で最大10年間0.3%の優遇を受けられる

フラット35は、省エネルギー性や耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性において一定の技術基準を満たした住宅であると認められればAプランで最初の10年間、Bプランで最初の5年間0.3%の優遇を受けることができます。

フラット35は保証料0円

ローンを組むにあたって、債務者が返済できなくなるリスクを排除するために保証人をつけるなどして融資を受けることがありますが、通常、民間金融機関の住宅ローンでは保証人の代わりに保証会社をつけることで融資を実行します。

この際、保証会社に数十万円の保証料を支払うことになるのですが、フラット35ではこの保証料を負担する必要がありません。もちろん、保証人をつける必要もありません。

これは、フラット35の場合住宅金融支援機構が保証会社の代わりとなるからです。

フラット35には事務手数料がかかる

通常、民間の金融機関は住宅ローンで資金を貸し付けた見返りとして利息を受け取ることで利益を上げていますが、フラット35の場合民間金融機関は手続きをするだけで、お金も出さない代わりに利息を受け取ることができません。

そこで、フラット35を実行するにあたり利用者は民間金融機関に借入額の2%といった事務手数料を支払う必要があります。

なお、この事務手数料は金融機関によって異なります。

繰上返済手数料が0円

通常、住宅ローンを借りた後、まとまった資金を入れて繰上返済をする場合繰上返済手数料を支払う必要がありますが、フラット35では返済中に繰上返済や返済条件の変更を行う際に手数料を支払う必要がありません。

また、フラット35では窓口で繰上返済をする場合には100万円以上資金が必要となりますが、フラット35のインターネットサービスを利用すれば10万円以上あれば繰上返済が可能です。

フラット35は団体信用生命保険が任意加入

住宅ローンは通常数十年にわたり返済していくものなので、返済中に債務者が死亡したり、病気や怪我で返済できなくなったりすることが考えられます。

こうした事態に備えて、住宅ローンでは実行時に団体信用生命保険に同時加入して、返済中に債務者が死亡したら住宅ローン残債を0円とするようにします。

民間の金融機関では団体信用生命保険への加入は強制加入ですがフラット35では任意加入となっています。

民間の生命保険で代用することもできる

フラット35では団体信用生命保険が任意加入で、加入する場合には保険料を支払う必要があります。

そこで、団体信用生命保険を利用する代わりに同程度の保険金額を受け取れる民間の生命保険で代用することも可能です。

民間の生命保険は年齢が高くなるほど保険料が高くなりますが、団体信用生命保険は借入額に応じて保険料が変動します。

つまり、団体信用生命保険は何歳の人でも保険料が同額となっており、20代の人や30代前半の人にとっては民間の生命保険を利用した方が保険料が安くなる可能性が高くなるのです。

フラット35のメリット

ここでは、民間の金融機関を利用する際と比べたフラット35のメリットをご説明します。

最後まで月々返済額が確定する

すでにご説明したようにフラット35では住宅ローン実行時に最後まで月々返済額が確定します。

民間金融機関の変動金利や固定期間選択型金利では借入期間中に金利の変動リスクがあるため常に金利の変動について考えないといけないことを考えると安心して過ごすことができます。

健康に問題がある人でも住宅ローンを利用できる

民間の金融機関では団体信用生命保険への加入が強制加入となっているため、健康に問題があり団体信用生命保険の審査をパスできない人は住宅ローンの実行を受けることもできません。

一方、フラット35では団体信用生命保険への加入が任意となっているため団体信用生命保険を利用できなくとも住宅ローンを実行することができます。

歴史的な低金利時代にお得に利用できる

2016年2月、日本銀行によりマイナス金利が導入されていますが、それに伴いずっと「底」だと言われていた長期金利がさらに下がっています。

現在の金利で住宅ローンを実行しておけば、借入期間中ずっと現在の金利を利用することができます。

フラット35のデメリット

一方、フラット35にはデメリットもあります。

変動金利や固定期間選択型金利と比べると金利が割高

フラット35では全期間固定金利で金利の変動リスクがない代わりに、民間金融機関の変動金利や固定期間選択型金利と比べると金利が割高です。

例えば、2016年9月のフラット35の金利は1.02%となっていますが、みずほ銀行の変動金利は最大で0.625%、10年固定で0.70%となっています。

フラット35は事務手数料がかかる

フラット35には保証料が0円となるメリットがありますが、その代わり借入額の数%分事務手数料を支払う必要があります。

民間金融期間では事務手数料が数万円や無料であることが一般的なので、事務手数料の

面では割高となってしまう点に注意が必要です。

団体信用生命保険加入に別途保険料を支払う必要がある

民間の金融機関では団体信用生命保険への加入が強制となっている代わりに、死亡を保障対象とする一般団体信用生命保険であれば無料で利用することができます(住宅ローン金利に含まれています)。

一方、フラット35では団体信用生命保険への加入が任意加入となっている代わりに、住宅ローン残高1,000万円につき35,800円の保険料を支払う必要があります。

まとめ

フラット35は全期間固定金利で、最初から最後まで返済額の確定する安心安全の住宅ローンですが、団体信用生命保険の保険料など、デメリットもあります。

利用する際は全期間固定金利と変動金利、固定金利選択型の仕組みの違いや民間金融機関との金利の違いなどよく比較した上で自分にとってどれがお得か判断すると良いでしょう。