住宅ローンの店頭金利・実行金利・優遇金利の違いは?優遇金利の条件は厳しい?

住宅ローンをはじめて借りる方は、金利の表示が多くて混乱した経験がある方も多いと思います。

例えば「店頭金利〇〇% 当初期間優遇〇〇%」のような表示です。

金利の数字が複数表記しているので、どの金利を参考にして良いか分からないという状況になりかねません。

ただ、住宅ローン金利は月々返済額を大きく左右する重要な要素です。そのため、自分の借りようとしている金融機関の金利は、実際に何%になるのか?

また、その金利は変動する可能性はあるのか?を見極める必要があります。

今回は、そんな金利の見極めに必ず知っておきたい3種類の金利についてお話します。

店頭金利とは?

店頭金利とは、各金融機関が独自に設定している住宅ローンの「基準」となる金利の事です。

そのため、店頭金利は「基準金利」とも呼ばれています。イメージとしては、店頭金利はスーパーで売られているモノの「定価」だと思って下さい。

後述しますが、実際に借りる時の金利は「実行金利」になりますので、店頭金利で借りる事はほぼありません。

しかし、店頭金利は実行金利の基になる金利ではあるので、必ず確認はしておきましょう。

店頭金利は何によって決まるのか?

店頭金利は毎月変動し、金利の種類によって基準にする指標が異なります。

一般的には、変動金利(半年ごとに金利の見直しが入る金利)は、日本銀行(以下、日銀)が公表する短期プライムレートを基準にします。

短期プライムレートとは、金融機関が優良企業向けに短期で貸し出す時の金利です。

この短期プライムレートに1%程度の金利を上乗せした金利を、「変動金利の店頭金利」に設定する事が多いです。

一方、固定金利(定められた期間金利が変わらない)は新発10年国債の利回りを基準にします。

いずれにしろ、日銀の政策金利(日銀が民間金融機関に貸し出す時の金利)によって左右されます。

金融機関によって店頭金利の差はあるのか?

結論から言うと、各金融機関で設定する変動金利と固定金利の店頭金利は、ほとんど同じ金利が設定されます。

各金融機関によって多少の差はありますが、それぞれの金利は、上述したように同じ指標を使って算出されるからです。

そのため、どこの金融機関で住宅ローンを借りるかを迷っている方は、店頭金利で比較しても意味がありません。

その店頭金利から、各金融機関でどの程度金利をマイナスしているか?実際に借りた時の金利はどのくらいか?を確認する必要があります。

優遇金利とは?

優遇金利とは、各金機関が「店頭金利からマイナス(優遇)する金利」の事です。

つまり、「変動金利1.0%優遇」という表示があれば、変動金利の店頭金利から1.0%マイナスされた金利が実際の金利になります。

優遇金利を設定する理由

各金融機関が優遇金利を設定する理由は、住宅ローン申込者の獲得のためです。

優遇金利が大きければ大きいほど、実際に借入を起こしたときの金利は低くなります。

住宅ローンは1,000万円単位で借りるので、0.1%金利が違うだけで支払額は大きく変わってきます。

例えば、借入期間35年で5,000万円の借入を起こすと想定します。

その時に金利1.1%で借り入れを起こすと、月々返済額は143,485円で、総返済額は60,263,432円となります。

この時に金利が1.0%と0.1%多く優遇されていたらどうでしょうか。

その時には、月々返済額141,142円、35年の総返済額59,279,814円となります。

つまり、月々返済額は2,343円安くなり、総返済額は983,618円安くなります。

0.1%違うだけでこのように大きく返済額が変わってきます。そのため、優遇金利がどのくらいなのかは、住宅ローン借入者にとっては非常に大きな要素なのです。

優遇期間に注意

優遇金利を確認する上での注意点は「優遇期間」です。優遇期間には「当初優遇」と「通期優遇」の2種類があります。

当初優遇の場合、例えば「借入から5年間は1.5%優遇でそれ以降は0.5%優遇」のようなタイプです。この場合、最初の期間の優遇幅が大きく、一定期間過ぎると優遇幅が減少するという事です。

このタイプの優遇期間を選んだ方は、金利が低い最初の期間のうちに繰り上げ返済などを行い、住宅ローンの元本を返済した方がお得です。

また、通期優遇とは借入期間の全ての期間で優遇金利が変わらないタイプです。

例えば「10年固定金利 通期0.8%優遇」などです。この場合は、10年間金利が固定されており、更に10年間店頭金利から0.8%マイナスされた状態で金利が適用されるのです。

優遇金利は一律ではない

優遇金利は全ての方が一律ではありません。そもそも、優遇金利を受けられない方もいれば、人によって優遇金利の数字が異なる場合もあります。

金融機関側としては、「取引をしたい」と思う人に金利を優遇します。そのため、以下のような要素で優遇幅を決めたり優遇金利の適用可否を判断したりします。

  1. 給与の振込口座に指定したり定期預金への加入を促したりする
  2. 公共料金の引き落とし口座に指定する
  3. 金融機関が発行するクレジットカードを作成する
  4. 年収額のラインなどを定める
  5. 会社規模や、勤続年数などを加味する

上記1~3に関しては、金融機関は借入者との繋がりを密接して、住宅ローン以外にも自分の口座を利用して貰うというのが目的です。

また、4~5のように、そもそも借入者の返済能力をジャッジして優遇金利幅を決めることも多いです。

金融機関が、優遇金利幅の条件を明確に提示している事はほぼありません。

金融機関が独自の審査で、「返済能力が高い」と判断した方の優遇金利幅は大きくなる傾向があります。

実行金利とは?

実行金利とは実際に適用される金利の事です。具体的には、上述した店頭金利より優遇金利を差し引いた金利になります。

例えば、「変動金利35年 店頭金利2.475% 通期優遇1.9%」の場合、実行金利は0.575%(2.475%-1.9%)となります。

実行金利は住宅ローンの適用がされる月

まず、そもそも住宅ローンの種類を選ぶ時には、条件に合った住宅があり購入が前向きに進んでいる時です。

その時に住宅ローンの借入先を選び、金融機関に審査を依頼します。

ただし、実際に住宅ローンが適用になるのは、住宅ローンが適用される月、つまり住宅の引渡を受けた月です。

例えば、5月27日に「変動金利35年 優遇金利1.7%」の金融機関で住宅ローンの審査をしたとします。

仮に審査は無事通過し、住宅の契約も6月15日に締結したとします。ただ、契約から引渡までは1~2か月程度の期間(中古物件の場合)がかかるため、実際の引渡は8月3日だったとします。

その時、仮に優遇金利が1.7%から1.5%に変わっていたら、8月の優遇金利である1.5%が適用になります。

つまり、当初思い描いていた金利よりも0.2%高い金利が適用されるという事です。

特に新築物件を購入する時には、住宅ローンの借入審査をしてから、引渡が半年~1年かかる場合も少なくありません。

そこまで長い期間だと、優遇金利の利率も変わりやすいです。

そのため、購入する物件が新築物件の場合は、特に優遇金利の変動は加味して住宅ローンは選びましょう。

まとめ

このように、住宅ローン金利には色々な表示があります。住宅ローンを借り入れる時に「金融機関」「ローンの種類」「各種サービス」など、色々な要素があります。

しかし、返済額がダイレクトに変わってくる「金利」を最重視する人がほとんどです。

そのため、金利を判断する上で重要な「店頭金利」「実行金利」「優遇金利」の仕組みはしっかり理解しておきましょう。

その上で金融機関やローンの種類、各種サービスを加味した住宅ローン選びをしなければいけません。