住宅ローン減税制度とは?控除に必要な書類と手続きの流れ

住宅を購入する資金に用途を限定する融資制度「住宅ローン」。

購入する住宅そのものを担保にするため、一般的な融資制度に比べて低金利で長期間の融資を受けることができる有利な制度です。

住宅ローンの利用件数は住宅の売れ行きにかかわるため、景気を左右するといっても過言ではありません。

そこで国も景気対策の一環として、住宅ローンの利用者に対しさまざまな優遇制度を用意しています。

住宅ローン減税制度も、国が用意した優遇制度のひとつ。住宅ローンの借入残高に応じて、一定の金額を所得税から控除できる制度です。

今回はこの制度の内容と、控除に必要な書類、手続きの流れを解説していきます。優遇制度をしっかりと活用し、オトクにマイホームをゲットしましょう。

住宅ローン減税制度の概要

住宅ローン減税制度は、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といいます。

ローンを借り入れて住宅を購入する人の負担を減らすための制度です。年末時点の住宅ローン残高に対し、1%の金額が所得税の金額から10年間控除されます。

つまり、その年の年末時点で3000万円の借り入れがある人は、所得税から30万円の控除が受けられるというわけです。

所得税は所得が多いほど高い税率が適用される「累進課税」。所得が低い人の場合、所得税だけでは減税額を控除しきれません。

その場合、住民税からも一部控除が受けられます。

平成26年3月までは年間最大20万円まででしたが、平成26年4月以降は年間控除額が最大40万円と大きく拡充されました。

消費税率が8%に引き上げられたので、その負担を軽減するためです。ただし、消費税がかからない中古住宅の個人間売買(不動産業者の仲介する取引も、これに含まれます)では、年間最大20万円までしか控除されません。

適用期日

平成264月~平成316

最大控除額

40万円×10年間=400万円

控除率、控除期間

1%、10年間

主な適用要件

  1. 床面積が50平方メートル以上
  2. 借入金の償還期間が10年以上

さらに「認定長期優良住宅」「認定低炭素住宅」を建てたり、これらの新築住宅を購入したりした場合は、最大控除額が年間50万円になります。

中古住宅の購入や増築リフォームも、一定の要件に当てはまれば対象となります。

ただし、省エネやバリアフリーを目的とした工事なら、別の減税制度のほうが有利になることも。重複利用ができないので、事前にシミュレーションしてみましょう。

贈与を受けた場合は、ここに注意!

住宅ローン減税の控除額は年末残高の1%ですが、その金額が住宅取得に要した金額よりも少ない場合は住宅取得に要した金額が適用上限額となります。

住宅取得に際して利用できる負担軽減制度には、「住宅取得等資金の贈与税の非課税」「相続時精算課税選択の特例」といった「住宅取得等資金の贈与の特例」もあります。

贈与の特例を受けた場合、住宅の取得に要した金額全体から贈与を受けた金額を引かなければなりません。

4000万円の建売住宅(認定長期優良住宅)を平成28年1月に購入し、1200万円の贈与を受けて贈与の特例を使った場合、住宅取得に要した金額は2800万円になります(便宜上、諸費用等を一切考慮していません)。

この住宅で住宅ローンを組んだ場合、たとえ年末時点で3000万円の借入残高があっても、住宅ローン控除額は2800万円の1%である28万円までです。

住民税への適用は上限額あり

所得税から控除しきれなかった枠は住民税からも控除されますが、この適用には上限額があります。

適用の上限は、前年課税所得の7%もしくは136,500円のうち、どちらか少ないほうの金額です(平成。控除枠(借入残高の1%)が所得税からの控除額と住民税からの控除額の合計を超えていると、その枠は繰り越されることなく無効になります。

所得税からの住宅ローン控除額

(所得税額)<(住宅ローンの年末残高の1%)の場合:所得税額

(所得税額)>(住宅ローンの年末残高の1%)の場合:年末残高の1%(上限は年間40万円)

住民税からの住宅ローン控除額

A=(住宅ローンの年末残高の1%)-(所得税からの住宅ローン控除)

B=前年分の所得税の課税総所得金額の7%(ただし、136500円が上限)

AもしくはBのうち、どちらか少ないほうの金額

所得の額によっては住民税の控除額と合わせても、住宅ローン減税の控除枠をすべて消化できない人もいると思います。

この場合、共働きであれば一部を配偶者名義で借り入れ、夫婦で控除を受けるという方法も。2人で控除を受ければ、枠を使い切りやすくなるでしょう。

ただし、その場合は登記名義を支払いの割合にしたがって、夫婦で分けなければなりません。複数の住宅ローンを借り入れると、手数料が倍かかります。

配偶者が出産や育児で仕事を辞めたり、万が一離婚したりした場合は財産分与でもめる原因になることもあります。

控除だけを考えるのではなく、その後のライフプランをよく考えて住宅ローンを組みましょう。

控除を受けるために必要な手続き(初年度編)

入居した年の収入について住宅ローン減税を受けるには、翌年に確定申告をする必要があります。

所轄の税務署に、次の書類を添えて必要事項を記載した確定申告書を提出しましょう。手続きに必要な書類は、ケースによって違ってきます。

登記事項証明書は法務局で請求できますが、オンライン請求も可能です。

初年度の確定申告で提出する書類

  1. 確定申告書
  2. 給与所得の源泉徴収票(給与所得者のみ)
  3. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書※補助金や贈与の特例を受けた場合や連帯債務となっているものがある場合は、付表として該当する計算書が必要
  4. 住民票の写し(個人番号が記載されていないもの)
  5. 借入金の年末残高等証明書(金融機関)
  6. 家屋の登記事項証明書
  7. 請負契約書の写し、売買契約書の写しなど、次の項目がわかる書類
  • 新築または取得年月日
  • 取得対価額
  • 床面積(50平方メートル以上)
  • 消費税率
  • 宅地建物取引業者との取引であること

敷地の取得に係る住宅ローンの借入がある場合は、上記に加えて次の書類が必要になります。

  1. 敷地の登記事項証明書
  2. 敷地の売買契約書の写し等、取得年月日や取得対価額がわかる書類

さらに「認定長期優良住宅」「認定低炭素住宅」などの認定住宅であれば、「認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例」が受けられます。

認定の区分に従い、認定を受けたことがわかる証明書を提出してください。

控除を受けるために必要な手続き(2年目以降編)

2年目以降は必要な書類がぐっと少なくなります。給与所得者は2年目以降、職場の年末調整でこの控除の適用が受けられます。

税務署から送付される「住宅借入金等特別控除申告書」と「年末残高証明書」を、勤務先に提出してください。

2年目以降の確定申告で提出する書類

  1. 確定申告書
  2. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  3. 借入金の年末残高等証明書

まとめ

住宅ローン減税の概要と具体的な手続きについて紹介しました。

住宅ローン減税をうまく活用すれば、10年間で最大400万円もの税金を節約することができます。

所得が多い人が住宅を取得するなら、この制度を活用しない手はありません。金利によっては、年間利息の合計額を還付額が上回る可能性も。

初年度は提出する書類が多いので面倒に感じるかもしれませんが、2年目以降の手続きはカンタンです。

しっかりと活用し、新居での生活をより充実させましょう。