住宅ローンのペアローンとは?メリットとデメリットを解説

住宅ローンを組む方法として、「ペアローン」という方法があります。ペアローンは、住宅ローンを組む方法としてはそれほど多い組み方ではありません。

ただ、人によってはペアローンで組んだ方がお得な場合もあります。

そこで、今回はペアローンに関して、良く混合されがちな連帯保証・連帯債務との違いを説明します。

それを踏まえた上でペアローンのメリット・デメリットを解説します。

ペアローンと連帯保証・連帯債務の違い

ペアローンのメリット・デメリットを解説する前に、ペアローンと連帯保証・連帯債務の違いを説明しなければいけません。

なぜなら、ペアローンは連帯保証・連帯債務と比較される事が多いからです。

連帯保証とペアローンの違い

  1. ローンの本数
  2. 主たる債務者の違い
  3. 団体信用生命保険の違い

まず、ペアローンのローン本数は2本になり、連帯保証のローン本数は1本です。

ペアローンとは夫婦(もしくは親子)で夫・妻がそれぞれ1本ずつ住宅ローンを組むことを言います。

例えば、5,000万円の住宅ローンを組む時に、夫2,500万円、妻2,500万円のように、夫と妻それぞれが住宅ローンを組む事です。

一方、連帯保証は、夫が5,000万円の借入をして、その借入に対して「妻が連帯保証人なる」という状態です。

そのため、連帯保証での住宅ローンは1本になります。

この時に大事な事が「主たる債務者」です。ペアローンの場合は、夫・妻がそれぞれ主たる債務者になります。

つまり、2,500万円の住宅ローンに対して、夫・妻がそれぞれ主たる債務者になっているという事です。

一方、連帯保証は、主たる債務者あくまで夫(1人)です。妻は夫が返済不能になった時に、返済不能になった夫に替わって債務を負うのです。

つまり、夫が返済不能にならない限り、妻は債務を負う事は無いのです。

また、ペアローンは夫・妻それぞれがお互いの連帯保証人にもなっています。

つまり、夫が返済不能に陥れば、妻は元々負っている2,500万円の債務にプラスして夫の債務も負うという事です。

その他の違いは、「団体信用生命保険(以下、団信)」です。団信とは、住宅ローンの借入者が、死亡または高度障害になった時に、残債が保障される生命保険です。

上述したとおり、ペアローンは夫・妻がそれぞれお主たる債務者なので、それぞれに団信に加入※しています。

一方、連帯保証の場合は主たる債務者が夫だけなので、夫だけが団信に加入しているのです。

※住宅支援機構のフラット35は団信の加入は任意です。

連帯債務とペアローンの違い

連帯債務とペアローンの違いはローンの本数だけです。連帯債務は連帯保証と同様に1本になります。

ただし、その他の団信や主たる債務者の考え方などは、連帯債務とペアローンは同じです。

ペアローンのメリット

  1. 住宅ローンの審査に通りやすい
  2. 住宅ローン控除をそれぞれ受けられる
  3. それぞれ団信に加入している

上記の3点がペアローンのメリットとなります。3点目に挙げた「それぞれ団信に加入している」と言う点は、先ほどお話したので割愛します。

一番のメリットは住宅ローンの審査に通りやすいという点です。

この住宅ローンの審査について、前項と同じ夫2,500万円、妻2,500万円、合計5,000万円の住宅ローンを借りる事を想定して解説します。

なぜ住宅ローン審査に通りやすいか

住宅ローンの審査は勤務先の会社規模や勤続年数、本人の年齢や過去の延滞履歴など、様々な審査基準があります。

その中でも「年間返済額÷本人年収」で計算する、「返済比率」と呼ばれる数字は非常に重要な指標になります。

返済比率を言い換えると、「収入に対して住宅ローンの割合」になります。

大抵の金融機関は、この返済比率は35%ほど(金融機関や借入者のプロフィールによって異なります)に定めています。

仮に5,000万円の住宅ローンを1人で組む場合には、簡易的に計算すると(審査金利3%で計算)660万円ほどの収入がないと返済比率35%以内に収まりません。

一方、2,500万円の借入になると、単純に借入額が半分になるので、年収も半分の330万円あれば返済比率はクリアできます。

このように、2人共それぞれ収入があれば、借入金額を分割することによって審査に通りやすくなるのです。

審査に通りやすいという事は、言い換えるとペアローンの方が借入額を大きくできるという事です。

住宅ローンの控除をそれぞれ受けられる

次に大きなメリットとしては、住宅ローン控除をそれぞれ受けられるという点です。

住宅ローンとは、年末に住宅ローンの残債1%分が所得税・住民税から還付される制度の事です。

居住した年によってパーセンテージが違ったり、住民税からの還付金額が異なったりするので、詳細は国税庁ホームページ※をご覧ください。

参考までに、例を挙げてご説明します。例えば、ペアローンではなく夫一人で5,000万円の住宅ローンを組んだとします。

その年末のローン残高が4,800万円の場合には、4,800万円の1%である48万円が支払った所得税・住民税から還付されます。

但し、この48万円はあくまで「上限」です。

つまり、そもそも所得税と住民税を合わせて30万円までしか支払っていなければ、30万円までしか還付されないのです。

一方、ペアローンであれば2,500万円ずつ組んでいます。仮に年末の残高か2,400万円ずつの場合は、それぞれ1%の24万円まで所得税・住民税から還付されます。

つまり、所得税・住民税の支払いがそれぞれ30万円だったとしても、24万円上限一杯で還付されます。そのため、夫婦合わせて48万円還付されるので、先ほどの30万円の還付と比べる年間18万円も収支に差が出てきます。

※国税庁ホームページ : 住宅借入金等特別控除

ペアローンのデメリット

  1. 手数料・手間が倍かかる
  2. お互いの連帯保証人になる
  3. 名義が分かれる

上記3点がペアローンのデメリットになります。2点目に挙げている「お互いの連帯保証人になる」と言う点は、先ほどお話したので割愛します。

上記の中で一番のデメリットは、手数料・手間が倍かかるという点です。

先ほど言ったように、ペアローンは2本のローンを組むのでそれぞれ手数料や手続きが発生するのです。

具体的には、「ローン審査」「金銭消費貸借契約」が手続きに関する「手間」です。

また、住宅ローンを組む時には銀行に支払う手数料が数万円ありますので、費用も倍かかります。

名義が分かれる

この「名義が分かれる」に関しては、人によってはデメリットになりません。ただ不動産の名義に関しては、理解していない方も多いので解説します。

不動産の名義は、基本的に「金を出した(出資)割合」で決まります。例えば、夫が全て現金で支払ったり、夫のみ住宅ローンを組んだりした時には、その不動産は夫だけの名義になります。

一方、夫と妻で住宅ローンを組んだり、夫が住宅ローンを組んで妻が頭金を出したりした場合には、出資比率によって持ち分が分かれます。

連帯保証の場合には、主たる債務者のみ名義人になります。そのため、ペアローンも連帯保証の仕組みと良く混合されがちです。

しかし、ペアローンはどちらも出資しているので、持ち分が分かれどちらも不動産の名義人になります。

ペアローンで組んだ場合に、両者とも名義人にしないと「贈与」と見なされ、贈与税がかかる場合もあるので注意しましょう。

まとめ

このようにペアローンはメリット・デメリットが分かれます。連帯保証や連帯債務と良く混合されがちですので、この辺りは明確に違いを理解しておきましょう。

住宅を購入する時には、不動産会社が住宅ローンの説明をする場合が多いです。

しかし、不動産会社の営業マンも住宅ローンのプロではないので、明確にペアローンを理解していないかもしれません。

そのため、自分自身でキチンと理解して、住宅ローンをどう組むかは検討しましょう。