一度決めた引っ越しが、何かの理由でキャンセルすることになってしまった……。こんな場合は、キャンセル料などはどうなるのでしょうか?
契約した引っ越しってキャンセルできるの?
「引っ越し業者と契約したけれど、もっと安い業者が見つかった」
「辞令が取り消しになった」
「引っ越しが延期になってしまった」
このような状況に置かれた場合、キャンセルはできるのでしょうか?
結論から言えば、キャンセル自体は可能です。
お客側が、「どうしても引っ越しができなくなった」という状況であるのに、荷物を勝手に引っ越し業者が運び出すことなどできないからです。
ただ、キャンセル料金というのは発生します。これは、国土交通省の告示した、「標準引越運送約款」によって定められています。
引っ越しのキャンセル料はいつから発生するのか?
では、実際に、引っ越しをキャンセルしようとした場合、引っ越し当日から何日前までならキャンセル料金は発生しないのでしょうか。
これには、明確な決まりがあります。
引っ越しのキャンセルは、2日前までならばキャンセル料はかかりません。
これは、上でも述べた、「標準引越運送約款」によって決められているのです。ちなみに、第8章の第20条の2前項に描かれています。
前日・当日はキャンセル料が発生
引越運送約款によってキャンセル料が発生しない、と決められているのは2日前までですから、前日か当日のキャンセルの場合はキャンセル料が発生します。
ここでしばしば問題になるのが、「では、いくらくらいのキャンセル料が発生するのか」ということです。
「当日にキャンセルをした場合は、スケジュールがぐちゃぐちゃになってしまった。他の人の引っ越しを断ってあなたの引っ越しを引き受けたのだから、全額を支払え」と要求してくる引っ越し業者がいたら、それは違法業者です。
なぜなら、引越運送約款では、
- 前日なら10パーセント以内
- 当日でも20パーセント以内の
取り立てしか認めていないからです。
キャンセルした場合もらっていたダンボールは?
もう少し深く、この「キャンセル」について見ていきましょう。
キャンセルをした場合、もらっていたダンボールはどうなるのでしょうか。
基本的には、梱包資材代は請求、もしくは返却を要求されると考えておいてください。
「2日よりも前にキャンセルをしたから、お金は一切かからないのだ」と思うのは間違いです。無料でダンボールをもらっていた場合でも、それにかかった費用を払ったり、ダンボールを返したりしなければならないことも多いのです。
「無料でダンボールを配布する」というサービスは、あくまで、「ご成約時に」という条件が付いています。
そのため、契約がキャンセルになった以上、それを無償のままで持ち続けることはできないのです。
これを許してしまえば、ダンボール欲しさにキャンセルを繰り返すことも理論上可能になってしまいます。
ダンボールを返却する場合は注意!
キャンセルした場合、当然のことながら、引っ越し業者はあなたのためには尽力してくれません。
そのため、ダンボールを返却するにしても、それを自分で返さなければならなくなります。
持っていくのも大変ですが、郵送をするにしても、厚さと重さがあるので、郵送費用は高くつきます。
もちろん、送料にかかる金額は自分で支払うことになります。着払いはやめましょう。
ダンボールを賢く無料で処理する方法
ただ、「かさばるうえに、処分するのにお金がかかるダンボールを無料で処理してしまいたい」と考える人もいるでしょう。
その場合、新しく契約した引っ越し業者に、前の引っ越し業者のダンボールを引き取ってもらうことが可能になるかもしれません。
契約時に、この文言を入れたり、伝えたりしておけばよいでしょう。
これは、実は引っ越し業者の方からすれば、よくあることなのだそうです。営業マンのほとんどが、他の引っ越し業者のダンボールを返しに行った経験があるのだとか。
この方法は、特に、「前の引っ越し業者に不満があった」「前の引っ越し業者が不誠実だった」というときには使えるテクニックなので覚えておきましょう。
ただし、この方法は、当然のことながら、「前の業者を切り捨てて、新しい業者を選んだとき」という限定的なシチュエーションでだけ利用できるものです。
「引っ越しそのものがなくなってしまった」「引っ越しの期日が延期になってしまった」という場合はとれない方法ですから、注意が必要です。
引っ越しにおいては、たしかに、キャンセルはしないですむことが最良です。キャンセルとなると、お客側も業者も疲れてしまいますし、負担が増えるからです。
しかし、どうしてもキャンセルをしなければならなくなってしまったときのためにも、このようなテクニックや知識を学んでおくことはとても重要だと言えるでしょう。