「1人での引っ越しをしたいから業者の手をかりる」と一口に言っても、そこには、「単身プラン」と「単身パック」があります。
それぞれの特色を踏まえて、自分にとって都合のよい引っ越し方法を選びましょう。
単身者は要チェック!オススメの引っ越し
「1人分の荷物を運ぶ引っ越し」というと、多くの人が、「単身パック」「単身プラン」を思い浮かべるでしょう。
この2つは名称も似ているため、「同じものだろう」「会社ごとによって呼び方が違っているだけだろう」と考えてしまいがちです。
しかし、単身パックと単身プランは、基本的には区別されるものです。
一部では混同して呼ばれていることもありますが、原則としては使い分けられるものです。
そこでここでは、「単身パック」と「単身プラン」の違いについて詳しくお話していきます。
単身パック
単身パックは、原則として、「業者が指定しているコンテナに、乗せられるだけの荷物を詰め込み、それを運ぶ」というものです。
このコンテナのサイズは、会社ごと、コースごとによって違いがあります。小さなサイズのコンテナを使うこともできますし、大きなサイズのコンテナを使った方がよいこともあります。
これは荷物の量に応じて加減するとよいでしょう。
コンテナで運ぶ単身パックの場合、そこのなかにどれだけの荷物を入れても、運送料金は変わりません。コンテナごとで運送をするからです。
また、トラックにそのコンテナを積み込んで運ぶため、引っ越し業者もトラックの空きスペースの計算をしやすく、料金は休めに設定されていることがほとんどです。
加えて、「1人分の引っ越し荷物を1つのコンテナに詰めこむ」という性質上、荷物の紛失が起こるリスクは少なくなります。トラックのなかで、「あの人の荷物はどこにいったのか」と探す必要もないからでしょう。
ここまでは単身パックのメリットなのですが、もちろんデメリットもあります。
まず、単身パックは、「コンテナに詰めこむ」という性質上、コンテナよりも大きいものは運ぶことができません。
たとえば、「1人暮らしだが、趣味が料理なので、冷蔵庫は5~6人用のものを使っている」という人などは、利用することが難しくなります。
また、「布団」は運べても、ベッドは運べないというケースが多いですし(一部例外もあります。「大きいものを運べること」をウリにしているパックの場合は可能です)、自転車などの搬送が難しくなることもあります。
そのため、「何を持っていって、何を現地で買うか」という精査は重要になってきます。
さらに、逆に、荷物が少なすぎる人も損になることがあります。「コンテナ1台いくら」という計算になりますから、荷物の量が少なくても、割引になることはないのです。
また、このプランの場合は、梱包資材が有料になることもあります。一般的な引っ越しのでは「ダンボールは引っ越し業者からもらえる」というケースがほとんどだと思われますが、単身パックの場合は、必ずしもこれにあてはまるとは限りません。
そのため、単身パックでの引っ越しのケースでは、「お金を払って引っ越し業者からダンボールを買う」という選択肢を選ぶか、「自分で頑張ってダンボールをかき集める」という選択肢を選ぶか、どちらかになってしまうため、非常に面倒です。
単身プラン
単身プランの方は、「1人暮らし程度の荷物を、トラックで運ぶ」というプランです。単身プランでも単身パックでも「トラックで運ぶ」ということには変わりありませんが、単身プランの場合は、コンテナを使いません。そのため、ある程度自由采配で荷物の量を決めることができます。
単身プランの最大のメリットは、その自由度の高さにあると言えます。コンテナを使う単身パックの場合は、荷物の大きさや量に制限がありますが、単身プランならばこれらの制約がありません。
ベッドや自転車、大型の冷蔵庫といった、単身パックでは運ぶことが難しいものも、引っ越し先まで持って行ってもらえます。
また、基本的には、ダンボールの調達は引っ越し業者にお願いすることができるため、自分で梱包資材を調達する必要がありません。
引っ越しをするとなると、どんな場合でも、ほぼ必ずといっていいほど、時間が足りなくなります。貴重な時間を、梱包資材の調達にあてなくてよい、というのは大きなメリットです。
また、「コンテナ1台いくら」というように決められている単身パックとは違い、値下げ交渉の余地があるのもポイントのうちの1つです。「引っ越し業者を決めるまでに時間的な余裕がある」という人の場合、複数業者に見積もりをとってもらうのもよいでしょう。
ただ、値下げ交渉の余地があるとはいえ、基本的には、単身プランは、単身パックに比べて割高になる傾向にあります。
そのため、「もともとの荷物が、単身パックにおさまる程度の量である」という人の場合は、単身パックを選んだ方がよいでしょう。
また、荷物の紛失のリスクは、単身パックに比べて高くなります。ダンボールなどをなくしてほしくないのであれば、ダンボールに番号をふり、それを引っ越し業者にも確認してもらう、といったような対策をしてください。
「自力での運搬」を選ぶ前に考えよう!
このように、単身プランや単身パックの話をすると、「それならば、自力で引っ越しをすればいい」と考える人も出てくるでしょう。
たしかに、「人件費」は非常に高くつくものです。このため、引っ越しに慣れている人の場合は、自力でやった方が安くなることも多いと言えます。
ただ、費用だけの面から考えて、安易に自力での引っ越しを選ぶことは非常に危険です。
まず、引っ越しには、レンタカーの代金がかかります。自家用車として、トラックや大きな車を持っている人は例外として、軽自動車で荷物を運ぶのはとても厳しいでしょう。
洗濯機などは、横倒しで運ぶと、かなり高い割合で故障してしまいます。
ガソリン費や高速道路料金を計算に入れると、思いもかけないほど高くなることもあります。
自分の力だけで引っ越しをすることは困難ですから、多くの人は、家族や友人、恋人に引っ越しを手伝ってもらうことでしょう。
お礼をする必要もありますし、人の時間を使わせてしまうという罪悪感もあります。その分、業者ならば、このような気づかいはいりません。
一番着目してほしいのが、「修繕費」です。上では「洗濯機の故障」を取り上げましたが、運び込むときに家に傷をつけてしまう可能性もあります。
また、荷物を入れるときに車に傷をつけてしまうことは、決して珍しいことではありません。
このようなことを考えると、1人暮らしの引っ越しを自力で行えるのは、
- 引っ越しに慣れており、ノウハウがある
- 大きな車を持っていて、それを傷つけても気にしない
- 家電製品を抱え上げて慎重に運べるだけの体力がある人材を複数人確保できる
といった、かなり限られた条件を満たす人だけとなるでしょう。
もちろん、引っ越し業者のプランが高すぎる、ということであれば、料金を浮かすために、「一部分だけ自分で運ぶ」などの工夫は有用です。
しかし、初めから、自力ですべての引っ越しを完了させる、と考えるのは甘い考えだと言えるでしょう。大きな荷物だけでもプロに頼んでしまった方が、安全安心に引っ越しができます。
引っ越し業者というのは、単に荷物を運ぶだけでなく、保険的な意味合いも持っているのです。