高齢者の便秘に注意!便秘の理由と対策のポイントは?

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年を重ねるにつれて私達の体の各組織の機能も衰え、若い頃には悩まされなかった不調に頭を抱えてしまうものです。

 

加齢による体の不調には様々なものがありますが、その中で男女問わず多くの人が悩まされているものとして便秘が挙げられます。

というのも、30代と60代とを比較すると、便秘に陥るリスクがなんと2倍にも膨れ上がるからです。

加齢によって便秘が生じるのは、むしろ自然なことでなんら問題はありません。

しかしながら、便秘というと不快な症状を伴ったり健康に関わったりしますから、できる限り便秘を解消したいものです。

こちらでは、高齢者の人の便秘リスクが高まる原因と解消法のポイントについてご紹介します。

「若い頃は便秘になんてなったことがなかったのに、最近はよく便秘になる気がする」と便秘を実感されている人は、是非参考にしてくださいね。

高齢者が便秘になる理由

体の衰え

年を重ねるごとに現れる「体の衰え」は、毎日を生きている私たちには避けられない変化です。

加齢と共に生じる「体の衰え」には様々なものがありますが、「筋肉量の減少」が便秘に直接関わっています。

便を出す際にはトイレで「ふんっ」と力むように、排便には腹筋の力を大きく使います。

排便の際に使用する腹筋の力が弱まれば、当然排便もスムーズに行えなくなり結果的に便秘のリスクが高まってしまうのです。

高齢の人は全身の筋肉量の減少に伴って、便を体の外に出す腹筋の力も弱まっています。

特に「体を動かすのが辛い」といった理由から運動不足にある人は、極めて便秘に陥りやすい状態にあると言えます。

食事量が減る

若い頃にはたくさん食べられたのに、年を取ってから食が細くなったと感じる人も少なくはありません。

これは、活動量の低下によって消費カロリーが減少したり、消化器官が持つ機能が低下したりといった加齢による体の変化によるものです。

便は食事として摂り入れたものから作られるのですから、食事量が減ると当然便が作られる量も減ります。

排便にはある程度の便の量による腸への刺激が必要となりますから、少量の便では便意が起こりにくく便秘のリスクが高まります。

また、少なくなった食事量に伴う便の量の減少以外にも、摂取する水分量の低下も便秘に大きく関わっています。

排便に適している柔らかな便を形成するには、十分な水分量が必要となるからです。

しかし、頻尿や尿もれなどを気にして水分の摂取量が減少した高齢者の人の場合には、柔らかな便を形成するだけの水分量が不足するために固く排便に適していない便になってしまうのです。

飲んでいる薬の影響

加齢に伴う様々な体の不調や疾患によって、多くの人が何らかの薬を服用しているかと思います。

常用薬として服用している薬もまた、便秘になる原因として考えられますから今一度確認をしておきましょう。

便秘が副作用の症状として現れやすい薬として挙げられるのが、「抗生物質」「抗うつ剤」になります。

これらの薬以外にも「副作用として便秘の恐れがある旨」が付属している注意書きに記載されているものを服用している場合には、その薬が原因となって便秘が引き起こされていると考えられます。

どのような薬であれ、少なからず副作用のリスクを伴います。

持病や体の不調のために服用している薬から便秘が生じている場合には、「便秘の症状を改善したいから」とその服用を中止することが難しくなります。

したがって、薬の服用から引き起こされている「便秘になりやすい体質」を、食生活や生活習慣の改善から少しでも和らげることが大切になります。

大腸機能の低下、知覚神経の鈍化

加齢によって筋力が低下するのと同様に、大腸機能もまた低下しています。

スムーズな排便のために必要な「大腸壁の弾力性」が低下したり、腸内環境を健康な状態に保つには欠かせない腸内細菌のビフィズス菌が減少したり……大腸が本来持つ機能性が年齢と共に低下するのは避けられないからです。

また、直腸にある神経が便の到来を大脳に伝えることで「便意」を感じられるのですが、加齢に伴う知覚神経の衰えによって便意を感じにくくなっています。

便意を感じるタイミングは、スムーズに快適な排便を行う上では絶好のチャンスです。

知覚神経の衰えによって、このチャンスをみすみす逃してしまっていたのです。

加齢による便秘のリスク

さらに便秘が悪化する

便秘には軽度なものから重度なものまで、その程度には様々なものがあります。

比較的軽い程度の便秘であれば、食生活や生活習慣からのアプローチから改善が可能となります。

しかし、便秘が長期に渡って続いた場合には、便が固くなって腸の栓のように邪魔となって便秘を引き起こしてしまうのです。

また、「便の過剰な発酵から生じた有害なガス」や「悪玉菌の増殖」によって腸内環境が悪化し、さらに便秘が生じやすくなってしまいます。

便秘自体が「排便の邪魔となる固い便」「腸内環境の悪化」といった「さらなる便秘の悪化」に繋がるからこそ、便秘の症状が軽いうちに解消しなければなりません。

特に高齢者の人の場合には、一度便秘になると体の衰えや生活習慣から改善されにくいため、病院での改善が必要になるほどに症状が悪化する恐れもあります。

消化器官全体に影響する

「胃腸」という言葉があるように、消化器官として繋がっている胃と腸とは切っても切れない密接な関係にあります。

胃の不調が腸に不調が生じる原因となり、腸で生じた不調もまた胃での不調が生じる原因となるのです。

具体的に言うと「便秘」という腸の不調が生じると、胃から腸へと送られるはずの食べ物の運搬がうまく行われなくなったり、胃が持つ「口にした食べ物の消化」といった機能が正常に働かなくなったりして、食欲低下・消化不良・胃もたれといった胃に関する不快な症状の原因となるのです。

ただでさえ食事量が少ない高齢者の人の場合には、「さらなる食事量の低下」「不十分な消化吸収」は栄養不足に繋がりかねないほか、栄養不足から抵抗力が低下したり感染症のリスクが高まったりといった時には健康を阻害しかねない危険性も十分にあります。

便秘薬が効きにくくなる

便秘を解消するうえで、市販されている便秘薬の服用は非常に高い効果を発揮します。

即効性があったり「飲めば必ず出る」という優れた便秘解消効果があったりとついつい頼りたくなりますよね。

しかし、高齢者の人の中には服用しても便秘薬の効果を得られにくい人がいると同時に、効果の強い便秘薬を服用した際には過剰な効果によって下痢に陥るリスクが高まってしまうのです。

若い人に比べると高齢者の人が下痢になった場合には、脱水症状になる危険性が非常に高いため要注意です。

また、便秘薬に頼り切りの排便を続けていると、強い刺激に体が慣れる「常用性」から効き目が得られなくなったり腸の内壁を傷つけて思わぬ腸の疾患に繋がったりと、「便秘の解消」以上の危険性が伴います。

常用薬として服用している薬の中には、便秘薬との相性が悪く飲み合わせによって思わぬ副作用が生じかねませんから、便秘薬に頼った排便は安易にすべきではありません。

解消する方法

加齢による体の変化や生活習慣から生じた便秘は、ご紹介しましたように様々な悪影響から健康を阻害しかねません。

したがって便秘が深刻な状態になる前に、早期段階での便秘解消がとても大切になります。

次に、便秘の解消に必要な毎日の心掛けについてご紹介します。

毎日コツコツと続けることで便秘解消に繋がりますし、解消した後には予防にも十分な効果を発揮しますから是非お試しくださいね。

トイレに行く習慣をつける

便秘を解消するための手段として最も簡単なのが「トイレに行く習慣をつける」ことです。

加齢に伴って少なくなった食事量と比例して便自体の量が減ったり、知覚神経の衰えから便意を感じにくくなったりすると、トイレに行く回数もおのずと減ってしまうものです。

こうしたトイレの回数の減少もまた「排便のチャンス」を逃す原因となりますから、決まった時間に意識的にトイレに行くようにして排便を促してあげましょう。

言ってしまえば、毎日決まった時間にトイレに行く癖をつけて、「この時間にトイレに行くよ」というリズムを体に覚えさせることで自然な排便を実現しようというものです。

はじめのうちは便意がないのにも関わらず、トイレに行くことになるはずです。

「意味があるのかな?」と思われるかもしれませんが、毎日決まった時間にトイレに行くように習慣づけると「トイレの時間だ」と覚え始めた体が便を出そうと働き始めますよ。

「トイレに行く習慣をつける」というように、ある意味形から入ることも便秘解消には十分に効果的ですから、トイレに行く習慣を明日から始めてみてはいかがでしょうか?

体を動かす

「筋力の低下」が便秘の原因として挙げられますから、毎日体を動かして筋力を維持しながら更なる筋力の増強に役立てましょう。

ただし、無理な運動は思わぬ怪我に繋がりませんから、無理をせずに続けられる範囲内で運動を行ってください。

そのため、運動を取り入れる際には、怪我の危険性が高い極端なトレーニングではなく、日常生活の中で続けやすい運動を!

散歩や家事そして庭仕事なども立派な全身運動ですから、自身に合ったものを見つけて習慣としてコツコツと続けていきましょう。

食生活を見直す

食事量の低下に伴う便の量の減少が便秘の原因として挙げられますから、適度な量の食事をとることも大切になります。

また、便秘解消効果を発揮する「食物繊維」「乳酸菌」といった栄養素を食事から摂り入れられるように意識しましょう。

1日3食!規則正しい食事を

朝昼晩それぞれ3食欠かさずに食べるようにすることで、胃や腸をコントロールする自律神経のバランスを整えることが可能となります。

食べる量は多くなくても問題ありません。

少ない量を3食に分け、こまめに口にする習慣を身に付けるだけで十分ですよ。

特に朝の時間帯は、腸を刺激して排便に必要な「腸の蠕動運動」を活発にしやすいタイミングです。

朝食として何かを口にして、お通じリズムを形成できるチャンスを最大限に活かしたいですね。

野菜から食物繊維を摂取しよう

便秘を解消するにあたって、野菜や果物に豊富に含まれている「食物繊維」を意識的に摂取するようにしましょう。

食物繊維には大きく分けて「不溶性食物繊維」と「水溶性食物繊維」との2種類があります。

不溶性食物繊維:水に溶けない食物繊維で、腸内に届くと水分を吸収して膨張することで腸を刺激したり、腸内に溜まった便や老廃物を絡め取って便とともに排出したりといった働きがあります。主に、穀物・豆類・根菜類に多く含まれています。

 

水溶性食物繊維:水に溶けやすい食物繊維で保水性があり、腸内に届くと水分を吸収して離さない性質から便の水分量を増やして柔らかくします。また、腸内環境を健康に保つために必要な善玉菌の餌となってその数を増やす働きもありますから、高い整腸作用も持ち合わせています。主に、コンブ・ワカメ・ヒジキなどの海藻類やこんにゃくに多く含まれています。

 

不溶性食物繊維と水溶性食物繊維とが持つ特徴はそれぞれ異なりますが、どちらも便秘の解消には欠かせない優れた効果を発揮します。

したがって、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とのどちらか一方のみを多く摂取するのではなく、まんべんなく様々な種類の食品からバランス良く摂るようにしましょう。

年を重ねるにつれて歯が弱まってものが食べづらくなるものですが、長時間煮込んだり細かく切ったりするといった一工夫を加えるだけでも随分と食べやすくなりますよ。

自炊が難しい場合には、高齢者向けの栄養バランスが考えられた宅配弁当を活用するのも手です。

乳酸菌が豊富な発酵食品を!

私達の腸内に住む善玉菌には、腸の働きを補助したり便の水分量を調整したり、さらには腸内環境を正常にするといった働きがあり、その性質は便秘の解消・予防には欠かせません。

しかし、この善玉菌は加齢と共に腸内に住む数が減少するため、食事から摂取してその数を保つ必要があります。

食材から摂り入れられた乳酸菌は腸内に届くと、善玉菌となって作用します。

したがって、腸内環境を健康にして便秘を解消・予防するためには、乳酸菌を豊富に含む食材の摂取が有効な手段となります。

ヨーグルトやチーズといった乳製品、納豆や味噌などの大豆製品、そしてキムチやたくあんなどの漬物類など発酵食品には乳酸菌が豊富に含まれています。

乳製品や漬物類などは普段の食事にプラスしやすいですし、大豆製品は和食中心の食事を心掛けるだけで補うことが可能となります。

好みや食事スタイルに合わせた乳酸菌の摂取を心掛けてください。

水分を取る

喉の渇きを感じにくくなったり尿に関するトラブルが多かったりといった理由から、水分補給が疎かになっていませんか?

水分不足は便を排出に不適な質にして便秘を引き起こしやすくするほか、脱水症状のリスクを高めてしまいます。

水分量が多く柔らかで排出に適した便にすることで便秘を解消するためにも、水分補給は意識的に行うようにしましょう。

喉の渇きを感じてから飲むのではなく、少量をこまめに摂取することがポイントです。

また、物を飲み込む力である嚥下(えんげ)能力の低下も生じている場合には、水分摂取をしながらの食事でなければ物を詰まらせる危険性が伴います。

食事での思わぬトラブルを防ぐという意味も込めて、食事中も積極的に水分を摂るようにしてください。

お味噌汁やスープ類などの汁物をメニューも、十分な水分補給となりますから献立の1つとして加えてみてはいかがでしょうか?

ただし、お酒類に含まれるアルコールは利尿作用によって体内の水分を尿として排出してしまうため、水分補給にはならないので、注意しましょう。

マッサージ

手で押して行うマッサージは、腸を刺激して排便を促す効果が得られます。

左下の直腸に向かって手のひらや指の腹でマッサージをすれば、腸内の便を肛門の方向に向かって誘導することができます。

また、トイレの中で「便が出そうなのに出ない」「思うようにりきめず、腹圧がかかりにくい」と感じられた時には、左下腹部を肛門の方向に少し強く押してあげましょう。

りきむタイミングと同時に手で直接ググーと押せば、便が出やすくなりますよ。

蒸しタオルでお腹を温める

蒸したタオルでお腹を温める方法は、温罨法(おんあんぼう)と呼ばれます。

じんわりと温かい刺激によって血行状態が改善されてお通じの改善に役立ちますよ。

便秘対策で注意したい3つのこと

ご紹介しました解消法を心掛けていく中で、かえって便秘を悪化させてしまいかねない注意点がいくつか存在します。

 

「便秘を解消するため!」と続ける解消法が逆効果になってしまわないためにも、以下の注意点には気をつけてくださいね。

食物繊維の摂りすぎ

食物繊維の摂取は、確かに便秘を解消するためには非常に有効な手段として挙げられます。

しかし、食物繊維を摂取する際にはたくさんの水分を摂るようにしなければ、かえって便が固くなり便秘が生じやすくなります。

というのも、先述の通り食物繊維には腸内に届くと水分を吸収する性質があることに加えて、高齢者の人の腸は動きが鈍く便の滞在時間が長くなってしまいがちになるからです。

冷たい水を飲む

「冷たい水を飲む」は若い人の便秘解消の手段としてありですが、高齢者の人には適さない方法となります。

加齢によって機能が低下している腸が、冷えによってさらに弱まってしまうからです。

ですから、冷たい水を飲むことによる便秘の解消は行わないでください。

また、便秘解消のために必要不可欠な水分補給も、体の冷えを避けるために冷たい状態ではなく極力温かい状態で飲むようにしてくださいね。

酸化マグネシウムの便秘薬

便が固くなるのを防ぎ柔らかな状態のまま排出することを目的として、「酸化マグネシウム」が便秘薬として処方されることが多くあります。

しかし、便秘薬「酸化マグネシウム」は長期に渡って服用すると、高マグネシウム血症になる恐れがありますから服用の際には注意が必要です。

高マグネシウム血症では、呼吸抑制、意識障害、不整脈、心停止など命の危険にも関わる症状が見られますから、少しでも異常が感じられた場合には直ちに服用を中止してかかりつけ医に相談するようにしましょう。

加齢による便秘は、体になるべく負担をかけずに解消することが大事!

高齢者の人に生じる便秘は、加齢に伴って変化した体や生活習慣が原因となっています。

そのため、若い頃に行った便秘解消法ではなく年相応に変化した体や生活習慣に応じた方法を行わなければ、かえって便秘が悪化したり思わぬ体の不調が現れたりします。

体に負担をかけずに便秘を解消する際には、こちらでご紹介しました内容を参考に毎日コツコツと続けてくださいね。

ただし、あまりにも酷い便秘でなかなか症状が改善されない場合には、普段通っている病院の担当医に「便秘であること」を相談しましょう。

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