病院で処方される便秘薬ってどんなのがあるの?副作用は大丈夫?

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辛い便秘で病院を受診した際に便秘薬を処方されると、「病院で処方されたものだから大丈夫」という安心感と「どんな薬なんだろう」という不安との板挟みになりますよね。

辛い便秘だからこそ早く解消したい反面、知らない薬の効果が気になるものです。

便秘の症状に合わせて処方された便秘薬はどれも優れた効果を発揮するものの、薬であるがゆえに少なからず副作用も存在します。

こちらでは、病院で処方される便秘薬の効果を、それぞれの便秘薬で考えられる副作用とともに簡単にご紹介します。

便秘薬の種類

便秘で病院を受診した際には、辛い便秘やそれによる不快な症状の解消のために便秘薬が処方されます。

便秘薬とは言っても、その種類は「下剤」と「下剤に準ずるもの」に分類されます。

下剤は「刺激性下剤」「機能性下剤」に、下剤に準ずるものは「浣腸」「座薬・坐剤」とそれぞれさらに細分化されます。

それぞれの便秘薬が持つ作用を種類別に見ていきましょう。

刺激性下剤

はじめにご紹介します「刺激性下剤」とは、大腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動(便秘を解消するために必要な腸の動き)を活発にする働きのある下剤です。

いわば腸に直接アプローチして、腸の動きから便秘の解消を目指すのが「刺激性下剤」です。

 

刺激性下剤は「アントラキノン系」と「ジフェニルメタン系」の2種類に分類され、効き目の度合いや主成分に違いが見られます。

1.比較的刺激が強いアントラキノン系

「アントラキノン系」とは、センナ・漢方の大黄(ダイオウ)・アロエなど植物由来の主成分が使用されている便秘薬(下剤)です。

強い刺激から激的な効果が得られることが特徴で、頑固で酷い便秘の人の多くが1回の服用で排便が可能となります。

2.効き目がソフトなジフェニルメタン系

一方「ジフェニルメタン系」は、ビザコジル・ピコスルファート・ラキソナリンといった化学合成で作られた成分が使用されている比較的新しい薬です。

 

アントラキノン系よりも効き目がソフトで自然な排便に近く、腹痛といった体への負担が少ないという特徴があります。

機械性下剤

ダイエットによる食事制限や加齢などにより、排便に必要な量の便が作れないことが原因で便秘に陥っている人に処方されることが多いのが機能性下剤です。

 

腸や腸内の便に水分を与え、便の量を増やしながら外に出しやすい柔らかい状態にする作用を持ちます。

つまり、機械性下剤は「腸や便の水分量を増やす」という間接的なアプローチによって便秘解消を目指すものです。

 

したがって、腸を直接刺激して運動を促進する刺激性下剤と比べても、機械性下剤は腸への刺激が少なくなっています。

そんな機能性下剤は、「膨張性下剤」「浸潤性下剤」「塩類下剤」「糖類下剤」の4種類に分類されます。

1.食物繊維と似た作用の膨張性下剤

膨張性下剤とは、腸内で水分を吸収して便を排泄しやすい柔らかい状態にしながら、膨張することで便の量を増やして腸を刺激する作用があります。

寒天・プランタゴオバタ・小麦ふすま(小麦粒の表皮部分)などが主成分として使用されていることから、腸内で水分の吸収・膨張といった食物繊維の作用と似た働きが得られるのです。

2.便を柔らかくする浸潤性下剤

界面活性作用から便に水分が浸透しやすい状態にし、硬い便を排泄しやすいように柔らかくするのが浸潤性下剤です。

主な成分としてはジオクチルソジウムスルホサクシネート、バルコゾルなどが挙げられます。

 

便にアプローチするという緩やかな作用なので高齢者の人に処方されること多いです。

しかし、それだけ浸潤性下剤のみから得られる効果が弱いため、時にはアントラキノン系下剤と併用されることもあります。

3.大腸内の水分量を増やす塩類下剤

硫酸マグネシウム・酸化マグネシウム・クエン酸マグネシウムなどの浸透圧の高い成分が主に使用されており、腸内の水分量を増やしながら便を柔らかく排泄しやすい状態へと作用するのが塩類下剤です。

 

そのため、水分量が少ない硬い便やうさぎのようなポロポロとした便に悩まされている人、そして排便による症状の悪化を防ぐため痔主の人に処方されます。

4.大腸内の水分量を増やし酸性に保つ糖類下剤

糖類下剤は、その名の通り人工的に合成された糖類や麦芽糖が使用されており、浸透圧から腸内の水分量を増やし、便を柔らかくする作用があります。

 

「浸透圧によって便に作用する」のは塩類下剤と同様の働きではありますが、糖類下剤には腸内環境の正常化にもアプローチするという特徴があります。

というのも、糖類が腸内の善玉菌に分解されて生じる乳酸から、腸内を悪玉菌の働きやその数を抑えられる酸性の状態にする働きが得られるからです。

下剤に準ずるもの

上記でご紹介しました下剤は、どれも飲み薬として服用するタイプでした。

次にご紹介します「下剤に準ずるもの」では、肛門から液体を注入する「浣腸タイプ」と肛門から固形物を挿入する「座薬・坐剤」とが挙げられます。

 

浣腸も座薬・下剤もともに直接腸に投与することから、約10~30分ほどで効果が現れます。

こうした即効性が特徴として挙げられますから、便秘にお腹の張りが特に辛い場合に優れた作用を発揮します。

これら2つでそれぞれ異なる作用について最後にご紹介します。

肛門から液体を注入する浣腸

肛門から液体を注入する浣腸は、主成分としてグリセリンやソルビトールなどが使用されています。

 

これらの成分が腸内にある便を柔らかくしたり腸内の壁面の滑りを良くしたりと便を外に出やすい状態にするほか、大腸を直接刺激することで蠕動(ぜんどう)運動を促進します。

肛門から固形物を挿入する座薬・坐剤

液体を注入する浣腸に対し、座薬・坐剤は炭酸水素ナトリウムやビザコジルそして無水リン酸二水素ナトリウムなどの成分が使用されている固形物です。

 

腸内に挿入すると座薬・坐剤の有効成分が反応して炭酸ガスが生じ、このガスが腸を刺激することで排泄に必要な腸の蠕動(ぜんどう)運動が促進されるのです。

座薬・坐剤は、炭酸ガスを発生させて直接腸に作用して排便を促すことから、体への影響が少ないと考えられています。

そのため、座薬・坐剤は胎児への影響が懸念される妊娠中の人にも処方されることがあります。

便秘薬の副作用について

飲み薬として服用する「下剤」そして腸に直接投与する「下剤に準ずるもの」は、それぞれ異なるアプローチによって便秘を改善します。

 

しかし、それぞれの便秘解消のために必要な成分が、思わぬ副作用をもたらす恐れが少なからず存在します。

便秘薬にはどのような副作用があるのかをきちんと知り、用法用量を守って服用しなければなりません。

刺激性下剤

刺激性下剤では、腸の動きを半ば強制的に活発にさせることで便秘を解消します。

最大の特徴とも言える「腸の動きを活発にする作用」に頼りっきりでは、取り返しのつかない副作用に見舞われる恐れもありますよ。

1.アントラキノン系

強い刺激による便秘解消効果のため、副作用として腹痛が伴うことも当然あります。

 

アントラキノン系の副作用として特に注意すべき点は、体が作用に慣れる「常習性」です。飲むと必ず便が出るからと長期にわたって服用すると耐性がつき、次第に得られる効果が薄くなっていくのです。

 

さらに、長期に渡って服用したり「効果を得られないから」と服用量を増やしたりすると、大腸黒皮症(大腸メラノーシス)という症状が引き起こされることも。これは腸内の粘膜が黒ずんだり腸の働きが低下したりするほか、便秘の悪化にも繋がる症状です。

 

また、女性の場合には大腸の近くに子宮があることから、大腸の動きを活発にする作用によって子宮の収縮が誘発されることがあります。

妊娠中の人が服用した場合には流産や早産の危険性が考えられるため絶対に服用してはいけません。

また、口から飲み薬として服用した有効成分が、大腸に行き届くまでに母乳に薬の成分が混ざることもありますから授乳中の服用も厳禁です。

2.ジフェニルメタン系

強い刺激から便秘を解消するアントラキノン系に対して、ジフェニルメタン系の下剤ではソフトな効き目による自然な便意によって便秘を解消します。

 

その低刺激さから体への副作用が無さそうに思えますが、絶対に副作用がないかと言えばそうではありません。

というのも、胃腸に何らかのトラブルがある人が服用した場合には、腸閉塞や虚血性胃腸炎といった重大な症状が引き起こされることが極稀にあるからです。

機械性下剤

排泄に適した便や腸内へと作用する機械性下剤では、それぞれの下剤に含まれている成分と体質・便秘の症状との相性によっては様々な副作用が現れることがあります。

1.塩類下剤

浸透圧の高い成分によって便に水分を与えて柔らかくする塩類下剤では、主成分として使用されているマグネシウムが原因で生じる副作用が現れます。

 

摂り入れたマグネシウムを上手く体の外へと排出できないといった腎臓に何らかの疾患がある人の場合には、高マグネシウム血症が生じる恐れがあります。

また、心臓病を抱えている人には、心不全といった命の危険に関わる副作用に繋がることも。

2.膨張性下剤

腸内に届くと水分を吸収して膨張し、便の量を増やしながら柔らかくする膨張性下剤では、「膨張することで腸を刺激する」という特徴が原因となる副作用が伴うことがあります。

 

腸管が狭くなっている人が服用した場合には腸閉塞の危険性が、また体の不調としては腹痛・吐き気・下痢・食欲不振などが生じます。

下剤に準ずるもの 浣腸や座薬・坐剤

肛門から注入する浣腸や投与する座薬・坐剤は腸に直接作用するので、体の他の部位に作用しないとされています。

しかし、痔・子宮筋腫・卵巣腫瘍といった疾患のある人には適していません。

 

まず、痔を患っている人の場合には、肛門に注入・投与する浣腸や座薬・坐剤によって患部が傷つき悪化に繋がる恐れがあります。

さらに、浣腸や座薬・坐剤によって便を出したとしても出てくる便は硬いものですから、その排泄によって切れ痔の悪化が考えられるのです。

 

また、子宮筋腫や卵巣腫瘍といった女性特有の疾患がある場合には、肥大した筋腫や腫瘍が腸を圧迫することにより便秘が引き起こされていることもあります。

こうした変化が体で生じている時に坐剤・座薬そして浣腸を使用すると、極度の腹痛・吐き気をもよおすとされています。

女性ならではの疾患が根本的な原因となっている便秘では、浣腸や座薬・坐剤を用いて腸を刺激しても得られる効果が少ないだけでなく、上記のような副作用に悩まされることがほとんどです。

したがって、子宮筋腫や卵巣腫瘍の恐れがある人は浣腸や座薬・坐剤に頼る前に、まずは医師への相談を行いましょう。

薬は一時的なものです!根本的な便秘の解消は生活習慣から!

病院で処方される便秘薬には様々な種類があり、それぞれの効果から便秘の解消に役立ちます。

しかし、便秘薬で得られる効果はあくまでも便秘で腸に溜まった便の排出を一時的にサポートするものであり、根本的な便秘の解消にはなりません。

それに、どんなに優れた便秘薬でも副作用が全くないということはないのです。

 

一時的な便秘の解消に役立つ便秘薬ですが、慢性的な便秘の解消や予防には「腸内環境の正常化」「運動不足の解消」「食生活の改善」といった根本的な原因の改善が必要となります。

 

言ってしまえば便秘薬の使用は、便秘の原因として挙げられる「腸内環境の悪化」といった症状の根本的な改善とはなっていないのです。

ですから、効果が高く服用したり使用したりするとすぐに効果が現れる便秘薬に頼ってばかりでは、思わぬ副作用や腸本来の働きを低下させてしまいかねません。

 

便秘薬は「特に便秘の症状が酷い時のみの使用」にとどめておきましょう。

そして、毎日の生活習慣を今一度振り返り、便秘の原因となっているものを生活の中で解消していくことこそ便秘の解消に必要な心構えです。

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