あまくみないで!便秘の悪化で入院することも!?

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便が出なくなり、お腹が張る便秘。

「たかが便秘」と放置していると、ゆくゆくは入院することになるケースがあることをご存知ですか?

言ってしまえば、たかが便秘されど便秘なのです。

便秘というと便が出なくなったりお腹が張ったりといった症状が思い浮かぶかもしれませんが、時には深刻な疾患が根本的な原因となって引き起こされている恐れも。

こちらでは、便秘で入院するケースを症状別にご紹介し、入院中にどのような治療が行われるのかを解説します。

便秘で入院することがある場合

便秘で入院するケースとしては、大きく「2週間以上の便秘」「お腹の激痛」「下剤依存症」「摂食障害」の4つに分類されます。

それぞれ4つのケースで、どうして入院が必要なのかを順に見ていきましょう。

2週間以上の便秘

便秘で入院するケースとして最初に挙げられるのが、「2週間以上もの長期間に渡って便秘の状態が続き病院を受診した場合」になります。

 

この場合、症状によっては2週間以下の便秘であっても入院となります。

これは、長期間の便秘が生じる原因として以下のような疾患の恐れが考えられるからです。

加えて、正常に排便が行われない期間が長くなればなるほど症状が深刻化するだけでなく、病院での処置が大掛かりなものになります。

 

したがって「2週間以上」といった期間にこだわらずに、便秘に悩まされて1週間以内には速やかに医療機関を受診するようにしましょう。

1.イレウス(腸閉塞)

イレウス(腸閉塞)とは、大腸の出口部分がねじれたり溜まった便が固くなって栓のように腸を閉じてしまったりと閉塞した状態になり、激しい腹痛や嘔吐を伴う疾患です。

 

その腹痛は「痛すぎて倒れ込んでしまう・歩行が困難になるほど」と非常に激しいもので、そのまま救急車で搬送される場合がほとんどです。

症状に嘔吐が伴うのは、便を排出しようにも出口部分が塞がっているために排便が正常に行われず、便が大腸から胃や食道を通って口から逆流してくることも。

想像するだけでも恐ろしい症状ですね。

また、便に含まれている様々な菌から、感染症が引き起こされるという恐れもあります。

2.虚血性大腸炎

イレウス(腸閉塞)と同様に激しい腹痛に見舞われる虚血性大腸炎は、腸が壊死してしまう疾患です。

「便秘がどうして腸の壊死に繋がるの?」と思われるかもしれません。

実は、長きに渡る便秘は、腸の血行状態に大きな悪影響を及ぼすのです。

まず、長い期間に渡って便が正常に排出されずに腸内に溜まると、腸内にどんどん詰まっていきますよね。

その便が詰まっている部分は、便による圧迫から血行状態が悪くなります。

その結果として腸の組織を形成する細胞が、血液から運ばれてくる様々な栄養素や酸素そして水分を十分に得られない状態が続き死んでしまうのです。

虚血性大腸炎は「腸の細胞が死ぬ」という恐ろしい疾患ですが、あまりに長く便秘が続く人に発症することは珍しくありません。

むしろかなりの数の人が発症するとされていますから、2週間以上便秘が続く場合にはただちに入院が適用されるのですね。

お腹の激痛

そもそも私たちの体内にある長い腸は定位置に固定されておらず、体の動きや体勢に応じて位置がずれるようになっています。

腸がずれることで一部分が絡まってしまうこともありますが、大抵は自然とほどけて元の位置・状態へと戻ります。

しかし、時には絡まったりねじれた腸がほどけなかったりして腸を塞いでしまうこともあり、この状態こそが腸捻転(ちょうねんてん)です。

腸のねじれから便の通路が塞がってしまい正常に便が排出されず、激しい腹痛が生じます。

腸捻転(ちょうねんてん)自体が激しい腹痛を伴いますし、それによってイレウス(腸閉塞)の危険性も高まるため、ただちに入院による処置が行われるのです。

下剤依存症

下剤は即効性があり、便秘による辛いお腹の張りを効果的に解消できます。

しかし、だからといって下剤に頼りっきりの排便を続けていると、体が下剤に慣れることによって得られる効果が弱まってしまいます。

こうした下剤の「常用性」から下剤の使用量や使用頻度が多くなると、ますます下剤への依存度が高まり「下剤なしでは排便できない」という下剤依存症を患います。これは体が「排便は下剤を服用して行うもの」と記憶してしまい、体が本来持つ排便の働きが正常に発揮されなくなるからです。

下剤依存症は便秘によるポッコリお腹が気になる、あるいはダイエット目的のために下剤を使用する若い女性に多く見られる症状です。

また、ダイエット目的で下剤を使用する女性の中には、十分痩せているのにも関わらず「もっともっと痩せたい」と思ってしまう精神的な疾患を発症していることが少なくありません。

 

したがって、下剤に頼らずとも排便を行うためのリハビリ治療に加えて、メンタル面のケアも同時に行うために入院が適用されるのです。

摂食障害

摂食障害には、食べられなくなる「拒食症」と食べ過ぎてしまう「過食症」の2種類があります。

摂食障害は心療内科や精神科で治療が行われるメンタル面の疾患で、特に体型を気にする若い女性に発症することが多いとされています。

1.食べることが罪悪感に……拒食症

まず、「痩せたい」と始めたダイエットがきっかけとなって、次第に「食べると太ってしまう」と食べることに対して罪悪感を覚え始めるのが拒食症です。

そうした罪悪感から、食事から得た食べ物を吐く「普通食嘔吐」や下剤の使用で無理やり便を出すといった行動に出ることも。

2.食べても食べても満たされない……過食症

一方、過食症とはその名の通り食べ過ぎてしまう病気になります。

過食症の原因の1つに、ジャンクフードやファストフード中心の偏った食生活が挙げられます。

これらの食べ物には栄養素がほとんど含まれていませんから、いくら食べても十分な栄養を得られません。

すると体内では「栄養素を摂取しないといけない」というサインを、「何かを食べたい」という形として発するようになります。

食べても食べても何かを食べたくなるのは、栄養素の不足から引き起こされると考えても良いでしょう。

また、「食べたいけど太りたくない」「食べすぎちゃった……太りたくない」という気持ちから、「過食嘔吐」という食べすぎたものを吐き出す行為が行われることもあります。

3.摂食障害が便秘を引き起こす理由

拒食症から生じる便秘の原因:便の形成・排泄に必要な食事量を満たすことのできない、少ない食事摂取量。

過食症から生じる便秘の原因:過食症では食べ過ぎによる消化器官への負担。過食嘔吐によって生じる「少なすぎる食事量から便が作られない」という拒食症と同様の理由も。

 

拒食症と過食症はそれぞれ真逆の症状である摂食障害ですが、どちらも「自然な排便に必要な腸の蠕動(ぜんどう)運動を阻害し、便秘を引き起こす」という点は共通しています。

入院による便秘の治療

便秘であることに恥ずかしさを感じる人もいることでしょう。

しかし、生理現象が正常に行われないのは、列記とした体の不調です。

恥ずかしがることなく病院を受診し、専門機関による正しい治療を受けるようにしましょう。

 

入院による便秘の治療としては、「食事療法」「カウンセリング」そして「手術治療」の3つが症状に応じて行われます。

食事療法

便秘で入院する際には、基本的に食事療法が行われます。

食事療法では、主に便秘の解消に必要な食物繊維やビタミン類を含む「バランスの良い食事」と「整腸剤の使用」との2つのアプローチから正常な腸内環境を目指します。

整腸剤としては、整腸作用が高く副作用がない「ラックビー微粒N」が用いられることが多いです。

 

個人差はありますが入院期間は約1~2週間で、この期間内で胃腸を整えてお通じリズムを定着させていきます。

カウンセリング

深刻な状態にある腸内環境を、食べ物や整腸剤によって元の健やかな状態に戻すのが食事療法での目的です。

しかし、摂食障害が原因となって便秘が生じている場合には、カウンセリングによる摂食障害の改善が最優先で行われます。

便秘への治療は、心理療法を用いたメンタル面のケアを行って精神状態を安定させたあとに行われます。

手術治療

長期間腸内に溜まって固まった便が肛門付近で腸を塞いでいる状態にある場合には、浣腸や摘便専用のヘラで直接取り出されます。

しかし、摘便や浣腸から効果が得られないほどに便秘が酷くなっている場合には、手術によって便を取り出されます。

イレウス(腸閉塞)や腸捻転(ちょうねんてん)から生じる激しい腹痛から救急車で搬送される場合には、緊急手術が行われます。

手術後の入院生活では排便の量・臭い・形などの経過観察を行いながら、下剤の処方や食事療法によって体調を管理していきます。

辛い時は専門医の力を借りよう!

排便は健康維持のためには欠かすことのできない生理現象で、便秘は列記とした体調不良の1つです。

「便秘で入院」と聞くと恥ずかしく感じられるかもしれません。

しかし、時には命の危険にも関わる便秘だからこそ、入院をして医師や看護師の元で専門的な治療を集中的に受ける必要があります。

むしろ、それまでに非常に辛かった便秘の症状が、入院期間中に正しい方法でスッキリと改善されますから大変有効な手段として前向きに捉えましょう。

 

また、「下剤に頼り切りの排便を続ける」といった独断での下剤の服用は、かえって便秘を悪化させ、時には深刻な疾患の原因となりえますからおやめくださいね。

参考文献 社会福祉法人 恩賜財団 済生会

参考文献 メルクマニュアル 医学百科

参考文献 医療法人社団 出雲中央クリニック

参考文献 特定医療法人 北仁会 いしばし病院

 

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