お腹が張ると、不快感や圧迫感に見舞われ、人によっては苦しさも感じます。
一般的には『食べ過ぎるから』『早食いや早口のせい』などと言われ、『おならが出そうなだけ』と断じ切ってしまうことも多いです。
実は、お腹が張るのには様々な原因が存在し、中には重大な症状もあります。
ここでは、お腹が張ってしまう原因と、その対処法について紹介させていただきます。
膨満感とは?
膨満感とは、お腹が張って苦しくなった状態を指します。
これは飲食物や水を摂取して胃が満たされた満腹感とは違い、圧迫されたような苦しみを覚えるものです。
主な症状としては、お腹が張ったり、膨らんだような感じがするのがあげられます。
また、多く物を食べたわけでもないのにお腹が一杯になった感じがしたり、逆に空腹感がなくて腹部に張りを感じるなど、食事に関係する症状もあります。
他にも、お腹がゴロゴロ鳴ってしまったり、げっぷをしたら苦しくなくなるなどの状態があり、これらが腹部膨満感です。
膨満感の原因は?
ここでは、お腹に張りをもたらす膨満感の原因について述べていきます。
深刻な病気もあれば、生活上で起こる些細な問題から、様々な原因が存在しています。
便秘
排出されるべき大便が腸内で滞っていると、悪質な腐敗ガスを発生させます。
それがため込まれたことで腹部の膨満感をもたらすのです。
しかし、それ以外の症状である事もあります。
腫瘍やねじれ腸によって起こる腸閉塞や、腸のぜん動が機能しない巨大結腸症と言った重大な腸の病気のために便通が妨げられることもあるからです。
そして、大腸がんになると頑固な便秘、腹部のしこり、下痢などの便通に関して異常が起こることもあるので、膨満感とそれに伴う便秘を感じたら専門医の診察を早めに受けることをおススメします(※2)。
早食い
時間に追われがちな人ほど早食いになりやすいうえ、『早飯も芸の内』とばかりに早飯を誇る風潮も未だにありますが、それがお腹の張る原因になるのです。
ご飯などをかき込み、急いで流し込んでしまうと、胃腸に空気を飲みこんでしまいます。
それこそが『呑気(どんき)症』と呼ばれ、腹部の膨満感を招く一因なのです。
急いでいても飲みこむように食べるのではなく、落ち着いて食べるよう子供時代に言われた躾は、科学的にみても正しかったと言えます。
喋るのが好き
早食いによる呑気症とも関連が深いのが、おしゃべりです。
喋るのが好きな人はどこにでもいますし、親しい人と談笑するのは楽しいものですが、喋るのが過ぎると空気を飲みこむため、腹部の膨満をもたらしてしまいます。
特に食事の際におしゃべりをしていると、空気を飲食物と共に飲みこみ過ぎてしまうので、呑気症に注意が必要です。
暴飲暴食
暴飲暴食も、お腹が張ってしまう原因としてはメジャーなもののひとつです。
胃が本来持っている消化能力を無視した『ドカ食い』『一気飲み』に近い飲食のしかたは、結果として胃の中に飲食物を滞らせます。
そうして消化不良を起こした胃の中には膨満感だけでなく、ムカつきも残ってしまうのです。
また、炭酸ガスの入ったビールの飲み過ぎも、お腹が張ってしまう原因となります。
ガスを発生させ食品の過剰摂取
ガスを生む食品の食べ過ぎも、腹部の膨満感を呼ぶ原因です。
甘味料が豊富な菓子、先述したビールも含んだ炭酸飲料、豚肉、そしてゴボウに代表されるアクが強めの食品が挙げられます。
炭水化物としてはご飯、パン、ラーメン、イモ類もガスを発生させる食品です。
また、豆類も消化しにくいのがあだになってバクテリアによるガスが生じますし、糖分と繊維が多くて消化の遅い果物は、膨満を生みます。
やはり食物繊維が豊富な全粒粉、繊維質が粗いアブラナ科の野菜などもガスの原因です。
いずれも健康維持のため、日常的に欠かせない食品ですが、食べ過ぎには注意しましょう。
ストレス
ストレスが重なると自律神経の乱れが生じ、腸のぜん動や胃の消化機能が弱体化するなど、お腹を張らせる要因になります。特に急性胃炎と過敏性腸症候群は膨満感を伴う病気の中でも、ストレスが原因で起こされる症状です。
急性胃炎は、ストレス以外にも過剰な飲食や中毒、アレルギー、ピロリ菌などの影響で胃の粘膜がただれた状態になり、膨満感だけでなく嘔吐や下痢、下血なども招きますが、安静にすれば治し易い症状です。
対する過敏性腸症候群は、情緒不安定やストレスで腸のぜん動が正常では無くなります。
腹痛と共に下痢が続いたり、便秘になる、もしくは便秘と下痢が交互に続くなどの症状が起こります。
特に便秘が起きた際に膨満感が生じやすいのです。
喫煙
たばこに含まれるニコチンは、胃腸の粘膜にダメージを与えます。
当然、粘膜を傷つけられた胃腸の機能は悪化して動きも鈍くなってしまい、腹部の膨満感を招いてしまうのです。
膨満感に悩んでいる方は、喫煙量にも気を配るのをおススメします。
膨満感の予防法
ツボ押し
膨満感を予防するには、お腹を張らせてしまうガスを抜くのが効果的です。
ここでは、ツボ押しによるガス抜きを紹介致します。
まずは、ひざを曲げながら仰向けに寝ましょう。
行う時間は起床後か朝食前の、ガスが出やすい時間帯がおススメです。
このマッサージには、腸の刺激による便秘改善効果も見込めます。
続いて右の骨盤上部→右肋骨の下→左肋骨の下→左の骨盤上部→膀胱の上の順番で刺激していき、マッサージします。
時計回りに刺激していくのがコツです。
食事は腹八分目
先述したように、食べ過ぎは胃腸を弱体化させるので、消化不良から来る膨満感を生じさせます。
その解決策が腹八分目です。
その際にも規則正しい時間に、消化の良い食べ物を中心にすれば膨満感を防げます。
発酵食品を食べる
膨満感をもたらす原因のひとつが便秘ですが、逆に言えば便秘を治すことでそれから来る膨満感を予防できるのです。
納豆や味噌などの発酵食品は善玉菌を増やすのに役立ち、便秘の解消に効果を発揮します。
善玉菌を増やす場合には、ヨーグルトも効果的です。
運動
運動不足で筋肉、特に腹筋が衰えてしまうと、腸のぜん動も低下して便秘になってしまい、ガスがたまります。
腹筋運動、ストレッチなどで腹筋を鍛え治せば、ぜん動運動が回復して便秘が改善され、腸内環境を整えることが出来るのです。
また、ヨガや水泳、ウォーキング、ジョギングと言った全身運動も筋トレになりますし、ストレスを発散する効果もあるので、時間を見つけて運動するのをおススメします。
タバコを控える
先述したように、たばこに含有されているニコチンは、胃腸の粘膜に悪影響を与えます。
ニコチンによる胃腸の機能が低下すると膨満感を招くので、喫煙を控えることがお腹の張りを防いでくれるのです。
ストレスをためない
ストレス社会と呼ばれる現代日本に生きる私たちにとって、ストレスから来る諸症状は大敵ともいえる存在であり、お腹の張りもそのひとつです。
ストレスをため込んでしまうと胃や腸の動きが弱くなり、膨満感が現れる危険性が増えます。
その発散法としては読書や音楽、スポーツ、映画鑑賞と言った趣味や教養、運動が効果的です。
対処法
便秘薬
便秘が膨満感の理由であった場合、あるいは便秘を伴っていた時などは、漢方薬など自然で穏やかな効果の薬を試すのがおススメです。
お通じを良くすることで、お腹の張りから解放されることもあります。
整腸剤
腸内の不調が膨満の原因であった場合は整腸剤が効果的です。
乳酸菌やビフィズス菌が使われている薬であれば、善玉菌を増やしたりぜん動を増やすなどしてガスを排出できます。
病院で診察をうける
これがもっとも堅実で、安心できる対処法です。
かかりつけの医療機関で主治医による診察、あるいは内科などの消化器官を扱う医科で見て貰えば、ガス対策や薬の処方などもアドバイスしてくれるので、合理的でもあります。
膨満感に悩むなら予防法、対処法を参考に!
お腹の張りに悩まされている人は男女を問わず多くいますが、理由や症状も人によって様々です。
『おならが出かかっている』『食べ過ぎか飲み過ぎ』と言う一般的な理由づけも間違いではありませんが、場合によっては便秘やストレス、急性胃炎、大腸がんなどの重大な病気が原因と言うこともあるのです。
もしもお腹が張って苦しかったら、『たかがお腹の張り』と侮らず、医師や薬剤師に相談してアドバイスを受けるのがおススメです。
もちろん、ストレス発散やバランスのとれた食事、腸内環境の改善など、日常生活への気配りも忘れずにいましょう。
