低容量ピルがプレ更年期の治療に使われているのをご存じですか?
プレ更年期のさまざまな症状に効果のある低容量ピルについてご紹介します。
この記事の目次
低用量ピルって?
ピルとは
ピルとは経口避妊薬のことです。
他の避妊法と異なり効果が高いため、望まない妊娠を避けられます。
正しく服用すると100パーセントの確率で避妊ができるのです。
また、飲むのをやめればすぐにでも妊娠できる理想的な避妊薬です。
ピルには月経周期を一定にする効果がありますので、旅行や試験などスケジュールを立てる際にもとても便利。
ピルには合成卵胞ホルモン(エストロゲン)と合成黄体ホルモン(プロゲステロン)が含有されています。
この二つのホルモンが下垂体に作用して、卵胞の熟成を抑制します。
その結果、排卵が起こらなくなるというのがピルによる避妊のメカニズム。
また、子宮内膜が厚くなるのを抑えて受精卵が着床するのを阻止したり、精子の子宮への進入を防いだりする作用もあります。
日本での歴史は意外に浅く、初めて販売されたのは1999年のことです。
しかし、米国では1960年に認可されて以来、大勢の女性たちが服用してきました。
低用量ピルとは
低容量ピルは、1錠中に含まれるホルモンの量が少ないのが特徴です。
避妊目的以外に、「月経不順、月経困難症、月経前緊張症(PMS)」の治療薬として使われています。
なぜ月経不順に効くのかというと、体内のホルモンバランスを整えてくれるからです。
低容量ピルは保険が適用されるものと、されないものがあります。
月経困難症の治療薬として使われる場合に一分の低容量ピルには保険が適用されます。
ただ、保険が適用されなくても低容量ピルの金額は1ヶ月分で3000円程度とお手軽です。
最近では、より安いものを求めて低用量ピルを個人輸入で手に入れる人がいます。
しかし副作用や禁忌事項もあり危険を伴いますので、必ず医師の診断を受けて処方してもらうようにしましょう。
低用量ピルの種類
低容量ピルには、1相性ピルと段階性ピルがあります。
1相性ピル
1相性ピルとは、1錠に含まれる女性ホルモンの量が一定のものです。
1相性ピルのメリットは、飲み間違いが少なくてすむという点です。
段階性ピル
段階性ピルには、2段階ピルと3段階ピルがあります。
それぞれ、女性ホルモンの量を2段階、3段階に調節されています。
段階性ピルには、ホルモン量が少なくてすむ、不正出血の症状が出ることが少ないという点が特長です。
段階性ピルは、必ず決められた順番にピルを飲まなければなりません。
飲み方
ピルは毎日決まった時間に飲みましょう。
なお、月経が始まった日に飲み始めるDay1スタートと月経開始後最初の日曜から飲み始めるSundayスタートがあります。
いずれにするのかは、医師とよく相談しましょう。
1Dayスタートは、服用開始日がわかりやすいものの、2周期目の飲み始めがわかりづらいというデメリットがあります。
Sundayスタートは、週末に月経が重なりにくいのが特長ですが、欠点は最初の服用開始の際に他の方法で避妊を行う必要があること。
万が一飲み忘れた場合は、気がついた時点で前日の分、いつも飲む時間にその日の分を飲むようにします。
21錠入りピル
21錠入りのピルは、1シート21錠、21錠飲み終わったら1週間休みます。
その後、また新しいシートを飲み始めます。
休んでいるときに月経のような出血が見られます。
再び飲み始めるときに、1週間以上休んでしまうと、妊娠の恐れがありますので注意してくださいね。
28錠入りピル
28錠のピルの中で薬の成分が入っているのは21錠だけ。
他の7錠は薬の成分は入っていません。
そのため、7日間は21錠入りと同じように休薬していることになるのです。
毎日飲み続けた方が、飲み忘れが少ないということで工夫されています。
なお、21錠入りと同じく休薬している間に、月経のような出血が起こります。
副作用は?
ホルモン量の多い以前のピルには、重大な副作用がありました。
たとえば、血栓症、心筋梗塞などの命に関わるものです。
低容量ピルの場合は、これらの副作用が大幅に改善されました。
もちろん低容量ピルを服用することでリスクは高まるのですが、日本人にはまれな症状です。
服用を開始したときに、不正出血、吐き気などが起こることがありますが、服用を続けると数ヶ月でおさまっていきます。
低容量ピルが使用できない人
低容量ピルはすべての人が服用できるわけではありません。
以下の人は使用できませんのでご注意ください。
- 乳がん、子宮がんの可能性がある人、あるいは既往症がある人
- 血栓症、心筋梗塞などの既往症がある人
- 35歳以上で一日15本以上のたばこを吸う人
- 重度の高血圧
- 妊娠中、授乳中、産後6週間以内、あるいは妊娠の可能性のある
- 重篤な肝障害のある人
- 前兆を伴う偏頭痛のある人
喫煙、高年齢、肥満は発症のリスクが高まります。
更年期障害の治療ができる?
低容量ピルは、いわゆる更年期の女性には処方されません。
更年期とは45歳から55歳の10年間、平均の平均年齢50歳の前後5年間です。
この年代の場合は、更年期治療にはホルモン補充療法が一般的です。
その際にはピルではないホルモン剤が処方されます。
ホルモン補充療法で用いられるホルモン剤のエストロゲンの量は低用量ピルの5分の1でしかありません。
エストロゲンが多いことは、効果も高いのですが更年期以降ではホルモン系の疾患、たとえば子宮内膜症などを発病するリスクが高まります。
プレ更年期に低用量ピルがおすすめ?
プレ更年期とは?
プレ更年期は、おおむね30代後半から40代前半までの10年間のことをいいます。
閉経にはまだ間がありますが、30代後半くらいから徐々にエストロゲンの量が減っていくために、人によっては更年期と同じような症状が出ます。
また、過度のストレスやダイエットにより20代の女性でも更年期の症状がみられる場合があります。
プレ更年期の症状
プレ更年期の症状は、更年期と同じように月経不順、月経痛、肩こり、腰痛、のぼせ、ほてり、めまい、イライラ、落ち込みなどさまざまです。
代表的な症状がホットフラッシュ。
気温に関係なく急に顔がほてって大量の汗が流れます。
また自律神経の乱れにより身体的な症状だけではなく、心の症状も起こることが特長です。
なぜおすすめ?
プレ更年期の月経不順をはじめとする更年期の症状には低容量ピルが効果的。
プレ更年期の症状には、さまざまなものがあります。
多くの症状に対して、対処療法をするのは大変ですよね。
低用量ピルを服用すると、ホルモンバランスを整えてくれますので、更年期の諸症状が緩和されます。
また、プレ更年期の時期から低用量ピルを飲むことで、アンチエイジング効果も期待できます。
エストロゲンには、コラーゲンを生成する、髪をつややかにする、シミやしわを防いで肌を美しくする効果があります。
また、肌荒、ニキビ、貧血を防ぐ、脳の働きを活発にする働きもあり、女性にとっては必要不可欠なホルモンといえますね。
まとめ
35歳を過ぎた頃に、更年期のような症状があらわれたら「プレ更年期」を疑ってみましょう。
更年期の主な症状はホットフラッシュ、頭痛、肩こり、多汗などです。
低容量ピルを飲むことで、それらの症状が緩和されます。
更年期の症状がつらい場合は我慢しないで早めに婦人科へ行きましょう。
