「たかが便秘だから」とつらい症状を軽視してはいませんか?
実は便秘になると排便が滞るだけではなく、体にさまざまな不調を招き、最悪の場合は怖い病気につながることもあり得ます。
今回は、そんな便秘が招きやすい身体的・精神的な不調について詳しく紹介していきたいと思います。
便秘の影響が体にでると・・・
便秘が「万病の元」と呼ばれていることをご存知ですか?
これには便秘によって腸内環境が悪化することで、体にいろいろな悪影響を与えることが関係しています。
まずは、具体的に便秘の影響がどのように体に出るのかを詳しくみていきましょう。
免疫力の低下
便秘になることで腸内には悪玉菌が蔓延していきます。
悪玉菌は言ってしまえば「有毒ガス」なので、増殖することで悪影響を及ぼすのですが、中でも血流を悪化させることで白血球の働きを阻害し、免疫力の低下を引き起こすことが分かっています。
消化機能の低下
通常、摂取された食べ物は胃で消化され、腸に行き着くころには便へと姿を変えます。
しかし便秘になると、腸には排泄されていない便が溜まっているので排便のサイクルが狂ってしまいます。
これにより消化機能が低下し、慢性的な便秘に悩まされることもあり得るのです。
自律神経が乱れる
腸は副交感神経の影響を受けます。
そのため自律神経が正常に機能していれば心配はいりませんが、バランスが崩れ交感神経が優位に立つことが多くなると腸の機能が悪化し、便秘を招くこともあるのです。
口臭や体臭が変わる
腸に溜まった便は3日ほどで腐敗することが分かっています。
その際硫化水素などの有毒物質を作り出し、ひどい便のにおいの元となります。
これが血液に溶け込み全身に行き渡ることで、口臭や体臭も便のにおいに変わってしまうこともあるのです。
また、便秘になるとワキガの匂いも強烈になる傾向があります。
これは便が排泄されないことで、排出されるはずだった老廃物が再び血液中に戻ってしまうことが原因と考えられています。
戻った老廃物は血液中を回り、結果的に汗として排出されます。その際、汗がひどい匂いを伴ってしまうのです。
こんな症状がでてくる
便秘は身体・精神の両方にさまざまな不調を引き起こす原因になり得ます。
具体的な症状は以下の通りです。
肌荒れや吹き出物の発生
便秘は肌にも大きな影響を与えます。と言いますのも、先述したように便秘になると体内の老廃物が排出されずに留まってしまいます。
老廃物から生成された毒素は腸壁に吸収され、血液とともに体内を循環するのですが、その際体の至る所で毒素を排出する動きが生まれます。
肌も例外ではなく、毒素を排出しようと機能するのですが、その際本来持っている肌を美しく保とうとする機能がおろそかになってしまい、肌荒れを引き起こしやすくなるのです。
また、排出されずに腐敗した便には活性酸素が多く含まれています。
活性酸素が血液に溶け肌に行くつくと皮膚の働きを鈍くしようとすることで、吹き出物やニキビができやすくなるのです。
だるさや疲労感
腸内に溜まった有毒ガスの影響で腸内環境が悪化すると、体のだるさや疲労感を感じやすくなります。
そもそも脳と腸は密接な関係にあり、腸の不調は脳に影響を与えると考えられています。
イライラや不安感
便秘になる人は自律神経のバランスが崩れていることが多いと言われています。
自律神経が乱れると精神的に不安定になりやすいので、イライラや不快感に襲われることもあります。
また、便秘になると「出ない」ことがストレスになり、イライラが募ることも。これらが相乗効果となり、精神的に不安定になることも多いようです。
腰痛・頭痛・肩こり
便秘になると腸がガスで膨らむので、周りの血管や神経、腰の骨などを圧迫し腰痛を発症させることもあります。
また、便秘によって血流が悪くなることで、疲労物質が溜まり、肩こりや腰痛、頭痛を引き起こすとも考えられています。
痔
若い女性に起こる痔の多くは便秘によるものと言われているほど便秘に痔はつきもの。
痔には「イボ痔」と「切れ痔」の2種類がありますが、便秘はその両方を引き起こす可能性も高いことが分かっています。
便秘になると排便の際にどうしてもいきんでしまいますよね。これにより直腸がうっ血して腫れてしまい、イボ痔を発生させる原因になります。
一方で、便が固くなることで肛門付近を傷つけ、切れ痔が起こることもあるのです。
また、便秘は肛門に潰瘍ができてしまう「痔ろう」を引き起こすこともあります。
この場合、治療のために手術をする必要があるほか、放っておくと大腸がんのリスクも高まるので、早目に病院を受診することが求められます。
食欲不振・お腹の張り・腹痛
腸内にガスが溜まることでお腹が張りやすくなります。
お腹が張ると圧迫感を感じますし、これにより食欲がわかなくなることもあるので、慢性的な便秘の場合は特に生活習慣病のリスクも高まります。
また、腸に便が溜まっていることで体内のガスや空気が周囲を圧迫し、激しい腹痛を引き起こすこともあります。
特に慢性的な便秘の場合は立っているのもつらいほどの激痛を感じることも多いようです。
肥満
便秘が続くと、体外へ排出されるはずだった栄養素がそのまま腸内にとどまり、吸収され続けることで必要以上の栄養を摂取することになります。
そのため肥満になりやすいと言われています。
慢性的な便秘が原因で病気になることも
慢性的な便秘は心や体の不調だけでなく、いろいろな病気を引き起こす原因になることも。
具体的な病気の一例は以下の通りです。
糖尿病
先述したように、便秘になると血流内を有毒物質が流れるようになります。
これが膵臓や肝臓の働きを阻害し、血糖値の上昇を招くことで糖尿病発症の原因となることもあります。
大腸メラノーシス
便秘を解消しようと下剤を服用する人は多いですよね。
しかしアントラキニン系の下剤を飲みすぎてしまうと、「大腸メラノーシス」という病気を引き起こしやすくなると言われています。
下剤の服用をやめれば長くても2年ほどで症状は緩和されますが、大腸の機能を低下させることで大腸がんのリスクも高まる可能性もあるので注意が必要です。
腸閉塞
便が排泄されないことで腸が詰まり、ふさがってしまうと腸閉塞を引き起こす原因になります。
腸がふさがると我慢できないほどの激痛に襲われ、入院する必要も出てくるので、便秘が2週間以上続いた場合は早めに対処して排泄を促すことが大切です。
大腸がんのリスクは薄い?
慢性的な便秘は大腸がんのリスクが高まると言われてきましたが、2007年に便秘と大腸がんの関係性は薄いと発表されています。
しかし血便などの症状がみられる場合は、大腸がんの可能性は0ではないので注意しましょう。
まずは生活習慣から見直そう!
便秘は毎日の生活習慣と深く関係しています。
便秘になったからと言ってすぐに下剤に頼るのではなく、まずは生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。
規則正しい生活を心がける
睡眠や食事に日頃から気を付けて、便秘解消を目指しましょう。
1日3食バランスの良い食事を摂ること、睡眠時間をしっかりと確保することは規則正しい生活リズムを身に着けることにつながります。
そうなると自然に便意が催すこともありますし、自律神経を整える効果も期待できるのでダブルで便秘解消に効果があります。
特に朝ご飯を抜くと便秘になりやすくなるため、朝はしっかりと食事を摂ってトイレに行く時間も確保するようにしましょう。
適度に運動する
運動不足は筋力の低下を招きます。
特に腸にかかわる筋力が低下することで便秘になりやすくなるので、日頃から適度な運動を心がけることは大切です。
水分補給をしっかりと!
水分は腸に刺激を与え、排便を促す効果をもちます。したがって、便秘の時は特に水分をしっかりと補給するようにしましょう。
かといって、一度にたくさんの水を飲むとむくみの原因になりますので、何回かに分けて摂取することをおすすめします。
なるべく1日当たり1リットルは水分を摂取するようにしましょう。
便意を我慢しない
特に外出先は、恥ずかしさから便意を我慢してしまう人も多いようです。
しかし便意を何回か無視していると、排便機能が低下し便意を感じにくくなります。そうなると便秘になってしまいがちなので、便意が訪れたら我慢せずにトイレに行くようにしてください。
最後に
便秘は放っておくと取り返しがつかないことになるかもしれません。
特に慢性的な便秘に悩まされている人は、一度病院を受診してみることをおすすめします。
参考文献 大正製薬