更年期の女性で多汗症に悩む人は多いようです。
なぜ、更年期になると多汗症になってしまうのでしょうか。
原因や、対策について紹介したいと思います。
この記事の目次
更年期に多汗になる?
更年期の多汗について
更年期は、一般的に45歳から55歳の間の10年間といわれています。
閉経の平均年齢が50歳のため、その前後5年間というわけです。
さて、更年期に入ってから急に汗をたくさんかくようになったという人は多いのではないでしょうか。
汗をたくさんかくというだけなら、それほど大変でもないのではと思いがちです。
しかし、汗が滝のように流れ出てきたり、顔に汗を大量にかいたりするのでメイクが落ちる、など日常生活にも様々は支障が出てきます。
本人にとっては、深刻な問題なのです。
大量の汗をかくのは、目に見える症状だけに外出できなくなる、汗の臭いが気になって人と会えなくなるという場合もあります。
更年期女性の多汗症は、気温が低い時期であっても急に体が熱くなって、汗が止まらなくなります。
これは、更年期障害の症状の一つ「ホットフラッシュ」によるものの可能性が高いのです。
ホットフラッシュは時間や場所は選ばず、また体を動かしてもいないのに体が熱くなって大量の汗をかくのが特徴です。
汗をかきやすい場所は主に上半身です。
頭、特に後頭部、顔、首筋、胸といった部分を中心に汗をかきます。逆に手足や下半身には汗をかきません。
一般的な多汗症は、手や足に汗をかく場合がほとんどですので、この点でも更年期の症状かどうかは区別ができます。
また、更年期障害以外の病気でも多汗症はみられます。
たとえば、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、糖尿病、パーキンソン病などが原因でも起こりますので注意しましょう。
脇汗
更年期になると、脇に大量の汗をかく場合もあります。
「更年期になったらワキガになっちゃったわ」という話を耳にしたことはありませんか?
ワキガは生まれつきの体質ですので、成人してから急にワキガになるということはありません。
ワキガは、脇の下にあるアポクリン腺の数や質で決まります。
思春期になるとアポクリン腺が活発に働くようになるため、ワキガの症状が出てくるのです。
しかし、ワキガではないかと思ってしまうほど脇の臭いがきつくなるのも事実です。
脇汗も、他の多汗の症状と同じで急に起こりますので困りますね。
寝汗
更年期では寝汗も深刻な問題です。
時と場所を選ばずに起こる更年期の多汗は、布団に入っている時にも起こります。
寝ている間に、大量の汗をかくと目が覚めてしまいます。
しかも、パジャマや下着が濡れるほどの汗だと着替えなければなりません。
その上、多汗によって、睡眠が妨げられストレスがたまります。
汗をかくのが気になって夜眠れないというようなこともおこります。
睡眠不足は翌日にも疲れを残しますし、だるさの原因にもなります。
原因
ホルモンバランスの乱れ
更年期に汗をかきやすくなる原因はホルモンのバランスが崩れるからです。
更年期を迎えた女性は卵巣の機能が低下します。
すると、卵巣で作られる女性ホルモン「エストロゲン」が分泌されなくなります。
エストロゲンには汗腺を抑制する働きがありますので、不足することで発汗を抑えられなくなり汗の量が多くなるのです。
自律神経の乱れ
エストロゲンが不足すると、脳の視床下部はエストロゲンを分泌するように指令を出します。
ところが、卵巣の機能が衰えているために、エストロゲンは分泌されません。
すると視床下部はパニックを起こします。
視床下部と自律神経は密接な関係がありますので、視床下部のパニックによって自律神経にも影響があります。
発汗は自律神経によってコントロールされています。
そのため、自律神経が乱れると、汗がうまく調節できなくなってしまいます。
また、自律神経が乱れるとイライラしたり、不安になったりなど精神的な症状も出てきます。
精神的なストレスや変化による「精神的発汗」も起こります。
特有のにおい、特徴
更年期の多汗で出てくる汗は、運動をした後の汗とは違ってベタベタしています。
また、臭いも通常の汗よりもきつく臭いのが特徴です。
なぜ、このような違いがあるのでしょうか。
それは、汗にも良い汗と悪い汗があるからです。
良い汗とは、さらっとした汗です。
汗のほとんどが水分で、臭いも少なくすぐに蒸発します。
蒸発するときに体から熱を奪い体温を下げるという作用があります。
なお、良い汗に含まれるミネラル分は再び血液中に吸収されています。
しかし、悪い汗である更年期の多汗は一度に大量に出ます。
そのため、ミネラル分が血液中に再吸収されません。
悪い汗には、ミネラル分が多く含まれています。
また臭いの成分であるアンモニアも含まれているためベタベタするのです。
体からミネラル分が失われると、体調不良や熱中症の原因ともなりますので、注意しましょう。
そのような汗は皮膚につくと雑菌も繁殖しやすいという特徴があります。
更年期の多汗症の人の体臭が強い原因は汗の成分のせいなのです。
対策
更年期対策
更年期が原因の脇汗や寝汗などの症状で悩んでいる方に、まずおすすめしたいのが「更年期サプリ」です。
更年期サプリには、更年期の悩みを解決するための女性ホルモンや自律神経の働きをサポートする特徴があります。
こちらの記事では、更年期サプリのメリットや選び方、おすすめ商品をまとめているので参考にしてください。
汗の質を変える
悪い汗を良い汗に変えてみましょう。
汗腺の機能が衰えると、汗に含まれる臭いの成分が増えるといわれています。
良い汗をかくためには汗腺の機能を取り戻さなければなりません。
そのためには、積極的に汗をかくことが大切なのです。
汗をかくには運動と入浴がおすすめです。
運動は、激しい運動や無理な運動はしない方が無難。
気持ちよく汗をかくことができるウォーキング、エアロバイクなどを30分くらいから始めてみましょう。
入浴は、ぬるめのお湯にゆっくりつかりましょう。
寝る前にお風呂にゆっくり入ると、ゆっくり眠れますね。
また、汗の臭い成分であるアンモニア臭は、疲労物質である乳酸が増えるために生成されます。
ぬるめのお風呂に入ることで、血行が良くなり乳酸も減らすことができます。
脇汗の対策
脇汗がひどいと感じたら、「脇汗パッド」を試してみてください。
パッドをつけることで汗のしみも防げます。
また、汗をかいても大丈夫という安心感から、ゆとりがまれます。
更年期の多汗の症状は、精神的発汗の場合もありますので、汗をかいてはいけないと思うほど汗をかいてしまうものです。
制汗剤を使う
脇汗対策には制汗剤も有効です。
さらにデオドラント効果の高い物だと、安心ですね。
なお制汗剤は、スプレータイプ、クリームタイプ、ロールオンタイプなどいろいろなものがありますね。
消臭効果、制汗効果、いずれもクリームタイプやロールオンタイプが優れています。
選ぶときの参考にしてください。
殺菌力がある制汗剤であることも重要なポイントです。
また、外出時はデオドラントシートを持ち歩きこまめに拭くようにすると良いでしょう。
寝汗の対策
寝汗がひどい場合、シーツの上に汗取りパッドを敷いてみましょう。
また、寝る前にお酒やカフェインの入った飲み物は飲まない、興奮するようなテレビ番組は観ないなどの心がけも大切です。
また、下着は吸水性や速乾性といった機能があるものを選ぶと良いでしょう。
吸収力がよく、すぐ乾くのならば汗も気になりません。
症状がひどい場合は婦人科などの病院へ
症状がひどくて日常生活に不都合を感じるようになったら、迷わず病院へ行きましょう。
婦人科では内診や血液検査で調べます。
その結果、更年期と診断されたら、治療が開始されます。
一般的には女性ホルモンを投与したり漢方薬が処方されたりします。
漢方薬は、薬局でも購入できますので婦人科に行くまでもないと思ったのなら検討してみましょう。
ただ、漢方薬は体質によって合わない場合もありますので、購入前に薬局で相談することをお勧めします。
まとめ
更年期の多汗症には、みなさん苦労されているようです。
幸い現代には多汗症のための商品も多いので、快適に過ごすために利用を検討してみてくださいね。
また、余りに症状がひどかったら、病院に行きましょう。