外壁塗装の耐用年数はどれくらい?施工の必要なタイミングを知ろう
「貸家暮らしでなく、自分の家を持ちたい」そう希望を持つ人は今も多いでしょう。
しかし、メンテナンスをしていないと家も長持ちしないのです。
雨漏りがひどくなってくると家の補修も大変な額になってきます。一方で早めの対策をとり、しっかりメンテナンスをしていれば、家の傷みも少なく、長く住み続けることができます。
一般に耐用年数というのがありますが、屋根や外壁の場合、塗装補修をする目安として語られることの多い言葉です。
適切なタイミングで外壁塗装を行うことで、家自体の耐用年数もずいぶん延ばすことができます。
目次
「耐用年数」の意味や実情について
耐用年数=塗料の効果の持続時間
外壁塗装の耐用年数とは、基本的に外壁塗料の効果が持続する期間と考えてもよいでしょう。外壁塗装が十分でないと、家の耐用年数も減ってしまいます。木造住宅なら30年から40年の耐用年数ですが、メンテナンスを怠るともっと短くなります。ですから、外壁塗装の耐用年数が過ぎる前に塗り替え工事をしておくことが必要なのです。
一般的には「10年」が目安とされている
外壁塗装のタイミングは「耐用年数」から考えるものですが、一般的には10年を目安として考えることとされています。
塗料によっても多少の前後はありますが、短いものでも10年ほどは耐用年数があるため、一つの区切りとされています。
実際の耐用年数は10年と異なるケースが多い
外壁塗装は10年ごとを目安に考えるのがベストな方法と説明されていることが多いのですが、実際には10年以上経過しても塗り替えの必要がない場合もありますし、一部分だけが劣化が進んでいて、全体を塗り替える必要がないように思える場合もあります。
この差はどうして起きるのでしょうか?
外的な気象環境
湿気の溜まりやすい立地(沼などを埋め立てて造成された土地など)、潮風があたりやすい海辺の立地、直射日光(西日)のきつい場所など、気象条件が厳しい所に立地する家屋は外壁塗装も傷みやすいです。
建物の構造
建物の構造によっても外壁塗装の耐久年数は異なってきます。
例えば、ALCの外壁塗装では、塗装工法が安価に済ませられていることや、技術不足によって、表面の気泡の穴が埋められていないケースもあります。
その場合には、おおよそ10年といわれる外壁塗装の耐用年数も6~7年と短くなってしまいます。
塗料の種類による違い
最も耐用年数に差が出るのは塗料の材料です。
現在はシリコン系の塗料が一般的ですが、昔主流だったアクリル系は耐用年数が短く、高価なフッ素系は耐用年数も長いです。
家や環境で誤差がでるケース
建物の構造による誤差
建物構造による耐用年数の違いは、外壁がサイディング、漆喰、モルタルといった材料の違いで大きく異なってきます。また、サイディングでもセメント質と繊維質を主な原料としたものから、木質系のものまであります。
サイディングボードの場合は、塗装が剥がれるとシーリングの継ぎ目から雨水がしみこむ原因になります。
木質のものでは10年前後で外壁塗装を考える必要がありますが、塩化ビニール樹脂のものであれば、それ自身が耐久性が強いので、メンテナンスフリーをうたっているものもあります。
金属製のものは定期的に水洗いをすることで耐用年数は延びてきますが、15年程度で塗り替えが必要です。
モルタルの場合は、外壁塗装をするかしないかでモルタル外壁そのものの寿命が大変違ってきます。
モルタル外壁は10年から15年とされるところが多いですが、しっかりメンテナンスをすることで30年近くに耐用年数が延びる場合もあります。
立地条件や環境による誤差
住宅の立地 条件によっても耐用年数は違ってきます。
メーカーではJIS規格に従って耐用試験を行い、そこから耐用年数を計算します。
大雑把に試験テスト内容は、主に紫外線に対する耐候試験として、通常の太陽光線より非常に強い(キセノンランプを使用)光を当て、紫外線の影響を見ます(促進耐候試験)
他にも湿気、湿度、気温、風、気圧、などの影響を受けますが、特に紫外線は影響が大きいとされており、この試験が重要になってきます。
ただし、気候は複合的に影響を与えるので、試験の前提条件よりも厳しくなることもあります。特に乾燥と湿潤を繰り返し、その差が大きい場合や、寒暖差が大きい場所も影響が大きく出ます。それらによって、10年目安の外壁塗装の耐用年数も前後します。
塗料の種類によっても誤差が生じる
一番大きな影響が出るのが塗料の種類によるものです。
塗料の種類には、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などがあります。
アクリル塗料
アクリル塗料は一番費用も安くつき、昔からよく活用されてきた塗料です。
モルタルや不燃材サイディングとの相性がよく、1㎡あたり1500円程度の単価で考えておけばおおよそできてしまいます。
防水性能や防かび性能もそこそこ期待できます。
アクリル弾性塗料は、耐候性が低く色褪せが早いようで、最近ではあまり用いられなくなってきています。
ただし、弾性塗料であるため、ひび割れは起こりにくいです。
耐用年数は4種類のうち最も短く、10年を待たずに塗り替えが必要になってきます。
ウレタン塗料
ウレタン樹脂塗料は弾性塗料で、伸縮性に優れており、温度差や乾燥による劣化を緩和します。
木製・モルタル・不燃材・金属サイディングと、使える外壁材も多いので使用範囲も広くなります。
紫外線にも強いのですが、汚れがつきやすいという欠点があります。
ただ、防水性能は高く、水をはじくので汚れは水で洗い流すことが可能です。
1㎡単価はアクリルよりも少し高くなりますが、2000円から4000円くらいでできます。
耐用年数はアクリルよりも長く、8年から10年といったところです
シリコン塗料
現在の主流になっているのがシリコン系の塗料です。
㎡単価はウレタン樹脂と同じくらいか、少し高いくらいで、2000円から4500円くらいが目安です。
ツヤがなくなりにくく、いつまでもきれいな外壁を維持します。耐水性、耐酸性、耐アルカリ性が高く、絶縁性能も発揮します。
モルタルや不燃材サイディングに適しており、汚れやカビにも強い特徴も備えます。
ただし、伸縮性能はウレタンには劣ります。
防水性能もそこそこあるため、耐用年数は10~15年と、比較的長持ちします。
フッ素塗料
モルタル・不燃材サイディングに使えて、今最も注目されているのがフッ素塗料です。
1㎡単価は4つの中で最も高く、3000円から5000円が目安になります。
フッ素塗料が使われるもっともなメリットは、耐用年数の長いこと。
12~20年といたところが目安になります。
まだまだ普及していませんが、今後価格がこなれてくると、もっと普及が進む可能性はあります。
人の手による誤差がでるケース
これまでは材料や環境による違いを紹介してきました。
これらは基本的に人の手ではどうしようもないことです。
よく特徴を把握して適切に塗装時期を判断するくらいしか私たちにはできません。
しかし、ここからは人の行為そのものが影響を及ぼすという問題です。特に塗装業者を選ぶときには、しっかりした業者を選ばないと、余計な代金を支払うことになるだけでなく、耐用年数も短くなってしまいます。
塗装業者の技術力による誤差
塗装業者も様々ですが、経験がない業者や、荒っぽい仕上げをしてしまう業者もいます。
このような業者だと外壁材と相性の悪い塗料を使ってしまう、屋根と壁の接合部など、塗り漏れがあるなど、色々な問題が生じます。仕上がりも塗りむらが気になることもあるでしょう。
これらの欠陥は、塗装の剥げや浮いた状態を招きやすく、外壁塗装の耐用年数も短くなってしまいます。
新しい塗料やあまり普及していない外壁材を用いている場合には、特に注意してそのような塗装の経験があるか確かめてみましょう。
家主のメンテナンスによる誤差
最近はメンテナンスフリーの外壁材もありますが、いくらメンテナンスフリーといっても放置しておくのとメンテナンスを施しておくのとでは耐用年数に差が出てきます。
ウレタン塗料の場合は汚れがつきやすいので、色がくすんでしまいます。
時々は水洗いしてあげるといつまでもきれいな外壁を保つことができます。
最初のひび割れが始まってから、塗装がはげるまでには期間がありますから、早期発見することも長持ちさせるポイントです。
定期的に周りを見渡し、ツヤが落ちていないか、変色がないかなど確認することで早期発見ができ、外壁塗装の費用も抑えることができます。
まとめ
住宅を購入する時にはあれこれ考えて購入しますが、いったん購入すると家のメンテナンスはおろそかになりがちです。
家を長持ちさせるためにも、適切な時期に外壁塗装の補修を行い、雨漏りなどのトラブルから家を守りましょう。