FXの取引手法の中で人気のあるスキャルピングトレード。FX初心者でも取引は可能ですが、トレードのコツを学ぶ必要があります。
この記事では、スキャルピングトレードをする上で知っておくべき重要な点をお伝えします。
はじめに
今から数年前の2013年の話ですが、スキャルピングトレードができなくなるという噂がネット上で流れました。
「スキャルピングに規制がかかる」という噂が一時ネット上で広まる
スキャルピングは人気の取引手法でしたから、「規制がかかる」という情報が流れたときは残念に思ったFXトレーダーは少なくなかったようです。
火のないところに煙は立たぬとは言うものの、実際はスキャルピングトレードに規制がかかることはありませんでした。
今後はどうなるかはわかりませんが、少なくとも現段階ではスキャルピングトレードでのFX取引は可能です。
FXを始めようと思っている人が、知っておくべき厳然たる事実
スキャルピングトレードを採用するか否かに関係なく、これからFX取引で短期売買しようと思っているならば、必ず知っておくべき点があります。
それは、FX短期売買は全体の利益と損失が±0になるゼロサムゲームであるという事実です。
つまり、あなたが損失を出したならばどこかに利益を得ている人がおり、逆にあなたが利益を出したなら損失を被る人がいるわけです。
ゼロサムゲームは綱引きのようなもので、敏腕トレーダーが利益を奪い取り、力の弱いものはあっさり資金提供者となるのです。
勝つか負けるか、この2択しかないということを覚えておいてください。
スキャルピングトレードとは
スキャルピングトレードは、短時間で少額の利益を確実に獲得するトレードスタイルです。
というのも、為替相場というのは一定の期間、上昇または下降トレンドを形成することがほとんどです。その短期間におけるトレンドを活用して利益獲得を目指すことになるのです。
実際にスキャルピングトレードをする場合、1回の取引が数秒から数分間のトレードになります。要は、デイトレードの縮小版と考えてよいでしょう。
しかし、そんな短時間の取引をする必要があるのか? と考える方が少なくないようですが、スキャルピングトレードは複利運用効果があるのです。
1回の取引で獲得した利益を次のトレードで運用しないならば、ただの単利運用になります。
しかし、獲得利益を次のトレードでも運用するのがスキャルピングトレードの通常の取引であり、それを複利運用と言います。
単利運用よりも複利運用のほうが断然効率よく稼ぐことができますので、スキャルピングトレードの大きなメリットと言えるのです。
スキャルピングトレード手法のコツ
スキャルピングトレードは小さな利益をコツコツと積み上げていく手法です。トレーダーや相場によって差異はありますが、1回の取引でたいてい10pipsの利益を狙うのが平均的利幅となります。
スキャルピングトレードに慣れてきても狙うべき値幅は変えず、取引量だけ増やすのがコツです。そうすることでリスクを抑えつつ1回の取引における獲得利益を増やすことが可能になります。
ただし、スキャルピングトレードで絶対していけないのは、塩漬けです。つまり、予想と反対方向に為替レートが動いたにも関わらず、含み損が回復するのを待ってしまうという行為です。
何時間後にはレートはエントリーの値に回復する可能性はあります。
しかし、含み損回復までの時間を浪費していることになりますし、小さな利益を積み重ね複利運用していくというスキャルピングトレードにそぐわない投資行為になるので、効率よく稼いでいるとは言えません。
トレード前に利益確定ラインと損切ラインをしっかり決めておき、そのラインに達したら迷わず決済するのがスキャルピングトレードのコツなのです。素早い操作が求められるトレード手法であることをお忘れなく。
スキャルピングに向いている通貨ペアは?
スキャルピングは短時間で値幅を取りにいくトレード手法ですから、レートの動きが緩慢な通貨ペアはスキャルピングに向いているとは言えません。
一定以上の値動き(ボラティリティ)がある通貨ペアが必須条件です。
また、取引回数がデイトレードよりも多くなりますから、当然取引コストがかさんできます。なるべくスプレッドの狭い通貨ペアを選ぶことも重要な条件になります。それら条件を鑑みると、
- 米ドル/円
- ユーロ/円
- ユーロ/米ドル
- 英ポンド/円
この4通貨ペアがスキャルピングに向いている通貨と言えます。
ただし、通貨ペアとの相性も重要ですから、自分が稼ぎやすいと思える通貨ペアを自由に選択してください。
スキャルピングに利用すべきお勧めのチャートは?
スキャルピングで必ずこのチャートを使わなければいけないという決まりはないのですが、好まれて使われているのが
1分足のローソク足 + ボリンジャーバンド
この組み合わせです。レートが上昇中に中心線が横ばいになると下降トレンドへ、逆にレートが下落中に中心線が横ばいになると上昇トレンドへ変わることが多いです。
FX初心者は、まずはこのオーソドックスなチャートを利用してスキャルピングを始めると良いかもしれません。
売買のタイミング
FX初心者におすすめしたいのは、トレンドに従って売買するスキャルピング手法です。
つまり、ボリンジャーバンドの中心線が上向きなら「買い」、下向きなら「売り」で取引をスタートさせるのです。
売りから入る場合の具体例
為替レートが下降トレンド中に、1分足のローソク足が中心線を下に抜けたときが「売り」の合図になります。
そして、-2σに達したら「買い戻し」。これである程度の利益が狙えるでしょう。
買いから入る場合の具体例
「売り」からのエントリーの全く逆の売買を行います。
為替レートが上昇トレンドに入り、1分足のローソク足がボリンジャーバンドの中心線を上に抜けたときが「買い」のサインです。そして+2σに達したら「売り」ます。
価格が上下を繰り返す相場のケース
上昇・下降トレンドが発生せずレートが横ばいの動きの時があります。価格が上下を繰り返す相場では、以下のように売買を行ってみてください。
ボリンジャーバンドの+2σと-2σの間でレートが上下を繰り返している場合は、+2σに達したら「売り」、-2σに達したら「買い」。こんなイメージで売買ができます。
また、ボリンジャーバンドの中心線を上回ったら買い、下回ったら売り。この繰り返しでもある程度の利益を狙えます。試してみてください。
バンドウォークは最大のチャンス
バンドウォークとは、ボリンジャーバンドの+1σと+2σの間で上昇する、または-1σと-2σの間で下降する動きのことです。
ボリンジャーバンドが収束した後に起こりやすい現象です。バンドウォークの発生を見極め売買すると効率よく稼げますので、最大のチャンスを見逃さないようチャート分析を行いましょう。
スキャルピングトレードの注意点は?
スキャルピングトレードでは1分足のローソク足ばかり見ているので忘れがちになるのですが、日足や時間足による相場の方向性を頭に入れておくことが重要です。
大きな時間足に基づいて為替レートは進んでいき、長い時間足の動きのもと1分足のローソク足も進むと考えておいてください。そうすれば、全体の方向と逆の動きになった場合はすぐに損切りできるはずです。
スキャルピングに向いた時間帯
上でも挙げましたが、スキャルピングトレードの大切な要因はボラティリティです。
値動きがないと思うように稼げませんので、値動きがある時間帯を狙ってトレードするのがコツになります。
・東京市場オープン時間帯:午前9時~11時
・ロンドン市場オープン時間帯:午後4時~6時
(夏時間は午後3時~5時)
・ニューヨーク市場オープン時間帯:午後10時~午前0時
(夏時間は午後9時~11時)
※いずれも日本時間
以上の時間帯は値動きが活発な時間帯です。この時間帯に合わせてスキャルピングすることをおすすめします。
ただし、午後10時~午前0時はニューヨーク市場とロンドン市場のオープン時間帯が重なり、ボラティリティがより大きくなります。
FX初心者には厳しい値動きとなることもあるので、初めは東京市場オープンの午前9時~が狙い目です。
その他の疑問点や気を付けたいこと
スキャルピングトレードに必要な点は上述しましたが、そのほかに気を付けたい点がいくつかありますので挙げてみました。
スキャルピングでは、ショートを避けた方がいいの?
そんなことはありません。相場に応じてロング(買い)とショート(売り)を使いこなせれば、利益率は高まります。
ただし、資金管理、リスク管理がしっかりできていることや利確・損切りルールをしっかり守れることが絶対条件です。
これができていなければ、ロング・ショートに関係なくスキャルピングで稼ぐことは難しいでしょう。
どちらの相場(トレンドorレンジ)が向いている?
結論から言いますと、レンジ相場のほうがスキャルピングに向いています。
というのは、レンジ相場ではレートの上限と下限が決まっていることが前提ですから、エントリーと決済をしやすいという大きなメリットがあるのです。
レンジブレイクとなることもありますが、ポジションと逆方向へのブレイクならすぐに損切りすれば良い話です。効率よく稼ぐためにレンジ相場でのスキャルピングにトライしてみてください。
スキャルピングには、大量の資金が必要?
必ずしも大量の資金が必要なわけではありません。
取引回数が多くなると言っても、実質の取引手数料はスプレッドだけで、スプレッドの狭い通貨ペアを選択すれば取引コストを抑えることが可能です。
ただし、1回の取引量での獲得値幅は小さいですから、多めの資金で取引したほうが効率よく稼げるのは確かです。スキャルピングトレードに慣れてきたなら余裕資金を追加するのも一つの手でしょう。
眠たくなったらトレードはやめよう
スキャルピングは集中力が求められるトレード手法です。眠いときに無理してトレードしても良いことはありません。
ポジションを保有したものの、そのあと居眠りしてしまい、気づいたら含み損がとんでもないことになっていたというのはよくある話です。眠くなったらトレードはやめましょう。
まとめ
スキャルピングトレードは、どの取引手法にもまして損切りが重要なトレード手法です。ときには損切りばかりしているようなときもあるのですが、その損切りは無駄にはなりません。
しっかりとリスクコントロールしていることの証ですし、スキャルピングで損切りができるなら他の手法でも損切りがしっかりできるはずです。
損切りを巧みに行いながらコツコツと利益を増やしていきましょう。