FX取引

FX会社が倒産したら入金したお金(証拠金)はどうなるの?

銀行にお金を預けても、安全とは言えない時代

80年代は一番安全な資産運用先が銀行や郵便局でした。

例えば、80年代の郵便貯金の金利は6ケ月で6.5%、1年で7.12%とかなりの高金利でした。

一方で株や外貨は危険な投資と考えられていました。国内でかなりの高利回りが期待できた時代なのであえて株や外貨は考えられなかったということです。

ペイオフ制度は70年代に創設されました。ところが90年代に入るとバブルが崩壊し1973年から続いた安定成長期が終わり、低成長期に入りました。

この頃、信用組合などの破綻でペイオフ凍結解除したために預金者に動揺が広がりました。これは預金が必ず全額保護されなくなるということです(利息などを含めて1千万まで保護される)。

その後96年から2001年までは特例として預金全額を保護していましたが、2005年になるとペイオフが解禁されて合算して1000万円までの元本とその利息までしか保護しないようになりました。

銀行預金が安全ではなくなりました。さらに2008年のリーマンショックでさらに深刻になりました。

また外貨預金なら安全かというと預金保護制度の対象外なので、預け先金融機関が破綻したら全額保護されません。

もしFX業者が破綻したら、預けたお金(証拠金)はどうなるの?

上記のような低成長期に入った日本では、FXや株式という昔は危険だと言われていた資産運用に人気が集中しています。

特に、近年FXは大変注目されている取引です。ただし万が一、自分の取引している業者が倒産したら預けたお金はどうなるのでしょうか?

そこでここでは、FX会社の倒産の歴史から顧客資産の行方や法律などについてご紹介します。

FX会社の倒産の歴史

FXが個人投資家に解禁されたのは1998年です。

その後、2007年にサブプライムローン問題が発生し(米国の低所得者層でも組める住宅ローン。リーマンブラザースがサブプライムローンを買取り、高い金利証券として銀行に売買した)、2008年にリーマンショックが起こりました(サブプライムローンが破綻し、リーマンブラザース社が財政破綻して世界同時不況となった)。

この頃、急速な円高が進み、FX業界もその影響を受けてFX業者が次々に破産しました。

2007年にはFX札幌が金融商品取引法(顧客から預かった資産を適正に管理する法律)に違反して、巨額の損失を発生させてしまい、業務停止命令を受けて破産しました。

このとき債権者配当は5%にまで落ち込みました。金融庁は破産する業者が増えたことで緊急調査を行いましたが、自己資産と顧客資産を同じ口座で管理していた業者がなんと全体の41%にも昇っていたそうです。

これは違法ではありませんが、金融庁は万が一業者が破綻しると投資者に損害が発生するとして注意喚起していました。このようにFX業者の破綻によりその後顧客資産がどうなったのか次にご紹介します。

FX業者破綻・業務停止による顧客資産のゆくえ

FX会社の破産は資産を預けている方にとっては恐怖です。FXが個人に解禁されてまだ20年も経っていないので金融商品としてはまだ日が浅いものです。

当時サブプライムローン問題によりFX会社が破綻するとは考えられていませんでした。しかし徐々に破綻するFX会社が増え、その後の顧客の資産が保全されないケースが出ました。

以下代表的なケースをまとめました。

<FX会社破綻事例>

破綻年月社 名顧客資産不正内容
2007年10月エフエックス札幌(札幌市)債権者配当5%顧客資産を流用
2007年11月アルファFX(東京都港区)証拠金返還ゼロ顧客資産を流用
2008年3月日本ファースト証券(東京都中央区)預り金約2割程度減顧客資産を流用
2008年4月ニッツウトレード(東京都千代田区)ほぼ弁済無し分別管理不十分
2008年4月ジェイ・エヌ・エス(名古屋市)全額弁済多くの不正行為

表を見る限りほとんどが顧客資産を流用していたという事実がわかります。

特に表の最後の株式会社ジェイ・エヌ・エスに関してはありえない行為が行われていたようで、行政処分が下されました。

顧客の課税免脱に加担する行為や法令違反行為の数々が発覚しました。実はこの会社は多方面からの推奨があっただけにそのショックは相当なものでした。

FX会社に対して証拠金の全額信託保全が2010年より法律で義務化

このような事件が多く起こった結果、顧客資産の保全管理の必要性が高まりました。そして2010年よりFX会社に対しては証拠金の全額信託保全が法律により義務化されるようになりました。

これは、顧客資産をFX業者の資産と分別して第三者の信託銀行などに保管することです。

FXの個人投資家解禁の黎明期にはまだありませんでしたが表のような破綻事件が頻発した結果、信託保全という形として投資家資産の安全性が図られるようになりました。

信託保全による分別管理の仕組み

2010年から投資家の資産である証拠金の安全を保証する信託保全という制度が義務化されました。これは、FX会社が万が一破綻した時に、預けた資産が顧客に返還されるための措置です。

さらにこれは、預けた資産が債権者に強制執行される、仮差押え、仮処分が行われないようにするものです。

金融庁に登録しているFX会社は分別管理(信託が無い方法)から分別信託保全という形にしており、顧客資産の保全を行っています。

これによりFX会社が破綻しても信託銀行から投資家に預けた資金が返還されるようになります。

[通常時の預かり金の流れ]

通常は投資家からの預り金は一旦FX会社に入金され、さらに信託先の銀行に信託されます。信託先銀行とFX会社は信託契約を結んでおり、信託銀行から返還されて投資家に出金されます。

このとき信託管理任人は内部管理責任者によって行われます。信託の残高を確認してFX会社には信託状況を随時確認します。

[破綻時の預かり金の流れ]

一旦FX会社が破綻した場合は、信託先銀行から信託管理人(弁護士、公認会計士及び金融庁長官指名者など)が信託財産の返還を受け投資家に資金の返還を行います。

この信託保全により、FX会社が破綻しても投資家の資金は債権者に渡ることなく投資家に返還されます。

FX業者を選ぶ目安は、金融庁に登録している業者で自己資本規制比率(120%以上)であり、信託保全が完備されている会社であれば比較的安全と言えるでしょう。

ただしそれだけでは不安だと考える場合は、会社自体が上場している、親会社が上場しているといった判断をしていくようにしましょう。

では信託銀行が倒産したら、入金した証拠金はどうなるのか?

FX会社が破綻したら信託銀行から資金が返還されて、投資家の資金が保全されます。義務化されたことでより安全に投資することが可能になりました。

一方で信託銀行が倒産したら投資家の資金はどうなるのでしょうか。

実は投資家保護という観点から「信託法」という法律があり、信託管財人を通して投資家の資金は全額返還される仕組みになっています。

信託法の中には、信託財産は信託銀行のものではない(15条)とされ、信託銀行が倒産した場合でも債権者は信託財産の差押えできない(16条)となっています。

仮に信託銀行が破綻しても投資家の資金は全て返還されるようになっています。

FX会社に預ける証拠金が1000万円以上でも大丈夫?

冒頭でペイオフ解禁の話をしましたが、銀行預金ならペイオフ対象となり1000万が上限となって保護されます。

つまり、1000万以上は保証されないということです。一方でFXの場合は1000万以上でもペイオフの対象にはなりません。

先ほどご説明したように、信託法によって全額保護されることになります。これはFXだけでなく投資信託でも信託財産なので1000万以上あっても保護されます。

また、銀行で外貨預金した場合には保護対象にならないので実は非常にリスクが高いと言われています。

より信頼できるFX業者で取引しよう!

FX会社が倒産しても投資家の資金は保全されます。また信託銀行が破綻しても投資家の資金は全額返還されることがわかりました。

ただし、できればFX会社も信託銀行も破綻する恐れのないところを選びたいものです。

それらをチェックするには信託保全状況を確認していきます。具体的にどの部分を見るのかご紹介します。

信託保全状況とは

またFX業者の信託保全状況を確認したいなら、それぞれの会社の信託保全先銀行をチェックします。そして信託先の長期格付けをさらに見て行くといいでしょう。

格付けに関してはムーディーズや日本格付研究所が行っていますが、大手FX会社のほとんどがみずほ信託銀行や三井住友銀行などが信託先であり、それらはA1(ムーディーズ)かAA(日本格付研究所)という格付けがされています。

ちなみにムーディーズのAは信用度が高くリスクは極めて低い場合で、数字は債務に対する格付けで上位という意味です。日本格付研究所のAAは債務履行確実性が非常に高い場合に付きます。

FX会社と信託保全先一覧

FX会社名信託保全先銀行信託先の長期格付け
ムーディーズ日本格付研究所
上田ハーローFX日証金信託銀行A+
みずほ信託銀行A1AA
ヒロセ通商三井住友銀行A1AA
FXプライム by GMOみずほ信託銀行A1AA
マネーパートナーズ(上場)三井住友銀行A1AA
みずほ信託銀行A1AA
YJFX!三井住友銀行A1AA
みずほ信託銀行A1AA
セントラル短資FX三井住友銀行A1AA
IG証券三井住友銀行A1AA
外為どっとコム三井住友銀行A1AA
みずほ信託銀行A1AA
あおぞら信託銀行A-
外為ジャパン日証金信託銀行A+
SMBC信託銀行
FXトレーディングシステムズ三井住友銀行A1AA
ひまわり証券三井住友銀行A1AA
みずほ信託銀行A1AA
外為オンライン三井住友銀行A1AA

格付け記号について

ムーディーズAa信用力が高くて、リスクが極めて低いと判断される債務格付けを示す。

数字の1は文字による債務の格付けカテゴリーで、1は上位、2は中位、3は下位を示す。

日本格付研究所AA債務の履行確実性がとても高いことを示す記号
A債務の履行の確実性は高いことを示す記号
補足:+と-記号は各カテゴリーの中での相対的強さを示す記号
ABOUT ME
Arima
2014年からデイトレーダーやってます。 FXと株で毎日コツコツ頑張ってます。 nanairoでは主にお金・節約術に関する記事を執筆しています。