「今すぐ売買したい」というときに利用する成行注文ですが、問題は実勢レートから大きく乖離して約定してしまうスリッページが時々発生してしまう点です。
スリッページはどの業者でも起こり得ることなのですが、それでもスリッページをさらに減らしストレスフリーなFX取引をしたいなら、「ストリーミング注文」を覚えるべきです。
今回の記事では、ストリーミング注文の概要と活用法にスポットを当ててみます。
成行注文の一種「ストリーミング注文」
ストリーミング注文とは成行注文の一種ですが、成行注文の機能性をさらに高めた注文方法と言えます。
リアルタイムの為替レートを見ながら、好きなタイミングで、ほとんどのFX業者ではワンクリックで売買注文を発注できます。
成行注文との違い
ただの成行注文では「買い」または「売り」を注文するだけですが、ストリーミング注文での成行注文なら自分の希望レートにより近いレートで発注できるという強みがあります。裁量取引で稼いでいる多くのトレーダーが多用するのもうなずけます。
ただし、成行注文の一種であることには変わりがなく、レートを指定しての注文ではありませんから、発注時のレートから少しずれて約定することがあります。とりわけ為替変動の激しいときは想定レートから乖離して約定することがあるのです。
しかし、ストリーミング注文では、前もってスリッページ許容範囲を指定しておくことができます。
たとえば、「1銭以内のスリッページなら約定OK」というように範囲を指定しておき、許容範囲以上のスリッページが発生した場合は約定しません。
ですから、ストリーミング注文はスリッページに対して強みのある注文方法であり、ただの成行注文よりも機能性や利便性の高い注文方法です。
スリッページ幅の設定
先に簡単に説明しましたが、スリッページ幅の設定に関してさらに詳しく見ていきます。
許容スリップと約定(例)
米ドル円レートが(売り)109.99-(買い)110.00のときに「スリッページ幅2銭」と設定し、ストリーミング注文でドルを買ったとします。
すると、有利にスリッページが起きると、109円99銭~設定幅以上のレートでの約定となります。逆に不利なスリッページが発生すると、110円01銭~110円02銭の間での約定です。
つまり、有利なスリッページは無限に起こる可能性がありますが、不利なスリッページは2銭以内で限定されるわけです。これがストリーミング注文とそのスリッページ設定の特徴になります。
ただし、有利なスリッページが無限で起こる可能性があるとは言っても、FX業者側からすれば「不利なスリッページ」になりますから、頻繁に有利なスリッページが起きるとは考えにくいです。
実際の取引画面(例)
損切り時には注意!
ストリーミング注文で損切り注文をするときは要注意です。
ポジション保有中に逆指値注文によるストップロス注文を入れておくことは基本です。相場急変したときに、一定以上の損失がでないよう損切り注文はいつも入れておくので、このケースではストリーミング注文は関係ありません。
しかし、ストリーミング注文を利用して、手動でストップロス注文を発注することができます。しかし、相場急変時に手動で発注しても容易にスリッページ許容範囲を超えてしまい約定しないことがあるのです。
約定しなければ決済注文が成立になりませんから、含み損が想定以上に膨らむことになりかねません。一刻も早く損失を確定させるためにも、スリッページなど気にせず早めにストップロス注文を発注するのが最善です。
ストリーミング注文の取引手順
実際にストリーミング注文を発注する方法を見ていきます。先に挙げたように、ストリーミング注文は成行注文の一種ですので、基本的に成行注文の発注方法と大きな差はありません。
FX口座の多くは、成行注文=ストリーミング注文としていますので、成行注文をしたいなら「ストリーミング注文」からの発注になると考えてください。
ただし、一般の成行注文とストリーミング注文の大きな違いはスリッページ幅を設定できる点です。発注前にストリーミング幅を設定し、発注。これで注文の手順は完了です。
もちろんスリッページ許容範囲内で約定できなかった場合は、再度発注をすることになります。
まとめ
ストリーミング注文は成行注文の一種ですが、特徴のある成行注文です。
- リアルタイムレートを確認しながら発注できる
- スリッページ許容範囲を設定できる
以上のメリットを活かしてストリーミング注文を利用したいところです。
注意したいのは、ストリーミング注文でストップロス注文を発注するとき、スリッページを気にしすぎて決済完了とならないことです。
損失を一定の範囲内で抑えるためにも、スリッページを気にせずストップロス注文を発注することにしましょう。
