乖離率(乖離線)は、価格と移動平均線の距離を示すものです。価格が移動平均値からどの程度離れているか、その乖離を比率で表したものです。
移動平均線は、n期間の価格の平均値(もしくは出来高)を表します。FX銘柄の需要と供給の関係を表したと言ってもいいでしょう。
この乖離率を使う場合、価格の向かっている方向に逆行して売り買いをすることを逆張りと言いますが、この手法で利益を得るためには移動平均乖離率を使用するのは必須となっています。
もちろん順張りにも利用できますが、どちらかというと逆張りに利用する場合が実践では多いようです(もちろん個人の取引において絶対はありません)。
計算式
- 乖離線を求める:価格-移動平均値
- 乖離率を求める:(上記‐1)×100%
n期間は5、25、13週、26週(1週間、1カ月、3ヵ月、6か月)が使われます。
上記の式に実際に25日で計算した場合、移動平均線は25日の終値合計を25で割った数字になります。営業日ごとに再計算して出てきます。
チャートを実際にご覧いただくと違う期間の2本の移動平均線が出ることがあります。日足で5、25日といった具合です。価格の値動きが5日の移動平均線でどの程度の距離にあるのかといった判断をするとわかりやすいでしょう。
使い方のポイント
最も分かりやすい使い方は、移動平均線から大きく離れたら、「上げとどまる・下げとどまる」といった転換タイミングを計るために使われます。これは上がり過ぎると下がる、下がり過ぎると上がるという考え方から来ています。
例えば日足の場合を考えてみましょう。
<図1>価格が上にある場合と下にある場合
左の移動平均線より上に価格がある場合は、移動平均線からどの程度(%)乖離しているかで価格が下げに転じるかを判断するヒントになります。
逆に価格が移動平均線より下にあった場合、移動平均線からどの程度(%)乖離しているかで価格が上げに転じるかを判断するヒントになります。
考え方が分かったところで、取引ルールについてご紹介しましょう。
①反転の目安となる水準を見つける
移動平均線を中心として価格が推移している場合(上記図1を参考にしてください)
一定の流れがありもみ合いか上昇、下降している時はレンジの上限で売り、レンジの加減で買いとなります。
②値動きの変化を推測する
移動平均線が上値抵抗線・下値支持線となっている時、上昇または下降への勢いが出ている場合です。
この上値抵抗線とは、過去の株価の高値と高値を結んだ線で、またの名を「レジスタンスライン」と呼んでいます。
その水準まで買いが進むと売り圧力が強くなり、そこから先にはいかなくなる価格帯のことを指します。
その逆に下値支持線は、過去の安値と安値を結んだ線です。過去の高値抵抗線を一旦突破すると起こることが多いものです。下値支持線は「サポートライン」とも呼ばれ、上値抵抗に回ることになります。
値動きの変化は、平均移動線が上値抵抗線または下値支持線となって推移した時に、乖離率水準から価格のトレンドと値動きの変化を推測することができます。
移動平均線が上値支持線になった場合は上昇トレンドになり、乖離率がゼロ%以上、逆に下値抵抗線になっている場合は下降トレンドとなり乖離率はゼロ%以下になります。
③上昇している初期段階の押し目買いとして使う
価格が上昇する初期段階を見つけて、急激な上昇の波に乗ることができた時に短期間で利益を得ることが可能です。
押し目買いとは、移動平均線と接する部分を底値として、その底値を少し下回るか近づいた状態の時に買いシグナルを出す方法のことです。
価格は大きく騰がった時に移動平均線と乖離が出てくると移動平均線に向かって下がるという傾向があります。
押し目買いは、この特性を利用して移動平均線に近づく(少し下回る)時に購入して値上がりを待つという方法です(相場の状況や投資家心理により変わることもあります)。
このように急激に価格が上昇(または下降)すると移動平均線との乖離が広がり、乖離率が大きくなります。
いつも見ている移動平均線より高水準や低水準の乖離率が出た時は価格が強く上昇したり下落したりする場合が多いようです。
④逆行現象による売り買いシグナルを見つける
買いシグナル:強気の乖離(ブリッシュ・ダイバージェンス/Bullish divergence)
価格が下落しているにも関わらず乖離率は上昇します。
これは指標の推移が上昇しているにも関わらず、チャートの推移が下降する逆行した現象を表します。
強気の乖離と表現され、チャートでは上昇トレンドに転換する可能性が高くなります。
売りシグナル:弱気の乖離(ベアリッシュ・ダイバージェンス/Bearish divergence
価格が上昇しているにも関わらず乖離率は下落します。
これは指標の推移が下落しているにも関わらず、チャートの推移が上昇する逆行した現象を表します。
弱気の乖離と表現されて、チャートでは下降トレンドに転換する可能性が高くなります。