FX取引は、「外国為替市場」が舞台となった投資ですから、外国為替市場そのものを理解することが重要ですし、それに基づく為替レートの表示についても理解を深めるべきです。
ここでは、外国為替市場と為替レート表示機能の「2wayプライス」について詳しく見ていきます。
この記事の目次
FX取引の場となるのが「外国為替市場」
初めに、FX取引の舞台となっている外国為替市場について見ていきます。外国為替市場とは具体的にどんな市場なのでしょうか?
外国為替市場とは
外国為替市場とは、外国の通貨が売買される市場を指しています。
ただし、為替市場と株式市場では大きな違いがあります。株式市場は実際に株式を取引する場所があり、日本であれば東京の兜町にある東京証券取引所がそれに当たります。
しかし、為替市場には株式市場のような取引所は設けられていません。為替取引は主に世界の金融機関が電子的に参加し、電子的に取引を行なっているので、明確な場所での取引が行なわれているわけではないのです。
外国為替市場の中には2つのタイプの市場があるので、そのタイプを知っておくことも大切です。外国為替市場の取引は、
- 個人と金融機関が取引を行なう「対顧客市場」
- 金融機関同士が取引を行なう「インターバンク市場」
以上の2つのタイプの市場があります。
私たちが海外旅行に行くとき、銀行で日本円と現地通貨を両替しますよね。これは1.の対顧客市場での取引を行なっていることになります。
また、将来的にあなたがFX取引を行なったとします。このFX取引は、FX会社との相対取引ですから、FX投資家がインターバンク市場に直接参加することはありません。
しかし、FX会社はインターバンク市場で取引に参加している金融機関からレート提供を受けていますので、FX投資家は間接的にインターバンク市場での取引に参加していると考えられます。
ここからはインターバンク市場に的を絞って見ていきたいと思いますが、インターバンク市場は何時から何時まで取引されているのでしょうか?
答えは、週末を除いた平日ならば原則24時間取引が行なわれています。
世界には各国の為替市場が存在するのですが、一日の一番初めにオープンになるのがニュージーランドのウェリントン市場で、次にオーストラリアのシドニー市場です。これら2市場はそれほど大きな市場ではありませんが、金融機関が為替取引を行なうのは間違いありません。
そして、東京市場、香港、シンガポール、バーレーン、フランクフルト、チューリッヒと続き、日本時間の夕方にオープンするのがロンドン市場、そして同じく日本時間の夜にニューヨーク市場がオープンとなります。
要は、一日24時間の内、どこかの為替市場がオープンしているため、世界中の投資家たちはどこかの市場を通して為替取引に参加することが可能なのです。ですから、常に為替レートは存在し、FX投資家も原則24時間取引が可能というわけです。
一つ覚えておきたいのは、各国市場にはクセがあるという点です。流動性が高い市場(時間帯)もあればレート変動があまり起きない市場(時間帯)もあります。そうしたクセを知っておくと、FX取引をする上で役に立つと思います。
為替レートの表示「2wayプライス」
先ほど少し触れましたが、FX会社はインターバンク市場での取引価格を提供され、そのレートに基づきFX投資家に対し為替レートを提示しています。この為替レートは「2wayプライス」となっています。
2wayプライスとは、わたしたちFX投資家が売れるレート(Bid)と買えるレート(Ask)の2種類の価格が提示されていることです。
たとえば、USD/JPYレート表示が
- 110.75/110.78
このようになっていたなら、左側が売値(Bid)で、右側が買値(Ask)になります。
どのFX口座を利用しても、必ず2wayプライスとなっているので、2wayプライスの意味を知っておかないとFX取引ができません。しっかり頭に入れておいて下さい。
ちなみに、Bidはビッドと読み、Askはアスクと読みます。上でも記載しましたが、簡単にまとめておきます。
- 売値=Bid=ビッド
- 買値=Ask=アスク
FX取引ツールにはこれが表示されていますので、特に英語のBidとAskの意味を覚えておきましょう。
買値と売値の差「スプレッド」
上の例をもう一度考えてみます。
2wayプライスが110.75/110.78になっていました。この売値と買値の差をスプレッドと言います。
では、売値と買値にはなぜ差があるのでしょうか?差がなければレート表示は1つですみますから、もっと見やすくなると思いませんか?
各通貨にスプレッドがあるのには理由があります。それは、スプレッドは投資家が負担する取引手数料になるからです。
先ほどのレート表示ですと、現在米ドルを110.78円で買うことができます。ポジション保有した時点で売ろうとすると、110.75円で売らないといけません。つまり、3銭の差があるというわけですね。
この3銭がFX投資家が課される取引手数料に相当するもので、このスプレッドがFX会社の収益の一部となっているのです。
もし上の例で1,000通貨取引だったとすると、スプレッドによる手数料は30円になります。1万通貨なら300円の計算です。
ですから、スプレッドは狭いほどお得ですので、FX取引を始める前にFX各社のスプレッドを比較し、より狭いスプレッドを提供するFX会社で取引するとお得になります。
取引コストは低いほどお得なのは間違いありませんので、その点をしっかり覚えておいてください。
FX会社選びは「2wayプライス」もポイント!
FX会社選択に関連して覚えておきたい点ですが、FX会社を選ぶときは各FX会社が「2wayプライス」を提示しているか否かをチェックすべきです。
今はほとんどのFX会社が2wayプライス表示となっているので心配はありませんが、中には悪徳業者が2wayプライス表示せず、投資家に不利なレートを提示しているケースが散見されました。
そういう業者はもういないと信じたいところですが、念には念を。FX会社選びの一つの基準としてください。
為替差損益が出る仕組み
適切なFX会社を選んだら実際にFX取引を始めるわけですが、FXではどのように利益と損失が出るのか、きちんと理解しておくことが大切です。
利益と損失のことを為替差損益といいますが、以下に為替差損益が出る仕組みについて解説していきます。
為替差益が出るケース
米ドル/日本円通貨ペアを取引することとします。1ドル110円のときに1万通貨買い、1ドル115円のときに売ると、為替差益は5万円になります。
為替差損が出るケース
ユーロ/日本円通貨ペアを取引することとします。1ユーロ130円のときに1万通貨売り、1ユーロ133円のときに買いもどすと、為替差損は3万円になります。
取引量が多いとそれだけ利益と損失が多くなる
FX取引における基本ですが、取引量が多いと利益と損失が多くなりやすいのが特徴です。
- 1万通貨取引⇒レート±1円⇒為替差損益±1万円
- 1000通貨取引⇒レート±1円⇒為替差損益±1000円
為替リスクの面からみると、FX初心者は取引量を少なめにして取引するほうが無難と言えるでしょう。
「FX」と「外貨預金や外貨MMF」との違い
FXの売買の仕組みを説明しましたが、外貨預金や外貨MMFと大きな違いがあることにお気付きになったでしょうか?
外貨預金や外貨MMFは「買い」という選択肢しかありませんので、円高のときに買い円安になったら売ることで利益を得られます。
しかし、FXは「買い」だけでなく「売る」ことからも取引を始められます。ですから、今後為替レートが円高に向かうと思えば外貨を「売る」、円安に向かうと思えば外貨を「買う」。この2つの取引ができますので、稼ぐチャンスが2倍あるということです。
また、差金決済取引ではレバレッジもかけられますので、効率性という面から見てこれ以上ない投資法と言えます。