ウィリアムズ%Rとは
ウィリアムズ%R(ウィリアム・パーセント・アール)はWilliams%Rと書き、%Rオシレーターとも呼ばれるテクニカル指標です。これは買われすぎ・売られすぎの水準を判断するために利用されています。
当日価格の値動きの中で、どこに位置するかを表し、当日高値に近いほど数値は小さく、安値に近いほど数値は高くなります。似た指標にはストキャスティクス%K(オシレーター系指標で買われすぎ売られすぎの状態を表す)があります。
最高値と最安値の変動幅の間で、直近終値がどの程度の位置にあるかを示したものです。ここではこのウィリアムズ%Rについて解説します。
考案者
考案者はラリー・ウィリアムズ(Larry Williams/1942年生まれ)で米国の有名な投資家・投機家です。
1987年にロビンスカップ(自己資金によりリアルタイムで競うトレーディングのスーパーボウル)で11376%(113.76倍)の驚異的なリターンを出して優勝し、世界的に有名になりました。この記録はいまだに破られないままでいます。
数多くの投資手法を持ち、ウィリアムズ%Rは1966年に発表しました。今も現役トップトレーダーとして活躍する伝説の人物です。トレーダーの印象が強いのですが、ファンダメンタルズ分析を基点にしたマーケット分析も重要視しています。
著書に「ラリー・ウィリアムズの確実な株式投資年率18%を超える成功マニュアル」「ゴールドマン・ロールレポート ゴールドマン・サックス証券の秘密が暴かれた!」などがあります。
考え方
ウィリアムズ%Rは、現在の相場において一定期間の変動幅の中で、売られすぎ・買われすぎの水準を見ていきます。高値からの相対的な位置を見るもので、安値から見る場合はストキャスティック%Kになります。
この%R(以後ウイリアムズは省略)の値は0から-100%の間で変動し、上昇トレンドの時は限りなく0に近いところで変動し、下落傾向の時は-100%に近くなります。
計算式
[%Rの計算式]
%R=100×{(過去n日間の最高値-直近の終値)÷(過去n日間の最高値-過去n日間の最安値)}
n=14日間
直近の終値は日中なら現在値で構いません。
nはFX会社の初期設定では一般的に14日で計算することが多いようですが、日本国内の投資家は20日間が多く使われ、10日などの期間を入れる場合もあります。
ウィリアムズ%Rの特徴とその使い方
%Rは設定期間のうち、当日価格の値動きがどの位置にいるかを表します。先ほども説明した通り、当日の高値に近いと指標は小さく、安値になると指標が高くなります。
0%近くになると高値、100%近くは下値と判断します。そのとき0%や100%の水準に張り付いて動くことをガーベージトップやガーベージボトムと呼びます。
そしてレンジの上下をブレイクしたときが売買サインとなります。
[買いシグナル]
3つの買いシグナルがあります。
①%Rが上限の90%から100%に到達して、相場が底値になって50%を割り込む時
*ラリー・ウィリアムズが推奨しているのは100%到達後、5日間待ち95%以下に落ちた時に買う方法。
②ブリッシュ・ダイバージェンス(%Rが横ばいでほとんど動きがないのに対してレートが変動し下降するパターンのこと。上昇トレンドが発生するサインです。強気の乖離とも言います。)が見られた時
*下落傾向で最初の安値で%Rが上限ラインより上に上昇し、次の安値で上限ラインを越えられない場合、上昇トレンドの可能性があるからです。
③フェイラー・スウィングズ(%Rが上限ラインに到達することなく反落し、買い方が優勢となり上昇トレンドの可能性がある時)
[売りシグナル]
3つの売りシグナルがあります。
①%Rが下限の10%から0%に到達し、相場が天井を打った可能性があり、50%を上回った場合
②ベアリッシュ・ダイバージェンス(%Rの推移が下降しているのにチャート推移は上昇すること。弱気の乖離ともいいます。)
*上昇トレンドの中で、最初の高値で%Rが下限ラインより下に下落(買われ過ぎ)になり、次の高値で下限ラインを超えない時は下降トレンドとなるので。
③フェイラー・スウィングズ(%Rが下限ラインに到達することなく反発し、売り方が優勢となり下落トレンドの可能性がある時)
解説
補足の解説をしますので計算式を見てみましょう。
%R=100×{(過去n日間の最高値-直近の終値)÷(過去n日間の最高値-過去n日間の最安値)}
この計算式の分子(過去n日間の最高値-直近の終値)は、期間中の高値と現在の相場水準の差を意味します。
また、計算式の分母(過去n日間の最高値-過去n日間の最安値)は、期間中の高値と安値の差を表し、変動幅を示しています。これは現在の相場水準が変動幅の中で高値からどの程度の位置にあるのかをみるものです。
100%なら分子(高値-終値)と分母(高値-安値)が等しいということなので、終値が安値になります。0%はその逆で高値-終値=0しかないので終値は高値になります。50%なら終値は変動幅の真ん中になります。
ほとんど同じシグナルだと思われている%Rとストキャスティクスですが、この上図で見ると売買サインのスケールは逆になります。また%Rは、株価推移に対する感応度がストキャスティクスより若干遅いという点も見逃してはいけません。
開発者ラリー・ウィリアムズが推奨している「0または-100%到達後、5日間待ち反転確認してから売買する手法」ですが、これは株価推移のノイズを除くということです。
実はほぼ100%の確率でチャートのノイズが発生し、本来のモメンタムとは異なるローソク足が形成されることになります。
そのため、そのタイミングで早めにロスカットする、まだ利益が得られるのに利益確定してしまうといったことが起こってしまいます。ラリー・ウィリアムズが推奨する手法にはそんな意味があるのです。
なお移動平均線を組み合わせて使うのも彼の手法の一つです。
ウィリアムズ%RとRSIの違い
ウィリアムズ%RとRSI(相対力指数)の違いは、買われ過ぎ・売られ過ぎの基準と目盛り数値が逆と考えると分かりやすいでしょう。
RSIは30%以下が売られ過ぎで買いシグナル、70%以上は買われ過ぎの売りシグナルです。また、大きなトレンドの初期段階ではあまり有効な指標ではありません。
%Rも同じで長期的売買より短期的売買に向いた指標です。%Rは価格の小さい値動きに敏感に反応する性質を持っています。そのため逆張り投資を行うには素早く乗ることが可能でそこがメリットともいえるでしょう。
ただし、売買シグナルは多く出るのでダマシがあるというデメリットもあります。安全にトレーディングしたいなら、%Rだけ使わずに他の指標と組み合わせてみてはいかがでしょうか。
